マサラ日記     previous«  »next

1月18日(火)

 ピンク・フロイドのオムニバス2枚組CD「エコーズECHOES」を聴く。けっこう以前に買ったもので、しょっちゅう聴くものではないが、たまに手軽に彼ら独特の世界に浸りたいときに引っ張り出してみる。

 個人的には、むこうの世界に行ってしまったシド・バレット時代(「シー・エミリー・プレイ」とか「アーノルド・レイン」の歌詞など、すでに常人には考えられにくいノリだ)から、彼のことを歌った「クレイジー・ダイヤモンド」(たしかこの曲の収録されたLPの邦題って『炎〜あなたにここにいてほしい』という恥ずかしいものだった)あたりまでしか興味がないので、1970年代中盤以降の曲は飛ばすことが多いし、超ベストセラーの『狂気』よりは『原子心母』の方が好きである。MTV時代全盛期に発表された『ウォールTHE WALL』など、軽薄なメッセージ性が鼻について、発表当時からまるで好きになれなかった覚えがある。

 元はといえば、同じプログレでもキング・クリムゾンの方が深いし、演奏もうまいし、ジャジーなところもあって好きである。ピンク・フロイドは何かこう、薄っぺらな感じだ(ちなみに昔からイエスは嫌いである。ありゃ、音階を複雑したハード・ロックだ。と、書きながら「ハード・ロック」って死語だなあとつくづく思ったりして)。

 それでも、「エコーズ」あたりを聴くと、昔のヒップなゴアやプリー、あるいはコバラムあたりを安易に想い起こさせてくれて、なかなか心地いい。たしか往年の人気プロレスラーの入場テーマ曲でもあったはずの(アブドーラ・ザ・ブッチャーだったっけ)「吹けよ風、呼べよ嵐」も、ラップ・スティール・ギターがうねってカッコイイ(プロレスの入場テーマといえばクリエーションの「スピニング・トー・ホールド」だ。懐かしいな)。

 それにしても、中学生の頃などは十分に刺激的だったピンク・フロイドが、今やノスタルジックにしか響かないのはちょっと情けない。本来、ロックはいつ聴いても刺激的でなければね。ということは、やっぱりたいして彼らのことは好きでないのかも。