マサラ日記     previous«  »next

1月22日

 なぜか最近、元気がないときよく聞くCDの一枚がGUNS N' ROSESの旧譜LIVE盤。

 この人たちの最高作はおそらくファースト・アルバムだと思うし、この作品も彼らが活動していない時期に唐突な感じで出されたこと以外、たいした印象や話題のなかったはずの一枚だが、なぜか手放せない。

 パンク〜ニューウェイブ以前だったら、単なるB級バンドとしてマニアックに認知されるだけだったろうが、80年代中期以降の「いかにもロックっぽいワルそうな連中」のいなくなった時代に彼らの登場はメチャクチャ新鮮だった。当時のアメリカ最王手ゲフィン・レコードも含めた戦略の勝利という感もある。

 たぶん今ごろこんなものを私がよく聞くのは、彼らのロックっぽい姿勢やチープだが小気味よくストレートなやり口に惚れてのことだろう。
 
 小手先の技術だけに頼っていろいろこねくりまわすのではなく、気合や気持ちを前面に押し出しつつ正面突破していくのがもっとも美しいのは、音楽のみならず、料理の世界などにも当てはまることだ。

 このライブで聞けるW.Axl RoseのボーカルやSlashのギターには、今や忘れかけられたロック本来の持つ野卑でワイルドな美学が満ちているし、ポップでキャッチーな曲作りもいいところを突いている。
 何より「俺たちは好きなことをやっているんだ。ざまあみろ」というプライドや自信、そこから生じる熱気が全編に満ち溢れているのがいい。

 最初は熱い音を創っていた彼らもメンバーチェンジなどでだんだんショボくなり、結局、それぞれの音楽性や思惑の違いというよくあるパターンから空中分解していく。
 好きなことをやっていくことのおもしろさと、そうした姿勢を維持することの難しさを思い知らされることでも含蓄のある一枚だ。