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過去の記録・母と一緒にいると得をする。 どうも母と一緒に旅行をすると、得することが、必ず一つはあるような気がしてきた。・・・って、この親不孝者は、そうそう、母を旅行に連れて行くことはないのだけれど。私は、母と、過去3回ほど、海外旅行を経験している。それぞれの旅行で起こった話。 ★★ ニューヨーク・ヒルトン ★★ きっかけから記録すると。 妹の結婚式で、家族そろってハワイに行くことになった。お式は、日本ではGWの始まる2日前だった。・・ので、当然のように。私は、まっすぐ日本に帰る、なんて勿体ないことはしたくなかった。そのまま、ハワイからワシントンDCに居る友人に会うつもりで、家族とは別口で航空券を購入しようと思った。ところが。 まず、母が、羨ましがる。じゃあ、一緒に行こうか、というと。資金源の父に相談せねば、というので。返事を待つと。 海外旅行を一度もしたことのない(したくない)父が、娘の結婚式で、海外に行くことになり。ついでだし。通訳(ワタシ)もいるから。俺も行く、となり。そうなると、当然、弟も、『みんなが行くなら俺も行く。』と。(この時点で、別行動のつもりだったワタシの航空券も父が支払ってくれることになっちゃったぴぃ〜!) 結局、新婚の妹以外の家族4人、そろって、米国本土に乗り込むことになってしまった。それはいいのだけど。こっちとしては、『連れてってあげよう。』くらいの気持ちだったのに。父が、『どうせなら、ニューヨークにも行きたいなぁ。』と我侭を言い出すしまつ。DC4日、ニューヨーク3日、で妥協しようとしてやった。しかし。残り3人の強力な反対に会い、DC3日、ニューヨーク4日にされてしまった。ワタシの旅行だ、ってのに。 だもんで、ワタシ的には、非常に不愉快。DCに1週間のつもりが。たったの3日にされたのだ。とりあえず、AMEXのオペレーターさん経由で、DCとNYのホテルの予約を入れる。 当然。腹たってますから、以前にも書きましたが、DCも、NYも、独りだったら、絶対予約しないような一流ホテルのお部屋を指定しました。全部父に出させるつもりで。ワタシと弟はタバコを吸うので、両親と、ワタシ+弟の2グループに分けて、どちらのホテルもツィンで2部屋頼むことにした。当時のお値段で、だけれど、ニューヨークヒルトンの方は、ツインだと240ドルと280ドルのお部屋がありますが、どちらになさいますか、と聞かれ。『支払いは父』だから。『あ、280ドルの方でお願いします。』と言っておいた。たぶん、これも結果的には良かったのかもしれない。 事件は、ニューヨークに着いてから起こった。ニューヨークヒルトンのレセプションで、チェックイン。しかし。こちらの名前を確認してから、ずい分待たされた。担当のオヤジ(名札によるとマネージャーだった)が、あっちゃこっちゃ走り回っておるのよ。こっちは、ジジ・ババが一緒なんだから。早よ、せんかいっ! って、イライラしておったら。ようやく、このオヤジが、戻ってきて。 『ご家族、四人一緒の部屋にしてもらえないか。』と言うのだよ。えっ?? こ、困るよ。禁煙室にされちまう。 じょ〜だんじゃ、ないよ。ちゃんと予約してあるのに、困るよ、それは! って(アメリカでは文句言った方が勝ち、って聞いてたし)、とにかく。『タバコ』のモンダイがあるから、絶対に困る!と拒否しようとした。 すると、このオヤジが言うことにゃあ。 『確かにご予約は頂いています。が、予定していた部屋がまだふさがったままで、お泊りいただけない。これは、こちらのミスです。申し訳ない。』 と、まず、こんなようなことを言われた。謝れば済むのか、と思った矢先。 『・・・、ですから。四人様ご一緒で、スィートルームにしていただけないか。 えっ? えっ? えっ? スイートルーム? マジ? 『ベッドルームは4つありますので。タバコも問題にならないと思います。』 と、にっこり笑った。どうだ? って感じで。 振り返って、家族に通訳する。3人とも、大喜びしてやんの。いいじゃん、いいじゃん、って。怒鳴りつけよう、って思っていたのに。わずか数十秒で、こっちもにんまり・・・。 ・・・で、部屋は、ものすごかった。ドアを開けて入ると玄関ホールがあり、シャンデリアが(あんまり高そうじゃなかったけど)あって。20畳くらいの主寝室に、ゲストルーム3つ。主寝室のベッドはキングサイズ。その他の部屋も、全部ダブルベッド。当然、各部屋バスルーム付き。リビング(ダイニングルームと仕切りがないので、30〜40畳くらいのどでかい部屋)のソファや、各部屋のソファを使えば、軽く20人は泊れるようなところだった。 母は。一生に一度の貴重な経験だ、と言いながら、ビデオカメラで各部屋なんかを録画しておる。挙句の果てには。『あ〜、観光なんかしなくてもいい。この部屋にいるだけで幸せ。なんで一週間丸々ニューヨークにしなかったのかしら。残念だわ。』などとのたまった。ふん。 ・・・といいながら、それでも、NYを満喫した。1ヶ月も前から予約しておいた、Windows on the World (貿易センタービルの最上階にあるレストラン)で、35ドルのフレンチのフルコース、日本では考えられない金額だったし。後、同時テロで破壊されたしまったこのビルだが、両親とも『あの時、行って良かった。もう、ないのねぇ。』と、しみじみ語っておった。(当時は)なんとなく薄汚れた感じのNYだったけれど、それでも母は、NYの何かしらが東京に似ていたからだろうか。NYなら、住めるような気がする、と感激もしていた。NYには、『海外』を感じさせない、なにかがあるの。私も初めて行ったときに感じた。 話は、ホテルに戻りますが。 チェックアウト時、気になって、キャッシャーのお姉さんに聞いてみた。ホントは、この部屋、おいくらなの?と。 彼女は、部屋番号を見て、伝票に間違いがある、と思ったらしい。慌てて、事務所に駆け込んだ。しばらくすると、にっこり笑って、『事情は聞きました。ラッキーでしたねぇ・・・。この部屋は、本当なら、保証金1000ドルと、部屋代が一泊3000ドルです。』と言った。 このときは、まだ、母が福の神だとは気付いていない。あれ? と思ったのは、その次の旅行から。 |