空港の周りからすでに建物は少なく、広い草原地帯の中にポツンポツンと工場や人家が建っているだけだが、空港からさらに離れるといよいよ建物は減って、広大なアフリカの大地と空だけが広がってくる。
360度、見渡す限りの大自然。どこまでも続く青空。ゆったりと流れる雲。北海道でもその広さに驚いたが、ここケニアは、その数千倍以上で、その景色を眺めているだけで自然と心が解放され、おおらかな気持ちになってくる。カメラを忘れてクヨクヨしていた自分、それに日頃抱えている色々なしがらみとか、本当にどうでもいいって感じになってくる。こんな大自然を相手にしたら、日頃うじうじクヨクヨ悩んでいる自分が小さく心の弱い人間で、もっとのびやかに、しっかり生きなさいと言われているような気がする。
それにしても、この解放感。日常生活から離れることによって得られる素晴らしい気分。心が洗われ、見るもの全てにワクワクし、感動と興奮するまっさらな心が甦ってくる。だから旅に出るのがやめられない。(…ってカッコよく書いているけど、いつも本当は単なる現実逃避に出かけているだけなんですけどね…(;^_^A )
し、しかし…。気持ちイイのだが、なんと車はビュンビュン飛ばしまくって走ること!!ここケニアも、北海道(特に道東)のようにひたすら真っ直ぐな一本道が続くが、だからといってフレッドさん飛ばしまくり〜!日本だったらスピード違反で一発免停になりそうな速度である。もちろん、ナイロビを出たら信号はない。
そうそう、首都ナイロビ市内でもほとんど信号機というものがなかった。数箇所で信号機は見かけたが、あっても壊れていて全く用をなしていなかった。1つだけ黄色が点灯している信号機があったが、それもずっと黄色で、みんな信号無視してブイブイ進んでいたような気がするし…。カロラインさんや稲野辺さんに教えてもらったが、朝晩の交通量が多い時間帯などは、ナイロビ市内ではお巡りさんが登場して手信号で交通整理をしているが、あとは大半が勝手に進んでいること、なので右折や市内各所に設けられたロータリーでは入っていくタイミングが難しく、とっさの判断力と強気の姿勢が求められるらしい。
ちなみにケニアは日本と同じ右ハンドルの左側通行である。さらに、ケニアは日本のトヨタ、日産の車が多かった。(あと、三菱とかホンダも見かけたけど、トヨタ・日産が圧倒的に多かった)
しかし、フレッドさんもある場所に来るとスピードを落とし、ゆっくり慎重にといった感じで車を進める。それは路面が少し盛り上がっているバンプ(段)である。ケニアではマーケットや学校など人通りの多い場所では、安全のためスピードを落とさせるために作ってあるのだ。ゼブラクロス(横断歩道)もあまりない。時々バンプの上にゼブラクロスが描かれている程度だ。カロラインさん曰く、「ゼブラクロスがあっても、みんな無視してスピード出してどんどん走って行くもの」なので、バンプが作ってあるらしい。実際、多くの車がビュンビュン突っ走っていた。そして当然、街中を歩く人も道路の好きな所を勝手に横切っていく。(もちろん、左右の確認はしているだろうが)
あと、所々には警察官が立っていて取り締まりしている所もあって、そこもスピードが落ちていた。そこは道端の左右から剣山のようなトゲトゲの針の出た長い棒が互い違いに置いてあり、どちらから来た車もスラロームのように真ん中を走り抜けていく。ふ〜ん、ケニアのお巡りさんはスピード違反の取り締まりに熱心なのね、とカロラインさんに言ったら、「それは違う。確かに取り締まりはするけど、スピードオーバーじゃなくて人数オーバーしている車や無免許、保険を掛けていない車を取り締まっているの」とのこと。なんでも、小さい乗合バスなどはギュウギュウ詰に人を押し込んで乗せて走っていることもあるそうな。
ケニアでは都市部を中心に車を所有している人が増えているが、まだまだ一般的ではなく、街と街を結ぶ交通にはバスが多く使われている。バスも、日本で普通見かけるようなバスもあれば、「プジョー」と大型のワンボックスカーにギュウギュウ人を詰め込んで走る乗合バスもある。バスはちゃんとバス停があるのだが、プジョーについてはどこからでも乗れてしまうらしい。ナイロビからアンボセリに向かう道で、時々道端に座り込んでいる人を多く見かけて、カロラインさんに聞いたら、「あの人達は乗合バスを待っているの」と教えてくれた。なんかヒッチハイクみたいでもある…。実際、私達の車を乗合バスと思ったのか、道端で手を上げている人もいたし。
けれど、スピードだけで驚いちゃいけないのがケニアの道。ナイロビから一路南下し、タンザニアとの国境の町ナマンガまでは比較的舗装のきちんとした道だったが、そこから左折し、アンボセリに向かう道はオフロードの道。スピードが出ると、ゴットンゴットンと振動がすごい。しかも、この時期乾季で乾いた道からはモウモウと砂埃が舞い上がり、後ろが全く見えなくなってしまう。
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