ジャンボ! アフリカ 〜22.赤道を通過し、コリオリの力を見る〜

 

 1月20日朝6:45、ツリートップスのレセプション前に宿泊客が集合し、揃ったところで来た時と同じように4WDに分乗して、アウトスパンホテルに戻る。
 ツリートップスでは10メートル先が見えないような濃い霧に包まれていたが、離れるにつれ霧は消え、朝のケニアの田舎町が見えてきた。ちょうど近くに学校もあったようで、歩いて登校する子供の姿も見える。

 アウトスパンホテルに戻って、ホテルのテラスで朝食。
 そして、ここで再びカロとフレッドさんと合流し、再びサファリカーでナクル湖国立公園を目指すことになる。
 ところで、このアウトスパンホテルは元々はイギリス人の個人の持ち家だったとのこと。うわ〜、すごい豪勢。こんな広いお庭やテラス、豪華なロビーもあって。

 アウトスパンホテルの前には茶と黒、白の三毛猫風の猫もいた。そうそう、ナイロビのカーニボアと、アンボセリロッジでも猫がいた。ロッジなどでは猫を見かけたが、ケニアの街角では猫を見る機会がなかった。
 代わりに田舎に行くと犬には時々出会ったが、茶色系の色合いの耳垂れミックス犬風の犬達ばかりだった。もちろん、繋がれている犬は1匹もいなかった。

 8:15アウトスパンホテル出発。しばらくは、ここに来るまでと同じような道が続く。徐々に上空には青空が顔をのぞかせる。
 やがて、登ったり下ったりの山道から平坦な道が続くようになった9時半頃、車は道沿いに入っていって停まった。

 目の前にはガイドブックなどで見たことがあるような看板が立っていて、アフリカ大陸のシルエットに“EQUATOR”と書いてある。ん?ここは赤道?!しかし、看板が立っていなかったら全然わからないし、看板があっても本当にここは赤道か?と思いたくなるような所だった。周りには草原と林、数軒のバラック小屋風の建物があるだけだから。

 ここはニャフルルという町の近くで、車は南半球から北半球に入ろうとしていたところだった。

 カロに、ここでは500シリングで赤道通過証明書を発行してもらえ、『コリオリの力』の実験も見せてもらえるとのこと。
 ほほぅ、噂には聞いていたが本当に数十メートルの違いで水の渦の巻き方が違うのか?いっちょ、この目で確かめさせてもらおうじゃありませんか。早速お願いしてみる。

 先客がいて、すでにヨーロッパ系の観光客を相手に実験は行われていたが、すぐ終わった。その後、コリオリの力の実験をしてくれるというおじさんは、私の所に実験道具を持ってやって来た。
 道具は薄汚れたオレンジ色のプラスチック製のボウルと水が入ったポット、それに木の小枝である。

 おじさんは、まずは私を赤道の標識看板から北半球側に20メートルくらい進んだ所に連れて行く。そこで、ポットの水をボウルに入れる。そして小枝を浮かべる。ボウルの底には小さな穴が開けられていて、水はそこから今度は下に置かれたポットへと流れ出して戻っていく。ボウルの水は、小枝を巻き込んで時計回りに渦を巻いている。ちゃんと、小枝は時計回りに流れている。

 次に赤道を越え、南半球に20メートルくらい進んだ所で同じように水を流してみる。あ〜ら、不思議!本当に、今度は反時計周りに渦を巻いて、小枝も反時計周りにグルグル回っている。
 ひえぇ〜〜。コリオリの力の話はホントなんだ。どうみたってこの古ぼけたボウルに仕掛けがあるとは思えないし、おじさんがMrマリックのようにハンドパワーを持っているとは思えない。

 まだまだこれだけじゃないよ、と言わんばかり、おじさんは今度は私を赤道の所に連れて行って、再度同じように水を流す。すると、水は下に流れ出していくが渦を巻かず、小枝は真ん中でユラユラ漂っている。底の穴から流れ出る水も、ねじれず真っ直ぐ下に流れ落ちていく。

 いや〜、面白かった!!

 実験が終わった所で、側の建物の中に案内される。ここはお土産物屋さんでもあったのだ。
 赤道通過証明書を発行するのに名前を書くから綴りを教えろと言われ、出された紙に書き、500シリング払う。でも、なかなか証明書をくれない。…はいはい、証明書をもらう前に何か買いなさいということね。先に実験を見たお客さんも何やら買っていたので、半分仕方なくマサイビーズのブレスレットを買う。もちろん、ボールペン使って値切り交渉しながら…。こんな風に商売されるとなんか胡散臭く感じてしまったが、レジの側には大手ツアー会社の名刺などがたくさん張られていて、その中には日本のJTBの人の名刺もあったから嘘じゃないんだろう??