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1/22/2001 (Mon)

 今日からまた現実に戻って仕事です。今日もES細胞の培地を交換し、ES細胞を健全に増殖させるためのフィーダー細胞を調製しました。最近の私の仕事はこの繰り返しですが、この基本的なことが少しも滞ることなく続けることが大変重要になってくるのです。

 さっき、NHKのニュースでES細胞のことを特集していました。ES細胞というのは、embryonic stem cellの略で、日本語では胚性幹細胞と呼んでいます。これは受精卵(初期胚)から分離される特殊な細胞で、身体の中のあらゆる臓器になることができる能力、多分化能を持っていることが特徴です。すなわち、心臓や血液、血管、肝臓、骨、脳、神経など、理論的にはどんなものにも分化することができるのです。

 将来的にはこのようなことが可能になるでしょう。動脈硬化になってしまった血管を、ES細胞を分化させた血管に置き換えたり、生体肝移植の場合にもES細胞を分化させた肝臓を移植すれば、ドナー臓器を待つ必要もなくなります。あるいはパーキンソン病などの遺伝性難治疾患も、ES細胞を神経に分化させて移植することにより、病状の回復を図ることもできるようになります。そしてこれらのことは実験的に成功しているのです。

 このようなES細胞研究の渦中にあって、私は微力ながらもこの研究分野に貢献していきたいと考えていますが、渦に飲み込まれてしまってはいけません。世界的に競争の激しいこの分野で、いかにオリジナルな業績を残していくか、今が頭の使いどころなのです。

Picture of the day

手動シュレッダー またしょうもないものを買ってしまいました。手動シュレッダーです。ハガキぐらいの大きさの紙を切り刻んでくれます。近所のホームセンターで600円くらいでした。明日はちょうど可燃ゴミの日なので、古い領収書をせっせと切り刻んでいました。

 なかなか楽しいです。ついつい、一度に何枚ぐらい切れるか、とか、いろいろ負荷をかけてみたりしてしまうのです。そんなことをしているうちに、刃の部分に外から取れない紙切れがたまってくるのです。安全のために、刃が納められている部分には指が触れられないようになっている上に、簡単に開かないようにねじ止めされているのです。

 さっそく分解掃除を余儀なくされたのでした。

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1/23/2001 (Tue)

 さっき天気予報を見ていました。名古屋の明日は晴れですが、朝の最低気温がマイナス2度、最高気温が9度です。首都圏はマイナスになるところはありませんでした。関東地方に比べたら名古屋は寒い。私が名古屋にきて最初に思ったことでした。関東地方、もう少し限定して関東平野は、秩父山地や丹沢山塊が偏西風を雪雲を適度に濾過してしまうので、この季節、氷点下まで下がるのは山間部程度なのですね。もうしばらくすると放射冷却が起こりやすくなるので、関東地方ももう少し気温が下がっていきます。

 「明日も寒いな」と見ていたら、盛岡はマイナス9度、最高気温が0度です。一日の最高気温が0度を超えない日を「真冬日」と呼びますが、ああ、私はそんな寒いところに6年間も住んでいたことがあるんだったと、思い出しました。盛岡市は日本でもっとも寒い県庁所在地といわれています(北海道は?それは道庁)。マイナス9度になると聞けば、水道管が凍るのを防ぐために、水抜きをしなければいけません。もっとも最近の住宅では、水道管に断熱材が巻いてあったり、電気で水道管を温める装置が付いているので、水抜きをする必要はないのですが、当時の学生が暮らすような安いアパートにはそんな装置はなく、夜寝る前に寒い寒い外に出て、水道の元栓を閉めに行ったものでした。もう私の身体は、盛岡の寒さを覚えていません。雪や氷の上の歩き方は覚えているのですが。

 明日は寒い中を早起きして、朝一番で名古屋都心に出ます。

Picture of the day

顕微鏡 私の仕事場のほんの一部をお見せしましょう。培養室の一角、手前に写っているオリンパスの倒立顕微鏡、その向こう側にオリンパスの実体顕微鏡、そしていちばん奥は教授の実験スペースです。

 私のボスは、端から見たらおじいちゃんですが、今でもご自分で細胞を管理し、ご自分で免疫染色をやり、ご自分で写真を撮って学会に発表しています。研究室運営もそこそこにこなしていて、我々研究員の研究活動に支障を来さないように尽力してくださっていますが、それでも自分で実験をするそのバイタリティは尊敬に値します。

 ただ、独り言が多いのですよ。「え〜っと〜」と突然叫んだかと思うと、「あ、そうかー」と自分で納得されています。そうかと思うと、「よしっ、よぉ〜し」と声を上げたりします。どうやら実験がうまくいったようです。

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1/24/2001 (Wed)

 今、ニュースでちらっと見たのですが、日本航空は5月10日から14日まで、国内航空運賃を5000円均一にするだそうですよ。信じられませんよね。那覇-千歳間、通常5万円強のところも5000円になってしまうのです。これは9割引どころではありません。この5000円均一運賃を適用した航空券の発売は3月10日からです。早い者勝ちです。

 ところで交通費っていうのはなかなかかかるものです。私が京都に行くとすると、新幹線で名古屋-京都間、片道4930円(自由席)かかります。所用時間は40〜60分です。自由席回数券6枚つづりを買うと27060円で、1枚あたり4510円になります。一方在来線を乗り継いでいくと、2520円の乗車券だけでいいわけですが、所要時間が2時間10分ぐらいになります。また、名古屋-京都間をハイウェイバスを利用すると、ノンストップ便で2時間20分、運賃が2500円です。バスは在来線と同程度の所要時間と運賃ですが、バスは交通渋滞などに到着時間が左右されますが、乗り換えがありません。一方、電車は時間に正確ですが、名古屋から京都まで、大垣、米原で乗り換えなければいけませんし、すべて座っていけるわけでもありません。

 ふむ。いろいろと選択肢があるわけですな。時間をとるか、料金で選ぶか、その時の体調と財布の中身に応じて決めるのがいいようですね。

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200店記念タンブラー スターバックス200号店開店記念タンブラーです。オレンジ色をベースにして、コーヒーカップからポップな湯気が立ち上がる図柄です。「200th STORE JAPAN」の文字も入っています。某サイトの掲示板によると、バレンタイン・タンブラーが予想外のデザインだったのでいまいち人気が出なかっただけに、こちらのアニバーサリー・タンブラーは発売前から期待が寄せられていたのです。

 これを買うために、私は懲りずに5時半に起き、まだ薄暗い中を寒い思いをしながらバスを待ったのでした。思い出しました。ちょうど1週間前、やはり同じ時間のバスに乗り、バレンタインプロモーションの初日に行ったのでした。

 ちなみに200号店は「立川伊勢丹店」だそうです。うーん、当分行く機会はないだろうなぁ。

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1/25/2001 (Thu)

 名古屋地方は昼前から雨になりました。まとまった雨でしたからすっかり濡れてしまいました。私が通勤に使う経路には大きな池が2つありますが、帰る頃になると増水しているのが見てわかりました。今日ほどの雨であの増水ですから、梅雨や台風の時期が心配になります。きっと仕事に行けなくなるでしょう。

 名古屋に引っ越してきて、今日で丸1カ月になりました。いろいろなことがありまして、あっという間に過ぎてしまったという感じです。ちょっと初めてのところに出かけるとたちまち方向を見失い迷ってしまいがちですが、それでも名古屋での新生活にもようやく落ち着きが出てきました。仕事場の雰囲気にもようやく慣れ、細胞も順調に増えています。これから実験が本格的になってきます。ポツポツとアイデアも浮かんできています。

 そして明日は初月給のハズです。ま、20日しめきりなので金額は大したことありません。これからいつまで名古屋にいることになるのかわかりませんが、ここで一旗揚げるための報酬です。

Picture of the day

作業中 iMacの画面には編集中のこのページが。机の上には今日コピーしてきた文献とベロナの注がれたスタバのマグカップ。ホームページの更新作業もしなければいけないが、ああ、文献も読みたいなぁ、そんな写真なのです。

 ちょっと最近、勉強意欲がわいてきています。早く実験がしたいけれど、実験するためには基礎的な知識が必要です。そのためには、雑誌に掲載された論文を読み、先人が何を考えて、何を明らかにしようとしてどのような実験を行い、その実験から何が明らかになったのか、それらを知る必要があります。さらに、それらを体系的に整理していくと、研究上、手薄なところが見えてきます。あまり研究されていない部分です。なぜ、そこが手薄なのか。実験系を作りにくいのか、重要視されていないのか、それとも気付いていないだけなのか。

 面白くなってきましたよ。Cellを狙うぞ。

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1/26/2001 (Fri)

 本日は久々にサッカーネタです。我が浦和レッズは29日より今シーズン、J1で戦い抜くための練習を開始します。公約通り1年でJ1復帰を果たした浦和レッズは、これまでの浦和にない布陣でJリーグに臨むことが予想されます。これまでにはない浦和・・・賛否両論、分かれると思うんです。

 言ってみれば大改造です。今までの浦和レッズとはまったく性格の異なるチームになりました。ブラジル人監督の就任と3人のブラジル人選手の獲得。これに尽きます。これまでの浦和レッズはドイツ・ブンデスリーガの選手を多く招聘していました。ある意味で、これは浦和の伝統だったと思うのです。オジェック監督率いる1995年体制は、DFにギド・ブッフバルト、MFにウーベ・バインを擁し、その年、主将・福田正博のJリーグ初日本人得点王を生んだのです。ブッフバルトが鉄壁の守りをすれば、バインが福田にラストパスを供給し、ペナルティエリアに持ち込んだ福田はファウルを誘うという図式ができあがっていました。Jリーグ内での最高順位は3位、ファースト・セカンドステージ通算で4位まで上りつめていたのです。

 今シーズンは、バスコ・ダ・ガマからチッタ監督を招聘し、フィジカル・コーチには日本代表コーチも務めたことのあるフラビオ、GKコーチには前ブラジル代表コーチのアカシオが就きました。クルゼイロからブラジル代表のMFドニゼッチ(32歳)、スポルチからMFアドリアーノ(26歳)、川崎フロンターレ(FC東京に期限付き移籍中)からFWツゥット選手(22歳)の3名の外国籍選手を獲得し、まさにブラジル化。浦和レッズのカウンター・サッカーが見られなくなるのでしょうか?あまりにブラジル人ばかりだと、鹿島アントラーズと見分けがつかなくなるのではないかと心配になってしまいます。

 ちょっとさびしいけど、井原キャプテンに期待してます。

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資源節約 「このタンブラーは資源(紙コップ)節約のために開発されました。」200号店記念タンブラーの側面に書かれています。これと同じ文章が名古屋、京都、大阪、神戸タンブラーにも書かれています(福岡は未確認。まもなく判明します)。

 森林の伐採というと熱帯雨林地方で行われていると思いがちですが、シベリアの針葉樹林帯でも行われているのです。伐採により生態系が乱され希少動物の絶滅につながり、森林の保水能力が低下して洪水を起こしたりするのですから、タンブラーユーザーの方はタンブラーを積極的に使いましょうよ。スターバックスに行くとタンブラーは売れているのに、使っている人をあまり見かけないのですよ。

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1/27/2001(Sat)

 首都圏では大雪警報が出たそうですね。名古屋は朝から雨模様で、昼頃には雷が鳴るほど激しく降りました。一時はどうやって家に帰ろうかと心配になってしまいましたが、夕方になって雨は止みました。明日は回復して天気になりそうです。

 私が住んでいる名古屋市緑区の東はずれに「水広公園」という水と緑と野鳥に恵まれた公園があります。野鳥の森、と呼んだ方がふさわしいかもしれません。元々の雑木林に公園を造成し、森の中に遊歩道が敷かれ、ところどころ木道が設けられています。大きな公園ではないですが、今の季節、人もほとんどいないので静かです。これから春に向かって森の営みが息を吹き返そうとしているようです。

 今日のような雨降りの時は、私は徒歩で研究所に通います。片道30分。都心部と違って交通が騒々しくないので、その30分を利用していろいろと考え事ができるのです。水広公園は通勤のショートカットルートになっています。水広公園を抜けると、工事中の公園造成地があり、さらに愛知用水に突き当たるのです。造成地は「立入禁止」の看板とフェンスによって入れないようになっていますが、地元の住民のイヌの散歩ルートにもなっており、いたるところに道ができています。造成地内の道路はすっかり舗装され、しっかりした東屋やベンチができているのに、工事を進行しているのかわかりません。

 ですから夜、ここを通ると真っ暗で薄気味悪かったりするのです。

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藤田の夕暮れ 夕方になると雨は止み、西の空から太陽が顔をのぞかせました。大学が高台にあり、研究室は5階にあるので、窓からの眺めがとてもきれいです。

 大学がある土地は「田楽ヶ窪」という住所になっています。名古屋市と豊明市の境の丘陵地ですが、大学が立地しているところはその中でポコッと低くなっています。梅雨から夏場、この窪地は霧で満たされるそうですから、研究室から眺めてみたいものです。

 ちなみに「田楽ヶ窪」。司馬遼太郎氏によると、桶狭間の合戦があった場所は、実際には「田楽狭間」と呼ばれる場所で、まさに大学が建っている辺りで合戦が繰り広げられたと考えられます。窪地に満たされた霧に紛れて、織田軍が今川陣に奇襲攻撃を仕掛けたのでしょうね。

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1/28/2001(Sun)

 今日、ニュースでこんなことを話していました。最近の小・中・高校生の理科離れを防ぐために、教科書のとらわれることなく、興味をそそる授業や課題のあり方を、現場の教師や教育の専門家、研究者らを交えて話し合われたというものです。ふむ、最近の子供たちの理科に対する興味が薄れているのでしょうか。

 私は医学・生物学領域のことしかわかりませんが、この領域で興味をそそるにはどうしたらいいのでしょうか?いわゆる理科の範疇に含まれる医学・生物学の領域は特に進歩が著しいですから、興味深いネタはたくさんあると思うのです。例えば、最近の犯罪捜査で使われるDNA判定の実験なんか、面白そうではないですか。まぁ、何を判定するかはいろいろと問題になるので、単にDNAを抽出するだけでも十分面白い実験になるはずです。世界的なゲノム・ポストゲノムプロジェクトもDNAの抽出から始めるのですから。ただ、1回の実験当たりのコストが高いという欠点があります。

 重要なことは、自然現象に対して疑問を持つことです。自然現象のひとつひとつに疑問を持つことが、科学を進歩させる原動力となっているのです。例えば、なぜ風が吹くのか。風は大気の流れそのものですから、これを説明するには地球の自転や万有引力のこと、場合によっては月の引力との干渉などに言及する必要があるでしょう。また、局地的な風や天候の変化にともなう風ならば、気温や地形の条件を考慮しなければいけません。理科とはこのような学問です。自然現象をわかりやすく翻訳する作業です。疑問が解決したら、それを利用して逆に自然現象を人為的に操作しようと人は考えます。そのいい例が病気の治療でしょう。

 でも、自然現象に対して疑問を持つこと自体難しいことです。なぜ風が吹くのか、どうして考えなきゃいけないの、というのが現代の子供たちの本音なのでしょうね。

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峠を越える 今日は初めてオフ会というものに参加してきました。とあるスターバックスファンサイトの掲示板に書き込んでいる、名古屋とその周辺に住む5名がそのメンツです。ちなみに写真はオフ会とは関係ありません。

 思わぬところで人のネットワークが生まれました。日頃、研究室の外には出ませんので、同業とはまったく異なる世界の人と知り合うことは皆無ですから、今日のようなオフ会は非常に新鮮でした。皆さん、スターバックスが大好きな人達ばかりで、終始スタバトークが繰り広げられました。こういう時に限って私はデジカメを忘れるんだな。

 オフ会の具体的な内容はまたの機会にいたしましょう。少なくとも、これからの名古屋ライフに潤いを与えてくれるものが増えました。ありがとう!

 ちなみにこの写真は通勤途中の峠道です。

 
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