熊 公 鍛 冶 工 房


熊公の工房における鍛冶作業の日誌
特別な事柄は印を付け『鍛冶作業記録』にも書き込みます

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2025年05月12日(月)
 工房着:午前10時00分  作業開始:午前10時20分−作業終了:午後3時15分
 工房の気温:15度

 今日は『伊賀流十字手裏剣』 3枚を仕上げます。鎚目付け作業からスタートです。鎚目付けを終えたところで『電気炉』のスイッチを入れました。手裏剣の仕上げ作業は1枚40分位でしょうか、3枚の成形を終え、ロットナンバー・銘を刻印する頃2時間経過で『電気炉』は1000度近くに成っていました。炉の扉を少し開放して、温度調整のダイヤルを少し下げ、成形し終えた手裏剣を入れて炉内温度が800度になるのを待ち、なったところで扉を閉めて10分くらい待ちました。これで焼き入れ温度になります。


作品2162〜2164 『伊賀流十字手裏剣』
 電気炉での加熱は全体が均一に赤まってくれるの
で部分焼入れしたい時はチョット不便ですが、手裏
剣の場合は刃先を2本ずつ交互に冷却して中央部
分の赤みが取れたところで全体を冷やします。

 『焼戻し』は30〜35秒間、炉の中で保持すること
で180度くらいになります。水の跳ね具合で温度を
確認しますが、扉を開いた状態になると最後の手裏
剣の加熱はちょっと時間が掛かるようになります。

 黒染めを終えたのは2時半過ぎでした。3枚の仕上
げ作業はやはり3時間位の作業です。

 これで『忍士団』依頼の『伊賀流十字手裏剣』20枚
は作り終えました。

 『忍士団』の依頼品はまだありますが、十字手裏剣や卍手裏剣などの制作に一つ区切りが付いたので発送することにしています。

 明日の作業は『柔兵衛親方』に早めに制作してほしいと頼まれている木の丸棒に装着する『十手鉤』を制作します。夏にスイスに行かれ、向こうの道場で稽古をするという事、その稽古に使用するという事です。
 『十手鉤』はしばらく作っていませんし、丸棒の太さが29mmなので、このサイズは初めて、一回で作り上げられると良いですが・・・。
2025年05月13日(火)
 工房着:午前10時05分  作業開始:午前10時25分−作業終了:午後3時30分
 工房の気温:22度

 今朝は工房行き掛けに『忍士団』宛てに手裏剣を発送して工房に行きました。気温が高くなりましたが割合爽やかな一日で、火床に火を入れて暑くなりましたが辛いことはありませんでした。

 今日は『柔兵衛親方』が2月の末に来られた時に依頼された物の中で、6月中には送って欲しいと言われた『棒取り付け用十手鉤』の制作をします。親方の使われる棒は太さが30mmも有るので、それように穴を開ける際におそらくは幅(奥行き)がなくなるだろうと考えました。ダメ元でまずは『忍士団』に送った物を作るのと同じ素材で制作することにしました。

 『伊賀流十字手裏剣』を制作する素材の端材を使いましたから、今回も同様に作業してみました。

 
  素材 12mm×32mm×60mm                   鉤の基本の形に鍛造する   

 素材を鉤の基本の形に鍛造して行きます。穴を開ける部分にできるだけ鉄が集まるように鍛造します。自分の考えて居る形に打ち上げることが出来るのは楽しくて仕方ありません。鍛冶の醍醐味ですね。

 
       穴を開ける                      開けた穴を広げていくまずは25mm

 基本の形になったところで棒を通す部分を作って行きます。まずは穴開けです。今日も気持ち良く穴を開けることが出来ました。ここから穴を少しずつ広げていきますがこの作業で穴の奥行き部分がどんどん減ってしまいます。やはりもっと厚みを持たせて穴を開けなければならないです。
 穴はこの段階では内径25mm程にします。此処で鉤の成形に取り掛かります。

 
鉤の成形を終え棒取り付け部分の内径を30mmにする              次回素材として使う鋼材       

 鉤の成形をして棒取り付け部分の内径を30mmにしますが、ここで一気に奥行き(厚み)が無くなりました。なんとか形にはなりましたが納得いくものではありません・・・。

 表面を磨き、棒に取り付けるための釘の穴を開け、銘を刻印して黒染めしましたがやはりもっと厚みを持った素材を使うべきでした。そこで次回は24mm角か24mm×38mmの鋼材を使うことにして準備しました。おそらくは後者の鋼材を使うことになると思います。厚みを35mm位にしておき、穴を広げていけば、棒取り付け部の厚み(奥行き)は20mm以上になるものと思います。

 一番簡単なのは厚さ3mm程のフラットバーを内径30mmの輪にして、そこに鉤を溶接すれば綺麗に出来ると思います。それでも良いのでしょうがどうしても鍛造にこだわってしまいます・・・。

 
作品2165 『棒取り付け用十手鉤』

 実際に棒に装着してみると使えることは分かりました。そこで、次回もう一度制作して納得行く方を送ることにします。
 『忍士団』に依頼された時のものは棒は杖術用の棒を切ったもので内径25mmくらいでした。親方の棒はちょっと太い感じです。

 明日は歯科に行きクリーニングを受けてきます。その為作業はお休みです。
2025年05月15日(木)
 工房着:午前10時15分  作業開始:午前10時35分−作業終了:午後4時15分
 工房の気温:22度

 今日は『ごっとう日』でした・・・。いつもは渋滞なんか起きないところで渋滞したりして、到着が遅くなりました。

 今日も『棒取り付け十手鉤』の制作です。素材を24mm×38mm×40mmの鋼材を素材にします。やはりこちらの方が作業は楽でした。

 
24mm×38mm×40mmの鋼材             基本の形に打ち出し穴を開けた状態

 やはり基本の形にするのはこちらの鋼材の方が簡単、そして厚さを30mm位にする事が出来ました。穴開けが少し大変でしたが、今回も綺麗に開けることが出来ました。
 穴を開けたところで内径30mmまで広げていきます。今回は写真の赤線部分を少し多めにとって穴を広げていく際に引きずり込まれるのをできるだけ防ぐようにしました。しかし、打ち上げた段階で黄色線の部分がけっこう厚くなるので削るのに少々手間が掛かりました。

 
作品2166 『棒取り付け十手鉤』                    柄を装着した状態    

 やはり昨日制作したものよりも幅が出て良い感じです。これを親方に送ることにします。明日の作業ですが、鍛造ではなくこの鉤を作ってみようと思っています。

 フラットバーを内径30mmの鐶にして、そこへ鉤の形に切り出したものを溶接して仕上げる様に作ってみようと思って居ます。おそらくはこちらの方が綺麗にそして簡単に制作できるものと思っています。
 今日は作業の後、鋼材を物色しました。『SK−5』のフラットバーがあったので、ちょっと厚めですがこれを少し叩いて厚さ・幅を良い感じにして鐶を作り、溶接して作ろうと考えて居ます。

 作業終了後、ノラボウ菜を収獲、そろそろお終いのようです。長ネギは今のところ植え付けたもの全部根付いてくれた感じです。このまま全て大きく育ってくれると良いですが・・・。冬場が楽しみです。
2025年05月16日(金)
 工房着:午前10時00分  作業開始:午前10時20分−作業終了:午後4時15分
 工房の気温:23度

 今日は『沖縄地方』よりも早く『九州南部』が梅雨入りしました。『沖縄地方』よりも先に『九州南部』が梅雨入りするのは記録を取り始めて以来初めてという事です・・・。『九州南部』の梅雨入りは去年より2週間位早いという事です。やはり気候が変になっているんでしょうか・・・。いよいよ大嫌いな梅雨が近づいてきました・・・。関東地方はいつ頃梅雨入りするでしょうか・・・。

 さて、今日は『SK−5』のフラットバーを使って『棒取り付け用十手鉤』の部品を作り、溶接して仕上げてみる作業です。直ぐに材料を切り出して、棒を取り付ける部分の鐶を作る作業です。

 棒の太さは30mmとして、鐶部分の素材は長さ95mm出切り出しました。しかし、実際に作業してみると鋼材の太さ分プラスした方が良い感じでした。太くなりすぎたら余分な部分を削ればいいわけです。今日はピッタリ過ぎて実際に仕上げてみると合わせ目部分に隙間が出来てしまいました。

 
      切り出した素材                   作品No.2167 『棒取り付け用十手鉤』

 
棒に装着した状態                      2166(左)との比較

 作業は鍛造で作るよりもはるかに簡単でした。ただ、今日は半自動溶接機の溶接ワイヤーがなくなってしまい、ステンレス用のワイヤーで溶接したもののやはりステンレスはステンレス用で最後の最後力を掛けてみたらボロっと鉤が取れちゃいました。仕方ありませんから200Vの溶接機を使って溶接しました。半自動溶接機で溶接の練習をしてきたからでしょうかまずまずの溶接が出来ました。

 溶接のし直しと化したので帰路に着いたのは昨日と同じでしたが、溶接ワイヤーがなくならなければ1時には仕上がっていたと思います。鍛造にこだわらなければ部品を溶接するのも良いです。最近は溶接が面白くなってきました。

 棒を取り付ける部分に幅(厚み)を持たせたのでちょっと変化があって格好良くなりました。今日作ったものは試作品として手元に置き、親方には昨日鍛造したものを送るつもりで居ます。

 来週からはまた『忍士団』の依頼品を作って行きます。まずは『鉢金』2種造ろうと思って居ます。ただ、月曜日は通院のため工房はお休みです。

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