鍛冶作業記録
火床の改修 〜羽口部分〜
2004年8月1日
送風機を新しくしましたので、その送風機の送風管のサイズに羽口のサイズを合わせるため火床の改修をしました。
今まで使っていた送風機は
「昭和電機」
の
『SF−38』
というものでした。三条の鍛冶屋さんが使われていた物を譲り受けて使用してきましたが、5月の作業でついに壊れてしまい、新しく同会社の
『SF−50』
というものにしました。SF−38が古いものだったためか、鍛接時の高温(1050度位)を出すのにムラが見られ、以前使っていたブロアーを使わないと鍛接温度まで上げきれなかったので、送風量がおよそ2倍のSF−50にすることにしました。当然送風管が太くなりました。仕様書では出来るだけ送風管の太さを縮小・拡大することなく送風した方が効率がよいということで、羽口を改修することにしました。
送風機はブロアーのような風圧は有りませんから、できるだけ管の径を同じにして羽口に送る必要があるようです。
この改修に伴い、気室を1つにすることにして、今まで2つにしていた羽口の1つを埋めることにしました。
昭和電機の『SF−50』 左の羽口を耐火モルタルで埋めました
送風機の騒音は殆ど無し、今までは
「ガ〜〜〜ッ
!!
」
と鳴っていましたから、おそらくどこかに引っかかるものがあったのでしょう。その為に送風にムラが出ていたのかも知れませんし、ついに壊れてしまったのでしょう。今回改修して、送風してみるとおそらく充分に鍛接温度に持っていけるであろう送風量を感じました。今回は火床の改修だけでしたから早く鍛冶作業がしたいものです。
羽口の改修と同時に、焼き入れ時の切っ先のオーバーヒートを防ぐための工夫もしてみました。
羽口の管の太さの違い 切っ先のオーバーヒート防止対策
上の右側の写真の様に、奥の壁部分に奥行き15mmの彫り込みを入れました。焼き入れ時に、この部分に切っ先を入れることでオーバーヒートを防ぐ工夫です。また、奥側に2枚の鉄板を敷き、下の鉄板をスライドすることで火玉の大きさの調整が出来るようにしました。
それから、前回(5月)の作業記録で
ロストルが蒲鉾型
になっているのは何故か?と思いつつ作業したことを書きましたら、鍛冶作業掲示板に良く投稿してくださっている『しかさん』から、
「ロストルの置き方、天地
逆ではないか?」
というご指摘を受けました。そこでロストルを購入したお店に確認したところ、しかさんのご指摘通りでしので、今回はフラット面を上にするようにしました。
考えてみれば、こちらの方が自然ですよね
!!
無知と言うことはこんな簡単なことも分からないわけです。どうかみなさん、今後もこの作業記録の中で変なところがありましたら、どんどんご指摘ください。期待しています。
羽口部分の細工 送風管の太さの違い
羽口部分はダイレクトに火床内に出すと、ロストルの下側になる蒲鉾型の部分に風が当たってしまい、羽口側の隙間からの送風が大きくなってしまうことが分かりましたので、上の写真左側のようにロストルの下側に送風できるように羽口をやや下向きにしました。こうすると羽口の反対側の壁面に風が当たり、そちら側の送風量が若干多くなる感じですが、おそらくこの送風のムラは作業の時の素材の挿入の仕方でクリアーできるものと思います。
今回須賀川に行ったのは6月29日に亡くなった伯母の法要のためで、鍛冶作業はしませんでしたから、早く改修した火床を使って作業がしたいものです。8月の新盆あけに鍛冶作業をさせていただくことにしています。
いつもニコニコして僕の鍛冶作業を見ていてくださった伯母さんが居ない須賀川はなんだか淋しくもありますが、伯父さんを元気付けるためにも、作業をしに行こうと思っています。
(2004.08.01.)
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