鍛冶作業記録

自己流鍛冶作業 最終回  2003年8月16日〜19日

 2000年9月から始めた鍛冶作業、今まで横山 祐弘氏の「鍛冶屋の教え」を唯一の教本に、鍛冶屋さんのビデオを参考にしてここまでやってきましたが、この夏の作業の後、秋田 五城目の 『布川刃物製作所』 に2泊3日で指導していただく機会を持つことで、自己流鍛冶作業は今回で終了です。

 今回は、小柄を制作したいというのが目標です。机の上に置いておき、サッと使えるものを作ろう!!というのが今回のテーマです。出来ればダマスカス風のものを作ってみようかと思いましたが、これは出来ませんでした。体力が足りなかった・・・!!ベルトハンマーが欲しいな〜〜〜!!
 16日から19日までの間ずっと雨、フライシートを6畳の広さに拡充して正解でした。火床の側にいても汗だらだらということもなく作業が出来ました。
 オークションで手に入れた木の桶、水打ちをしたり、焼き入れをしたり、研ぎを掛けたりする時に役立ちました。桶の底(裏)に、明治参拾年制作と墨書きされていました。100年以上の年月を過ぎた桶が、また現役に復帰してくれました。

 結果から言うと、小柄は片刃のもの4本、両刃のもの2本、そして、小ナイフ1本を作りましたが、片刃の小柄(ミニュチア物)は2本焼き入れを失敗、刃割れを起こしてお釈迦です。両刃の小柄細身の物は、鍛接は出来ているものの、ノロが出足らなかったか、変な模様と言うか、くぼみが出来て、製品にはなりそうにありません。基本的には地金の量が不足しているのだと思います。
 もう一つ、コークスを幸光さんに頂いたので、これを用いること、また、同じく幸光さんに送風機を頂戴したので、これを使ってみることがテーマです。

 
  幸光さんに頂いた送風機                 コークスの燃焼状況(送風最大)

  
松炭の燃焼状況(送風最大)                    コークス炉の構造

 送風機は、加熱時に左手があくので大変便利です。音もそれほどひどくなく、良い使い勝手でした。
 コークスはと言うと、自作火床では使用できないことを知りました。熊公の火床は昔の鍛冶屋さんの火床のように横側から送風します。これは長方形七輪火床を使っていたことから生まれた形でした。羽口が下にあると目詰まりして送風が上手くいかないときがある事から、この形にしました。それは今までの記録をお読み頂ければお分かりと思います。
 コークスを使う場合は真下から面的に送風してやる必要があるようです。幸光さんが三条鍛冶道場に行かれ、その鍛冶屋さんに火床を作ってもらった物を見せていただきました。それは、真下から吹き上げる形式で、羽口はダイレクトに送風するのではなく、1つの部屋があって、そこから吹き上げられるようになっていました。なるほどそうしておけば燃えかすが羽口を塞ぐこともないわけで、この形式の火床で有れば、松炭でも対応できるわけです。自分の火床の改修を現在考えています。

 コークスは炭切りをしなくてすむ、価格が安い、高温が出るという利点が有ります。臭いがあるのはちょっと困りますが・・・。焼き入れ時はソフトに松炭、鍛接・鍛造時はコークスが理想的なのかもしれません。上の写真でもお分かりかと思いますが、熊公の火床ではコークスに充分な送風が出来ていないのです。松炭については良い感じに火が回ります。今までコークスのことなんか考えないで、木炭による鍛冶作業を考えていましたからね・・・・・。この改修は火床面をかさ上げして、穴あき鉄板をおけるようにすればよいわけで、割合簡単かと思っています。
 松炭切りは、1日分の炭を切るのに1時間以上掛かり、全身炭の粉をかぶりますから、それは大変です。それを少なくするためにも、コークス導入を真剣に考えているところです。

 鍛冶作業の方ですが、かなり慣れて、一度に2本分の量の鍛接をして、それを切断し、1度に2本の鍛造を行う形を取りました。忙しいですが能率良く作業が出来ました。これは今回の収穫です。でも、作業の手順や方法は、須賀川から直接行った秋田 G町での修行から考えて、余りにも自己流過ぎて、甘かったと思います。
 でも、灰での焼き鈍しの結果、鋼に蒲鉾型の穴を開け加工することが出来ましたし、センで裏すきをする事も出来ました。まだまだ未熟ですが、毎回進歩していることだけは確かです。

 と、言うことで、今回が自己流鍛冶作業 『最終回』、次回からは秋田 G町で習った方法をしっかり守って制作していきます。
 次回、秋田 G町での修行の記録をアップしますが、2泊3日の中で全工程を集中的に教わりましたから、整理にしばらく時間が掛かりそうです。必死でしたので写真を撮る余裕もありませんでした。次回は文字だらけの記録になりそうです。
(2003.08.23.)





トップへ
戻る
前へ
次へ

鍛冶屋の部屋入り口

酔鍛磨庵日誌

熊公の独り言  熊公アニメの部屋  好きな所入り口

高山植物のページ 菊谷さんのMIDIの部屋 リンクのページ  お便りのページ