いつもは寒さのためお休みの時期ですが、火床を新しく作りましたから作業する事にして、須賀川まで行って来ました。朝の冷え込みはさすがに東北地方(最も南ですが・・・)マイナス1.5度でした。研ぎを入れるときの水の冷たさ、薄氷を割っての作業になりました。しかし、新火床での作業の気持ちが勝りました。
今回は、岡安鋼材さんから鍛接材も購入しましたし、幸光さんから頂いた温度表と和鍛冶の鎚もありますし、伯父が松炭を60kg位用意していてくれましたから、ワクワクものです。
須賀川のアウトドア工房 右が岡安鋼材で購入した鍛接材 左は硼砂
鍛接材はまるで「ごま塩」のようです。過去に鉄粉を硼砂に混ぜたときにはこんなにまで「ごま塩」状態にはしませんでした。
今回は2本制作、素材はいつもと同じ、厚さ7mm(鋼3mm+地金4mm)・幅3cmの素材です。
長さ8cmの素材から、全長23cmのペティナイフ(刃長:14cm)と、21cmの素材から全長33cmの柳刃包丁(刃長:24cm)を作りました。
新火床は期待通りの機能を発揮してくれました。刃渡り25cm位の物は充分に出きるとを確認しました。今回作った柳刃包丁は中子側にした部分に鋼の割れが出てしまったので、これが出なければあと5cmは長くなると思います。しかし、実際上はそんなに長くする必要もないし、30cmほどの物が仕上がることが確認できただけで満足です。
作業は22・23日の2日間行いました。火床は耐火モルタル部分にヒビが入ったり、羽口部分のモルタルが剥がれる状況が見られた程度で、充分に使用に耐える物でした。これで七輪火床ともお別れです。七輪火床にお礼を言いたい気持ちです。沢山の経験とヒントをくれました。
松炭を使った作業 2日間使った後の火床の様子
松炭はどんどん消費しますが確かに使い易い物でした。舞い上がる火の粉も小さく、使い易い炭です。新火床には羽口が2つ設置されていますが、長い物を作らない場合は、奥の送風管を外すことで、手前だけで作業できる優れものでした。
今後の改善点は、もう少し管を下向きにすること(現在は約5度)がベストのようです。そうだな、10度くらいでしょうか。また、手前の凹部分の中央部を1〜2cm位高くした方が炭がこぼれなくなるような気がします。次回は手前に幅2cm位、高さ2cm位の立ち上がりを設置しようと思っています。スロープ状態の方がいいかな?
柳刃包丁のように刃渡りが24cmにもなると、現在使っているハンドグラインダーでは平面を作るのに大変苦労します。大型の回転砥石か、ベルトサンダーが必要になります。今回はお世話になっている工場でベルトサンダーを使わせていただき、ハンドグラインダーでの荒削り面の成形をしましたが、ハンドグラインダーで付けてしまった傷を修正するのに大変苦労しました。
サンダーで修正をした状態の柳刃包丁
鍛接材は大変使い易く、さすがです。これからは硼砂100%はやめてこれを用います。鍛接もスムーズで、確実にくっついてくれました。
鍛接材の入手は、 岡安鋼材株式会社に連絡して宅配便で送っていただきました。各種鋼やナイフの部品類など取り扱われている会社です。メールで打信したところ大変丁寧に教えていただきました。幸光さんのご自宅の近く(上野)にある会社で、幸光さんから教えていただきました。岡安鋼材のURLは http://www.ok-yess.com/index.htmです。メールで相談されると良いと思います。
幸光さんからプレゼントされた鎚はしばらく使わないとバランスに慣れそうにありません。でも、さすがに鍛冶屋さんの道具!!という感じで、慣れたらバッチリ良い物ができそうです。温度表の存在は自信を持って鍛接・成形・焼き入れが出来ました。それに、ビデオ学習が更に役立ちました。特に焼き戻しの様子は見ていて良かったです。
これで2002年の鍛冶作業はお終い。来年はいつから作業が始められるかな? 菜切り包丁や出刃包丁、剣鉈など作りたい物は沢山あります。来年、暖かくなるまで、素材を調達したり、道具を調達して、ゆっくりと夢をふくらまそうと思っています。
このページを読んでいただいた方達の中に、同好の士で、コンタクト取れる方が現れると嬉しいです。
さて、鍛冶作業記録はしばらくお休みに入ります。
(2002.12.25.)
|