東京地方裁判所 その5

懲戒解雇事由の不存在

タイム記事

  1. コニカは、Tがタイム誌の取材に応じ、同誌の記事が掲載されたことをもって、これを懲戒解雇事由の1つにしている。
  2. しかし、Tが取材を受けることは、何ら就業規則違反にあたるものではない。Tは、会社を代表するかのような立場で取材に応じたものではもちろんなく、コニカと労働問題で争っている対立当事者の立場で取材に応じたのである。このような取材に応ずる行為は、そもそも、就業規則の適用範囲外の問題である。
  3. また、タイムの本件記事は、Tがこの内容に影響を与えたりしうるものではなく、独自の編集方針に基づき、掲載されていることはいうまでもない。
  4. それ故、、同記事の内容について、Tは、論評すべき立場にないが、事実として、違法残業が常態化していたことは、同記事の2年近く以前の新聞記事(甲13の3裏面)においても、指摘されている事実である。タイムの本件記事も、大筋おいて違法残業の実態を伝えているのであり、事実を歪曲したような点は全くない。仮に、同記事によって、コニカが信用を失墜されたものである、とするなら、それは、コニカの違法行為に起因するものであり、それを報道した記事に責任があるものでは全くない。
  5. したがって、Tの上記行為は、自らが宣伝流布させたものでないことはもちろん、真実をゆがめたような事実もないから、就業規則第95条10号等「経営に関し、社外に対し、真実をゆがめ会社に有害な流布宣伝を行ったとき」「社則(会社の機密に関わらない事項であっても、会社の業務に関して知った事項について、無断で公演・放送または執筆しないこと)に違反したとき」に該当しないことは、いうまでもない。

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