東京高等裁判所 その11

陳  述  書 その2

懲戒事由の事実について

プリント作業

  1. 「A係長は金曜日に私に業務指示書を交付した」(判決文)事実はありません。私は、机の上に置かれてあった業務連絡を休み明けの月曜日の朝一番に、初めて見たのです。
  2. 「選定会議でシーンが決まると、次に、完全な色、濃度の現物見本が作成される」(判決文)という話ではありませんでした。A係長と私とのやり取りによれば、本件作業のプリントをそのまま見本とし、外注に出すためというA係長の弁でした。また、「フィルムの特性を生かすため」(判決文)でもなく、上記外注が理由でした。
  3. 「フィルムは約150のシーン」(判決文)もありませんでした。シーンはおよそ7〜8で、正常露光のコマ数が約100でした。シーンと正常露光のコマ数を取り違えています
  4. 「ほとんどが色や濃度が異常」(判決文)と判示していますが、コニカの2つの主張(1.「プリントのレベル出し」は出ていた。2.私が色を変化させずプリントした結果ほとんど色が異常だった。)は、両立しません。
  5. 「プリントレベルは適正に出ていた」(判決文)と判示していますが、そうであれば、上述の通り、ほとんど色が異常ということはあり得ない(両立しない主張)のであり、事実は、「プリントレベル」は出ていませんでした。なお、この事実認定に採用された(乙36)の陳述者N課長は、たった1回の団交で、「業務当日プリントレベルが出ていたかどうかは知らない。」と述べています
  6. 「各部門の取り組みにより作業の遅れを取り戻した」(判決文)と判示していますが、誰かが私の命ぜられた本件作業を一緒に手伝ったり、替わりに作業したという事実はありません
  7. 「プリンターの操作方法について指示や協力を求めたことはなかった」(判決文)と判示していますが、私が、本件作業について、他の従業員にどういう協力を求めたかについては、(甲15)で詳細に陳述しています。なお、私は、従来より「7N3」の操作方法が解らなかったとはいっていません。「7N3」は時間が掛かるという事実を指摘していたのです。
  8. 「「CRTモニター付きミニラボ」の使用に習熟しているものが「7N3」を使用することは、さほど困難ではない」(判決文)と判示していますが、私は、従来より、ミニラボに習熟していたとはいっていません。ミニラボに比べ「7N3」には不慣れで、かつ、「7N3」の作業は時間が掛かる事実を指摘していたのです。A係長も、ミニラボは簡易的に出来るものだと供述しています(A係長調書)
  9. 「(プリントレベル出しは)データの入ったカセットテープを・・・読み込ませ、露光したプリントと基準プリントを濃度計で測定し・・・作業時間はごく短時間」(判決文)と判示し、何を露光するのか曖昧に判断しています
  10. コニカ主張の「プリントレベル出し」(乙38)では、PCS135−02.を露光していますが、A係長は、PCS(135−02.)の「レベル出し」が終了すれば(乙39)と陳述し、更に、「レベル出し」と「プリントレベル出し」は違うものであると供述している(A係長調書)のですから、PCS135−02.を露光して調整することを説明した(乙38)は、「プリントレベル出し」ではなく「レベル出し」です。
  11. 「プリントレベル出し」の方法は、(甲14)記載の通りであり、フィルム種毎に作成されたP−PCSを露光し調整するものです。
  12. A係長は、「P−PCSは・・・人物の肌色を目視判断できるよう・・・考案されて」(乙39)と陳述しつつ、「P−PCSを焼いてみて、その基準のプリントがありますので、濃度計で真ん中のグレーのところを測って合わせていく」「肌色を出したりというんじゃなくて、プリントのレベル、それを設定するときだけです、ですから肌色を合わすとかじゃなくて、(プリント)レベルを出すためにやること」と供述し(A係長調書)、P−PCSが「プリントレベル出し」のツールであることを明確に認めています
  13. したがって、「レベル出し」とは、PCS135−02.を使用して、露光したプリントが色ズレしないように、(甲14別紙4)のマスターチャンネルの数字を調整することであり、「プリントレベル出し」とは、フィルム種毎に存在するP−PCSを使用して、露光したプリントが色ズレしないように、(甲14別紙4)のフィルムチャンネルの数字を調整することであり、非常に時間が掛かります。
  14. 「CSセンターの営業技術部の商品評価グループ」(判決文)と判示していますが、コニカの組織図は、一度もそのような関係になったことはありません。本件業務当時の組織関係は、営業本部(後のCI事業本部)の中に、営業技術部(後のCSセンター)と商品評価研究室が併設されていたのです。
  15. 「(7N3は)最低限度必要な程度でレベル出しが出された状態で維持管理しており」(判決文)と判示していますが、本件作業の約半年前の業務記録(別紙)では、私は、従来より「7N3」の作業には非常に時間が掛かっていました。いつでも使える状態で維持管理されていないから、このように「7N3」の作業に時間が掛かっていたのです。
  16. 「本件作業の前に「7N3」・・・は、特に異常はなかった。・・・やり直しの作業をした際も、特に異常はなく「7N3」のプリントレベルは適切に出ていた」(判決文)と判示していますが、上述の通り、「プリントレベル」が出ていれば、ほとんど色が異常ということはあり得なく(両立しない主張)、事実は、「プリントレベル」は出ていなかったのです。
  17. 私は、他職場の社員から借りたカセットテープを読み込ませ、PCS135−02.で「レベル出し」を確認し、フィルムチャンネルを選んでプリントしています。しかし、色のズレたプリントがあったということは、借りたカセットテープのデータでは「プリントレベル」は出ていなかったのです。A係長も、「「プリントレベル出し」が出ていなければ色はズレる」と供述しています(A係長調書)
  18. 「過去に支障無く「レベル出し」作業をしたことがある」(判決文)と判示していますが、私は、(別紙)業務記録の通り、過去に、「レベル出し」と「プリントレベル出し」という「条件出し」に非常に時間が掛かっていました
  19. 「(私が)いつどのように連絡したかについての供述が明確でない」(判決文)と判示していますが、作業の最中に電話で、と私は供述しています。
  20. 「A係長が外部と頻繁に連絡を取る時間的余裕はなかった」(乙37)(判決文)と判示していますが、私が連絡を取ったというのは5回くらいで、(乙37)では、4回以上連絡取れる日が3日あり、4×3>5ですから、私の主張通りの回数については十分連絡が取れる時間はあります。
  21. 「重大な業務」(判決文)と判示していますが、色濃度以前に、写真としては使い物にならない、+5段や−4段のネガ等のプリント作成を、本件業務でも、後のやり直しの業務でも、A係長は、この写真として使い物にならないサンプルの作成を命じています。
  22. 既に第一審で指摘しました通り、私が過去に行った業務(1種類のフィルムを10駒プリントするのに約1日を要した)と本件業務(約15種類のフィルムで+5段や−4段などを含む極端なスロープネガ(同一シーンを何段階も露光変化させたネガ)ばかり約500駒プリントすることを約2日で行うこと)とは、明らかに作業量が大幅に異なります
  23. コニカは、本件業務で、私が故意に異常プリントを発生させたと主張しつつ、その後も別の仕事で、私にプリント作業をさせる行為があったとH人事課長は供述していますが、その業務遂行能力は何ら問題としていません。
  24. また、懲罰委員会運営基準(乙11)第7条によると、「事実確認を第一に考え、確認が明確でない事件は懲戒の対象とはしない」とありますが、原判決は、「推認」(判決文)と判示しています。

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