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上海留学記
〜回想篇U〜
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執筆者
;荒川愛花
;2002年9月〜2003年9月
;上海大学留学
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上海で出会った「日本」 T
日本人編;謎の神奈川県民 〜語り手:神奈川県出身のMちゃん(20)〜
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「おしん(阿信)はその後どうなったのか」とか、「高倉健は元気か」とか、その辺りの質問ならまだ予想もできます。「ビンジーブー(浜崎あゆみ。“ぶー”って…)」て音にもすっかり慣れました。しかし、まだまだ甘かった☆
ある日、私が大学内で知り合った中国人学生(男の子)と雑談していた時のこと。私の出身地が神奈川県であると聞いた途端、その大学生の瞳が輝きだしたのです。
「何っ、神奈川県出身だと!?ならばYing(1)mu(4) Hua(1)dao(4)を知っているな?!」
…Yingmu Huadao?? 神奈川??? …な、何事????
頭の中で漢字が走馬灯のように浮かんでは消えるが、まるで空回り。思い当たる単語はこれっぽっちも出てこない。そんな大きな瞳で見つめられたら、判るものも判らなくなるっつーの。要領を得ない私の態度に業を煮やしたのか、彼が呆れたように呟いた。
「神奈川県人のくせにYingmu Huadaoを知らないとは、なんてやつだ」
ならあんたは出身省の有名人を全員知っているのか?そのやけにきれいな二重眼が無性にむかついた。無言でシャーペンを突きつける私。「しょうがねえなぁ、この物を知らない小娘が」とでも言わんばかりの表情で、彼が紙にシャーペンを走らせる。そして
「桜木 花道」
…いくら私でもさすがにキレるよ。達筆なのが更に気に食わない。
「湘北高校」なんて判るかーーーーーーー!!!
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上海で出会った「日本」 U
日本人編;Yeah! めっちゃホリデー事件 〜語り手:荒川愛花〜
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「言葉」の意味は基本的にその「言葉」が属している言語環境に依存します。かのヴィトゲンシュタイン大先生もそうお考えでした(知らない方は無視して下さい)。しかもそれが母語とくれば、文脈に於ける意味の理解を左脳的に処理したりする訳がない。何も考えずにしゃべるのが母語ってものでしょ(…私だけ??)
という事を強く実感したのがこの事件。
時は2002年秋。中国では日本よりやや遅れて、松浦あやさんの「Yeah! めっちゃホリデー」が大流行しておりました。私が友達と音楽番組を見ていた時も、上位にランクインしたとかでそのビデオクリップが流されました。
露出度と布地の使用量が全く比例していない例の衣装で10代とも20代とも見えるあややがタンバリン叩き出しそうな勢いで踊っています。確かに可愛い。仕方ない。そんなことを思うともなく考えていた私の身に、予想だにしなかった不幸が襲いかかったのはその瞬間でした。
「歌詞の意味、中国語に訳してよ」
…歌詞の意味?? は?
思わずハニワ顔になる私。TVには愛くるしいアヒル口のあややのどアップ。このギャップは一体…いや、違った。
だって皆様、考えてもみてくださいよ。
「Yeah! ズバッと!!
サマータイム♪」
HSKで8級取るよりずっと難しいと思いませんか?「あんまり深い意味はないよ〜。あははは(乾いた笑い)」としか言えない自分が情けない。脇の下には冷たい汗。怨むぜ、つ○く。
妥当な訳を思い付かれた方は是非、ご一報を!
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切り取られた日本語 T
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上海では「日本語ブーム」が加熱しているらしく、街のあちこちで日本語を見かけます。
一番多いのは「〜の〜」。「の」を入れりゃ日本語になるようです。
「優の良品」(お菓子) 「鮮の毎日」(ジュース)
また、こんなものも… 「絶妙である」(クッキー) …確かに絶妙なお味でしたけれども。文法的には何ら間違っていないのもポイントですね☆
海賊版DVDの誤字はかなり笑えます。「監督さしすせそ」、「…高い評価をなにぬねのはひふ」、「へどるポンポコリン」 …
洋服のプリントでも日本語は大活躍です。「クレヨンしんちゃんの顔面どアップ」とか、「きていちゃん(キティちゃんもどき)」の時代は既に過ぎ去りました。今ホットなのは「ビキニライン」や「謝るよ(←かなり達筆。しかも毛筆字体)」のようです。
首から提げる形の携帯ストラップにも日本語が印刷されておりました。曰く、「とがありますのでとがありますのでとがありますので…(以下略)」
ま、横文字使えば格好いいと思ってる日本も五十歩百歩ですな。
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切り取られた日本語 U
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日本好きな外国人は時として日本人より日本に詳しい。はっきり言って迷惑である。
隣のクラスのトルコ人は自称・漢字博士。漢字の美しさに魅せられたという彼は「薔薇」とか「醤油」とかいう漢字をすらすら黒板に書きやがる。そしてニヤリと笑い、我々に向かってこう言うのだ。
「君達、日本人だよね!」
…「憂鬱」って漢字が辞書なく書けるお前の明日はどっちだーーーー!!!
(ネタ古くてすみません)
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