大脱走
DAIDASSOU
LCD SOLAR POWER/バンダイ


Written by T鈴木





脱出せよ



映画界には「脱走もの」「脱獄もの」というジャンルがありまして、有名どころでは「大脱走」(1963/米)「パピヨン」(1973/仏)「ブレイクアウト」(1975/米)「アルカトラズからの脱出」(1979/米)などでしょうか。
時にはコミカルに、時には緊迫感漂う男たちの脱出物語は、いつの時代も映画ファンたちの支持を受けてきたものです。
そんな脱走映画にモロに影響を受けて作られたと思われるのが、今回紹介する「大脱走」。
同じ脱走ものをテーマとする作品では「サーチライト」(学研)「監獄ロック」(タカラ)「グレートエスケープ」(ツクダ)などがあり、テーマとしては至極ゲーム化しやすいことが伺えますね。

ちなみにバンダイ「LCDソーラーパワー」シリーズとしては、他に「天国と地獄」「謎のピラミッド」「恐怖の無人島」「謎の沈没船」「激戦Uボート」が発売されています。





塀の中の懲りない面々




ベッドの上にいるとき以外に看守が来たらミス
あなたは囚人です。
なぜ投獄されたかはハッキリしていませんが、とにかく目的は、監獄の鉄格子をノコギリで切り落とし、塀の外に出て仲間の待つ車までたどり着くこと!
ゲームは2面で構成されており、1面は監獄の中、2面は塀の外…となっています。

ゲームをスタートさせると、囚人はベッドの上でギャルのポスターを見ています(この辺がアメリカ映画的センスですね笑)。
看守が見回りに来ない隙に窓まで移動し、ノコギリで3本の鉄格子を切り落としましょう。
鉄格子は10回切ると壊れます。つまり3本すべての鉄格子を切ろうと思ったら、30回ボタンを押さねばなりません。
しかも看守が扉を開けたときには、スタート地点のベッドの上にいないとミスになってしまいます。
これは厳しい!

ちなみにベッドの上に20秒以上い続けると、強制的に動かされたりする。





とにかく看守の動きが読みにくい上(てか殆どランダム)、ミスすると鉄格子はすべて元に戻ってしまいます。
行動には慎重に慎重を重ね、また隙あらば大胆に切ってしまおう!

鉄格子を1回切るごとに10点加算。
3本切り落とすとノーミスで計300点入ることになります。

そして晴れて塀の外へ……
脱出成功!





地獄絵図




犬の軌道を知るのが攻略の鍵だ
縄梯子を使って塀の外へ出たあなた。
しかしそこは監獄の中を遥か凌駕する地獄で、警官のピストル攻撃&犬の襲撃があなたを外に逃がしません!
仲間の車が来るのをひたすら待ち続け、その間彼らの攻撃を避け続けねばならないのです。

とにかく犬の軌道が分かりにくく、避け続けるのは至難の業なので、点数を稼ぐよりはサッサと車に乗ったほうが効率がいいと思われます。

ちなみにミスをしても残機は減らず、また1面(牢獄)からやり直しです。
ステージ2と言うよりはボーナスステージのような扱いなのですね。

犬を避けると1回10点。
無事仲間の車に乗り込むと500点のボーナスGETだ。






なかなか遊べる佳作




「大脱走」のパッケージ
と言うわけで、脱走もののスリリングさ、スピード感、アクション性を見事に体現した、なかなか遊べる内容となっています。
何より背景イラストを流用し、監獄内(1面)と監獄外(2面で)で、まったく違う構成のゲームを作ってしまう発想が素晴らしい!
後継シリーズ「ダブルパネル」(悪霊の館ミスターフランケン等)では、背景はすべて液晶で描かれており、画面がすべて白黒になってしまうと言う弊害がありましたが、アイデア次第で美しい画面を表現できると言う点で、再評価されてもよいのではないでしょうか。

ちなみにこの「大脱走」、シリーズでは割と手に入りやすいほうで、私も発掘(おもちゃ屋めぐり)で何度か見かけました。
安値、遊べる、とコレクション入門用に最適ですので、これから電子ゲームを集めようと思っている人はぜひ!





幻!?のスモールサイズ



画面の上下に帯があるのが特徴
ちなみに海外では「ブレイクアウト」の名で発売されており、通常より小さい「スモールサイズ」も存在します。
「画面の上下にイラストが描かれた帯がある」「グラフィックが若干異なる」などの特徴があるのですが、国内で発売されたかどうかは不明。
当時の書籍、雑誌では、主にこのスモールサイズの方が紹介されていましたが、恐らくは撮影用モックアップか何かで、実物は存在しないでしょう。
(てか、なぜ同じゲームで違うサイズの商品を作るのか理解に苦しむ)




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