隠し部屋へようこそ vol.3

無頼漢ズとの出会い

2002年、ゴールデンウィーク。
私はアメシク道を共に歩むひとりの漢と出会う。
その名はチャッピー☆宮本!四国に住む、おうし座生まれの巨漢である。
シクラソマランドで知り合い、三月頃から毎日のようにメールで 楽しいやりとりをするようになった。
お互い自営業ということもあってツーと言えばカーと答えるまさに遠距離恋愛並みの反応の早さである。
昔からプレコや大型魚と一通りの拘りの飼育をしてきただけあって、知識も豊富で得るところも多い。
そのチャッピーさん(以下敬称略)が単身大阪へ遊びに来てくれることになった。
M氏と共に、神戸のフェリー発着場まで迎えに行った私の目の前に現れたのは
想像通りの人懐こい顔をした漢であった。
詳しい話は省き、その夜ふたりで我が家で呑んだ酒は最高であった。
魚に対する拘り、漢としての拘り、自分への厳しさ、
ある全国紙にパンチ佐藤さんの友人として『男気のある細かい心遣いのできる男』
として紹介された彼であるが、なるほど納得の特級漢である。
すっかり意気投合し、酒はやがて兄弟分の杯になったのである。
漢というものはいつまで経っても子供なのである。

この話だけは忘れることができないので書いておかねばなるまい。
それはM氏の愛車縦揺れ事件である。
ショップ巡りのために、M氏は私たちの車の前を愛犬を乗せ高架道路を走っていた。
突如車の後部から何かが落ち、後ろを走っていた私たちの車の脇を通り過ぎていった。
その後、M氏の車は止まり激しい縦揺れを始めた。
私は爆発するのではないか?とドキドキして事の成り行きを見守った。
助手席のチャッピーの肩も縦揺れしているように見えた。
なんとか、車を路肩に寄せて降りてきたM氏は『車がだめです』とつぶやいた。
牽引して家まで行ってやりたいが、四国から来てくれているチャッピーのためにも
そういう訳にもいかない。JAFを呼ぶというM氏を見捨てて、私たちは 次のショップへと向かった。すまなかったM氏。
チャッピーはその後、交通渋滞でフェリーに乗り遅れそうになるのだが発船時間五分前に無事到着し、
今度は俺が四国へ行くよという固い約束を交わし帰っていった。


次なる出会いはフグヲさん(以下敬称略)である。
BBSで知り合い、あっという間に呑みに行こうと言う話しになった。フグヲちゃんのテキサスである。
確か八月であったろうか。
彼の印象は、人間好きの気持ちの優しい漢であった。
た・だ・し・かなり短気である。
ひとつ面白いことを見つけると一気に突っ走ってしまうというところは、私に良く似ている。
五分五分の漢の付き合いができそうな気がした。
ひとしきり、呑んで打ち解けた帰りに彼の部屋へ寄せてもらうこととなった。
その時の彼の部屋には90cmの水槽が二本置いてあり、
テキサス(カーピンテ?)、フラワーホーン、ロバートソニーがいたと思う。
まあ失礼ではあるが、テキサスがなかなか素質がありそうで、
他はなんとも思わないような魚たちであった。
この後、私やチャッピーの影響により、彼はアメシク道にどっぷりと浸かっていき、
実家に温室まで作ってしまい、私も羨むようなシクラソマを育てていく事となる。


お盆にチャッピーに会いに四国へ行こうと思っていた私は、
道連れがいないのでどうしようかと思っていたときである。
まあそういう時に会ったこともあり、フグヲを四国へ誘った。
しばらく考えさせて下さいと言う彼に脅迫的に即返を迫り、
彼は断りきれなかったのであろうか、
一緒に四国へ連れて行かれることとなったのである。チャッピーどんの混泳水槽である。


フグヲと一緒に行ったチャッピーの家でもう一人の無頼漢である竹ちゃんと会うこととなる。
かなりセンスの良いルックスに、火の玉のような熱い心を持った若者である。
無頼漢ズでは一番若いのであるが、礼儀は正しく言いたいことはハキハキと言う愛すべき漢である。
年甲斐もなく、竹ちゃんの被っていたイスラムニット帽が欲しかった。
さっそくチャッピーの温室に入った私はぶったまげた。
どどーん!と出迎えてくれた三匹のダトニオのでかさにである。
魚も混泳での痛みは見えたものの、拘りを持って集めた素晴らしいシクラソマが乱舞していた。

珍味なラーメン、鳥の足、うどん。
忙しい最中、チャッピーの手厚いもてなしで、すっかり四国の虜となったフグヲは大阪へ帰っては来たものの、
翌月九月にまた四国へ行こうと言い出す。
そんなに簡単な旅ではないのである。まさに恐るべし!である。
『ちょっと落ち着け』と説得を重ねたが、彼はひとりでも行くと言う。
計画は10月となり、そこへもうひとりの無頼漢である塾長さん(以下敬称略)
が参戦を表明した。
塾長には、フラワーホーン鑑定や普段のメールでもお世話になっており、
是非お会いしたい人である。
しかし行ったばかりの四国へというのは、休日の私用も色々とあり計画は困難を極めた。
直前まで悩んでいたのだが、みんなの強烈なラブコールもあり、無理やりに段取りを整え再び四国へと向かうことになったのである。

10月13〜14日、初めて塾長に会う。
イメージが崩れた。塾長と言うのはがっしりと四角の体型をしてめがねをかけていると勝手に想像していたのである。
実際はスラリとしたニヒルな感じの人であり、物事について凄く真面目に考え取り組んでいく気持の良い漢であった。
夜の宴会でシクラソマについて語る熱い思いを聞き、あーやはり塾長だと安心するまでは、本物なのかと疑っていたのであった。
塾長のほうも、私のイメージと実像がかなり違っていたようである。
しかし、魚に関する知識はさすがの一言である。
特にシクラソマに関する知識など、私は到底足元にも及ばない。
今回の旅行で、チャッピー、フグヲ、塾長、竹ちゃん、そして私と、今思えば初の無頼漢ズ全員集合であった。


みんな、大阪へも単身でちょくちょくと遊びに来てくれるようになり、絆は深まっていく一方である。
シクラソマを通じて、このような素晴らしい真友(親友)たちができたことを本当に嬉しく思う。
それに大阪と言う地の利のおかげか、無頼漢ズ以外にもたくさんの友が出来、 色々と楽しい交流も行うことができている。
この場を借りて、きっかけを与えてくれた『シクラソマランド』にも感謝の意を表し、お礼を申し上げたい。

『会わないと仲間になれませんか?』という言葉をたまに耳にする。
ネットでのお付き合いならではの台詞である。
会わないと仲間になれないということはないと思う。
でも会ってみないとわからないことも多いのが事実である。
メールやBBSのみで仲良くなれる人もいるであろうが、
そこにはやっぱりお互いの共感というようなものが必要であろうし、
『会ってみる』ということがお互い理解しあえる一番の近道でないだろうかと思う。

つづく………かもしれない。 



イスラムニット帽
私が欲しがっているようなので、竹ちゃんが単身大阪へ遊びに来たときにプレゼントしてくれた。
被った私を見て、髪が長いと水泳キャップみたいですよと彼は言った。

珍味なラーメン
知る人ぞ知る香川のとあるラーメン屋さんのワンタンメンである。
初めて食べた私が『獣の味がする』とつぶやいた代物である。
しかし、なんだか妙に食べてみたくなる時があるのは事実である。
無頼漢ズは全員食べているのだが、チャッピーとフグヲはお気に入りらしい。
塾長と竹ちゃんは好きなのかどうか定かではない。