隠し部屋へようこそ vol.2

仲間との出会い

『シクラソマランド』での楽しいBBSでのやりとりが続く中、ひとりの人が参加してきた。
同じ大阪でサウスアメリカンを繁殖させているという。Mさんとしておこう。
これは会わなければ損だと思った。
私は基本的にネットで交流よりは、実際に会って話をするほうが好きである。

メールを出すと快く『会いましょう!』ということになり、まずはMさんの水槽を見に行くことになった。
私の家からは車で20〜30分の場所である。
部屋に入って驚いた!
置けると思うところには全て水槽が置かれている。
大・中・小とさまざまである。
濾過装置もお手製の物が多い。
シクラソマは………!
いっぱいいた!!
グアポート系がお好きなようである。
基本的にペア飼い、もしくは大混泳である。
喧嘩するスペースを与えないのがコツのようであった。
しかし毎日の大量換水、とても私には真似のできるものではないと思った。
残念ながらサウスの♂は★になってしまったようで、40cmほどの♀が迫力の姿を見せてくれていた。
そしてココで見たバスケットマウスのカクエテリア・スペクタビリスが私を『欲しい欲しい病』にした。

さて、ここで私の部屋で紹介されなかったシクラソマについて触れていこう。
フラワーホーンがとりあえず、落ち着いた形になったので、私は次に純血のアメリカンシクリッドが欲しくなった。
色々と調べた結果、あまり大きくならないサルビニィという綺麗なシクリッドを選んでしまった。
あえて選んでしまったと書いたのは後悔してしまったからである。サルビニィ、噛み合う♂と♀
この時点でまだまだ物事を深く考えなかった私は、サルビニィを通販にて4匹注文した。
なぜか送られてきたのは5匹であった。
とりあえず90cmの水槽に入れ飼育を開始した。
ある程度全員が順調に大きくなり、ボスができた。弱い個体を苛める。その苛め方が半端ではない。
ボスが大きく綺麗になってくる。ここで私はボスだけでいいのではないかということに気がついた。
繁殖をさせたいわけではないし、生まれてきても稚魚の扱いに苦労する。
とりあえず怪我した魚を隔離したり、いろいろやりくりしてみたが同じ事の繰り返しである。
今までの経験上、このままの状態で飼育を続けると一匹一匹★になっていくであろう。

そこであまり記憶が定かではないがMさんにワンペアー引き取ってもらった。
残りは♂二匹に♀一匹である。
その時点でクラウンテトラが90にいたのであるが、そこへ♂を二匹放り込んだ。
クラウンテトラはサルビニィが目の前にくれば、追い払うだけで攻撃を仕掛けるというほどではなかった。
そうこうしているうちに、♂同士の勢力争いが始まった。
噛み合っている。力は互角のようであった。私はこのとき様子を見ていた。
お互いに噛みあって動けないところに突如クラウンテトラが参戦した。
真上から40cm級のヘッドバッドが炸裂した。
哀れ腹のど真ん中にそれを喰らったサルビニィの♂一匹は力なく浮かび上がった。
やばい!と思った私は魚を取り出し、セパを入れて隔離したが時すでに遅しであった。
そのままサルビニィ♂は息を引き取ってしまった。
かわいそうなことをしてしまったという後味の悪さが残っただけであった。
残った♂と♀をペアにして飼育してみることにした。
産卵してしまった。♀が卵を守っていたが無精卵であったのか卵はかびた。
♂が怒り出した。♀が苛められるも90cmの広さがあったためか大事にはいたらず
しばらくはこのまま飼育することができた。

しかしある程度大きくなるシクラソマに魅力を感じ始めた私は、水槽をそれらの魚に使いたくなってしまった。
とりあえず、クラウンテトラとサルビニィ♀を60ワイドに押し込んだ。
40cmのクラウンテトラと10cmのサルビニィである。無謀な混泳であろう。
サルビニィの隠れ家は用意してやったのだが、争いが始まった。
小回りの利かないクラウンテトラにサルビニィがちょこまかと攻撃する。
負けていないのである。恐るべしシクラソマの血!
16時間起きているとしたら、10時間は喧嘩していたであろう。
クラウンテトラはおじいさんである。顔が傷だらけになってきた。
サルビニィも鰭がぼろぼろである。こんなことを続けていると良くないのは分かっている。
何か手を打たなければならない。

一方サルビニィ♂の方は、60レギュラーで単独にて飼育されていたが
事情があり90cmの混泳に入れられることとなった。
そこでボコーティにボコボコにやられたのである。洒落ではない
サルビニィ、勝てそうもない相手にも向かっていくちょっとやっかいな奴らである。

かくして、サルビニィペアはショップに引き取られていった。
気まぐれな飼い主で申し訳ない。

フラワーホーンのその後についても、少し書いておこう。
大きい奴は立派に成長し、私の部屋を飾る一匹となっている。
45cm水槽で争っていた小さい奴二匹であるが、シクラソマランドでセパレーターなる諸刃の剣の
道具を教えてもらい、とりあえずは落ち着いた。
このセパレーターというもののおかげで、我が家のアメシクは爆発的に増えていくことになる。
ある程度成長したところで♂と思われる個体を120cmの水槽に移動させた。
こいつは自分の倍もあるトーマシーというシクリッドを★にした後、
水槽のわずかな隙間から飛び出し★になった。
もう一匹は♀で45cm水槽を卵だらけにした。
『単独飼育で産むなよな』と泣きながら掃除して一ヵ月後、また卵だらけにした。
我慢できなかった。ショップに引き取ってもらった。
またまた申し訳ない。

ここでひとつだけ言い訳しておきたい。
シクリッド飼育者にありがちな、ひねこびて成長しない魚をショップに持っていっているのではない。
そんな魚を知らずに買わされるマニアの人に申し訳ないので、
私はどんな魚もうちにいる限りは、しっかりと成長はさせるようにしている。
なんの自慢にもなっていないな。最後まで責任持って飼えよ!という声が聞こえてきそうである。
まあいろんな考えがあるということで、許してもらいたい。

つづく………かもしれない。 


『グアポート』
現在ではParachromis属である、ドヴィ、マナグエンセ、ロイズリィ、フリードリッヒスターリィ、モタグエンセの五種と
Petenia属のスプレンディダを指すようである。
現地では上記のような長めの魚をグアポートと呼び、
ヴィエジャのような体型をしたものをモハラ(Mojjara?)と呼んでいる。


『サルビニィ』
オスで20cm、メスで15cmほどになる、『黄色を基調としたボディで腹部が赤く染まり、鰭がブルーで彩られる』
美しい中米シクラソマの一種。
ただしそこまで大きく育てられた個体はあまり見ない。
そして私が飼育したものもそうであったが、最近売られている個体で黄色が美しいものもあまり見ない。