北海道開拓の先人達に思う
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2021/11/27 14:13
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勤労感謝の日(11/23)を利用して11/20-23の四日間伊達市に旅行しました。
伊達市は戊辰の役で奥羽列藩同盟の主力として官軍との戦争に敗れ、反逆者とされた伊達藩の一族が明
治の始めに入植して開拓した所です。敗戦により伊達藩は領地を取り上げられて藩士達は生計の道を断
たれたために、伊達の支藩亘理の士族は主の伊達邦茂に率いられて有珠に入植しました。同じく支藩岩
出山の士族は主の伊達邦直に率いられて当別に入植しました。実はこの二人は兄弟です。前回に報告し
た当別の阿蘇公園にある当別神社は伊達邦直を祀った神社です。その由来記に後年北海道を訪れた明治
天皇に伊達邦直は拝謁を許され、それにより最終的に反逆者の汚名を拭われたとありました。
有珠に入植した伊達邦茂の一行は既にそこにあった有珠善導寺の住職や現地のアイヌ人に迎えられたそ
うです。有珠善導寺は伝承によると平安時代からある古いお寺です。詳細は下記URLをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E7%8F%A0%E5%96%84%E5%85%89%E5%AF%BA
善導寺には浄土宗の教えをアイヌ語で印刷した版木が残されています。代々の住職はアイヌ人に教えを
広めるのに努力したようです。伊達士族の入植においてもアイヌ人から寒地における生活の知恵を学ん
だそうです。北海道の他の地域では和人によるアイヌ人の権利侵害や差別がひどかったのに比べると有
珠地域は人々の調和がうまく機能したという印象を持ちました。実際大英帝国の旅行家イサペラ・バー
ドは明治期の有珠地方を訪れ「とても美しい所で朝夕の善導寺の鐘は天国のように響いたと」書いてい
るそうです。イサペラ・バードについては下記URLをご覧ください。
有珠駅から歩いてバチラー記念会堂を訪れました。あいにく閉まっていましたが、ここは現用のキリス
ト教会です。日本で初めてオルガンによる讃美歌演奏がなされた所だそうです。教会は小さな丘の上に
有りますが下の入り口には夫妻の養女バチラー八重子の歌碑があります。八重子は夫妻に養女として引
き取られたアイヌの娘だそうです。
昨年十勝より報告した民間結社による開拓(下記URL)
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/Travel%20Report%20over%20Tokachi%20and%20Hidaka.htm
と比較すると士族による入植は元は封建的主従関係ではあるが人々の結束力が開拓の困難に立ち向かう
のに有効に働いたとの印象を持ちました。後に伊達邦茂は開拓の功績を認められて明治政府により男爵
に列せられ、村民はそれを祝って迎賓館を建築したそうです。それは今も伊達の杜公園に残されていま
す。
有珠地区の開拓がうまく進んだのは善導寺による長年の教化の成果かもしれませんが更には気候の温暖
さもあるのかも知れないと思いました。あちこちに北海道では珍しい柿の実がたわわに実っているのを
見かけました。道路脇には南九州でも馴染みのある篠竹が密生していたり、善導寺の回りの岩山にはト
クサが密生している所がありました。また有珠に入植した伊達藩の士族は江戸や大坂の武士とは異なり
半分農業もやっていたようであり、刀を鍬に持ち替えて労働する事にあまり抵抗感がなかったのではな
いかと思います。
民間結社、士族団体、屯田兵に加えて忘れてならないのは前回報告した集治監の囚人に対して強制され
た懲役労働です。幌内炭鉱の石炭も最初は囚人労働により算出されました。旭川から網走まで北海道を
横断する道路も囚人労働により開鑿されました。今から思えば恥ずべき歴史もその成果は残っています。
そして勿論一万年に渡り北海道に住んで来た縄文人とその後裔のアイヌ人です。和人によるアイヌ人の
権利侵害や差別の歴史も忘れてはなりません。今は名も残らない無数の先人の努力の上に今日の私達の
生活が成り立っています。
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+ 市吉 修
+ 二十一世紀を楽しく生きよう会
+ HP ; http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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