田 沼 家

若大将雄一、妹の照子、父親の久太郎、そして、りきおばあちゃんのユーモア溢れる会話をお楽しみください。
ダンプカーの運転手との喧嘩のあと、久太郎と一緒に家に帰ってきた雄一をおばあちゃんは温かく迎える。
久)おばあちゃん、叱ってやってくださいよ、ダンプカーの運転手と喧嘩して警察沙汰になったんですから。
りき)おやそうかい、さぞお腹が空いただろうねえ、ちょっと茶箪笥に柏餅が入っているから出しておやり。
久)おばあちゃん!?
柏餅を差し出す照子。
りき)いいじゃないか。どこも怪我してないし、喧嘩は勝ったんだね。
照)はい、兄さん!と柏餅を指す出す照子
久)ちょっと待ちなさい、喧嘩は初めてじゃないから仕方ないにしても、どうしても許せないことがあるんだ。
こいつの学生証を見たら、商科じゃなくて水産科なんだ。今まで親騙して大学へ通っていたんだ。
俺は海が好きなんだよ。
久)家は牛肉屋だぞ、魚屋じゃないんだ!
大学の勉強なんて商売の役に立たないって、お父さんしょっちゅう言ってたじゃないか。
おば)それは、久太郎は商業学校しか出てないから、ひがんで言ってるんだよ。
久)ひがんでなんかいませんよ。大学を出たからといって、商売の役に立つとは限らん!
どうせ役に立たないんだったら、自分の好きなことやってたほうがいいよ。
照)その通りだわ、やられたわね、お父さん。
久)うるさい!
大学からの停学通知を持って久太郎とりきは、部屋で寝ている雄一のところへ向かいます。
久)雄一!
なんだ、お父さんか。
久)寝てる場合じゃないぞ!これはなんだ!
停学三ヶ月!
やっぱりやられたか。
久)本当にこんなことをしたのか!
してないけど、したことにさせられちゃったんだよ。運が悪かったんだよ。
出て行け!と怒る久太郎。
りき)そうだろうとも、ようし!あたしが学校に文句を言いに行ってやるよ。
久)おばあちゃんはちょっと黙っててください。
雄一!恥ずかしいと思わんのか!
間違いなんだから、恥ずかしいとは思わないよ。ただ決定したことを、今さらとやかく言いたくないんだ。
照)兄さん!速達よ!
久)経理課からだ!それを見て顔をしかめる雄一。
なに!雄一!お前月謝が未納だそうじゃないか!
いったい、こりゃあ、どういうことなんだ!
夏休みにアルバイトして埋め合わせるつもりだったんだ。
久)なにに使ったんだ!
あれだよ。と無線装置を指差す雄一。
久)まったくどういう気なんだ。
りき)でも、あたしゃ安心したよ。
変なことに使ったんじゃないとわかったから。
久)変なことって?
りき)お前が商業学校のときに、参考書買うとかなんとか言っちゃあ、ミルクホールの女の子と活動観たりしてたじゃないか!
久)そんなことは関係ないでしょう!?
へえ、お父さんにもそんな時代があったのか。
こいつは愉快だ!
りき)今は偉そうな顔してるけどもね、まったく大正生まれが一番ダメだよう。明治生まれのどしょっぽねもないし、昭和っ子のファイトもないし!
久)つまらん話をするのはやめてくださいよ。とにかくわかった。月謝を納めてないならちょうどいい。停学になったことになったんなら、思いきって大学やめたらどうだい。
水産科なんてやってたって無駄だい!
りき)そんなにまで言わなくたっていいじゃないか。
月謝ぐらいなら、あたしが出すよ!
いいんだよ、おばあちゃん。ぼくも大学なんかやめてもいいと思ってんだ。
久)そうだよ、大学なんかやめて、早くうちの商売覚えりゃあいいんだ!
うちの商売は弱いなあ!
久)なんだと!
すき焼きやが嫌いというわけじゃないんだけど、跡を継ぐなんてのは、もっと歳を取ってからでもいいと思うんだ。
久)遊んで暮らすなんて許さんぞ!
俺は船乗りになりたいんだ!
久)船乗りだ?
りき)今は飛行機の時代じゃないか。
どうせ乗んなら飛行機におしよ。格好いいよ!
おれは海が好きなんだ!実を言うともう、平士航海士の免許取ってあるんだ。それに無線通信士の免許も持ってるから、いつでも船に乗れるんだ!
久)そんなことは許さん!
航海へ出るため、挨拶に帰ってきた雄一を迎えるおばあちゃん、久太郎を押入れに隠れさせ、和解を画策するが・・・。
りき)雄一や!
あっ、おばあちゃん。
りき)何をしてるんだい、早くお入りよ。
いや、いいんだよ。
おばちゃんの顔見たらもう気が済んだよ。
りき)あたしの顔見に来たんだね、嬉しいこと言ってくれるねえ。まあ、とにかくお上がりよ。
でも、おやじが・・・。
りき)お父さんなんかいやしないよ、お腹が空いてんだろ、早くお入りよ、雄一が帰ってきたらすぐ食べれるように、肉まんを角のパン屋から毎日配達してもらっているんだよ。
ええっ!肉まんだって!それは抵抗できない!
りき)さあ、お上がり!
ありがとう!
若大将シリーズで初めて、肉まんを頬張る雄一(写真左)
おばあちゃんに言われて押入れに隠れようとする久太郎(写真右)
りき)でも本当に良かった。雄一が帰ってきてくれて!もう家を出るような馬鹿なことするんじゃないよ。
お前だって心の中じゃ、久太郎に心配ばかりかけて済まないって思ってんだろ。

おばあちゃんにはちゃんとわかってんだから。食べてばっかいないでなんとかお言いよ。
でも、こんな旨いもんが当分食えないと思うとチョットの間も惜しくてねえ。
りき)なにを言ってんだよ、そんなに好きなら毎日でも食べさしてやるよ。
そうはいかないんだ。航海に出るんでね、
りき)ええっ、航海!?
おばあちゃん、おれとうとう船乗りになったんだ!
りき)ええっ!
威張れるような大きな船じゃないけど、そのうちきっと外国航路の船に乗って
りき)雄一!
そこで、今日は家を見納めに来たんだ。うるさい親父がいなくて、おばあちゃんに会えるなんてこんな嬉しいことはないよ。
久)私はここにいるよ!と押入れから顔を出す久太郎。
あっ、お父さん!
久)なにがお父さんだ、うるさい親父で悪かったな!おばあちゃん、雄一はちっとも反省してないじゃないですか!
りき)これからというとこだったのに、早すぎるよ。
久)うるさい親父だなんて言われて、黙って入っていられますか。
雄一、航海なんかやめろ!後悔するぞ!
えへへっ、シャレを言うなよ。
久)私は真面目なんだ。それでも言う事きかなかったら、勘当だ!
仕方がないだろう。
久)なに!?
りき)雄一!?
せっかく船乗りになるチャンスを掴んだんだ、こればっかりはなんと言われてもやめられないよ。
久)出て行け!

おばあちゃんの計画も実らず、雄一は久太郎から勘当され、大島への航海へ出て行きます。

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おばあちゃんの趣味

今回のおばあちゃんの趣味は「美容体操」。TVを見ながら体操の真っ最中。

久)おばあちゃん、なんですかその格好は。
まるで車にひきつぶされたカエルみたいですよ。

りき)ひきつぶされたカエルとはなんだよ。身体の線が崩れないように美容体操してるんじゃないか。

美容体操に没頭する
おばあちゃん。
久)腰も曲がりかけてるのに美容体操もないでしょう。
りき)とんでもない、冥土に行っておじいちゃんに会ったときに、あんまりヨボヨボじゃあ嫌われるちゃうからね。今のうちから精々気をつけておかないと。

流行に敏感なりきおばあちゃんでした。

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先取りアイテム

今作の先取りアイテムは、スーパーマーケットに多重録音、そしてハンド・トーキー。(ハンド・トーキーについては別項のカンニングで取り上げます)

スーパーマーケット

インスタントすき焼きの打ち合わせにスーパーに来ていた久太郎は、買出しに来た雄一を見つけます。

(写真はスーパーでの雄一と
久太郎)

久)なんだ雄一じゃないか。
なんだい、お父さんか。
久)男のクセになんだい、こんなとこウロウロして。
そりゃあ、考え違いだよ。外国じゃあ食料品の買出しは男の仕事になってるくらいでね、じゃあ!

革新的な考えの雄一でした。

店長と話している久太郎のもとへ澄子がやってきます。


澄)田沼さんのお父様でいらっしゃいますか?
久)ああ、そうですが。
澄)あの〜、息子さんがこれをお願いするようにって。
とレシートを差し出す澄子。
久)なんですか、これ?
澄)あの〜、お買い物のレシートです。
久)あいつ、やりやがった!?まったく油断も隙もありゃあしない。

ちゃっかりものの雄一でした。

多重録音
久太郎に叱られた雄一だったが、部屋に帰れば無線でギター演奏を披露、ちっともめげていない様子。

ここで登場するのが、テープレコーダーを使ったギター演奏シーン。
(写真右)

こちらはJA1KYC、JA1KYC、皆さんこんにちは!
ただいまより大学の若大将、田沼雄一君のギター演奏をお送りします。
曲目は「ブーメラン・ベイビー」です。

♪ヘ〜イ、マイ・リトル・ブーメラン・ベイビー♪

途中からテープレコーダーの自分の声に被せて、見事なハーモニーを披露します。多重録音の経験が生かされた場面です。

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C調青大将

前作の「ハワイの若大将」から、父親を「パパ」と呼んでいた青大将、このときはまだ普通に「パパ」と呼んでましたが、今作では思いっきり「パパー!」って言ってます。

大島へ向かう途中、嵐に巻き込まれた船は浸水してしまいます。絶望した青大将は水を汲み出すのを諦め
パパー、パパー、パパ!先立つ不幸をお許しください
と、ここでシリーズ最初の「パパー」が発せられます。
(写真)

父親が島に迎えに来た時には
パパー!、パパー!
と何度も叫んでいました。

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ドッグ・フード

スーパーで買ってきた缶詰の肉で、料理を作り始めた江口と雄一。

犬がワンワン吼え始めます。
コーチ)今日はばかに犬がうるせいなあ!

江)お〜い!出来たぞ〜!
缶詰を開けて食べている
水泳部員達。

味付けは田能久仕込みだからな!

江)どうだ!旨いだろう!
コーチ)変わった味だけどなあ!
材料はともかく、味付けは麻布の田能久仕込みだからなあ!
部員2)ああ、食った、食った!
コーチ)しかしこの肉には変な臭いがついてるなあ。
江)面倒臭いから、よく確かめなかったけど、そこに空き缶があるから見てみな!
部員1)ああ!これは犬の肉だぞ!
江)嘘つけ!犬の肉の缶詰なんて聞いたことないや!
部員1)だって、ここにドッグって書いてあるぞ。俺だってこれぐらいの英語は読めるさ。
香港や台湾じゃ犬の肉食うっていうから、そっちのほうからの輸入かな!?
コーチ)どれどれ、見せてみろ!
えっ、これは犬の肉じゃないよ!
江)ほうれみろ!
そんな肉、俺が買ってくるわけないじゃないか!
コーチ)犬の肉よりもっとひどいよ!
ドッグフードって、これは犬に食わせる餌よ!
雄、江)ええっ!
コーチ)どうりで、犬が集まってきて吼えると思った。ひでえもの食わせやがって、この野朗!

部員にプールに落とされる江口と雄一。

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09年02月19日新設