ストックの栽培記録 2003 播種から定植まで
生育期へ


 ○ このページではJA松阪花部会の栽培指針をもとにストック栽培の様子を
    画像で紹介します。   花部会部会員の皆さん。参考にしてください。

 ○ 2003年度は夏作物の遅れの影響を受け年内出し作型を播種出来ませんでしたので、
    厳寒期出しスプレーストックと春出し1本立ちストックが中心になります。

 ○ 詳しい栽培方法については、花部会発行の栽培指針またはJA松阪東部営農センター
    でご確認願います。

             ○ストックの病害及び障害対策については   こちら



     9月20日 スプレーストック播種


            土入れ

 水稲育苗箱に床土を入れます。
 (8月上中旬蒔きには発泡スチロール製トロ箱使用が
 床土の温度管理上楽です。)

 培土は半発酵で荒めのバーク堆肥1:山砂1に
 八重鑑別に適当なEC 0.3程度になるよう発酵油粕
 を混入し、半年ほどなじませたものを使います。

 無鑑別品種の播種には市販の種蒔き培土やセルトレー
 の使用が便利です。


           溝切り・播種

 播たっぷり灌水し、土を落ち着かせた後、播種・鑑別
 時の目安と通気性確保のため溝切り具を使い8等分の
 うねを作ります。

 スプレータイプの種子は1本立と比べると粒が細かく
 苗立ち本数も多くなるので、1袋(10mL)を5箱に分けて
 やや薄蒔きにします。

 品種はラブリー・イエロー・マリンカルテットです。ホワイト
 カルテットは採花期を合わせるため1週間後に播種します。

             覆土

 覆土は通気性と水持ちを良くする為、床土に
 同量のピートモスを混合したものを使います。

 軽い土をやや厚めに(4〜5mm)覆土します。

 覆土後は灌水せず、新聞紙で覆いをして
 乾燥を防ぎます。

 発芽までに3〜4日を要するので、乾燥時には
 新聞紙を濡らす様に灌水を行います。


      9月24日 発芽 播種後4日目

 
 9月〜10月蒔きのストックは3〜4日で発芽します。

 子葉が覆土を持ち上げ始めたら日覆いを外し灌水します。

 このとき表土が乾燥していると胚軸が伸びたり発芽が
 一斉にならないうえ、種皮を被ったままになる事もあります。

 発芽時に八重鑑別はしないようにします。


       9月27日 子葉展開 播種後1週間目

 
  子葉の展開中です。
  この時期に胚軸の長さ・子葉の大きさが決まります。
 
  あまり強い日光にさらさず充分な水を与えて八重鑑別
  しやすい苗になるよう管理します。

  シンクイムシと立ち枯れ病が発生する時期なので
  オルトラン粒剤と殺菌剤を灌注します。

  オルトランは成長点に薬害を起こすことがありますので
  本葉展開時の散布は避けます。


        9月30日 本葉展開始め 播種後10日目
 
 
  播種10日目頃までに子葉の大きさ・背の高さがほぼ
  決まり、本葉の展開が始まります。

  この時期にストック栽培上最も重要な『八重鑑別』という
  作業を行います。

  作業は日中の直射光を避けた場所、あるいは夜の
  蛍光灯下で行うのが楽です。
    
     
          鑑別中の苗   

  第1回目鑑別時の苗の姿です。
 
  子葉の間から本葉が覗いています。
 
  鑑別を行う予定の2〜3日前から灌水を控えて
  葉色の発色を促し個体差を大きくしておきます。
  (極端な水切れは生育の停滞を起こすので注意します。)


  詳細な説明は画像をclickしてください。
  
  
          同じく横から見る

 周囲の苗より背丈が低く小柄な苗は全て捨てます。

 八重率の向上には鑑別技術もさることながら、鑑別
 しやすい苗の管理技術がより重要です。


 
  詳細な説明は画像をclickしてください。


  左列 鑑別前  右列 鑑別後の苗です。

 この時点で約50%の苗を抜き捨てます。

 鑑別作業後は苗が倒伏しないよう静かに灌水します。

 肥料切れ気味の時は、500倍尿素液肥を灌水前に
 与えておきます

 


        10月2日 圃場の準備


 育苗・八重鑑別の開始とともに圃場の準備を始めます。

 @ 水田転換の地下水位が高いハウスには、耕起前に
    籾殻2トン/10aを散布し、表土の給排水性を良くする
    と共にケイ酸分の補給を行います。


 A 土壌が単粒化しないよう水分に注意し表面10センチ
    ほどを浅く耕起し、おおまかなベッドをを立てます。

 B カキガラ石灰などの資材をベッド中央部にすじ状に
    散布します。 (全面散布はしません。)
 
 C 完成時のベッドより少し高くなるように砕土・畝たてし、
    通路を管理機で谷上げします。

 D 充分に灌水し1週間ほど雑草を生やした後、ベッド上
    の草を削り落とし整形します。

 E 一度雑草を生やした後は冬中草管理が楽になります。

 F これで定植に最低限必要な耕起層10cmの半不耕起
    ベッドが出来ます。


  完成したベッドは下図のようになります。
      ○ 厳寒期出し作型は年内出しに比べ充分な生育期間を確保できるので無施肥での定植を基本とし、
          生育に合わせた追肥を行う。
          (ただし微量要素欠乏障害、特にホウ素・カルシウム欠が見られる圃場では適正な矯正を行う。)

          作付け前の土壌診断においてEC値が砂地で0.8以上、粘土地で1.5以上ある場合は
          定植時の立ち枯れ・濃度障害の発生が考えられるので注意する。


       10月5日 定植開始


 播種から15日目で本葉2枚が展開中です。

 これから1週間程度、本葉4枚目が展開するまでが
 定植適期です。
 
 これより早いと胚軸が軟弱なため立ち枯れ病が発生
 しやすくなります。

 この時期より遅れるとその後の生育が遅れるうえ低節位
 からの分枝が多く発生しスプレーのフォーメーションを
 崩します。


    詳細な説明は画像をclickしてください。


 
  定植開始10日前にベッドを立て、充分に灌水して
  おくと表面に雑草がはえてきます。

  定植時にトンボでベッドの表面2〜3センチを削り
  落として雑草を埋め込み、整形します。

  

  マーカーで位置決めしながら定植をします。

  定植中のハウスです。

  小区画づつ定植し、苗が萎れるまでに充分な
  灌水を行います。

  二重張りハウスでは、内張りをおろして採花が
  終わるまで巻き上げないようにします。

  内張りはなるべく梨地で半透明なものか、透光性の
  落ちた古い物を使用し散乱光を取り入れるようにします。


  サムネイルです。画像をclickしてください。


       10月12日 定植1週間後


  定植後2〜3日は日中葉面灌水に努めしおれを
   最小限にします。

  定植後4〜5日で活着し本葉が展開し始めます。

  8・9月の定植時には直射光を避ける為、寒冷紗等の
  日除けを1週間ほどかけます。

  立ち枯れの多発する圃場では、タチガレエース・
  ダコニール等の殺菌剤を灌注します。
  

 1棟分の定植が終わりました。

 我が家のハウスは南北に長いため冬場の室温分布は
 サイド際と南端部が低温・北半分が高温となります。

 全体の生育をそろえる為サイド際と南端部に沖波・早艶
 等背が高く花穂の伸びやすいタイプを、中央部と北半部
 には雪波・ホワイトカルテット等の背の伸びにくい品種を
 植えるようにします。

 左ベッドにはマリン、右ベッドにはイエロー・ピンク、
 中央のベッドはホワイトカルテットです。

 採花期を合わせる為ホワイトの定植は10日遅らせます。


      つづく

  

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