ストックの病虫害・障害


○松阪近郊でのストック無加温ハウス栽培において問題となる病虫害及び障害への対策です。

病 害 症状と対策
苗立枯病(育苗期)

 
○ 育苗箱での育苗中に発生する立ち枯れ性の病気です。
 
  床土には無病の育苗培土を利用し、播種時予防的に
   オーソサイド(ベノミル剤)を潅注します。

  培土に利用するバーク堆肥には海水由来の塩分を含む
   ものがあり立ち枯れを助長するので、安全が確認された
   ものを利用して下さい。


苗立枯病(定植後)
 
 ○ 定植直後の苗の地際に発生し枯死させる病気です。
   塩類が集積しECが高くなっている圃場に多く発生します。


  夏作後ストック定植までの期間を充分に取り除塩を行う。
   または籾殻等C/N比の高い有機物の投入によりチッソ分
   の吸収をはかります

  夏作に除塩作物としてスイートコーン・ソルゴーなどを
   栽培すると有効です。

  毎年立ち枯れの発生する圃場では定植直後に予防的に
   ダコニール水和剤の潅注を行います。


モザイク病





 ○ 展開した葉の縮れ・花弁のカスリ状の脱色により
    商品価値が無くなります。


  展開中の葉や蕾に寄生したアブラムシによって
    媒介されるウィルス病です。
   アブラムシの防除を行ってください。

灰カビ病




 ○ 空中湿度の高い時期に成長点近くの展開中の葉・
   傷付いた葉・花びら等から浸入し、茎上部を枯死させる。

  健康な植物体には浸入しないので、発生時期には
   温湿度・水管理に注意します。

  ほとんどの場合急激な温度変化または日照変化により
   展開中の葉が傷害を受けるのが原因であるので、
   日中葉の萎れがあった時には動噴等により葉水を
   打つのが有効です。

  初発点は葉先なので発生を認めたら葉欠きし茎への
   伝染を防ぐことが出来ます。

  殺菌剤は菌核病を参照して下さい。
  

菌核病




 ○ 地際の弱った葉から浸入し茎を枯らす病気です。
    重なり合った隣の株に伝染するので発見が遅れると
    大きな被害を出します。


  灰カビ病同様健康な植物体に直接発生することは
    あまりありません。
    発生原因の多くは下位の葉面や地際に残った追肥に
   よる肥料やけからの侵入です。

  生育中期以降の固形肥料による追肥は極力避け
   潅水による洗い流しを完全に行います。

  地面設置の潅水チューブによる潅水は発病を助長
   するので頭上潅水または手潅水に切り替えます。

  発病株の周囲にも下葉を伝って感染するので隣接
   する株の株元にも注意して下さい。

  生育後期の薬剤による防除には『ベンレート』を使用し
    高希釈倍率(3000〜4000倍)を守って下さい。
    (殺菌剤の種類によっては薬剤による白点が残り
    商品価値を損なうので注意する。)

 
害 虫
シンクイムシ(ハイマダラノメイガ)
 ○ 主に高温期の育苗・定植期(年内出し作型)に多発
   する害虫です。

  高齢幼虫は巣を作り薬剤が浸透しにくくなるので早期
   発見防除に努めます。

  本葉抽出期と定植前の2回オルトラン粒剤を箱施用し
    圃場での多発を防ぎます。

 
 誘引作物として『千日紅』が有効という情報があります。

コナガ
 ○ 秋以降の寒冷期に発生する害虫です。

  
老齢幼虫に効果のある薬剤が少ないので耕種的防除に
    努めます。

  ハウス外周にアブラナ科作物(特に松阪なばな)を植え
    誘引することが出来ます。

  発生が多い場合はコテツフロアブルで防除します。


アブラムシ





 ○ 生育全期間を通して成長点近く及び蕾に発生します。
    特に定植直後の苗に寄生すると以降の成長を阻害
    します。


  発生密度が高くなると葉や花にモザイク症状が出て
    商品価値を無くすので早期発見に努めます。

  有効な薬剤が多いので薬害の少ないものを選び
    防除してください。
障 害

低温障害




 ○ 写真は低温と乾燥の害を同時に受けた症状です。

   夜間の低温遭遇後日中の温度上昇があると
    ヒートショックにより葉に脱水症状を起こす事が
    あり、写真に似た状態になります。
 
    この場合速やかに葉水を打つことで葉の白斑症状を
    防止出来ます

  慢性的に低温を受け続けた場合には草丈のわい化
    ・茎や葉脈の表皮剥離の症状になります。

  枯れた葉はキンカク・灰カビ病の発生原因になるので
    全て取り除きます。
  


カリ欠乏



 ○ カリ分の不足により起きる下葉の黄化。落葉です。
   写真は鉢植えで試験的に作ったカリ欠です。


  特にイエローカルテット・イエローアイアン等黄色品種に
   は特異的に多く発生します。

  生育中期発蕾後にカリ分の多い肥料を追肥します。
   
ホウ素欠乏
 ○ ホウ素の欠乏により起こる茎割れ・茎葉の表皮剥離・
    開花異状などの障害です。

  
特に水田からの転換地に初めて作付けする場合に多発
   します。
   この場合微量要素剤を散布しますが過剰害(葉縁の白化)
   の発生もあるので量に注意します。

カルシウム欠乏
 ○ カルシウム欠乏により展開葉の先端が奇形化する
    ことがあります。

  
直接被害は小さいですが奇形部分から灰カビ病の
    侵入が見られるので注意します。

  PHの調整及びカルシウムの投入にはカキガラ石灰を
   使用して下さい。
   作用が穏やかでホウ素・亜鉛等の微量要素も含んで
   います。


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