『 待つ人 ― (2) ― 』
カツカツカツ ・・・・!
石畳の道を 盛大な靴音と共に青年がひとり、商店街の真ん中をつっきって行く。
いや ・・・ 突っ切る、というよりも人混みの中をじつに巧みにすり抜ける、という方が正しいかもしれない。
シュ ・・・ ! 小さな旋風を引き連れて 彼はずんずん進んでゆく。
「 ?? ・・・ あ? なあにィ あれ・・・・ もう〜〜 バカ!! 」
すれ違い様に、 がさり、と紙袋を潰された女性は盛大に毒づいていた。
「 ! 危ない〜〜 ここは歩行者優先なのに・・・ ちょっと! 」
小さな子の手を引いた母親は 慌ててコドモを抱えあげた。
「「 ・・・あら? 」」
抗議をしようとしたモノたちの目の前には ― ひゅるん〜〜 小さな旋風が通り過ぎるだけ。
「 気のせい? ・・・ まさか ・・・ でも? 」
「 えええ? ・・・ 風だけ?? 竜巻の一種かしら ・・・ 」
・・・ もっとも 当の本人にはそんな声など耳に入るはずもなく ―
カツカツカツ ・・・! 足音だけが高くこだましていた。
足音の主は 普段の <彼> にはあるまじき態度で進んでゆく。
― フラン! フランソワーズ〜〜〜〜
返事してくれ。 脳波通信の回路を開いて ・・・!
ダウン・ジャケットをひっかけキャップを被り、一見ただの観光客風なのだが。
彼は俯き加減に、しかし見詰める方向はただひとつ。 足取りに迷いはない。
出かける前にちらっとGPSの示す位置を確認した。 それで十分だ。
「 すぐにゆくから! ああ ごめん ・・・ ぼくが一緒に送ってゆくべきだったんだ。
ぼくが ・・・ ぼくのせいだ ・・・! 」
ごめん ぼくのせいだ ぼくのせいだ ぼくの ・・・
ジョーのアタマの中はその言葉だけでいっぱいだった。
「 あそこだ ・・・ あの墓地。 山の手の方だったよな。 前に来たことがある・・・
フランソワーズ! すぐに迎えにゆくからね ・・・! 」
ショッピング街の大通りを左に折れまっすぐに進めば 足は急勾配に坂を踏んでいた。
坂 か ・・・ そうだ、 この上は確か ・・・
そうだ、一番上は 公園になっているはずだよ
― フランソワーズ! 公園の近くにいるのか??
「 ― ・・・っと ・・・! 」
ジョーは少しスピード・ダウンし、周囲を見回した。
みどりみどり みどり ― 冬だというのに、ここにはぎっちりと緑に取り囲まれていた
「 ・・・あ ・・・ 」
思わず彼は足を止めてしまった。
― そして。
いつか 彼女とあの公園から海を眺めてみたい・・・と思っていた。
いつか 彼女を誘って都心のお洒落な通りを歩いてみたい・・・ と計画していた。
いつか ・・・手を 繋いで歩きたい ・・・ と夢みていた。
いつか いつか いつか ・・・! しかし ソレはいつのことになるのだろう ・・・
今まで 自分の気持ちの中でだけあれこれ思い描くだけで 現実には一歩も踏み出していない。
いや 踏み出す努力をしてこなかったのだ。
― 想っているだけ は楽だから。 手厳しく振られることも ないから。
「 ・・・ けど。 それは弱虫の言い訳だ ・・・!
ぼくは ― 逃げてばかりいたんだ。 これは ― その報いなんだ。 」
ジョーは く・・・っと唇を噛み締める。
「 ・・・ いつか じゃない。 彼女を見つけたら。 あの瞳を見つめたら。
言うんだ。 ちゃんとまっすぐにあの碧い目を見て ― 言う!
きみは ― ステキだ・・・って。 きみが すきだって ・・・ !! 」
ふううう ・・・ ちょびっとだけ熱い吐息を吐き出し、ジョーは再び歩き始めた。
今度は普通の速度で坂道を登ってゆく。
観光客らしき人々とも 数人、擦れ違った。
「 ふうん 案外人がいるんだなあ あ そうか。 あの公園が近いんだもんな。 」
ジョーは自分のスマホを取り出し、博士に落としてもらったGPS情報を今度はしっかりと確認した。
「 ・・・ うん こっちだ。 」
ぷらぷら散策するヒトたちが増えてきた。 おしゃべりしたりカメラを向けたり・・・
史跡だの昔の異人館を改築したカフェとか薔薇園とか ・・・ 確かにここは < 女の子向け >
あるいは < カップル向け > の観光地だった。
彼は位置情報に従って進んでゆく。 道はいつしか賑やかな場所から外れていった。
「 ・・・ あれ? 観光客がほとんどいない ?? ・・・ あ そっか ・・・ こっちには
人気スポット とかがないんだ。 」
気がつけば 道行くひとびとはまばらになり ・・・ いなくなった。
― ふうん ・・・ ジョーはさり気無く 土が多く顔を出している路地を曲がってみた。
「 ふう ・・・ ともかく。 彼女が <居た> 情報の場所に行ってみようっと。
え〜と ・・・・・? え ここ ・・・? 」
そこは住宅地でもなく、店舗もなく、ただ空き地が広がっている。
「 ― だけど、この位置情報 ・・・ 合っているのかな、 ちょっとアヤシイよなあ・・・
だいたい 博士がヨコハマの情報に詳しいわけ、ないし ・・・ う〜ん 誰か ・・・
地元の人は 通らないかなあ 〜 」
ジョーはしばらく 観光客っぽく装いきょろきょろと周囲を見回していた。
有名観光地とはいえ、地元住民はごく普通の暮らしをしているのだ。
先ほどの場所には旧い屋敷の間に 少し離れてふつうの民家もちらほら見受けられた。
カラカラカラ ・・・ 買い物カートを引っ張った老婦人がゆっくりと歩いてきた。
「 あ 〜〜! よかったァ〜〜 あの! すみません 」
彼は息せき切って その老婦人に向かって駆けていった。
「 すみません〜〜 ここいら辺に 旧いお屋敷、ありませんか? 」
「 ・・・ はえ? 」
「 あの。 ですから、この付近に現在でも普通に使用されている洋館はありませんか。 」
「 ・・・・・・・・ 」
老婦人は 頭の天辺から足元まで ― じつに繁々と ・・・ いや じろじろと見た。
「 このヘンには な〜〜んもないですよ? 」
「 ― へ??? 」
意外な返答だったので 彼はしばし呆然としたが、でもしっかり( 営業用 ) 笑顔は
キープできていたようだ。
「 え〜 そうですかァ ・・・ あ あの ・・・ 100年近く前のお屋敷とかなんですけど ・・・ 」
「 だ〜から。 こっちの奥はな〜んもないですよ?
・・・ 土地がねえ。 あんまりよくないらしくて。 50年くらい前まではいくらかヒトが住んで
いる屋敷もあったですけどね〜 そうそう ・・・ その後で最後まで残っていた屋敷が
焼けたのでしたっけ ・・・ 」
「 はあ ・・・ 火事ですか。 」
「 今はねえ・・・ 人の住んでいる家はありませんです。 ナンかそのうち県やら市の方で
再開発するってことですけど・・・ 」
「 ・・・ じゃあ ・・・ 焼け跡とかが残ってるんですか。 」
「 焼け跡って もうな〜んもありません。 探せば雑草だらけの中に基礎の土台くらい
あるかもしれないけど。 どうでしょうねえ・・・ 」
「 ・・・ そうなんですか ・・・ 」
「 有名な旧い洋館なら ほら もっとあっちですよ、お兄さんや。 」
「 は はあ ・・・・ どうも ありがとうございました。 」
「 い い〜〜え ・・・ 」
老婦人は坂の下へと道を折れていった。
ふうん ・・・・ ??? 本当に何にもないよね ― 今は。
けど。 GPSは確実にこの区域を示しているんだ
― なにか ある ね ・・ これは。
どうやら 新米少年もやっと < サイボーグ009 > としての勘が働き始めたらしかった。
「 ふうん ・;・・・? この近辺にほっんとうに何にもないんだなあ〜 」
草ぼうぼうになっている空き地に、 数歩踏み込んでみたが特に怪しいモノは見当たらない。
「 ・・・ けど。 なにもないのがかえってヘンだよなあ・・・
焼け落ちてしまったのなら黒こげになった土台、とか 幹が半分焼け爛れた大木などがあっても
可笑しくない。 いや 屋敷が全焼するくらいな大火事なら ― あるべきなのだ。
それとも そんな残骸すらすでに地に還ってしまった というのだろうか。
そんなに 大昔の出来事だったのだろうか。
あまりにもなだらかな草地が 少々不自然だ。
ジョーはしばらく空き地を見回していたが やがて大きく溜息をついた。
「 ふ〜ん ・・・ 本当に何にもないなあ〜〜 」
わざと大きな声で独り言をいい、 彼はぷらぷら ・・・ 外人墓地の方に引き返しはじめた。
監視の目があるとしたら 外しておくにこしたことはない。
今はごく普通の観光客かせいぜい地元民と思わせておけばよい。
彼はもう一度 人の多い地域へと戻っていった。
メインの道路から一段下がった所に ひっそりと開けた空間があった。
「 ― 外人墓地 か 」
カツン ・・・ 墓地の前でジョーは柵に手を掛けた。
古びて錆びた柵だ。 乗越えことはかんたんだが < 人目 > が煩わしい。
「 ・・・ 入ったら怒られる ・・・というよりも目立つよなあ。 見物客もいるし ・・・ 」
「 よう boy ? 」
ぽん、と肩を叩かれ振り返れば ― スキンヘッドと銀髪が所在無さげに立っていた。
「 あ! グレート〜〜 アルベルトも〜〜 」
「 こらこら ・・・ 声が高いって。 ・・・誤解されるぞ。 」
「 誤解?? 」
「 ああ。 お前〜 そのテに好かれるタイプだろ。 」
「 ?? そのて?? 」
「 ふん ・・・ フランソワーズにはナイショにしておいてやるさ。 お前、モテただろ〜 」
「 ぼく、 別に付き合ってた女の子なんていないよ? 」
「 あっはっは ・・・ ボウヤ、オンナノコじゃなくて。 BL ってヤツさ。 」
「 BL ・・・? 」
ジョーは2人を代わる代わる怪訝な眼差しで見ている。
「 なんだ 知らんのか。 とっくに経験済みだと思っていたぞ。 」
「 ??? 」
「 だ〜から〜 鈍いやつだな! 男同士ってヤツさ。 」
「 ・・・ え ええええ 〜〜〜〜 」
「 シッ ! 目立つなよ。 なあ ここがその場所 か。 」
「 ― は?? 」
「 鈍いヤツだな。 すぐに切り替えろよ。 だからマドモアゼルの 」
「 あ ううん・・・ GPSが示した位置はもうちょっと先なんだけど ― なにも無かった。 」
「 ― なにも ? そんなバカな! GPSのデータでは 」
「 うん、知ってる。 だけど本当になんにもないんだ。 003ほどじゃないけど
ぼくだって一応 ・・・普通のヒトよりも遠目は利く。 」
「 ふん ・・・ということは。 ますますなにかあり、だな。 」
「 左様 左様。 ところで ― この中は墓地かい? 随分古びているな。 」
グレートが柵から身を乗り出して中と覗き込む。 墓碑を拾い読みしているのだろう。
「 あ ・・・ うん。 ここはね、外人墓地 といって。
その昔、 この国に来て亡くなった外国人たち専用の墓地なんだ。
ほら ・・・ 十字架とかマリア像とか ・・・ この国の墓地とはちょっと違ったものが多くて。
ここ 人気スポットなんだ。 」
「 へ!? 墓地が人気スポット かあ〜〜 」
「 ウン。 ほら ・・ 十字架とか ・・・ 日本人にはそんなに墓とかのイメージは沸かないよ。
ロマンチックでいいなあ〜 って見ることが多いもん。 」
「 ふん ・・・ ? おい、ジョー。 お前、ここに入ったか? 」
「 え? ううん。 だから立ち入り禁止だから ・・・ナンかやらかしたら目立つだろ。 」
「 ― アレ。 よ〜く見てみろ。 」
アルベルトが ビシっと柵越しに指差した。
ジョーはす・・・っと偏光レンズ眼の照準を合わせた。
「 ・・・・ ハンカチ かな ・・・ 」
「 ほほ〜〜う ・・・ さすがマドモアゼル、というべきだな。 目印、か。 」
「 ああ。 いつだって己の立場を忘れてはいない。 」
「 ?? だから なにが ・・・ 」
「 あのなあ ・・・・ boy ? あのハンカチ、よ〜くみてみろ。 見覚え、ないのか。 」
「 え ・・・ あ!! あれってばフランソワーズの ・・・! 」
「 ふん。 鈍いヤツめ。 おい 入るぞ。 」
黒革の手袋が がしっと錆びた柵を掴んだ。
「 待て 待て。 そろそろ日も暮れる。 夜陰に乗じて ― ということにしようではないか。 」
スキン・ヘッドがその手をやんわりと止めた。
「 ま 無用のトラブルは避けたほうが懸命だからな。
よし。 ここいらを探ってこよう。 日没後に ― 行動開始だ。 」
「「 了解 」」
「 おっと。 諸君、 <きちんとした服装> で頼む。 」
「 え。 なんで? 下に防護服着用、なんだよ? 動きやすい服装が一番だと思うんだけど 」
「 ふん ・・・ まあ これは年長者の意見に従っておこう。 」
「 忝い、アルベルト。 ジョー? ジーンズにパーカー はナシだぞ。 」
「 ・・・ っていわれても〜〜 」
「 制服のでもいいから。 一応ジャケット着てこい。 いいな。 」
「 ・・・ わかったよ でも なんで? 」
「 わからんヤツだなあ。 夜間行動なんだぞ?
動きやすい服装で野郎が三人ごそごそしているのを見咎められたら どうなる? 」
「 ― あ。 」
「 左様 左様。 背広ネクタイなら 万が一何か言われても < 学術調査にきたガイジン >
で通せるだろ? 」
「 ・・・ そっか〜〜 ・・・ 」
「 お前、たいがいにお子ちゃまだなあ〜〜 」
「 ま これから学んで行きたまえ。 かのマドモアゼルに相応しいオトコになるために な。 」
「 ! グレート!! 」
「 おっと 〜〜 こらこら 声が高い。 さ それじゃ。 」
「 おう。 」
「 ・・・ うん ・・・ 」
男たち三人は 何気なく散り別々の方向に去っていった。
・・・ フランソワーズ ・・・! 見つけるから! 必ず!!
ジョーはキャップを深く被り俯き加減で坂道を降りていった。
― コト。 そっとドアを開ければ ・・・ 明るいバス・ルームだった。
「 まあ ・・・ ステキ・・・!
あ ・・・ でも他所のお家でバスを使うなんて ・・・ いいのかしら。
でも わたし、本当にホコリだらけになってしまったし ・・・ 」
とりあえず、手だけでも洗わないと・・・ と気持ちを決めた。
フランソワーズはそう・・・っとスリッパのまま バスルームの中に入った。
そこは現代的なバスルームではなかった。 また彼女がこの国に来て知った 日本風 な
<お風呂> でもない。
広くて明るい空間に 猫足のバスタブがどん、と据えてある。 多分、陶器製だろう。
横には洗面台があり、凝った意匠のタイルで縁取られた鏡が付いていた。
「 ・・・ 懐かしい ・・・! こんなに新しくなかったけど ・・・ ウチのバスと似ているわ。 」
彼女は溜息をつき、おおきなバスタブに触れた。
棚にさり気無く置いてある貝殻の形の石鹸やら色付きのガラス瓶に入ったシャンプーやら
トワレやら大きな海綿のカタマリやら ・・・ その部屋にあるものはどれもこれも
彼女には慣れ親しんだ同じ時代の < 仲間 > だったのだ。
「 まあ このタオルも。 ボルドー社のね! 」
ふわふわのバス用のタオル一式も ちゃんと鏡の前に積んであった。
「 ― いいわ。 わたし 使わせて頂きます ・・・! 」
― 半時間後。
客用寝室のドレッサーの前で 彼女はゆっくりと髪を拭っていた。
「 ・・・ ああ ・・・ いい気持ち。 やっぱり随分と埃っぽい日だったわね ・・・
ふふふ ・・・ なんだか本当に久し振りでバスを使った気分 ・・・ 」
ほう 〜〜 ・・・と息を吐いて 鏡の中の自分に微笑んだ。
あの島ではバス・タイムなどなかった。
入浴ではなく洗浄であり マシンの汚れを落とす ― そんな意味での作業にすぎなかった。
そしてそんな待遇に対しても次第に何も感じなくなっていた ・・・
脱出に成功して ― 極東の国で初めて < お風呂 > というものを知った。
その国出身だという茶髪の少年が 一生懸命使い方を説明してくれた。
ふうん ・・・ ま、 部屋にシャワーも付いているから ・・・
別にソレを使わなくても いいし。
それに、わたし。 パリに帰るから ・・・
初めはなんとなく敬遠していたが 一回入ってみると ― たちまちトリコになった。
「 ・・・ すご〜〜い ・・・ 気持ちいいし ・・・ 本当に疲れが取れるわ。
脚が軽くなったもの。 ああ ・・・最高♪ 」
これは他のメンバーたちも皆同じだったらしく、 程無くして邸の風呂は広く大きな日本風の
<風呂場> に改築され大好評となった。
それはそれで楽しいけれど ― 以前に使い慣れていたバスとは縁がない日々が続いていた。
「 ・・・ ふ〜 ・・・ やっぱり ・・・ず〜っと慣れていたバスって・・・リラックスできるわ
日本のお風呂も好きだけど あ〜 心の隅々までキレイになった気分 ・・・ うふふ いい香り・・・ 」
彼女は我が肌から薫るボディ・ローションを楽しんだ。
コン コンコン ・・・
密やかなノックが聞こえ当家の女主人の声が聞こえた。
「 入ってもよろしいかしら? マドモアゼル。 」
「 はい どうぞ。 」
フランソワーズはドアまで駆けて行った。
あの女性が なにやら衣類を手ににこやかに入ってきた。
「 マダム? ・・・ あの ・・・ 図々しくバスを使わせて頂きました。 ありがとうござました。 」
「 うふふ ・・・ ご気分よく使っていただけまして? 」
「 はい とっても ・・・ 」
「 それはよかったわ。 」
マダムは艶然と微笑むとフランソワーズの頬にそっと触れた。
「 とてもよい顔色になったわね。 ・・・ まあとてもキレイな肌をしていらっしゃる ・・・ 」
「 ・・・ あ あの ・・・ わたし ・・・ 」
「 ねえ。 フランソワーズ? わたくし、貴女をティー・パーティにご招待しましたのよ?
だから ね? このドレス。 お召しになって頂戴。 」
「 ― え ・・?? 」
ぱさり、とマダムは手にしていた衣類を彼女に見せた。
「 丁度ね、 わたくしの弟が訪ねてきましたの。 ですから皆で楽しくパーティにしましょう。
ねえ この色・・・ お好きかしら。 」
マダムが広げたのは薄いアクアマリンみたいな春の空色のドレス。
「 まあ ・・・ 綺麗な色ですねえ 」
「 これね、わたくしのお気に入り。 主人が特別に染めさせたものなの。
貴女にはちょっと大きいかもしれないけれど ・・・ ねえ 是非お召しになってみて? 」
「 ・・・ そんな ・・・ 大切なドレスを ・・・ 」
「 あら お気に入りだからこそ大切な方にお召しになって頂きたいのよ。
うふふ ・・・ 勝手なことばかりお願いしてごめんなさい。 」
「 え ・・・ いえ ・・・ でも ほんとうにいいのですか? 」
「 お願い♪ うふふ ・・・ お客様はいつだって大歓迎なの。
あ ・・・ ドレッサーにある化粧品、 どうぞご自由にお使いになってね?
1時間ぐらいでお支度、おできになるかしら。 」
「 はい。 」
「 それじゃ ・・・ 1時間後にまたきます。 うふ・・・ 楽しみだわ。 」
「 ・・・ ありがとうございます。 」
すっと顔を寄せると 彼女はフランソワーズの頬に軽くキスをして、軽やかな足取りで
部屋を出ていった。
「 ・・・ なんだか不思議な方 ・・・ そして不思議なおうち ・・・ 」
あらためて部屋を見回してみた。
天井の高い古い様式の < 客用寝室 > だが カーテンも調度も立派なものだった。
レースのカーテンの外にはどっしりした緞子のカーテンがさがり、壁には凝ったゴブラン織りの
タペストリーが飾ってある。 足元に広がるのは毛足の長いペルシャ絨毯・・・
天井から下がるのはクリスタルのシャンデリアだ。
「 ・・・ きっとどれも本国から送らせたんだわ。 贅沢なお家なのね。 このドレスも・・・
ああ やっぱり。 ホンモノのシルクね。 」
輝く空色のドレスを広げつつ 彼女は呆然と呟いていた。
「 ・・・ 夢? 夢なら ― もうちょっとだけ覚めないで ・・・ 」
ザワザワザワ ・・・・・ ゴ ・・・
陽が落ちてから風が一層強くなった。
ジョーは足音を消し、すばやく石段を登る。 例の場所まであと少しだ。
≪ ・・・ ジョー。 今 着いた。 ≫
≪ おう、我輩も 着いたぞ ≫
≪ グレート。 アルベルト。 ぼくも・・・ 柵を越えた。 ちゃんとジャケット着てきたよ! ≫
― ガサ。 闇の中でサイボーグ達は 再び集合した。
「 出発だ。 」
「 了解。 GPSで確認した位置は この近辺なんだ。 」
「 ふむ ・・・ 一応 墓所の中を歩いてみようではないか。 永遠の眠りに付いている人々の
邪魔にならんように な。 」
「 ・・・・・・・ 」
グレート、 アルベルト、 ジョーの三人とも下にはしっかりと防護服を着込んでいる。
三人は足音を立てぬように ゆっくりと歩き始めた。
小石が敷き詰めてあったり、石畳の小路が敷いてあったりするが、雑草がはびこっていたり
風雨にさらされ損傷していたり ― 足元はかなり不安定だった。
時折 上の道路に車が通るが こちらをわざわざ照らすような物好きはいなかった。
サクサクサク ・・・・ サクサク ・・・
三人は周囲にそれぞれのレーダーを張りつつ 進んでゆく。
「 あ。 この先は柵だね。 」
「 そうだな。 ここから下に降りるとするか。 」
「 ふん ・・・ この墓所はそんなに広い場所ではないはずだな? 」
「 うん。 ただ傾斜地だからね かなり奥の方まで広がっているはずだよ。 」
「 ・・・ にしても。 先ほどから我々は相当な距離を歩いていると思わんか。 」
「 ああ。 ・・・ どうも 胡散臭いな。 みろ。 草地が広がっている。 」
「 え?? そんなはず ・・・ あ。 ここ ・・・ さっき見たところだよ。 」
「 なんだって? 」
ジョーはすたすたと前方に歩き出し、屈みこんで地面に触れている。
「 うん ・・・ 間違いない。 この雑草、さっき見たのと同じだよ。 」
「 さっき・・・とはboy が夕方歩いていた方かね? 」
「 うん。 人通りも疎らでさ、なんにもなかった。 地元の人が 昔火事があってから
何もないんだって言ってたんだ。 」
「 ― 位置的に 合わんはずだが。 」
「 左様・・・ うん?? お ・・・ おおお ・・・ 見ろ 諸君!! 」
「 ・・・ ああ !? 」
「 うむ?? 」
ゆらり ― 一瞬 夜の空気が歪んだ ・・・ ふうに思えた。
そして 次の瞬間、 三人の目の前には堂々たる門構えの洋館が現れた。
「 な ・・・ なんだ??? 」
「 ・・・ ふむ。 フォログラフの類では ないな。 」
「 うん。 ほら ・・・ この門はホンモノだよ。 」
ジョーはすたすたと近づいてゆき、石造りの門柱に触れた。
「 おい! 気をつけろ! 」
「 大丈夫だよ。 ・・・ 向こうから姿を見せたんだもの。 あからさまなトラップは使わないさ。」
「 ・・・ と 思うがな。 まあ 用心するに越したことはない。 」
― で? ・・・と グレートはくい、と親指を目の前の邸に向けた。
「 ああ。 正々堂々、門から訪問だ。 」
「 だ な。 諸君、服と靴の塵を払っておきたまえ。 」
「 あ ・・・ うん。 !! ねえ ここ! GPSの示した場所だよ! 」
ジョーはスマホをちらり、と確認して小声で伝えた。
「 ふん ・・・ やなり な。 」
「 よし。 では ― 訪問するぞ。 」
グレートは威儀を正し玄関ドアの正面に立ち 古風な呼び鈴を押した。
「 さあさあ こちらよ、フランソワーズ。 」
女主人は華やかな声で 彼女のお客を案内した。
「 思ったとおり♪ とってもよくお似合いになるわ〜〜 可愛い♪ 」
「 ・・・ え ・・・ おそれいります・・・ 」
当家のマダムのドレスを借り、髪を軽く結ってもらい。 さらには生花を髪と胸に飾って ・・・
フランソワーズはこの邸の客間へと入っていった。
「 ・・・ あ ・・・ お客様が沢山・・・ 」
「 うふふ・・・ そうなのよ。 初めはわたくしと弟で貴女をお迎えしようと思ってたの。
でもねえ、貴女があんまり可愛いらしいし・・・ パリのお話も伺いたくて。
この街での仲良しさん達をお呼びしたの。 」
ホールの中には シックなドレスの紳士やら婦人が数人、和やかに談笑していた。
「 まあ ・・・ 」
「 皆さま マドモアゼル・フランソワーズをご紹介しますわ。 」
マダムの声に客人たちはゆっくりと集まってきた。
「 まあ 可愛いらしい方・・・ 」
「 ご機嫌よう マドモアゼル 」
「 こちらにご滞在かな。 」
「 うれしいわ、 同じ年頃の方がいらして 」
「 マダム、いつお知り合いになったの? 」
人々に取り囲まれ 暖かいまったりとした空気に包まれ ― フランソワーズは頬を上気させる。
「 あ あの ・・・ ショウナンの方に。 はい ・・・ か 家族と ・・・ 」
なんだか ・・・ とても懐かしい雰囲気 ・・・
・・・ でも。 なんだかちょっと 変 ・・・ね?
この人たち。 マダムもだけど。
服装とか ― 古風すぎるわ。
わたしのママンが若い頃の写真で見たのと似ているわ
あ ― わざと? そういう趣味の方々の集まりなのかしら ・・・
にこやかに、でも少しぎこちなく応えつつ彼女は周囲を観察していた。
「 姉様。 」
金髪の青年が足音も高く近づいてきた。
「 まあ ジロウ。 どこに居たの? 探しましたよ。 」
「 すみません。 温室で花を見繕っていたので ・・・ ほら。 」
青年は薫り高い薔薇の花束をマダムに渡した。
「 まあ ありがとう! 今日のパーティに相応しい贈り物ね♪ 」
「 ・・・ 姉様の仲良しの方が見える、と聞いたので。 」
「 ええ ええ そうなのよ。 ご紹介しますわ、フランソワーズ。 」
マダムはフランソワーズの手をとった。
「 フランソワーズ、 わたくしの弟ですのよ。 ジロウ、こちら、マドモアゼル・フランソワーズ。 」
「 初めまして マドモアゼル・フランソワーズ。 ジロウと申します。 どうぞ宜しく。 」
「 まあ ・・・ ムッシュウ・ジロウ。 こちらこそ ・・・ 」
青年はサラサラと金の髪を揺らして 彼女の手に口付けをした。
「 ふふふ ・・・ ジロウ、お相手をお願いできる? 」
「 喜んで 姉様。 ― ちょっと失礼 ・・・ 」
彼は姉に渡した花束から一本、白い薔薇を抜き取るとフランソワーズのドレスに添えた。
「 ほら ・・・ この花は貴女のために咲いたのですね 」
「 まあ ・・・ 折角の花束が ・・・ 」
「 あらあ〜〜 すごくお似合い。 ほら ・・・ こうして ・・・ 」
マダムは巧みにフランソワーズのドレスに白薔薇を留めた。
「 姉様 ありがとう! なんて綺麗なんだ ・・・ 」
「 ・・・ え あ あら ・・・ 」
惚れ惚れと見詰められ フランソワーズは真っ赤になってしまった。
「 ふふふ ・・・ ジロウ? そんなに見詰めたら フランソワーズが困っていてよ?
さあさ ・・・ 少しお喋りでもしていらっしゃいな。 美味しいワインもありますし 」
「 はい。 さあ どうぞ、フランソワーズ ? 」
「 ・・・ は はい ・・・ 」
青年にエスコートされ 彼女はゆっくりと客間の中に進んでいった。
「 ありがとう・・・ 姉の話し相手になってくださって ・・・ 」
「 え? いえ わたしの方こそ こんな風に誘って頂きましてありがとうございます。
お姉様はとても優しい方ですのね。 」
「 ・・・ 姉は ・・・ 義兄の帰りをずっと待っていて ・・・ ずっと ずっと ・・・・
淋しい境遇なんです。 誰か話し相手がいるといいんだけど ・・・ 」
「 あら お友達がたくさんいらっしゃるではありませんか? 」
フランソワーズは広間の中央に視線を向けた。
所々に置かれたテーブルを囲み 人々が談笑している。
優雅な調が低く流れ ・・・ ワイン・グラスが煌き 花やケーキの甘い香りが漂う。
そんな中で この邸の女主人は客人たちの中心となっていた。
「 楽しそう ・・・ ステキなお姉様ですわね。 」
「 ・・・・・・ 」
青年も黙って眺めていたが その頬には淋しい微笑みが浮かんでいた。
「 皆 待っている人々だから・・・」
「 待っている人々? 」
「 あなたが ― 必要なんですよ。 」
「 ― え? 」
「 あなたも < 待って > いるのでしょう? 」
「 ・・・ 待って ? 」
「 そう。 ずっと ずっと ・・・ 待って いるのですね? 」
「 待つ って ・・・ 」
「 貴女の帰りたい処へ 貴女の会いたい人の元へ ― 戻れる日を ・・・ 」
「 ええ ・・・ 待って いるわ ・・そうよ、ずっと! でも ・・・ でも ・・・ それは・・・ 」
フランソワーズの頬に涙が転げ落ちる。
「 姉も 待って います。 ずっと。 ずっと ・・・ 」
「 ・・・ お姉様も? ・・・ジロウ、 あなた は? あなたも 待っているの? 」
「 ・・・・・・・ 」
彼はフランソワーズの問いに 黙って微笑んだだけだった。
言葉はなかったけれど その微笑みには深い深い哀しみが籠められていた。
「 ・・・ ムッシュウ・ジロウ ・・・ 」
す・・・っと彼の手が彼女の手を包んだ。
「 ここは。 この邸は そんな心が集まるところなんです。 」
「 ・・・ 心 が ・・・ 」
待っていたよ ・・・ ファン ・・・・
「 !?? お お兄さん ・・・? 」
一瞬 懐かしい ・・・ とても懐かしい声が聞こえた ― 気がした。
「 まあ ・・・ その方、こちらにいらっしゃいましたの? 」
優雅なドレスに身を包んだ婦人は 声を低くして訊ねた。
「 はあ。 彼女を最後に見たという人から聞いたのですが。
こちらのお邸の方に向かっていた、と ・・・ 」
グレートも低い声で応え慇懃に会釈をした。
「 そうなのですか。 ああ でも残念ですが ・・・ 当家にはいらしておりませんのよ。 」
「 ・・・ そうですか・・・ これは失礼を。 」
「 でも ・・・ 少しお話を伺いましょうか。
この近所でしたらお友達も多いので 皆に聞いてみましょう。 どうぞ? 」
「 こんな夜分にお邪魔しても構わないのですか。 」
「 ええ ええ どうぞ。 」
この邸の女主人だ、という婦人は三人の男たちを快く迎えいれてくれた。
もっとも ・・・ ドアを開けた執事は慇懃な態度ながら鋭い目つきで闖入者たちを見張っていたし
銀盆にグラスを乗せて通り過ぎていった召使達は皆、立派な体格の青年だった。
彼らでこの屋敷のガードを固めているのかもしれない。
≪ なんか随分 ・・・ 無防備なウチだね? ≫
≪ はん! ジョー、お前、その目は節穴か!? ≫
≪ え〜〜 なんでだよ? ≫
≪ ふふふ boy? ここのお人らは 見かけ通り じゃあないな ≫
応接間に案内される途中 彼らは忙しく通信しあっていた。
「 どうぞ、 お入りくださいな。 」
婦人は 凝った彫刻のあるドアの前で止まった。
廊下の奥からは大勢の人の気配と微かだが流麗な楽の音が聞こえた。
「 マダム ・・・ 本当にお邪魔ではないのでしょうか。 」
「 ええ。 いつだってお客様は大歓迎ですわ。 」
「 はあ しかし なにやら ― お集まりでもあるご様子・・・無粋な我々闖入者が
折角のお楽しみを邪魔しては申し訳ないですからな。 」
「 うふふ ・・・無粋かどうかは ― まずはお話を伺わないとわかりませんもの。
それに そのお嬢さんのこと、ご心配でしょう? 」
「 はい!! 」
一番後ろから ジョーが唐突に返事をした。
「 ・・・ あら。 うふふ ・・・ あなたの大切な方なのかしら。 」
「 ・・・ あ い いえ あの ・・・・ 。 はい。 」
ジョーは真っ赤になりつつも はっきり言い切った。
≪ ほほう〜〜〜? 珍しく大胆な発言だな。 ≫
≪ ふん。 やっと腹を括ったか。 ≫
≪ ・・・わ〜〜〜〜 黙っててよ〜〜〜 ≫
「 まあ ・・・ それで その方はこちらの方にいらしたのですか。 」
応接間で 婦人は熱心に彼らの話を聞いてくれた。
「 はい。 彼女、本来ならば東京に舞台公演を観にゆく予定だったのですが ・・・
どういうわけか こちらに来てしまったようで。 」
「 うふふ ・・・ お年頃の令嬢は気紛れですからね。
きっと ・・・ほら、こんな早春の光に誘われて 海でもご覧になりたかったのじゃありません? 」
「 は あ ・・・ 」
「 あの! 彼女 ・・・ この街、初めてなんです。
っていうか ・・・ 日本にあんまり慣れてなくて。 本当なら ぼくが・・・その、付き添ってゆくべき
だったのに! それなのに〜〜 あ! それで ぼく いえ ぼく達 心配で ・・・ 」
珍しくジョーは雄弁に説明をする。
「 そうですか。 それはご心配ですわね。
そうだわ。 あのね、 今 ・・・ ご近所の方々と小さなティー・パーティを開いておりますの。
皆様をご招待しますから わたくしのお友達に伺ってごらんになっては? 」
「 ― は ・・・ ? 」
「 ・・・ え。 我らを その・・・内輪のお集まりに加えていただける、と仰る? 」
「 ぼ ぼく達を ・・・ 」
「 ええ ええ。 新顔さんは大歓迎ですもの。 どうぞご遠慮なく。
皆 この地域の方々ですからなにかご存知かもしれませんわ。 」
「 マダム? ご好意に甘えても本当にお宜しいのですか?
あ〜 立ち入ったことを伺うようですが ― 当家のご当主殿のご意見は ・・・ 」
「 主人は ― 本国に帰っておりますの。 ですから今はわたくしが当家の主人ですわ。 」
「 それは 失礼いたしました。 では ・・・ 」
グレートは丁寧に会釈をした。
「 我ら三人、 ご招待に預からせていただきます。 」
「 ・・・・・・ 」
「 ・・・ よ よろしくおねがいします! 」
アルベルトは無言で少し頭を下げ、ジョーは ぺこり! と身体を折った。
「 まあまあ 嬉しいわ。 ふふふ ・・・ ちょっとだけお待ちになってね。
わたくしのお友達にお知らせしてきますから。 あ ・・・ レスト・ルームはあちらですわ。 」
女主人な艶然と微笑むと 裳裾を翻し足取りも軽く応接間を出ていった。
「 ・・・ ひょう〜〜 ・・・ なんともはや ・・・ 」
「 ふん。 乗るっきゃねえな。 グレート、お前さん風に言うのなら虎穴に入らずんば 」
「 フランソワーズはトラの子じゃあないよ! 」
「 ジョー。 オヌシ、ユーモアの通じんヤツだなあ〜〜 」
「 ??? 」
「 まあ いいさ。 少しめかしこんでおこう。 」
「 左様 左様。 boy ? ネクタイが曲がっておるぞ。 」
「 あ・・・ う うん ・・・ 」
三人なごそごそ ・・・ 身だしなみを調えた。
コンコン ― 低いノックと共に先ほどの執事氏が顔を出した。
「 失礼いたします。 大広間にご案内いたします。 」
「 ― うむ。 お願いする。 」
グレートは若年者2人を従え、悠々と廊下を歩いていった。
ギ −−− ・・・・ 大広間の扉が 開いた。
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: 03,05,2013. back / index / next
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すみません ・・・ 続きます ・・・
なんだかだんだん話が違う方向にズレてきた ・・・ かも??
まあ 一応 あの話 のつもりですが。
お宜しければあと一回、お付き合いくださいませ。