『 かく語りき ― (2) ― 』
カアア −−−−
あ またカラスの奴らがいるなあ。
ちょっくら追っ払ってくるか・・・
― え? ハナシの続きが聞きたいって?
・・・ う〜ん ・・・前の前のにゃん生の時、コズミ先生んちのコだった
時のことだろ?
まあまあ平和な猫生、 あ いい嫁サンと沢山の可愛い仔にゃん達に
恵まれてたし。 俺様としては 穏やかに生きたな。
え あの少年とワンコウのこと? それからどうなったかって?
あんまし あの後あの家に行くチャンス、なかったんだ。
やっぱし ウチから遠いし さすがの俺でも自分ひとりで行って帰れる自信、
なかったし ね。
ほら なにしろ嫁さんと仔にゃんらがいるだろ、無茶はできないよな。
でも さ。
アイツ どうしてるかなあ・・・
・・・ また お墓の前に座り込んでいるのかな
そこじゃないよ、あの茶色わんこは。
お前のすぐ側にいるぜ
一言、彼に教えてやりたいな〜〜〜って思ってた。
― で 久し振りに先生にねだったんだ。
「 にあ にあにああ〜〜〜〜 ( あのウチ 行きたいデス ) 」
「 お なにかな トラ。 珍しくおねだりかい 」
この先生は かなり猫語を理解できる御人にゃった。
俺は先生に切々と訴えた。
「 にああ〜〜〜 にあにあ〜〜 ( あの茶色毛の少年が
心配デス。 あのウチ つれていってください) 」
先生は ぽんぽん・・・と優しく俺のアタマを撫でてくれる。
「 ああ ・・・ あの家かい?
トラは あの家を訊ねてみたいのかな 」
「 にゃあ! ( そうです 先生 ) 」
「 う〜〜ん ・・・ いやあ その なあ。 いろいろあって・・・
今は誰も住んでおらんのだよ あそこには
」
「 ・・・ にゃ? ( な なんですと? )
あ あそこのヒトたちは ・・・ 虹の橋? 」
「 いやいや・・・ 元気じゃよ。
ただ なあ いろいろ事情があって 旅に出たのじゃよ 」
「 にゃ・・・ にゃあ・・・ ( そうスか・・・
もう帰ってこないんスか? ) 」
「 いや。 必ず戻ってくる、とギルモア君もジョー君も
言っておった。 おお そうじゃ 散歩がてら行ってみるかい?
あそこには ほれ あの墓があるはずじゃ。
お参りしてこようかのう 」
「 にゃ! にゃにゃにゃ〜〜〜〜 ( はい 先生! 大賛成! ) 」
「 そうかそうか トラは賢いのう 」
― 俺にしてみれば < かしこい > のは 先生の方さ。
猫語をほぼ理解できるニンゲン なんて〜〜 レアもん なんだぜえ〜
それで 春もまだ浅い晴れた日。
俺は コズミ先生のお供をして あの家に行ったんだ。
その時は クルマだった。
「 さあ ・・・ ここに止めてよいかな。
そら トラ? 賢いお前のことじゃ リードはいらんな? 」
「 にゃ。 ( はい 先生 きっちりここに戻ります ) 」
俺は胸を張ってしっかりと誓った。
「 よしよし・・・ ウマそうな草を食うもよし、のびのびトイレをするもよし。
さあ 遊んでおいで 」
「 にゃあ〜〜 ( ありがとうゴザイマス ) 」
キ ィ −−− アイアン・レ―スの門は 嫌な音を立てた。
「 にゃああ〜〜〜〜〜 ( 俺が来たぞう〜〜 ) に・・?? 」
一足 踏み入れ ・・・ 俺の脚はとまったんだ。
そこに 家はもうなかった・・・
芝生がかすかに残ってて 雑草どもが我が物顔にのさばってたぜ。
そんな中 くんくん・・・? なにか焦げ臭い・・・?
慎重に歩いてゆくと ― なにか黒っぽいモノが固まっている。
あ これ 知ってるぜ ! 火事があったんだ?
俺には焼け跡があるのが ちゃんとわかった。
あの家は 燃えちまったんだ。
茶色毛の泣き虫少年 と 美メスな金色毛は どうしたんだ?
にゃ! 俺は 裏庭だった方向に駆けていった。
あの白い石の墓は 残ってた よ ・・・
「 ・・・ にゃあ・・・? ( おい くびくろ。 いるか ) 」
俺は念のため アイツを呼んでみた。
返事は なかった。
うん。 墓にはあのワンコウは いなかった。 当たり前だよね。
アイツはいつだって あの茶色毛の少年と一緒 なんだから!
ってことは 少年は無事だってことさ。
うん ・・・ それなら いいさ。 生きてさえ いれば。
「 にゃあ 〜〜〜〜 ・・・・ ! 」
俺は その土地に別れを告げ 先生の待つところに戻った。
「 ・・・ おお トラ。 お帰り。 楽しんできたかな 」
「 にゃ。 ( はい 先生 ) 」
「 ここも ・・・ 淋しくなってしまったが ・・・
ギルモア君は必ず帰ってくる、 と言っておった。
その日を楽しみに待とうじゃないか なあ? 」
「 にああ〜〜 ( そですね 先生 ) 」
「 うんうん ・・・ トラは賢いのう〜〜 」
「 にぃ〜〜〜 」
先生は 俺のアタマを優しく撫でてくれたっけ・・・
― それから 俺はあの場所には行かなかった。
誰もいないってわかったし ね。
それにさ。 おれ自身、いっそがしくなっちまったんだ。
なにがって さ。
俺のカミさんが 二度めの仔猫を産んで ― 今回は5にゃん。
もう二人で子育てにてんてこ舞い ・・・
とてもヒトさまのことに 首突っ込んでるヒマなんぞ なくなった。
・・・ウン でもよ 楽しい日々だったぜ。
そんなこんなで あん時、俺は < 天寿を全う >ってヤツさ。
最後まで連れ添ってくれた恋女房のカミさんに看取られて
虹の橋を渡った。
ああ ちゃんと言ったぜ? 俺のカミさんにな
ありがとう。 お前のおかげでいい人生にゃった ・・・
アイツは 涙ながらに応えてくれたよ。
ありがとう アンタ。 また・・・会いましょうね
― ホント、 いい猫生だった。
まあ そんなことやらあんなことを
このウチに来てふ・・・っと思い出したってわけ。
うん? ああ あの茶色毛の少年と金色毛の美メスが ここんちの
< おと〜さん > と < おか〜さん > になってるって
すぐにはわかんなかったよ。
― ただ 手を舐めた時 このかわった味はどっかで出会ったぞってだけは
気がついたけどね。
ニンゲンっヤツは 俺ら猫族よりゆ〜〜〜っくり年、 取るからな。
あの二人が よ〜〜くみれば昔とあんまし変わってないっことも
そんなコトも ニンゲン・あるある かなあ〜 って思った。
< おと〜さん > も < おか〜さん > も 行き倒れてた仔猫の
俺様を 優しく保護してくれたもん、それでいいさ。
毛色違いのチビ達と一緒に 俺は愉快に暮らした。
朝、チビ達はの〜〜んびり寝てる俺を さささっと撫でて。
「 そんじゃね〜〜 虎の介〜〜 いってきまあす! 」
金色毛のアネキは毎朝元気いっぱい かる〜〜い足取りででかけてゆく。
「 すばる はやく食べなさい 遅刻よ 」
「 う〜〜 ・・・ あ 虎の介のごはん 」
「 虎の介にはお母さんがご飯をあげます。 すばるは自分のご飯を
ちゃんと食べなさい 」
「 ・・・ ん ・・・ ( むぐむぐ ) 」
「 食べた? ほら ランドセル〜〜 」
「 ・・・ まだ ぎうにうがのこってる 」
「 ん〜〜〜 とっておくから帰ってから飲みなさい! 」
「 ・・・ う〜ん ・・・ あ とらのすけ?
僕のぎうにう、飲んだらダメだよ? いい? 」
に〜〜〜あ ( わかったから はやくゆけよ! )
「 ほらほら 虎の介も はやくって! 」
「 ・・・ ん ・・・ 」
茶色毛の弟は 口をむぐむぐいわせてつつ たかたか駆けてゆくんだ。
「 はあ〜 やっと出かけたわ。
あ わたしもレッスン! 虎の介 お願いね〜〜〜 」
< おか〜さん > は 俺に美味い朝ご飯 ( かりかり + ちゅ〜る )
を お皿に入れてくれて 顎の下を撫で♪
「 あ〜〜 ジョー ちゃんと起きれるかしら・・・ 」
「 にゃ! に〜〜〜あ〜〜〜 ( お任せください! ) 」
俺は胸を張ってこたえる。
「 そう? じゃ お願いね。
博士〜〜〜 お昼のサンドイッチは冷蔵庫で〜〜す
いってきまあす 虎の介 お願いね 」
俺のアタマをひと撫で 大きなバッグを抱え、軽い足取りで
でかけて行くんだぜ。
はあ ・・・ かっこいいなあ・・・
スレンダーなメス猫って 最高だぜ
しっかりお見送りしてから 俺は寝室に駆け上ってゆく。
「 に〜〜あ〜〜〜〜〜〜 ( 起きろよ ) 」
ドアの前で一声、そして イッキにベッドに飛び乗る。
「 ・・・ ん ・・・・ 」
< おと〜さん > は 毛布にくるまったままさ。
「 にあ にあああああああ ! ( 起きろ! ) 」
うぐぐ〜〜〜 俺は毛布を咥えてひっぱる。
ずさささ ・・・・ ばたん ごろん。
「 ・・・って〜〜〜 う あ・・・ 朝 かあ・・・ 」
床の上で < おと〜さん > は まだぼ〜〜っとしてるぜ。
俺は 彼の膝に飛びのって ―
「 にあああ あああああ 〜〜ん ・・・ ! ( 起きろ ) 」
「 ・・ あ? あ〜〜 いかん 遅刻する〜〜〜
起こしてくれたのかい 虎の介〜〜 ありがと〜〜
う〜〜〜 加速そ〜〜ち のつもり! 」
ドタバタ じたばた。 ああ やっと出掛けていったよ・・・
< おか〜さん > との約束を果たせて 俺様はほっとする。
「 おやおや やっとジョーは出かけたか・・・
おお 虎の介 ・・・ ご苦労じゃったなあ
ほれ 仔猫用のミルクがあるぞ お飲み 」
「 にあああ♪ 」
じい様は 俺のお皿にとびきり美味いミルクを注いでくれるんだ。
にゃんにゃんにゃ〜〜〜〜ん ・・・
洗顔と毛づくろいしてから のんびり散歩するんだ。
昼間は ここの広いウチん中 探検したり、 時には庭に出してもらえた。
休日には 洗濯モノ乾してる < おか〜さん > の近くで
木登りしたり 虫を追いかけたり 遊んだもんだ。
「 あらあら・・・ 虎の介 はまだまだ仔猫ちゃんなのねえ 」
< おか〜さん > は 笑って俺の顎の下を撫でてくれる。
「 ・・・ みゅう〜〜〜〜♪ 」
俺 嬉しくてごろごろ〜 言っちまうよ〜〜
「 オヤツ あげましょうね 煮干しがいい? 」
「 にゃ! 」
「 はいはい キッチンにいらっしゃい 」
「 にああ〜〜ん♪ 」
「 虎の介、お庭が好き? よく遊んでいるわよね 」
「 にゃあ。 」
「 ウチのお庭、好き? 」
「 にゃ。 ・・・ にああ〜ん にあ 」
「 そう? ここにはね ・・・ ほらあそこ、お花が咲いてる木が
植えてあるでしょう? あの下にね 眠って居るわんこがいるのよ。
ジョーがとてもとても大事に・・・そうね 愛していた犬なの。 」
「 ・・・ んにゃ 」
「 とっても悲しいお別れをして ・・・ジョーは今でも悲しんでいるわ。
だから ずっとクビクロが淋しくないようにって椿の木を植えたの。
・・・ ねえ ・・・ 」
俺はわかってるけど < おか〜さん > の話に耳を傾けた。
懐かしいなあ〜って気持ちもあったしね。
「 いろいろあって・・・ ジョーはどうしても忘れられないみたいね。
・・・クビクロは 空からみててくるわよね きっと 」
「 にゃ。 にゃあ〜〜〜 」
アイツは いつだって < おと〜さん > の側にいるよって
説明したかったんだけど ・・・ わかんなかったみたいだな。
「 うふ? ねえ 虎の介。 虎の介も ・・・
ずっとわたし達をみててくれる? そのう 空の上から・・・
ねえ きっとわたし達は虎の介よりもながく生きなければならないから
・・・ お願い ね ・・・
だあれもいないって 淋しいもの 」
「 にゃ! 」
俺は < おか〜さん > の腕に飛び込んだよ〜〜
そんなこと、言わないでくれよ〜〜って ね。
「 にあ にああああ〜〜〜ん 」
< おか〜さん > の白い頬には涙が幾筋も流れ落ちてる。
ぺろりん。 俺 舐めたさ そんな ・・・ 泣くなよぉ〜
「 ・・・ ありがと、虎の介。 あなた 本当にお利口さんね 」
ぽふ。 俺、肉球サイン を < おか〜さん > の額に押したさ。
肉球サイン ― 知ってるかい?
俺達 猫族が特別に愛したニンゲンの額の押すシルシさ。
え? そんなのみたことないって?
にゃははは・・・ あったりまえじゃん。
鏡 みても無駄にゃよ、ニンゲンには見えないんだ。
このヒト! って決めニンゲンのおでこにさ
猫神様から預かったシルシを ぽん、と押す。
そうするとな〜 そのニンゲンは一生 猫族の庇護を受けるんだ。
これは絶対保証 だな。
俺? うん・・・ 今までじゃ コズミ先生に押したぜ。
ワン公達は大事な飼い主さんに その生涯が終わるまで付き添うんだ。
そして しっかりがっちり護る。
うん 魂になってもな。 そして一緒に天国まで送る。
そして 次のワン生を始めるのさ。
俺ら猫族とはそこが違う。
そうさ ワン公やら俺ら猫族を大事に愛してくれたニンゲンはね
一生 加護が得られるってことなんだ。
「 にゃ あああ 」
俺は < おか〜さん > にアタマを押し付けて思いっ切り甘えた。
「 ふふふ 虎の介〜〜 可愛い・・・
あ オヤツにするんだったわね。
ニボシ 好きかなあ? 猫さんにはお魚がいいと思うけど 」
「 に? に〜〜〜 」
俺 ニボシ ってよく知らなかったけど 喜んでちょんちょん付いていったよ。
( ニボシ は すっげ〜〜〜 うまかった♪ )
午後には チビ達も帰って来て。
ウチの中は一気に賑やかになるんだ。 やっぱ 皆がいる方が楽しいよね。
チビ達と一緒に遊んだり < べんきょう > に付き合ったり した。
「 ん〜〜 っと ・・・ で こう〜〜でしょう? 」
金色毛のアネキは さっさか進める。
えんぴつ って棒をするする動かしてな。
俺 あの棒が面白くてにゃらにゃら手をだしたりした。
「 ん〜〜 ・・・ あ〜〜 虎の介〜〜 だめぇ〜〜
あ〜あ 書き直しじゃん・・・ ほら 手 どけて 」
「 にあ? 」
「 しゅくだい、終わったら 遊ぶからさあ ・・・
えっと 算数どりる は終わったし〜 あとは漢字どりるぅ〜 」
その後は 彼女が えんぴつ を使うの、俺はじっと見てた。
だって さっさか終わらせれば 遊べるもんな〜〜
「 〜〜〜っと おしまい。 明日のようい して・・・
さ 虎の介〜〜 あそぼ ♪ 」
「 にああ♪ 」
「 あはは・・・ もふもふだねえ〜〜〜
虎の介のシッポって おもしろ〜〜〜 さきっぽがくいっとまがってる 」
「 にゃ。 にゃあん 」
俺は自慢のカギシッポを ぱた〜〜んぱたん 振ってみせた。
「 わあ〜〜 すっご・・・ いいな〜 いいな〜
アタシにもシッポ あったらいいのに〜〜
」
「 にいああ〜 」
「 うふふふ 〜〜 ねえねえ すばる〜〜〜 虎の介ってばさあ 」
「 ・・・ ん ・・・? 」
部屋の反対側の机で 茶色毛のチビがやっぱり白い紙を広げてる。
「 ん〜〜〜 ・・・ っとぉ 」
「 すばる〜〜 まだ終わらないのぉ 」
「 ん ・・・ ちょっとまって 」
「 にゃあ? 」
とん。 俺は チビの机に乗った。
チビは とってもていねいにていねいにえんぴつって棒を動かすんだ。
「 あ〜 虎の介 ちょっとまっててね え〜〜と・・・ 」
「 に・・・ 」
俺は そっと離れて アネキの元に戻ったさ。
猫にだって スロー・ペースの慎重派もいれば イケイケのすっ飛び派も
いる。 ニンゲンも同じなんだな。
アネキと俺は 一緒に遊んで 茶色毛のチビが しゅくだい を
終わらせるのを待った。
― それから 三人で遊んだぜ〜〜〜
夜は まず最初に一緒に金色毛のアネキと一緒にベッドに入る。
「 アタシと一緒がいいよね〜〜 」
って 彼女がだっこしてくから 仕方ないって感じだけどな。
この金色毛のチビはさあ ほっんとに元気な仔猫、いや コドモでさ。
ベッドに入ると即行で こてん っと眠っちまう。
俺も一緒に毛布に潜りこむけど ― じきに避難。
だってさ、彼女ってばもんのすご〜い寝相でさあ・・・
俺 蹴飛ばされる前に 隣に避難する。
隣って あの茶色毛のチビさ。
アイツなあ コドモなのにすぐに寝付けないんだよね。
アネキが すうすう寝入った後も ごそごそもじもじ・・・
寝返り打ってるんだ。
でも。
「 あ・・・ とらのすけ〜 おいで〜〜 」
もぞもぞ潜りこんでいった俺様を やんわり撫でてくれるんだ。
「 にゃあ? 」
「 ・・・ うん 僕 すぐにねれないんだ 」
「 に・・・にぃ〜〜 」
「 え こう・・?? 」
「 に。 」
「 ・・・ うわああ・・・ あったか ・・・い ・・・ 」
ふふふ ・・・ 俺様のふかふかな腹に顔を埋めれば こてん さ!
たいてい、俺は彼と朝まで一緒に眠ってたな。
あの夫婦の寝室は遠慮してる。 そりゃお邪魔虫ってヤツだろ?
でも な
< おと〜さん > 一人の時は 必ず両側にチビ達がいる。
アイツ 本当にいい父ちゃん猫なんだ。
いつだって家族を護る!って気合いがこもってる。
これはな〜 オス同士にはすぐにピン! とくるもんだぜ。
そんでもって二匹のチビ達を ものすご〜〜く大切にしてる。
ああ 多分チビ達に危害加えようなんてしたら あの父ちゃん猫に
噛み殺されるか八つ裂きにされるさ。 これ マジだぜえ?
ああ 俺だって 父親猫だった時は そうだったもんな〜
でもさ 俺 知ってるんだ。
・・・ アイツは 本当はめっちゃ淋しがりだってこと。
つまりさ〜 < おか〜さん > が隣にいない夜は
淋しくって仕方ないから仔猫 あ ちがった チビ達と
一緒に寝てるのさ。 可愛いもんだよ うん。
あ そうそう・・・ あのワンコウはちゃ〜〜んと側にいる。
にこにこ笑って 彼の側にいつだって控えているのさ。
< おか〜さん > だけの時 俺はベッドにお邪魔するんだ〜
彼女は 一人のびのび寝てるよ。
「 いらっしゃ〜い 虎の介〜〜
ふふふ もっふもふねえ・・・ 可愛いわあ〜〜 」
優しく抱いてくれた彼女の胸で 俺様 も〜〜〜 ご機嫌さ!
「 うふふ ・・・ あったかい 虎の介 好きよ♪ 」
いっつも彼女の左脇に入れてもらって ふわふわの胸を枕 さ。
へっへっへ〜〜〜 あの < おと〜さん > だって
知らない ベスト・スポットさあ
でへへへ・・・・ い〜〜匂いだにゃあ ・・・
やらけ〜なあ〜〜 ふわっふわだあ
・・・ 天国だにゃあ・・
なあ 知ってるかい?
一回 仔猫を産んだ後のメス猫は すっげ〜魅惑的になるんだ。
< おか〜さん > も同じさ。
俺 くらくらしちまったもんなあ ・・・
俺達は 朝までゆっくり・・・ 二人抱き合って眠るのさ。
ぽふ。 アイしてるにゃ〜〜
俺 彼女のほっぺに肉球・キスしたよ。
えっへっへ ・・・ オス猫として 俺、さっいこ〜〜に満足♪
いつもはにこにこ・・・ 優しい < おか〜さん > で
チビ達を叱っても その後ろにはあったか〜〜〜い笑顔があるんだ。
けど な。 いいか よく聞けよ!
子持ちのメスは最強 … って知ってるか?
これ 全動物共通の真理 なんだ。 あ 鳥たちも同じみたいだけど。
ここんちでは < おか〜さん > がいちばん強い。
俺はちゃんと知ってる。 俺が トラ だった時もそうだったもん。
美猫なウチのカミさんが 取り仕切ってたもんな。
あ そうだそうだ・・・ アイツの話もしとかないと・・
アイツって。 赤いちっぽけなヤツさ。
アイツは今も 茶色毛のチビの側に いる。
よぉ〜く 目を凝らすと ちっぽけな赤い影がちらちら見えるんだ。
ヤツは き〜すけ っていう 金魚 さ。
あの家に来てすぐの頃 子供部屋に遊びにいったのさ。
俺 ちゃんと戸口で鳴いた。
「 ・・・ にゃあ? ( はいっていい? ) 」
「 あ 虎の介〜〜 おいで〜〜 」
金色毛のアネキが 両手を広げてる。
「 にゃう♪ 」
俺 ちょんちょん跳ねていったよ。
あ ・・・?
窓辺に なんか四角い透明な箱があって 中に赤いモノがひらひら・・・
してた。
「 うにゃあ? 」
俺は すぐに側によってその四角い箱の外からじ〜〜〜っと見てた。
これ 魚じゃん!
おほ よく太ってて 美味そう・・・!
ぺろりん。 思わず舌なめずりしちまった。
ふ〜ん コレ 捕るの、楽勝だなあ〜
よおし・・・って その箱に身構えてたら。
「 あ! 虎の介〜〜 たべちゃ だめだよ! 」
「 すぴか。 だいじょうぶ。 虎の介は き〜すけ と
お友達なんだ。 おはなし してたんだよ、 ね 虎の介 」
「 にぃ〜〜〜 ( え・・・? おともだち ? ) 」
「 なんだ そうなんだ? 虎の介はおりこうさんだね〜 」
「 ・・・ に に い ( あ あは・・・? ) 」
俺 拍子抜けしちまって捕って食う気分、なくなったさ★
この金魚、 き〜すけ って名でさ コイツも < 天寿を全う > したな。
天国に行っちゃった時、茶色毛のチビは もう わ〜〜わ〜〜〜
泣いて泣いて・・・ < おか〜さん > が慰めても < おと〜さん > が
ゆっくりお話しても 珍しく泣き止まなかった。
「 ・・・に? にゃ〜〜 ( き〜すけ はいつも側にいるよ )」
「 ・・・と とらのすけ・・・ そう? 」
「 にゃ。 にゃにゃ ( うん。 すばるのこと、大好きだって ) 」
「 そ そう言ってる? き〜すけ・・・ 」
「 に。 ( うん ) 」
「 ・・・ そ そっか ・・・ ありがと とらのすけ ・・・ 」
「 にいああ〜〜 」
「 ・・・ ありがと ・・・ ありがと き〜すけ・・・
」
「 にいあああ〜〜 」
俺は チビのほっぺを舐めてやったっけ・・・
茶色毛のチビは ちこっとオトナになったみたいだぜ。
― そんなワケで 俺様は虎の介として
あの家で と〜〜っても楽しい日々を送っていたんだ。
チビ達は わいわい・がやがや・・・ 泣いたり笑ったり怒ったりして
でっかくなっていったよ。
アネキの金色毛は ま〜〜〜 元気いっぱいの仔猫にゃった。
こいつは将来 すこぶる付きの美メスになるな うん。
茶色毛の弟も 大分逞しくなっていった。
ちょいぷっくりしてたけど 最近背が伸びてきて
脚も伸びてきたけど 相変わらず可愛いんだ。
俺は み〜み〜鳴いてた仔猫から すっきり引き締まったボディの
若いオス猫になっていったよ。
茶トラ模様に白手袋 白ソックス。 金色のぴかぴか瞳にでっかい耳。
左右にピンっと広がる髭と 先っちょがちょい曲がった長い尻尾が自慢の
イケにゃん さ!
この家で 俺は充実した日々を送ってた。
― うん ・・・ あの秋は 俺、忘れないよ。
Last updated : 11,03,2020.
back / index / next
******** 途中ですが
すいません〜〜〜 <m(__)m>
虎の介が しゃべり足りないそうで・・・
あと一回 ・・・ お付き合いくださいませ。
数々の不適切な表現、無礼な発言、
なにとぞ にゃんこ のことですので 御見逃しを!