『 かく語りき ― (3) ― 』
にゃん にゃん にゃ〜〜〜
毎朝 俺様はご機嫌ちゃんで ウチ中をパトロールする。
ここんち、広くてさあ ・・・
家だけでも全部探検し終えたのは
俺が 仔にゃん時代の終わりのころだったかな。
庭となると ・・・ かなりかかったぜ 全部見回るまでは ね。
うん・・・ 地下から三階 ( ここはな〜 物置 だな ) まである
広い家だけど 家族はほぼ一階と二階で暮らしてる。
そこを 俺は毎朝 見回る。
と と と ・・・ 勿論 俺の足音なんか しないぜ。
「 あらあ〜 虎の介 パトロール ご苦労さま 」
「 にああ〜〜 」
< おか〜さん > は くるり、と俺のアタマを撫でてくれる。
「 すばるの靴下がねえ 片方 行方不明なの。
見つけたら 教えてね〜 あ 縞々のよ。 」
「 にゃ! ( 了解 ) 」
・・・ かりり 壁紙の隅っこが 浮いてるぜ。
「 お? 虎の介。 そこ なんかあるのかい? 」
「 にあ! にあ! 」
< おと〜さん > は俺の側に一緒に屈みこむ。
「 ・・・あ〜 ここヤバいなあ 接着材で貼り直しとかんと・・・
虎の介 第一発見者 ありがとう! 」
「 にい〜〜 ( えへへ ) 」
な? 俺のパトロールは必要なのさ。
ああ 猫語がわかるニンゲンって ほとんどいないんだよ。
ウチの < おと〜さん > < おか〜さん > は
なんとなく雰囲気で 俺がいいたいコト、わかるらしい。
ほぼ完全に理解してるのは あのコズミ先生くらいだな
あの先生は ホンマジで 天才 だにゃ。
え? ニンゲンの言葉についてかい?
ああ 俺達は ちゃ〜〜んと理解してるぜ。 どの猫も だよ。
しゃべれないけど さ。
家族が集まる中で 俺ら じ〜〜っと座ってるじゃん?
皆の会話、 しっかり聞いてる。
よっく見てみ? 俺らの耳・・・ ぴくぴく〜 ってしてるだろ?
あれ 聞いてるぜ のサイン。
ああ あの毛色違いの姉弟な〜 あの二人には わかってた みたいだな。
金色毛のアネキは すげ〜〜勘がいいし
茶色毛のチビ アイツはめっちゃ動物好きでさ あのちっぽけな金魚、
アイツともおしゃべりしてた。 金魚の方もちゃんと返事してたな〜
だから俺ともいっぱい話したさ。
「 ・・・ ねえ ねえ 虎の介 きいて きいて〜〜 」
学校から帰ると ランドセルも降ろさずに 俺の前にしゃがみこむ。
なでなでなで ・・・ ぽふ ぽふ
ぷっくりした手がそう〜っと俺のアタマやら背中を撫でるんだ。
「 でね〜〜〜 あ オヤツ! おか〜さ〜〜ん オヤツ〜〜
虎の介、ぼく手あらってウガイしてくるね〜〜
」
カチャカチャってランドセル鳴らして 駆けて行ってすぐに戻ってきて。
「 虎の介もオヤツだね〜〜 おか〜さん ちゅ〜○ ちょうだい。
僕は おーつびすけっと。 虎の介はぁ ちゅ〜○、 はい。 」
俺達は ならんでオヤツさ。
あいつ 自分ももぐもぐして 俺に ちゅ〜○ くれるんだ。
ねえ おいしい? 虎の介?
ああ うまいよ〜〜
ちゃんと二人はハナシができるんだぜ。
「 わあ よかったあ〜〜 虎の介〜〜〜 」
なでなでなで ・・・ ぱふん。
アイツ ほっとうに優しいんだ 心の底から な。
俺 ・・・ 好きだったなあ〜 アイツのあの温かいは〜とが さ。
にあ ・・・あ〜〜〜〜
もう思わず咽喉がごろごろ〜〜 鳴っちまう。
俺 このウチに来たときは 二人の弟 だったけど
いつのまにか 俺はこの姉弟のアニキ的存在になっていったさ。
― それも楽しかったなあ ・・・ うん。
うぃ −−−−−− ん ・・・・
広いリビングの床を 丸いもんが這いずってくる。
「 にゃあ〜〜〜 ( お きたな〜〜 ) 」
俺は もう大喜びで駆け寄るさ。
「 ・・・ にゃ! 」
ぽん、と飛び乗る。 これ ムズカシイんだぜ?
コイツの真ん中に乗らないとダメなのさ。
どういう生き物なのかわかんないけど コイツ、真ん中のトコだけは
ゆ〜っくり動くんだ。
そこにのっかると コイツは俺をのっけたまま動いてゆく。
ぐ〜るぐるぐる うぃ 〜〜〜〜ん
「 にゃ にゃ にゃあ〜〜〜 ( おう 進めぇ ) 」
回りながら コイツに乗ってリビング中をいったりきたり。
ほっんと 面白いぜ。
どうもな コイツは そうじき の一種らしいんだ。
そうじき って 俺ら猫族とはすんげ〜〜 相性悪いんだけど
俺は 平気だね。 べつに噛みついたりしないし。
ずささ〜〜〜って 毛を吸ってくれて気持ちいいじゃん?
特に コイツは ― 楽しい!
「 あらあ 虎の介〜〜 る○ば、お気に入りねえ 」
< おか〜さん > がいつもにこにこ・・・見てる。
「 あ〜〜〜 いいなあ〜 アタシも乗りたい〜〜 」
「 すぴか。 乗っちゃダメよ!
すぴかがのっかったら る〇ば は壊れちゃうわ 」
「 アタシぃ〜〜 そんなにおデブじゃないもん 」
すんなり伸びた腕と脚をもつ金色毛のアネキ猫は
走るのがすんげ・・・ 速いんだ。
俺 走りっこしても勝てる自信は ないかもな〜〜
オマケにさ 塀の上とか平気で歩くし 木登も上手い。
多分・・・ 前世はにゃんこだったんだろうって思ってる。
「 そういうことじゃなくて。 る○ば は乗りモノじゃないの。
そういう風には作られてないのよ 」
「 だって〜〜〜 虎の介 は乗ってるじゃん 」
「 虎の介は トクベツです。
あんな風に上手に乗れるのは 虎の介だけよ 」
「 ・・・ う〜〜〜 それは そうかも・・・
いいなあ〜〜〜 虎の介ってば 」
「 にああああ〜〜〜〜 」
俺様は得意になって アイツを動かすさ。
壁に寄ってきたら ちょい・・・っと壁を蹴れば アイツは
うぃ〜〜〜ん ・・・って 離れてゆくぜ。
そんでもって アイツの通った後 床はピカピカになってる。
でっかい舌でもって 舐めてるのかね?
「 虎の介。 お留守番 お願いね。 」
「 にゃあ! ( 了解です! ) 」
「 る〇ば をセットしてゆくけど 動き出したら
監視していてね 」
「 にゃ! 」
俺はさあ < おか〜さん > の信頼が厚いから
よくトクベツ任務 を仰せ付かった。
留守番は得意中の得意。 皆が出掛けて後、俺は
この広い家をしっかりパトロール。
地下のロフトから 三階の屋根裏部屋まで
しっかりチェックしてたな。
そして −
カチ。 ・・・ うぃ〜〜〜〜〜ん
あ アイツが動き出したな。
俺は 遠目で見守っていたり 飛び乗ったり
うん アレはいい相棒 楽しいおもちゃにゃね!
あ・・・ アレを舐めたこと あんだけど。
― 似た味がしたんだ・・・
うん < おと〜さん > の手とさ。
俺の味覚は確かだぜ。 味覚だけじゃない 触覚も。
る○ば がお気に入りなのは 座り心地が な〜〜んとなく
彼の膝と似てる、からかもな ・・・ 不思議な感じなんだけど。
< おと〜さん > は る〇ば と親戚なのかもしんないぜ?
そうそう・・・ アイツってば。
< おと〜さん > の周りには いっつも茶色毛のワン公が
寄り添ってるって言ったよな?
アイツが < おと〜さん > を 護ってる。
何が起ころうとも アイツはしっかり < おと〜さん > に
へばり付いてるんだ。
魂だからな〜 強いぜ。 アイツを去らせることができるのは
< おと〜さん > だけなんだ。
アイツは < おと〜さん > が命を終えるまで側にいて
一緒に空へ還る。 ワン公たちは 猫族とはちょいと違ってる。
そのアイツがさ 俺に話しかけてきたんだ。
俺が < おと〜さん > の膝の上で にゃわん・・・と
のんびりしてる時にゃった。
ねえ ねえ 虎の介くん?
はひ? 俺 思わず首をあげてきょろきょろしちまった。
「 ・・・ん? 虎の介〜〜 起きたのかい 」
ぽん ぽん。 < おと〜さん > のでっかい手が
俺のアタマを優しくなでる。
「 ・・・ に にあああ ( えへへへ ) 」
「 そっか 寝ぼけたか ・・・ ゆっくり昼寝しろよ 」
「 にああ 」
俺はなんとか誤魔化した。
すると ・・・ アイツはハナシを続けたんだ。
虎の介くん。
僕はずっと じょー の側にいるけど・・・
舐めてあげられない。
君 僕の代わりにじょーの手を舐めてくれるかい
じょー が 落ち込んでいる時
僕の代わりに 彼の手を舐めてやってくれよ
俺 ワン公からの頼みって 初めてだったからびっくりさ。
「 に ・・・? 」
オトコ同士 ・・・ 慰めてやってくれ
君も僕も じょー の護り神だろう?
「 にゃ。 ・・・ にゃ〜〜 ( わかったぜ ) 」
ありがとう! 虎の介くん!
「 にああ〜〜 に ・・・ 」
俺は すぐ側にある < おと〜さん > のでっかい手
温かい手 を ぺろぺろりん ― 舐めた。
「 ・・・あ? クビクロ・・?
あ・・・虎の介かあ ・・・ ふふふ 寝ぼけたのはぼくの方かな
いま クビクロがぼくの手を舐めてくれたと思った 」
「 に〜〜あ に〜〜あ 」
「 ・・・ お前は いいヤツだなあ 」
「 にいああああああ 」
ぽふ。
俺 肉球まーく を じょー のおでこにくっきり押した。
うん。 彼はもう生涯 あのワン公の護りと猫族の庇護を受けるのさ。
― それで あの秋の話なんだ。
これはど〜〜しても聞いてもらいたい。
ってか どんどん語り継いでいって欲しいんだ。
え〜〜 俺の自慢話なんかじゃない。
これはな 俺ら猫族について知ってほしい ってハナシなんだ。
その年は天候不順で 実りのはずの秋、いろいろなところでクマの出没が
ニュースになってた。
クマって なんだ?
俺 知らなかったから チビ達と一緒にTVみてた。
「 おと〜さん ・・・ クマさん・・・?
おそうって ・・・ が〜〜ってこと? 」
「 すばるってば〜〜 本当のクマは縫い包みじゃないよ?
野生どうぶつだもん、襲ってくるんだってば。 ライオンみたいにさ 」
「 ・・・でもぉ この辺にクマさんはいない よね?
ねえ おと〜さん 」
金色毛のアネキも 茶色毛のチビも なんとなく不安そうだった。
< おと〜さん > は 静かに頷く。
「 ああ ・・・ 少し心配もあるが 」
「 なあに ジョー 」
< おか〜さん > も少し心配顔だ。
「 うん ・・・ クマはいないが、 この辺りの山には
まだまだ野生動物がいるだろう? 」
「 ええ でも人家近くには来ないわ 」
「 それが ・・・ まあ ネズミもでるだろうし
それを追いかけて・・・・ってこともありうる な。 」
にゃ にゃあ! 俺は思わず抗議の声をあげた。
「 あら 虎の介? そうね 虎の介がいるから
ウチには ネズミ、出ないわ。 ねえ 虎の介? 」
< おか〜さん > は 俺の言いたいコトをちゃんと通訳してくれた。
にいああ〜〜〜〜〜♪
「 ははは そうだったね。 ウチには強力な守り神がいたな。
確かにネズミの姿は 見なくなったね 」
「 ね〜〜〜 虎の介は強いもんね〜 」
「 そだよね〜 虎の介、 かっこいいよん 」
みんにゃに認められ 俺 もうハナ高々さ♪
俺様の領地内には ネズミの野郎は入れない。
ってか 俺様の匂いで結界 つくってるからな〜〜
入れないんだ、 ヤツら。
だから ・・・
あの日も 俺はチビ達と一緒に安心して裏山に遊びに入ったんだ。
「 おか〜〜さ〜〜ん うらやま いってくる〜〜 」
アネキは一応 キッチンにいる < おか〜さん > に
報告してた。
「 はあい あ ひとり? 」
「 うう〜〜ん〜 すばるもいっしょ〜 」
「 すぴかといっしょだよ〜〜 」
「 にゃああああああ! 」
俺もちゃんと報告した。
俺がいますから。 あんしんしてください ってな。
「 あ! ごめん。 虎の介も〜〜 」
「 虎の介といっしょ〜〜 」
「 そう? 虎の介がいるなら 安心ね。
でも気を付けるのよ〜〜 すぴか 木登り 禁止!
すばる おもちかえり は ナシ!
虎の介 お願いね〜〜 」
「「「 はあ〜い にああ〜〜〜 」」」
って感じで 俺らは裏山に遊びにいった。
アソコんちは裏庭は 雑木林の裏山につながってて。
ずんずんゆくと ちっこい池があるんだ。
その先は 本当の裏山 になるんで 野生動物とかも出没する。
チビ達は だいたい池の辺りまでが < 守備範囲 > だったな。
あの日・・・ かんらからからの晴れ! で。
俺らは 追いかけっこしつつ雑木林の中を掻き分けていった。
― そんで ・・・ しらずにどんどん奥にいっちゃったんだな・・・
気が付かなかったのは 俺のミスだ。
だって 俺は二人の がーどまん なんだから。
ガサリ。 ずん。
突然 薮の中から でっかいケモノ が出てきた。
ぴん! 俺の髭がいっぺんに全開した。
― ヤバい! 俺の本能が赤信号だ。
「 !!! 」
「 ・・・ す すぴか ・・・ なに ・・・・? 」
「 ・・・ い い いのしし かも 」
チビ達は 固まってしまった。 俺だってさ。
あんなヤツ 実際に見たのは初めてだったもんな。
ただ ― ヤツの闘争意識だけは がん! と感じた。
コイツ・・・ 襲ってくる・・!
・・・ ! クソぅ〜〜
チビたちを 狙ってるな
ぶわああああ〜〜〜 しゃああああ〜〜〜〜〜
俺は全身の毛を逆立て シッポも膨らませた。
戦闘準備 オッケーだ。 ああ ここまで一秒もかかっちゃいない。
すたっ。 俺はチビたちの前に 出た。
「 と とらのすけ ・・・ あ あぶな ・・・ 」
アネキは 掠れた声で でも俺を気遣ってくれた。
「 ふ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 !!!!! ( でてけっ! ) 」
俺は一応 ヤツに警告をした。
ジリ。 ヤツは標的を チビ達から俺に変えた。
よおし。 タイマンだ。 俺が ― 相手だ!
じ〜〜っとヤツを睨みすえつつ 俺は金色毛のアネキに低く言った。
「 に! ( すぴか。 <おか〜さん> に知らせろ ) 」
「 ・・ え 」
「 にあ! ( オンナ・仔猫は 逃げろ! )」
「 ・・・ う うん ・・ 」
危険が迫った時、 オンナ・子供は先に逃がす。
闘うのは オトコの役目だ。
これ 猫族の鉄則さ!
ガササササ −−−−−−
これで いい。 すぴかはすげ〜俊足だ。
すぐに 援軍 をつれてくるだろう。
「 ・・・ う わ 」
茶色毛のチビ がくがくしてる。 当たり前だよ、ヤツはデカイ。
「 に。 ( すばる、俺の後ろに隠れろ! ) 」
俺はすばるにも低く唸った。
「 ・・・ と と とらのすけ ・・・ 」
俺はこけつまろびつ知らせにゆく すぴか を逃がし
固まっているすばるの前に立ち イノシシを迎え撃つチャンスを伺った。
ズサ。 ヤツが動いた。
ザ。 俺は地面を蹴ってヤツに跳びかかる体勢に入った ― その時。
「 ! あっちいけえ〜〜〜〜 とらのすけ をいじめるなっ
えいッ!! 」
俺 驚いたけど 茶色毛のチビが すばるがさ かなりでかい石を
渾身のチカラで 投げつけたんだ!
ぼす。 ぎゃ・・・・・!
泣き虫すばるの必死の投石は イノシシの腹に当たった。
今だ ッ !!!
一瞬ひるんだヤツに 俺は跳びかかり必殺猫パンチ! を
ヤツの眉間に深々とお見舞いしてやった!
ぎゃあ〜〜〜〜 うぐ!
次の瞬間 かなり遠くから飛んできた石がヤツの首に次々と命中したんだ。
誰だ??
ぐわああ・・・・
ヤツはぐるり、尻を向けると這う這うの体で山奥へ逃げていった。
に ・・・ に あ ・・・
やったぜ! ・・・
ああ ・・・ けど 俺 ・・
・・・ 俺も腹に致命傷をくらっちまった
・・・ あ もうお終いだな
に にあああ〜〜〜〜
「 すばるっ 虎の介〜〜〜〜 っ !! 」
遠のく意識の中で 俺は < おか〜さん > の叫び声を聞いた。
「 怪我は?? アレは逃げたわね 石、当たったし 」
・・・ わぉ 石、投げてくれたのは < おか〜さん > か!
すっげ ・・・
・・・うん ・・・
子持ちのメスは最強 だよな
に にあ ・・・
そして 彼女の声に重なるみたいにして
「 ! 大丈夫か すばる 虎の介! 」
なんか ・・・ 焦げくさい匂いと一緒に < おと〜さん > の
声も 聞こえた。
「 ジョー! ・・・ 加速・・・? 」
「 ああ きみの声が聞こえた ・・・ 駅で な
虎の介 ・・・・! 」
「 と と とらのすけ ぇ〜〜〜〜 ええええ 」
「 と とらの・・・ うううう〜〜〜 」
チビ達の泣き声も聞こえてきて ― 俺 なんか安心しちまった。
ああ ・・・ よかった ・・・・
・・・ えへ 俺 ちゃんと役目 果たせたぜ?
すぴか がんばって走ったな
お前 強いぜ すばる ・・・
おか〜さん すげ〜な〜〜
・・・ ありがと おと〜さん
す〜〜〜・・・っと チカラが抜けてった。
だけど 俺 もうさっいこ〜〜〜にシアワセだったぜ・・・
「 と とらのすけ とらのすけぇ〜〜〜〜 」
「 とらのすけ しっかりして しんじゃ やだ ! 」
「 虎の介! しっかり! すぐに病院に行きましょう! 」
「 ・・・ 虎の介 !! 」
俺の周りで < ウチ > のみんなの声が聞こえた。
チビ達は涙でべたべたの顔・・・
< おか〜さん >は必死で傷口を抑えてくれてる。
< おと〜さん> は なにか黄色い布で俺の身体を包んでくれたけど
・・ わかっちゃったみたいだな。
< おと〜さん > ・・・
俺 もうダメだ ・・・
「 虎の介・・・! 」
< おと〜さん > は 俺をしっかりと抱いたよ。
「 ・・・ コドモ達を護ってくれたのか・・・
ああ なんて勇敢なヤツなんだ・・・ ! 」
に にあ ・・・
へへ 俺 すっげ〜〜嬉しかったな〜〜
オトコ同士として めっちゃ誇らしかった!
泣くな すぴか。 お前はいい姉ちゃん猫だよ。 弟、可愛いがれよ
すばる 優しいだけじゃない 強い猫だよ、お前・・・
おか〜さん おと〜さん ・・・ ありがと。 忘れないぜ
ああ ・・・ いい 猫生 だった にゃ ・・・
俺は 茶色毛のチビの腕の中で金色毛のアネキに頬ずりしてもらいつつ
静かに 目を閉じた ― ああ シアワセ にゃった
― 俺は 最高の気分で 虹の橋を渡ったんだ。
あのウチでの暮らし 本当に楽しかったぜ。
俺のお墓の前で 泣くにゃ すぴか すばる。
― 俺 そこにはいにゃいぜ 眠ってるヒマなんかないんだ。
俺たち猫族は 何回も生まれかわってくけど。
一緒にすごした思い出は ちゃ〜んと心の奥で 生きてっから!
いっつも一番温かいトコに 大事に大事に生きてる。
だから いつも一緒さ。 そんでもって おでこには肉球すたんぷ さ☆
あ〜 だからさ、ここんちの < おと〜さん > は 最強にゃんだ。
なにせ 俺様とあのワン公の 庇護があるんにゃからね!
・・・あ < おか〜さん > の方が強い かもなあ
で ね。 虹の橋を渡ってから 猫神様に すんげ褒めてもらったよ !
猫族の誇りだよって(^^♪ にゃっはは〜〜ん♪
えへへ あは 随分なが〜くお喋りしちまったなあ ・・・
さあて。 次はどんな猫生かな
いつかまた … あの家族みたいなトコで暮らせたら いいなって思ってる。
そんでさ 時々ふ・・っと思うんだ。
― る〇ば と同じ味がする < おと〜さん >
元気かなあ ってね ・・・
俺様は猫である。 名は ― 今度は何かなあ
****** オマケ
「 え〜 だって 虎の介が 言ったもん! ね すばる? 」
「 うん 虎の介さ、すぴかに にげろ おか〜さん にしらせろって
はっきり言ったよ! 僕 きいたもん 」
「 ね〜〜 すばるの前で 俺が まもる! って。
すっげ〜〜 かっこいかった〜〜〜 」
「 ね〜〜〜 僕・・・ 虎の介 だいすき! 」
「 アタシも。 さっいこ〜〜にかっこいいよね〜〜 」
子供達を護って逝った若い雄猫のお墓の前で
すぴかとすばるは きっぱりと言う。
「 へえ・・・? 虎の介が? 」
「「 うん!! 」」
母は 彼の好物だったニボシを墓に供えて振り返る。
「 さあ 皆でありがとう っていいましょうね 」
「 おか〜さん。 虎の介 そこにはいないよ 」
「 うん! 虎の介ってばね〜 いっつもすぴか達といっしょ。
そう言ってたよ 」
「「 ね〜〜〜 虎の介 」」
子供たちは それでも小さな墓石にちゃんと手を合わせた。
「 あそぼ〜〜 すばる! おにごっこ〜〜 」
「 ん! 虎の介 もいっしょ。 」
とたとたとた・・・ あははは わあ〜〜い
「 ・・・ え? あ あら・・・? 」
フランソワーズは 何回も目を拭った。
賑やかな二人の合い間に 茶色虎の猫もするり、とじゃれあっている ・・・
*********************** Fin. *********************
Last updated : 11,10,2020.
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********** ひと言 *******
虎の介君のおしゃべりが 予想外に延びてしまいました☆
え・・・ 文中の 不適切な言い回し 非礼・不躾な言葉
多々ございますが どうぞ 平にご容赦くださいませ <m(__)m>
・・・ あの地域に アレが出るかって??
まあ そこも目を瞑ってくださいませ <m(__)m>
・・・ にゃんこは いつだって側にいてくれます よね ・・・ (:_;)