『 にちようび ― (2) ― 』
「 時間です― ゲネ 開始しま〜す 」
「 はい、 緞帳、上がりました。 ミルタ ― スタンバイ 〜〜 」
舞台監督がマイクで指示をだす。
本来ならオーケストラが静かな静かなメロディーを奏で始めるのだが ・・・
旅公演に生オケなど都合してもらえる訳などなく ― テープの大音量が流れだした。
夜更けの沼のほとり ― 白い衣裳のウィリー達が粛々と現れ舞い始める。
・・・と本番なら実に幻想的な場面なのであるが、ゲネなので照明など不完全だ。
しかしダンサー達は真剣そのもの・・・
特に今回のようにあちこちいつもとは違うコンディションの舞台を踏まねばならない。
それぞれが自分の立ち位置、方向を確認するのに必死だ。
「 ・・・ん ・・・ ここから 出て・・・ 」
フランソワーズは下手袖でスタンバイ、足馴らしをしつつ何回も何回も位置を確認している。
ゲネプロとはいえ 彼女にとってはぶっつけ本番 ・・・ 不安なのは当然だ。
― 音が低くなり ミルタが青きミルトの枝を手にジゼルを墓から呼び出す。
「 3 ・・・ 2 ・・・ 1 ・・・・次 1ッ!! 」
フランソワーズはすべるように舞台に現れた。
ちょっと注 : ゲネ とはゲネプロのこと。 本番通りのリハーサル。
当日ゲネの場合 プログラムの最後から始めます。
つまり当日ゲネ終了時点で 舞台装置・大道具・照明等は
プログラム トップの演目用になっているわけ。
全幕モノの場合も 後ろからやります ― ので
フランソワーズたちは先に 二幕 をやってから一幕を踊ったのデス。
「 は〜い オッケー。 それじゃ本番もお願いしま〜す 」
「 ありがとうございましたぁ〜〜 」
舞台監督のダメ出しも終わり、ダンサー達はやれやれ・・・と散ってゆく。
フランソワーズは ジゼル狂乱の場で梳いた髪を押さえつつぼんやりと舞台の中央に立っていた。
「 ・・・ よ。 」
タクヤが ― いや、アルブレヒトが に・・・っと笑っている。
「 タクヤ ・・・ 」
「 俺にだまくらかされて そんなにショックかい。 」
「 え・・・ うふふふ ・・・もう〜〜 タクヤってば。 さ・い・こ・う でしたヨ
久々に気分、乗っちゃったわ。 この〜〜 遊び人王子がぁ 」
「 フラン〜〜〜 俺、ジゼルがお前だったら ずぇったい裏切ったりしないぜ! 」
「 さ〜あ どうかしら? あ それよりも二幕のアダージオのとこ。
もう一回やってくれる? 疲れてるのにごめんなさい・・・ 」
「 いいって いいって。 お前 今回はハンデ多すぎだもんな。
えっと ・・・ 出のとこから? 」
「 ええ。 あのリフトも心配なの。 」
「 心配するなってば。 前のコンサートの時だってばっちりだったろ〜 」
「 でも ・・・ あの頃からいろいろ・・・変わったでしょう、タクヤもわたしも。 」
「 フランは全然変わってないぜ? むしろもっと軽くなった ・・・ 」
タクヤは不意に す・・・っとフランソワーズをリフトした。
「 ・・・わ ・・・ いやよ、もう〜〜 タクヤったら。 」
「 ほら な。 で? じゃあアダージオ、ゆくか。 」
「 ええ お願いします。 ワン ツー ・・・ 」
「 おっけ ・・・ 」
タクヤの手がすいつくようにフランソワーズをサポートし、二人は音ナシで踊りはじめた。
うん? ・・・ あ・・・? 舞台上を行き来していたスタッフたちが二人を避けてくれる。
・・・ おや。 ほう・・・? 控え室に引き上げつつあった舞台監督の脚がとまった。
え。 一幕の衣裳で? 残っていたダンサー達が目を見張る。
「 ・・・遅いぞ、フラン!」 「 ごめんなさい! ・・・ あ 」 「 ! 悪い! 俺のミス ・・・ 」
「 そこ ・・・ もうちょっと伸ばして ・・・ メルシ! 」 「 OK! ・・・いいぞぅ〜〜 」
音楽はない。 衣裳も全然ちがう。 二人は互いにダメだしをしあっているので
ぶつぶつと踊りは途切れ 途切れだ。 同じところを繰り返したり戻ったりもする。
・・・・ それでも 目が離せない。
「 ・・・・ これで ゆっくり消えるわね 」 「 よ・・し・・・。 」
― パチパチパチ ・・・・
「「 ・・ええ?? 」」
二人が踊り終わったとき、期せずして拍手がおこった。 見入っていた人々の間から自然と
湧き上がってきたのだ。
「 ― その調子で な。 」 「 期待してるよっ! 」 「 ファンになっちゃう〜 」
「「 ありがとうございます!! 」」
二人は再び慌しくスタッフが行き来し始めた舞台上から お辞儀をした。
じゃあ な。 ええ のちほど ・・・・
タクヤとは手を振ってわかれ、フランソワーズは楽屋へ入った。
楽屋数に余裕がないのでソリスト級ダンサーが数名一緒なのだ。
― トントン
軽くノックしてから フランソワーズはすべりこみ、端っこの鏡の前にすわった。
「 ねえ? 貴女、どうしてオーディション、受けなかったの? 」
中央にいた女性が ゆっくりとフランソワーズの方に振り向いて訊いた。
一瞬 部屋の中がし〜ん・・・とした。
「 え ・・・ あ あの・・・ わたし。 今、家を空けること、できなくて ・・・
本当なら旅公演は無理なんです。 」
「 ??? どなたかご病気? 」
「 あの い いえ。 子供がね、まだ小さいの。 」
「 え・・・・!? こ 子供ォ〜〜??? 」
「 そうなの。 小2なの、二人とも。 」
「 ― ふ ふたり? 」
「 ええ。 双子なんです。 」
「 うっそォ 〜〜〜〜〜〜〜 」
このぼそぼそ話で フランソワーズはイッキに皆に溶け込んだ。
今回のめんばーは若い子達が大半だったけれど、中には <仲間> もちゃんといた。
「 嬉しい! 私もね、コブつきなの。 ・・・実家の母に押し付けてきたのよ。 」
例の<ミルタ>さんは 幼稚園児のママだった。
「 ウチはねえ 一年生のボクちゃんよ。 」
小品集でのプリマ、<キトリ>嬢も子持ちさんだ。
「「 いまごろ ぐずっているだろうな〜〜 」」
二人は顔見合わせて溜息・吐息だ。
「 あなたのトコは? 」
「 ウチは ・・・ ふふふ、きっとやっぱり多分ご機嫌ナナメね。
特に息子がね〜 泣き虫で ・・・ 」
「「 ・・・ やっぱりィ? 」」
ふうううう ・・・・ ママダチは溜息の合唱をし、苦笑した。
すぴか すばる ・・・ ごめんね・・・・
せっかくの日曜日なのに ・・・
・・・泣かないで お父さんと待っていてね・・・
フランソワーズはちょっと目を閉じ、子供たちに語りかけ ― そこで封印した。
ここからは ダンサーとして集中しなければならない。
いい加減な気持ちでいたら 怪我をするしパートナーにも迷惑をかける。
「 ― よし。 行け ふらんそわーず・・・! 」
彼女は小声で自分自身にエールを送った。
― フランソワーズの予想は ある意味、当たっていた。
そう ・・・・ ご機嫌ナナメだったのは。
セピアの髪、 赤茶の瞳の ― フランソワーズの旦那様 ・・・!
― ゆさゆさゆさ ・・・ ぐいぐいぐい! つんつんつん ・・・!
・・・・ う ・・・うううう?
な なんだ・・? この 圧迫感は ・・・・
・・・ う? それに身体が う ごかん!
金縛りか?! ・・・ いやまさかこの身体で ・・・
ジョーは夢うつつの中でひどく窮屈な、圧迫感をかんじていた。
なにしろ東の空が白みはじめるまで輾転反側 ・・・ 溜息漬けだったのだ。
やっとトロトロ寝入ったのは 普通の日ならそろそろ起きなければいけない時刻だった。
そして ― ぐっすりと寝入っていたのだ が。
う ・・・! これは ・・・!
ぶ ・・・ブラック・ゴーストの仕業か?!
それとも 未知の敵、 またぞろ宇宙人 か 未来人か ・・?
いかに寝坊大王とはいえただならぬ気配に やっと覚醒し始めた。
「「 よ〜〜し いっせ〜の〜せ! おと〜さ〜ん!!! 」」
― どごん ★
ジョーの上に なにか重たい・柔らかいモノが おちてきた。
「 !!!! ぐ ・・えぇ ・・・ な なんだぁ〜〜 」
「 あ おと〜〜さ〜〜ん ! おはよ〜〜〜 」
「 うわ〜〜い♪ おとうさん〜〜 おきたァ 〜〜 」
「 おと〜〜さ〜〜ん ねえねえ ごはん、 まだぁ〜〜 」
「 ねえ ねえ ねえ〜〜 僕 めだま焼き、つくっていい? ねえ〜〜 おとうさん〜〜 」
「 ・・・ す すぴか すばる も ・・・ 」
彼の目の前で、 いや 彼の真上で 彼の娘と息子が に・・・っと笑っていた。
「 ごっちそ〜さまァ〜〜 」
「 ・・・ むぐむぐむぐ ・・・・ごちそう・・・さま 」
子供たちはご機嫌ちゃんで食卓を離れた。
特に甘いモノ好きの息子は たっぷり砂糖をかけてもらいお皿の模様まで食べそうな勢いだった。
すぴかはフリカケを混ぜてやったので こちらもご満悦。
「 やれ ・・・ シリアルを食べるのは久し振りだのう。 」
「 あ 博士。 お気に召さないならオートミールならありましたが ・・・ 」
「 いやいや、 これがいい。 ワシもなあ、学生時代にはよく食ったものさ。 」
「 は はあ ・・・ 」
ジョーは 気が抜けたように、ペタン、と椅子に座りっぱなし、だった。
昨夜 炊飯器の用意をするのを忘れた。
パンの買置き はもうなかった。
大急ぎで顔を洗って飛び込んだキッチンで ジョーは呆然としていた。
慌てて冷蔵庫を開けてみたが ― 卵が辛うじて4個あったが主食候補の顔は見えず・・・
キッチンの戸棚に首を突っ込んでゴソゴソ探ってみたのだが。
「 ・・・ ほ ほっと・けーき でも作る・・・か え〜〜ほっと・けーきみっくす もない!
うう・・・ これは砂糖だし。 米・・・ 米はあってもなあ・・・ 小麦粉・・・う〜ん 」
小麦粉と砂糖と卵があればパン・ケーキは焼ける、ということには気が回らない。
「 ・・・ これは・・・ あ! シリアルがあった!!! 」
奥〜〜の方にコーン・フレークスの箱が ― 少々煤ボケた箱があった。
・・・ どうやら以前に赤毛のアメリカ人が滞在したときに買い込んだものらしい。
「 あは・・・ これなら。 ミルクはあるし♪ うん、主食になる〜〜 」
あとは卵を茹で、トマトやらキュウリやら目に付いた野菜を切ってサラダにした。
な ・・・ なんとか ・・・ 朝飯、できた・・・
いつもと違う朝食に子供たちは大喜び、博士も懐かしい、と言ってくれたが・・・
ジョーは憮然として座っていた。
「 ・・・ ダメだよな。 だいたい、昨日買い物に行ってないじゃないか。
冷蔵庫の中身、点検しておくべきだったんだ。 」
― ふうう 〜〜〜・・・ 朝っぱらから溜息が 重い。
しかし。 主夫としてはここで落ち込んでいるヒマはない。
ジョーはエプロンの紐をしっかりと結びなおし、立ち上がった。
「 よし。 後片付けして ― 買い物だ。 」
「 うわ〜い。 おでかけだあ〜〜♪ 」
「 ねえねえ どこまで行くの、お父さん〜〜 よこはま? 」
双子たちは後部座席でわいわい大騒ぎだ。
朝御飯が終って 遊びに出よっかな〜と思っていたらお父さんが二人を呼んだ。
「 ― すぴか。 すばる。 出かけるぞ、コート持っておいで。 」
「 え。 なに〜 お父さん? 」
「 おでかけ? 」
「 そうだよ。 先に車庫に行ってるから。 急いで な。 」
「「 は〜い 」」
二人は大急ぎでコートを取りにどたどた駆け出していった。
ジョーは家の前の急坂をおりると一気にアクセルを踏み込んだ。
「 駅の向こうの大型ショッピング・モールまで だ。
お買い物だよ。 二人とも、どこになにがあるかお父さんにおしえてくれ。 」
「「 うん!! 」」
すぴかもすばるも も〜〜わくわく、ほっぺがほわ〜んと赤くなってきた。
「 ・・・っと。 洗濯と掃除、しとかないと・・・ 」
出かける前に ジョーは大車輪でルーティーンな家事をこなしはじめた。
まずは洗濯籠の中身をがばっといっしょくたに洗濯機に放り込み、スイッチ オン。
そして掃除機を持ち出す。
「 ・・・ くそ〜〜 ぼくじゃなくてマシンの方に加速装置がついていればなあ 」
ぶつぶつ言いつつ ジョーはそれでもかなりの速さでぶんぶん掃除を開始した。
そして。 エプロンを静かに外すと子供たちを呼んだのだ。
日曜日のショッピング・モールは 混雑していた。
食品売り場はカートを押した家族連れが 大勢うろうろしていた。
「 え〜と。 まずは ・・・ 水だな。 」
「 はい。 お父さん。 お水はね〜 こっちだよ。 」
すぴかがつんつん・・・父のブルゾンを引っ張る。
「 お、サンキュ。 さすがなだなあ〜 」
「 えへへへ・・・ のみものコーナーなんだ〜 」
「 お父さん。 それじゃないよ、お母さんがいつも買うお水 ・・・ 」
今度はすばるが父の袖を引く。
「 お〜っと そうだっけ? 失敗失敗・・・ ありがとうな〜 すばる。 」
「 つぎは・・・ 野菜だ。 ニンジン・たまねぎ・じゃがいも。
トマトにキュウリ、レタス。 ネギもなかったな、あとは・・・ 」
「 こっち。 やさい・くだもの はこっちだよ、お父さん。 」
「 ね〜 ね〜 お父さん、 ぷち・とまと 買って〜〜 」
「 僕〜〜 ばなな 食べたい。 ばなな〜〜 」
「 わかった わかった ・・・ おいおい いつもそんな風におねだりしてるのかい。 」
「 ・・・ お母さん さ ・・・ 買ってくれないもん。 」
「 おやさいは しょうてんがいの方がおいしいのよ、って 」
「 う〜ん ・・・ そうか。 でもなあ 商店街に寄ってる時間もないし。
今日はここで済まそうよ。 あ こっちだな。
すばる、ジャガイモ、一袋もってきてくれ。 すぴかはタマネギだ。 」
「「 は〜い! 」」
「 あ〜っと。 パン! パンを忘れるな。
すぴか〜 すばる〜 いつものパンを取ってきてくれ。 」
「 お父さん。 ばげっと は買わないの。 」
「 え。ばげっと? ・・・ ここにあるのかい。 」
「 ウウン。 パンはね、しょうてんがいのパンやさんなの。
ぱりのあじがするわ・・・ってお母さんがいうよ。 」
「 う〜ん ・・・ そうか。 でも今日はここのパンにしよう。
あれ すばる、それは買わないよ。 」
「 お父さん・・・僕、 めろんぱん、たべたい〜〜 」
「 めろんぱん は朝御飯にならないからな。 買わない。 」
「 ・・・ ぼ 僕 ・・・ お お母さんのむしパンが たべたい・・・ 」
「 むしぱん ・・・ あ アタシも ・・・ 」
「 ! わかった。 あとでお父さんがつくってやる! 」
「「 わぁ〜〜い♪ 」」
・・・ ジョーは 忘れずにほっと・けーきみっくすの箱を二箱カートに入れた。
「 肉売り場は〜 ・・・こっちだな。 」
「 お父さん〜〜 カート、おすよ、アタシ〜〜 」
「 僕も 僕も〜〜〜 」
「 ありがとう、すぴか すばる。 大丈夫、カートはお父さんに任せてくれ。
えっと ・・・ ベーコン と ハム。 はどこかな。 」
「 はむ はあっち。 おにく、買うの、お父さん 」
「 朝御飯のオカズだ。 え〜と ・・・ 今晩は ・・・ 」
「 かれー。 かれーにして〜〜 おとうさん !」
「 ・・・よ よし。 すばる、手伝ってくれるかい。 」
「 りょ〜〜かい♪ 」
「 お父さん。 かれー にいれるお肉は。 」
「 おっと、忘れるトコだったな。 え〜と ・・ <カレー・シチュー用> これか・・・ 」
「 お父さん。 お母さんはさ、お肉屋さんできってもらうよ、いつも。 」
「 う〜〜ん そっか〜 でも今日はさ、コレにしよう。
な、付けあわせに らっきょう と 福神漬け、出すぞ〜〜
お母さんは苦手だけど・・・・ お前たちは好きだろ? 」
「 わい♪ 」
「 さ〜て・・・と。 これで全部かな・・・
なあ すぴか すばる。 お母さんの買い物は こんなもんかなあ? 」
ジョーはカートの中を眺めつつ子供達に聞いた。
「 う〜〜〜ん 」
すぴかも父と一緒に ず〜〜〜っとカートを見ている。
すばるは ・・・ お菓子売り場の方をじ〜っと見つめている。
「 すばる。 お菓子は家にいっぱいあるよ。 」
「 う うん・・・ 」
「 さあ 〜〜 これで帰ろう。 お昼の用意もしなくちゃならないからね。 」
「 お父さん。 ティッシュ・ぼっくす とか せんざい とか といれっと・ぺ〜ぱ〜 とかは? 」
「 う・・・ 二人とも〜〜思い出してくれ。
といれっと・ぺ〜ぱ〜 は余っていたかな。 キッチンの洗剤はまだあるかな。
リビングのティッシュぼっくす は空に近いかな。 」
「「 ・・・・ う〜〜〜〜ん ・・・・ 」」
子供たちは ぎゅ・・・っと目を瞑って思い出そうとしている。
「 ・・・あ。 といれっと・ぺーぱー はまだあった。 」 すぴかが目を開けた。
「 今朝、おハナちん! した時・・・ 新しいティッシュぼっくす、びり、っとしたよ、僕。 」
「 そうか! ・・・うん、後片付けするとき 洗剤のボトルは重かった。 」
ジョーも目を開けて二人を見た。
「 さんきゅ、すぴか すばる。 それじゃ〜〜 あそこでそふと・くり〜む食べて帰ろう! 」
「「 うわ〜〜〜〜〜い♪♪ 」」
買い物袋をぎっちり握った子供たちを後ろに乗せ、 ジョーの車はやっこら坂を登ってきた。
「 よ〜し・・・ じゃ、 冷蔵庫・生鮮食品担当〜〜 はすばる。
飲み物・パン は すぴかに頼むよ。 収納作戦、開始! 」
「「 りょうか〜い! 」」
ジョーは買い物の始末を子供たちに任せると 庭に回り洗濯物を取り込んだ。
「 ・・・っと。 よォ〜〜し! パリパリに乾いてるな〜〜 」
ふんふんふ〜〜〜ん♪ ジョーはハナウタまじりに庭を突っ切る。
日曜日も半分経過。 後は昼御飯と晩御飯をつくり、風呂に入れてベッドにいれれば。
ジョーの <任務> は終了なのだ! 明日の昼前には〜〜彼女が帰ってくる♪
ふんふんふ〜ん・・・♪
「 さあ〜て ・・・と。 洗濯物を分けて・・・と。 」
ジョーはリビングのソファの上にぱっぱと乾いた洗濯物を分けていった。
「「 おとうさ〜〜ん しゅうのう、かんりょう。 」」
「 お〜〜 ありがとうな! 二人とも。
さ、 洗濯もの、取り込んできたから自分のモノを持ってゆきなさい。 」
「「 は〜〜い 」」
「 お父さんはお昼ごはん、作ってくるからな。 」
うん ・・・ うちの双子たち、随分オトナになったなあ〜〜
なんだか自分のことよりももっと ― 嬉しい。
ジョーはちょびっと感動している。 これはフランに報告しなくちゃ、とに思っている。
「 昼ごはんは ・・・ 焼きソバでも作るか。 麺はインスタントの、使えば楽だよな。 」
ジョーは うん〜〜と手を伸ばし、パントリーの奥に突っ込んだ。
「 え〜と ・・・ 確か焼きソバ、あったはず。 ・・・・ お いっこ。
次! ― ええ〜〜?!? ・・ま いっか。 これはぼくがたべよう。
よし 次。 え。 次! えええ〜〜〜 つ 次ィ〜 うっそ・・・ 」
ぺたん、と床に座り込んでしまったジョーの前には ― インスタント麺類の袋が 4コ。
焼きソバ 一個 らーめん・味噌味 一個 冷し中華 一個 さぬきうどん 一個
「 ― ウソだろ〜〜〜 ・・・・ 」
確かに昼ごはんは4人前つくらねばならない。 が。 が・・・!
「 じょ 冗談じゃないよ。 四コ 別々のをいっぺんに作れっていうのか〜〜 」
うわあ〜〜〜〜ん ・・・
ジョーがキッチンで頭を抱えたとき、リビングから甲高い泣き声が響いてきた。
「 ? な、 なんだ なんだ? え ・・・もしかして すぴか か??? 」
普段、 ほとんど泣いたりすることのない娘が どうも大泣きしている。
「 !? す すぴか! どうしたッ !? 」
ジョーは麺の袋を散らばせて リビングに飛んでいった。
「 うわあ〜〜〜〜ん ア アタシのれおた〜ど があ〜〜 」
すぴかはなにやら青っぽいものを抱き締めて泣いている。
「 すぴか! ど どうしたんだ? どこか痛いのか! 」
「 ちが〜う〜〜!! アタシの れおた〜ど が お母さんとおそろいの れおた〜どがあ〜 」
「 ― れおた〜ど?? 」
ジョーは 娘がぎっちり抱えている布を見つめた。
「 ・・・それ。 今日の洗濯モノだろ? ちゃんと乾いていただろう? 」
「 アタシ・・・・いちばん、だいすきなれおた〜どなのにィ〜〜〜 」
「 ??? お父さんに見せてくれるかい 」
ジョーはそっと手を出して娘から <れおた〜ど> を受け取り広げてみた。
ああ ・・・ あの水着みたいなヤツか。
どこか破れていたのかなあ・・・・
「 すぴか。 どこもどうもなってない 」
「 ・・・ ちがうもん! こんなだまだま色じゃないもん!
お母さんのとおそろいの 水色 なんだもん!!
こ これきると、お母さんみたくじょうずになれそうな気がするの。 」
「 ― え。 み みずいろ・・・・ 」
ジョーの手の中にあるちっちゃなれおたーどは ― ところどころに青い斑ができていた・・・!
「 あ! こ これ・・・ ジーンズと一緒に洗っちまった・・・! 」
「 それに それに〜〜〜 ピンク・タイツも ・・・ 」
「 え。 ・・・ こ これ・・・ ピンク だったのか?? 」
すぴかがぶら〜んと持ち上げたソレは びみょう〜〜なグレー になっていた。
「 ご ごめん! ごめん〜〜〜〜すぴか! もう一回洗ってみる ・・・ 」
「 ・・・ みずいろにもどる? ピンクになる? 」
「 ・・・ う ・・・。 よし! あ 新しいの、買ってやる! 」
「 え。 ・・・ でも おたんじょうび も くりすます もまだだよ? 」
「 ・・・ いい。 これはお父さんの <ごめんなさい> だ。 」
「 ・・・ いいの? 」
「 いい。 次の土曜日、一緒に買いに行こうな。 」
「 うん!! お父さん〜〜〜 」
やっと ・・・ 彼の娘は笑ってくれた。
・・・・ ひえ〜〜〜 ・・・ なんてこったア・・・・
よく素材を見て 分類すべきだったな・・・
今まで洗濯ったら 全部洗濯機に放り込んで スイッチオン! だったもんなあ・・・
ジョーは手元のレオタードとタイツをつくづくと眺めていた。
・・・・ え 〜〜〜〜 ん ・・・・
「 な? なんだ!? 今度は なんだ? え すばるか?? 」
彼の小さな息子は 出窓の前にぺたん、と座り泣いていた。
「 おい すばる。 なんだ なんだ〜 そんな泣いたりして。 オトコノコが可笑しいぞ。 」
「 う ・・・ うっく ・・・うっく ! 僕の もけい がア〜〜〜 」
「 もけい? ― 模型のことかい。 プラモデルなんかあったかな・・・ 」
ジョーはともかく息子の側にとんでゆき、屈みこんだ。
「 どうした、すばる。 もけい・・・ってどれだい。 」
「 うぇ 〜〜〜 ん ・・・ ぼ 僕が つ つくった・・・んだ ・・・ 」
息子はなにやら厚紙をわさわさ抱えて泣いている。
「 つくった? ・・・って コレかい。 」
ジョーはつくづくすばるの手元を覗き込んだのだが。 そこには ―
お菓子やクスリの空き箱で作ったモノがつぶれていた。
・・・? これ ・・・ 今朝掃除するときに見たな。
そうだよ! なんでこんなトコに空き箱が置いてあるのかな〜
後で捨てなくちゃな〜 と思って
― まとめてつ ・・・ つぶした・・・ んだ ・・・!
「 すばる・・・! ご ごめん〜〜〜!!! 」
「 お父さん ・・・ コレ、僕のだいじなでんしゃのもけい なんだ ・・・
ホンモノの大きさを しゅくしゃく するの、おじいちゃまにおそわって・・・ 」
「 え。 すばるが一人で計算して作ったのかい。 」
「 うん ・・・ むずかしくてまだぜんぶできてないけど・・・ 」
「 そ そうか ・・・ すばる。 ごめん、許してくれ。 」
ジョーはすた!っと息子の前で土下座した。
「 ??? おとうさん ・・・ 」
「 ソレ・・・掃除の時に壊しちゃったのはお父さんなんだ。 すまん。 」
「 え ・・・ おとうさんが ・・・ 」
「 すばるが一生懸命作ったのに・・・・不注意で本当にごめん。 」
「 ・・・ おとうさん ・・・ 」
「 直してみるけど ・・・ ダメかい。 」
「 僕 いっしょにやる。 お父さん、てつだってくれる? 」
「 もちろん! どうやるのかすばるがお父さんに教えてくれるかな。
あ・・・ でも昼御飯の後、にしていいかい。 」
「 うん! 」
ジョーの息子は涙でべたべたの顔でやっとわらってくれた。
「 さあ〜〜 ふたりとも。 お顔、洗っておいで〜〜 もうすぐお昼御飯だよ! 」
「「 はあ〜〜〜い ♪ 」」
色違いの頭は たかたかバスルームに駆けていった。
「 ・・・ はあ ・・・ 午後はすばるの模型作り、か。
しかし あの歳で縮尺、できるのか〜〜 すげ・・・ 」
ジョーは手元の空き箱 ・・・ じゃなくて模型をつくづくと眺めた。
― けど。 それよりも前に お父さんは昼御飯をつくらねばならない ・・・!
ジョーよ ! どうする ?!
パチパチパチ −−−−−−
一部熱心、あとはまあ・・・お付き合い、といった拍手がホールに響いている。
「 ― お疲れ様! え〜と。 出発は 〇〇時ですから!
ホール入り口に 〇△時に集合! 遅刻厳禁、置いてゆくよッ 」
「 はい〜〜〜 」
舞台監督がさけぶと、 たった今カーテンコールを終えたダンサー達がどたばたと楽屋へ駆けてゆく。
「 ・・・ あの・・・ お疲れ様でした・・・ 」
フランソワーズは主催者からもらった花束を抱えたまま 呆然と皆を見ていた。
「 ! あなた、早く! すぐに衣裳脱いで仕度して! 」
<ミルタ> が フランソワーズの腕を掴んで楽屋に引っ張っていってくれた。
「 あ あの ・・? 」
「 後で説明するから! 今はともかくソレを衣裳さんに戻して! 」
「 は はい・・・! 」
フランソワーズは後ろを縫い付けた糸を切ってもらい、大急ぎで衣裳を脱いだ。
― そして。 それからは ・・・ 戦争 だった・・・
な なに?? ・・・ ミッションの時だってこんなコト なかったわ〜〜
目をまん丸にしつつも ともかくフランソワーズはもみくちゃにされつつ仲間たちに付いていった。
皆あっと言う間に衣裳を片付けあっという間に着替えをし。 メイクをざっと落とすと荷物をまとめ。
「 全員いますか? あ フランソワーズさん、います〜〜? 」
「 ― い います!! 」
「 はい、それじゃ 〇時〇〇分の列車に乗りますからね! 」
「 ・・・ ふへ〜〜・・・ 」
ガラガラ ・・・ ゴロゴロ ・・・ 皆キャリーをひっぱったり大荷物を担いで小走りに行く。
うそ ・・・でしょ? バスで移動するのじゃないの・???
シュ ッ ・・・・ ガタン −−−−
列車はなにごともなく、いつもの通り、といった感じにホームを離れてゆく。
「 はあ −−−−− 」
「 忘れもの ・・・ なし、っと。 あ〜 ちょっと顔、落とす〜 」
「 新幹線とかなら洗面所、あるのにね〜 」
「 ま 本線にでるまではしょうがないわよ。 」
「 ・・・ フランソワーズ、 大丈夫? 」
<ミルタ> が つんつん・・・とフランソワーズの肩をつつく。
亜麻色の髪の乙女は 隅っこの座席にぼ・・・っと座っていた。
「 は ・・・ あ は はい・・・ 」
「 これローカル線だから ・・・ あと30分くらいで新幹線に乗り継ぐの。 」
「 ・・・ はあ ・・・ 」
「 えっと・・・これ、予定表。 今日は向こうに到着して明日のゲネね〜
ま、音あわせと場当たり程度だろうけれど 」
「 え ・・・ 今日、ですか ・・・ 」
フランソワーズは渡されたプリントをしげしげと見つめた。
最初の目的地と時間だけを知らされ、飛んできたので 彼女はこの旅の詳細を知らなかったのだ。
「 そうよ。 明日はね〜 千秋楽なんだけど ちょっとキツいのよ〜 」
「 ・・・ はい ・・・ え マチネとソワレがあるんですか ・・・ 」
「 そ〜なの。 だから朝ゲネしてる暇、多分ないわね。 ま でもそれで打ち上げ! だから さ。 」
「 そ〜よ〜〜 飲めるよ〜〜ん♪ 」
「 あ は ・・・ そうですか・・・ 」
舞台前はよそよそしかった仲間たちも今は打ち解けてきた。
ごとごとゆれるローカル線の中で おしゃべりが盛り上がる。
あとちょっと・・・! そう思って彼らは自分自身を元気づけているのだろう。
あ。 わたしったら ・・・ メイク、ちゃんと落としてないわ。
フランソワーズは思い出したようにゴソゴソ荷物を開け化粧ポーチを引っ張りだした。
「 ねえ、あなた、フランス人なのでしょう? むこうでもこんな公演、あるの? 」
隣の席にいる小柄な若い娘が聞いてきた。
「 公演って ・・・ 旅公演もあるけど、たいていはバスで移動するみたいよ? 」
「 ふうん ・・・ やっぱ日本は文化芸術が貧しいからねえ・・・ 」
「 でも・・・楽しいわ、こんな風に皆と電車でおしゃべりできるのですもの。 」
「 ・・・ あなた、いいヒトねえ・・・ 」
「 え そ そう? 」
「 アタシさ ・・・すご〜〜く感動しちゃったんだ、さっきの 『 ジゼル 』 」
「 タクヤ・・・さん、上手ですものね。 コールドもすごくキレイ・・・ 」
「 ホントいうとさ〜 ちょこっと反感持ってたけど。 なんで外部のヒトが〜って。
ごめんね。 アナタのジゼルみてて・・・涙でてきて。 」
「 え・・・ 本当?? 」
「 ホントよォ〜〜 も〜 ジゼルが可哀想で 可哀想で さ・・・
最後のね、鐘の音が鳴るところ、あるでしょ。 」
「 ええ 二幕のお終い ね。 」
「 そ。 アタシ、 ウィリでポーズしながら ぼろぼろ泣いてた ・・・ 」
「 まあ ・・・ ありがとう・・!! 」
「 アタシ、フランソワーズさんと同じ舞台が踏めて すっご〜〜く幸せデス! 」
「 わたしもよ、この公演に参加できて幸せ。 ・・・でもすごく心配だけど。 」
「 なにが。 」
「 だって・・・ ハード・スケジュールでしょう? オバサンには大変なの〜〜 」
「 あは! やだァ〜〜〜 オバサンだなんてェ〜〜 」
「 オバサンなのよ〜 でも 頑張るから・・・よろしく! 」
「 こ ち ら こそ♪ あの ね、パリのお稽古場のこと・・聞いてもいい。 」
「 いいけど・・・ もう昔のことだからあんまり参考にはならないと思うわ。 」
「 いい! やっぱ生で聞きたいのね。 HPとかないところもあるし。 」
「 そう? お役に立てればうれしいけど・・・ 」
二人はぼそぼそと話し込みはじめた。
ガタタン ガタタタタ ・・・
列車はのんびり進んでゆく。
男子たちは隣の車両に陣取っていた。
空いているローカル線、 座席に伸びてが〜が〜寝てるやつが多い。
さすがに酒盛りはできないので、さかんに食っているか中にはゲームに熱中しているのもいた。
山内タクヤは ― ポータブルMDで音を聞きつつぼ・・・っと外を眺めていた。
「 ・・・ よ。 」
「 ? ・・・ なに タケシ。 お前寝てるんじゃなかったのか。 」
同年輩の青年が一人、 缶ビールをほい、と差し出してタクヤの前に座った。
「 おまえ ・・・ 飲んでるのか。 」
「 よく見ろよ。 ドライバー用のヤツ。 」
「 ん? ・・・ あ〜 ノン・アルコールのか・・・ サンキュ。 」
「 今更 コーラだの飲めるかって 」
「 まあな。 ・・・ ふ〜ん ・・・ 結構ホンモノの味するな。 」
「 だろ? なあ〜 彼女ってお前と一緒のトコ? 」
「 ? ・・・ああ フランソワーズのことか。 」
「 そ。 正直に言うけど。 すっげ〜 息合ってたぜ。 いつも組んでる?
俺、他でみたことないんだけど。 」
「 あ 〜 まあ な。 彼女、 あんまし外の舞台に出ないから。 」
「 やっぱさ〜〜 ガイジンだと腰は高いし脚、Xだし。 細いから軽いだろ? 」
「 いや ・・・ 彼女、見かけほど軽くないんだ。 」
「 へえ? そんな風には見えなかったけど。 」
「 ・・・ うん。 彼女 さ。 そんなに軽くないし滅茶苦茶にテクニシャンってわけでもない。
どっちかっつ〜とブキッチョな方だな。 」
「 ?? 」
「 けど な。 いっつも こう〜〜 上をイメージしてるんだ。 」
「 どういうことだ? 」
「 うん・・・ たとえばさ、 リフトで あ・・・ コイツ、このくらいの高さまで跳ぶなって予測するだろ。
そこを目指してリフトするじゃん。 」
「 あ〜。 」
「 彼女さ、必ずそれよかちょっと上を目指して跳び込んでくるんだ。
で 俺は慌てて捕まえるってわけ。 アイツが飛んでゆかないように・・って 」
「 ふう〜ん ・・・・ 」
「 それの繰り返しさ。 いっつも俺はわたわた彼女を追ってるよ。 」
「 へえ・・・ ふうん ・・・ それでお前らのパ・ド・ドゥって なんてか、こう〜〜軽いのか。
見てて 空気に浮いてるみたいだった。 」
「 へへ 結構ず・・・ん! ときたりもするけど さ。
俺、アルブレヒトの気持ち、すげ〜よくわかる・・・ 」
「 はァ ? 」
「 こう 〜 さ、手を伸ばしても 伸ばしても ふ・・・っと宙に消えちゃう・・・ 」
「 ほ・・・ タクヤ〜〜 ひょっとして惚れてる? 」
「 ああ そうさ、 アルブレヒトはジゼルに夢中だぜ。 」
「 ふん ・・・ 逃げたな。 ま ・・・いいさ、明日も期待してる〜〜 」
「 はん・・・! 」
二人は缶ビールでガツン、と乾杯をした。
ああ そうさ! 惚れてるさ、もうゾッコンだよ!
・・・ 子持ちの人妻に な。
フラン ・・・ 俺は さ。
ず〜〜っと お前を お前に背中を見ている
追いかけなくちゃ 待ってくれ、飛んでゆくな・・・ってな
「 ・・・・ ・・・・ 」
窓の外、飛び去ってゆく景色をながめつつ、タクヤは溜息しかでない。
たとえ追いついても 彼女は ・・・ なあ・・・
今日の本番でしっかり気がついてしまった。
白い彼女の項、髪の生え際ぎりぎりに残された鮮やかなキス・マーク・・・
ちっくしょ〜〜〜 アイツめ〜〜〜
ぐしゃり。 タクヤの手の中で飲み終えたビール缶がつぶれた。
― ガタタン ガタタン ガタタ ・・・・・
ローカル線に揺られて フランソワーズたちは次の公演地を目指してゆく。
― その頃。 崖っぷちの館でジョーも溜息しかでない状態だった。
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updated : 11,01,2011.
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********* 途中ですが
すみません、もう一回! 続きます〜〜 <(_ _)>
な〜んも事件は起きませんが 最後までお付き合い頂ければ嬉しいです〜
すこし解説 ↓
後ろを縫った糸を〜 ・・・ パ・ド・ドゥの時は衣裳を着けてから背中をがっちり糸で縫ってもらいます。
回転のサポートの時など男性の手が衣裳の後ろの合わせ目などにひっかからないように。
そして激しい動きですから万が一でもホックがはずれたりしないため。
場当たり ・・・ 舞台上で 場面ごとにどのあたりの位置にくるか確かめる。
特にコールドの場合は大切。 ここで客席の端、 次は3枚目のリノリウムの継ぎ目、とか
チェックしておく。 舞台が変わるときには必須!!