『  にちようび  ― (1) ―  』

 

 

 

 

 

 

 

 

  日曜日 ―  そ れ は♪

 

お寝坊してもいい日。  朝からアニメをみてもいい日。

時計をみないでごはんを食べてもいい日。  そして  ・・・ なによりも♪

 

   お父さんがず〜っとお家にいる日 ―  すぴか

 

   お母さんとず〜っと一緒にいられる日 ― すばる

 

「 だ ・ か ・ ら♪  にちようび、だ〜〜〜いすき♪ 」

「 僕も〜〜〜 だいすき〜〜〜 」

 

 

町外れの崖っぷち、ちょいと古びた洋館には若夫婦とどちらかの親御さんらしきご老人、

そして  双子の子供達、 すぴか と すばる が暮している。

双子の姉弟は小学生、 毎朝元気に急な坂道を駆け下りて登校し

まだ若いご主人は、こちらも毎朝坂道を車でころげ落ちるみたいに出勤してゆく。

帰りはいつも深夜 ― でも居間の灯が消えていることはない。

美人の若奥さんも家族を送りだしてから大きなバッグを抱えて出かける。

留守を守るご老人は盆栽の手入れをしたり、テラスの日溜りに籐椅子を持ち出し読書に耽ったり。

たまに、ぷらぷら国道の角にある煙草屋まで出かけることもある。

母と娘は金髪碧眼、父と息子はセピアの髪と瞳・・・なガイジンさん一家なのだが 

皆日本語は堪能で地域の人々ともちゃんと交流していて なかなか評判もいい。

  ― ようするに。 どこにでもいる家族が住んでいるのだ。

 

「 ねえ ねえ お父さ〜ん。  クルマのおそうじ〜 お手伝いするからさあ〜  」

「 ・・・うん? なんだい すぴか。 」

「 だからァ〜〜 おそうじのお手伝いするから〜 じょしゅせき、すわらせて 〜 」

「 ? いいぞ。 なんだってそんなことがお願い なのかな。 」

「 え〜 だって〜〜 いつもお母さんの席 でしょう? 」

「 出掛けない時なら いつだっていいぞ。 」

「 ・・・ ふ〜ん ・・・ おでかけの時にすわりたいのにな〜〜〜 」

「 うん? なんだい、すぴか。 」

「 なんでもな〜〜い♪ ねえねえ お父さ〜ん 新しいしゃしん、みせて〜 」

「 おう、いいぞ。 特別にすぴかには見せてやる。 」

「 うわ〜い♪ 」

 

 

「 ねえ ねえ お母さん〜〜  じゃがいも、むいてもいい。 」

「 あら ありがとう、すばる。 お願いするわね。 えっと・・・・・このくらいかな。 」

「 うわ〜い♪ これ、なににするの。 」

「 う〜ん・・・ただいま考え中 」

「 え。 だめだよ〜う お母さんってば。 なにに使うかきめてからにして。 」

「 ・・・いいじゃない、とりえあずこれ、         剥いてよ。 」

「 ぶっぶ〜〜〜 あまったらもったいないで〜す。 」

「 わかったわよ。 ( ・・・っとに細かいわねえ・・・オトコノコなのに・・・ ) 

 じゃ・・・ カレーにします。 ですからこれだけ剥いてください。  」

「 うわお♪ りょ〜かい♪  あ お母さん、 たまねぎ は? 何個むく? 」

「 ・・・ すばるが決めてちょうだい。 」

「 うん♪  ふんふんふ〜〜ん♪ 

 あ お母さん。 ニンジンはァ?  あ ニンニク、いれる? 」

「 ・・・ 全部すばるの好きにしていいわ。 」

「 わい♪ ねえ ねえ お母さん〜〜 いっしょにつくろうよ〜 」

「 ・・・ はいはい  ( わたし、することないんですけど・・・ ) 」

 

 

晩御飯は家族全員で揃って食べる。

みんなでおしゃべりしたり笑ったり ― テレビとかはあんまり見ないけどすっごく楽しい。

 

    ―  すぴかとすばるは そんな日曜日が大好きなのだ。

 

 

 

   だ  けど。

 

 

「 え。 怪我?   マミさんが ・・・ 」

「 そうなのよ。  それでね、 ああ  あとはマダムに伺ってね。 」

「 は はい・・・ 

その朝、 フランソワーズはバレエ・カンパニーの受付で事務所の人に呼び止められた。

ちょうど2日まえから カンパニーの仲間の数人がバレエ協会の旅公演に参加していた。

 

「 おはようございます ・・・ 」

更衣室のドアを開ければ もう仲間たちの大半は着替え終わり髪を結ったりしていた。

遠距離通勤のフランソワーズは たいてい到着最終組なのだ。

「 あ〜 おはよう〜 」

「 おはようございま〜す 」

「 おはよう!  フランソワーズ!  」

奥から仲良しのみちよが 手を振っている。

「 みちよ〜 おはよう・・・! 」

フランソワーズは急いで彼女の側にゆくと着替え始めた。

「 ねえ ・・・ 聞いた? マミさんのこと。 」

「 ええ、 今受け付けで。  怪我って・・・公演先で? 」

「 そ〜なんだって。  向こうの舞台、床があまりよくなくて・・・

 ポアントの先がつっかかって・・・ 膝、ひねっちゃったんだって。 」

「 ・・・ まあ ・・・ 

着替え終わり、髪を結う櫛やらピンやゴムを取り出しつつフランソワーズは眉をひそめた。

旅公演 とは決まった作品を持って各地の劇場やホールを移動してゆく公演だ。

大きなバレエ団の地方公演とはちがって規模も小さいし各地での公演日数も短い。

旅程はかなりきつく、移動先の舞台のコンディションも必ずしも良いとは言い難い。

バレエや舞踏専用のホール、などこの国ではほとんどないのだ。

だからダンサー達も体調を崩したり、怪我したりすることも少なくはない。

 

「 旅・・・って大変なのでしょう? 」

「 う〜ん そうだねェ  私も去年参加したけど・・・楽、とはいえなかったヨ。

 あれ? フランソワーズ、オーディション、受けなかったの? 

「 ええ ・・・ あの わたし・・・ 今、家を空けるのは・・・ちょっと無理なのね ・・・ 」

「 あ そうだよねえ・・・ チビちゃん達がいるものねえ。 

「 そうなの、来年くらいになれば置いて行けるかも・・・しれないけど。 」

「 小学生でしょう?  えっと・・・二年生だっけ? 」

「 ええ。 日曜とかならジョーがいてくれるけど。 普通の日はねえ・・・

 特に夜は出られないわ。 博士・・・いえ、父だけじゃ まだ無理なのね・・・ 」

「 そうだよ、ママがいなくちゃ・・・ 泊まりは可哀想だよ。 」

「 ・・・ 仕方ないわ。  でもマミさんの代わり、どうするの。 」

「 さあ・・・? ぎりぎりの人数だしね?   先に行くね〜 」

「 ええ。  あ! い 急がなくちゃ! 」

時計を見れば もうのんびりしている時間ではなく、フランソワーズは慌てて髪を結い上げ、

タオルやらポアントの袋をもって更衣室を飛び出した。

 

   やがて ピアノの音が響きだし朝のクラス・レッスンが始まった。

 

 

 

 

  お疲れ様。    ありがとうございました!

 

優雅なレヴェランスと拍手で レッスンは終った。

ダンサー達は次のリハーサルの用意をしたり、教えの仕事にいったり・・・散ってゆく。

「 ふうう・・・ え〜と ・・・さっきのアレグロ・・・ は・・・ 」

フランソワーズはタオルでごしごし顔を拭うと すみっこで自習を始めた。

「 う〜ん・・・ ここでどうしても脚が逆になっちゃう〜〜 」

「 ― だから あなた、バッチュが逆なの。 」

「 あ  マダム。 」

指導者のマダムが目の前に立っていた。

「 あ・・・は はい! すみません・・・ 」

「 よく見てね。    ― ねえ フランソワーズ。  お願いがあるんだけど? 」

「 ―   はい??? 

「 マミのこと・・・ 聞いてるでしょ。 

「 あ はい・・・ 旅公演で・・・怪我されたって・・・ 」

「 そうなのよ〜 床の状態がちょっとねえ・・・ともかく昨日はなんとか踊ったそうだけど。 」

「 すごい・・・ 」

「 他に替わり、いないからねえ。 それで  ね 」

「 ・・・?? 」

「 『 ジゼル 』 なのよ。 アルブレヒトはタクヤよ。

 ― フランソワーズ、 あなたならタクヤと 『 ジゼル 』 踊ったわよね。  」

「 え ええ・・・ 去年、小作品のコンサートで・・・ 」

「 でしょ。 で ね、タクヤも貴女とならすぐに踊れるから・・・って言ってきたの。

 ゆっくりリハーサルしてる時間、ないでしょ。 」

「 はあ ・・・ 」

「 ね。 貴女の事情も解っているのだけれど・・・ 

 旅公演にね、途中参加ってことで行ってくださらないかしら。 」

「 え ・・・ わ わたしが ですか。 」

フランソワーズはあまりに急な話に 目をまん丸にしていた。

 

 

 

 

「 ― ただいま ・・・ 」

「 おかえりなさい ジョー 」

ジョーが玄関に立つと すぐに灯が点りドアが開いた。

「 フラン ・・・ ただいま。 」

「 ジョー お疲れ様 ・・・ 今晩はジョーの好きな肉じゃがよ。 」

「 わお♪  でも その前に ・・・ 」

ジョーはくい・・・っと愛妻を抱き寄せた。

「 ・・・ ジョー  お仕事、お疲れ様 ・・・ んんん ・・・ 」

二人は深夜に近い玄関で たっぷりと熱い口付けを交わした。

 

「 ジョー ・・・ 外は冷えるの? 」

「 ・・・え ? 」

「 ジョーの唇もほっぺも  ・・・ 冷たいもの。 」

「 そうかあ・・・ うん、夜は冷えるよ、本当に。 」

「 ほかほかの肉ジャガがあるわ。 たっぷり温まってね。 」

「 うん♪   ― フラン。  なにかさ、気になること あるのかい。 」

「 ―  え ・・・ 。 」

「 すぴかがまたお転婆したのかい。 泣き虫すばるがまた泣いたのかな。 」

「 まあ ・・・違う、違うわよ。  お嬢さんも坊ちゃんもイイコでした。 」

「 じゃあ ・・・ 」

「 うん ・・・ ちょっとジョーに相談があるの。

 でも その前にほかほか晩御飯にしましょ。 ・・・ お腹、鳴ったわよォ〜 」

「 え!? ・・・ はい、では御馳走になりまァす♪ 」

二人はお互いの腰に手を回し、ぴったり寄り添ってリビングに入っていった。

 

 

 

アツアツの湯気が昇る深皿が ジョーの前に置かれた。

「 はい どうぞ。  召し上がれ。 」

「 うわ〜〜〜♪ 美味そう〜〜!  ・・・っと。  いただきます。 」

ジョーは神妙に十字を切り、ちょっと頭をさげてから嬉々として箸を取り上げた。

  ・・・ その後 しばらくは 

 

「 うま〜〜〜い・・・!! 」 「 これ・・・好きなんだよ〜〜 」 「 うわ〜お〜 」

 

などの言葉と満足の吐息が食卓を席捲していた。

「 ジョー。 お代わりは?  」

「 うん ・・・ もうこれで十分満足デス。 」

「 お漬物、あるわよ? お茶漬け・・・じゃなかったの? 」

「 う ・・・ も もう一杯、ください。 」

「 はい♪ 」

フランソワーズはくすくす笑いつつ 茶碗をうけとった。

「 なあ?  ・・・ 話せよ。 」

「 ・・・え。 」

「 なにか 問題があるんだろ?  気に掛かっていることが さ。 」

「 ええ ・・・ それが。   あ  はい、どうぞ。 お茶漬けよ。 」

  コトン ― ジョーの前に御飯茶碗とお茶の湯呑も一緒に置かれた。

「 ありがとう。  それで? 」

「 ええ、  じつは  ね・・・ 」

「 ・・・うん? 」

ときおり聞こえるお茶漬けをかっこむ音は フランソワーズのぼそぼそ話す声が隠してくれた。

「 一応 ・・・ 主人と相談してきます、って言ってきたの。

 でも ・・・! わたしにはできないわ。 あのコ達を置いて・・なんて。

 ウチはまだ泊りがけででかけるのは無理よ。 」

「 ふん ・・・ 」

ジョーはゆっくりとお茶を飲む。

「 それで ― きみは。 きみ自身はどう思うのかい。 いや、 どうしたいのかな。 」

「 わ わたし・・・? 」

「 そう。 君自身の気持ち さ。 」

「 わたしは ・・・だから 無理・・・って。 」

「 母親としてはそうだろ。  フランソワーズ・アルヌールとしては どうなのか。 」

「 ― え ・・・  それは ・・・ その。 皆の役にたてるなら・・・ 」

「 奥さん? 正直に言いましょう。 」

「 ・・・ 踊りたい! たとえ旅公演の縮小版でも 『 ジゼル 』 踊りたいの! 」

「 よし、よく言った!  うん きみの本当の気持ちを確認したかったんだ。

 アイツがパートナー・・・ってのがちょ〜〜〜っとフクザツだけど。 」

「 アイツって タクヤよ? ジョーだってよく知っているじゃない。

 彼、偉いと思うわ。  旅公演ってキツいから嫌がる男子、多いのよ。 」

「 ・・・ ま ともかく だな。 」

 

    カチリ ・・・・

 

ジョーは食事を終え きっちりと箸を置いた。

ごちそうさま・・・とちょっと頭をさげてから 妻を真正面からみた。

「 ― そうか。  行きなさい、フラン。 」

「 え・・・で でも。 すぴかもすばるも ・・・ 一人で夜のお留守番したこと、ないのよ。 」

「 一人じゃない。 ぼくがいる。  任せてくれたまえ。 」

「 ・・・ ジョー ・・・・! 」

フランソワーズは ほれぼれと彼女の夫をみつめる。

 

    素敵・・・!  ジョーって こんなにかっこよかったのかしら。

    頼もしいわ、素敵だわ ・・・!

    わたしの旦那サンがこんなに素敵だったなんて・・・

 

彼女は幸せの吐息に酔いしれ、薄く涙ぐんでさえいる。

ジョーはジョーで そんな細君の姿を見て 大いに自尊心を満足させた。

 

    うん。  なんたってぼくはフランの夫なんだからな。

    妻が能力を最大限に引き出せるよう、応援し協力する・・・

    これは うん、夫にしかできない <仕事> なのだ。

 

日頃 ジョーはどことな〜く・なんとな〜く。  ほんのちょびっとだが引け目を感じていた。

彼女より年下であること に彼自身も、勿論フランソワーズも拘ってはいない。

彼女はジョーを夫として、父親として、常に立ててくれている。

( 実際 ・・・頼りにしてくれている・・・とジョーは信じている。 )

でも ・・・ まあ一抹の引け目は消せない らしい。

 

それが ―  今、彼の細君は尊敬と感謝にみちた眼差しを彼に向けているのだ♪

ジョーは内心 えっへん♪ と胸を張りたい気分だったのである。

 

 

 

    ・・・・ ア ・・・・ ふぅ ・・・・

 

ジョーは身体の内に溜まった熱い息を 吐きだした。

たった今 離したたおやかな身体の熱さ・香りがこの身にうつり、滲み込んでいる。

「 ・・・ フラン ・・・ あ  は ・・・ なんか ・・・すご・・・ 」

「 ・・・ ジ ジョ  ・・・ ― ・・・ や ・・・ 」

「 な ・・・ 顔 みせて ・・・ 」

「 ・・ や ・・・ まだ ・・・ はずか しい ・・・ 」

彼の細君は顔を背けたが しなやかな身体はどこもかしこも薄薔薇色に染まりまだ肩で息をしている。

「 ・・・ ふ  ・・・ 可愛い フラン ・・・ 」

「 ジョー・・・ ってば ・・・あんなに ・・・ 」

「 ふふふ・・・ きみが魅力的すぎるから  さ   可愛い 」

「 ・・・ あ  ん ・・・ 」

ジョーはゆっくりとフランソワーズの肩を抱き姿勢を換えると、そこここにキスを落とした。

「 ・・・ や ・・・ぁ ・・・ 」

「 ごめん  あんまり可愛くてつい ・・・ 」

ジョーはお気に入りな彼女の亜麻色の髪に顔を埋める。

光沢のある藁色の合間から 真っ白な項が見えたとき、ジョーはたまらなくなりそこに熱くキスをした。

「 ・・・ やん ・・・ ジョーってば ・・・ 」

「 うふふ・・・ 」

ジョーはくっきり残った花びらをちらり、と見つめ低く笑う。

 

     ふふ〜ん・・・  この女は俺のオンナだから。

     しっかりシルシ、つけたからな〜

 

二人は気だるい弛緩の中にしばらく漂っていたが やがて共に深い健やかな眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

「 うん。 へいき。  いいよ、アタシ。 」

すぴかは事も無げに うんうん・・・と頷きすぐに返事をした。

「 ・・・ ぼ 僕 ・・・ ぅ ・・・ 」

「 すばる? アンタ、やっぱ甘ったれェ〜〜〜 」

「 ち ちがわい!  お父さん、僕もへいき。 僕、ばんごはん つくる! 」

すばるはちょこっと涙ぐんだけれど、 すぐに怒ったみたいに真っ赤になって言った。

「 え ― 二人ともすごいなあ〜  えらい えらい。

 それじゃ  お母さんにお泊りのお仕事、いってらしゃい、って言おう。 」

「 うん !! 」

「 ・・・ う うん ・・・ 」

  ―  翌日、 ジョーはさっそく子供たちに尋ねたのだ。

 

  お母さんがお仕事で旅行しなくちゃならない。

  お泊りの旅行になるけれど 二人は平気かい、

  ちゃんとお留守番ができるかな。

 

父の問いにすぴか即答し すばるもなんとか うん と応えた。

「 ・・・ふうん ・・ いやだア〜〜って泣き喚くかなあと思っていたけど・・・

 二人ともしかりしてきたなあ・・・ もう赤ちゃんじゃないもんな。 」

ジョーは一人で大感激し、かえって父の方が涙ぐんでしまった。

「 お父さん!  じゃ〜 お母さんに〜 ほうこくしよ? 」

「 そうだね。  皆で行こうね〜 」

「「 うん!!! 」」

3人はキッチンにずらずら入っていった。

 

「 ・・・? あら なあに。 」

お母さんは キッチンでお野菜を洗ったり切ったり・・・サラダの用意をしていた。

「 いいかな〜 せ〜の ! 」

「「 お母さん、 アタシ・僕 お留守番できます ! 」」

すぴかとすばるは 声をそろえてきちんと言った。

「 え ・・・ えええ?? 」

「 フラン。 二人ともこの通りだ。 安心して旅公演に参加しなさい。 」

「 まあ ・・・ ほんとう? 」

「「 ほんと〜だよ〜〜 お母さん! 」」

「 ・・・ すぴか ・・・ すばる! 」

お母さんは 屈みこむと二人をきゅ〜〜〜・・・っと抱き締めてくれた。

 

    うふ ・・・ お母さんってば泣いてる ョ

 

    えへ ・・・ お母さん〜〜 いいにおい〜〜

 

「 ありがとう!!  お母さん すごくすごく ・・・嬉しいわ・・・ 

 すぴかもすばるもいつの間にか お姉さん お兄さんになったのねえ・・・ 」

「 そういうことだな。 」

「 ジョー ・・・ ありがとう!  わたし・・・こんな素敵な家族に囲まれて幸せだわ。 」

「 うん ぼくもさ。  ・・・よ・・・っと。 」

ジョーは双子ごと、きゅ・・・っ彼の細君を抱きあげた。

「 ぼくも 幸せだよ、フラン。 」

「 きゃ〜〜〜〜 お父さん〜〜 ♪ 」

「 あ あは・・・  お父さん ・・・ ( ちょ ちょっとコワイ・・・ かも・・・ ) 」

ジョーは彼の家族をうんしょ・・・と運び 皆は笑いころげてソファに着地した。

「 うふふふふ・・・・ でもね、なるったけ早く帰ってくるわ。 」

「 お母さん、 ぶたい なんでしょ? がんばって! 」

「 タクヤお兄さんといっしょ、でしょ。 がんばって!って伝えて。 」

「 はいはい  わかりましたよ〜 」

「 よし。  フラン、 家のことはぼくに任せて。 きみは存分に踊ってこい。 」

「 ―  はい。 」

 

 ・・・そして。  

フランソワーズは土曜の早朝に出発し、千秋楽の後、帰りは月曜の始発で現地を発つことになった。

 

 

 

土曜日の朝 ・・ まだ暗い時間 ― 

「 ― それじゃ。 お願いします。  」

「 うん。 きみこそ気をつけて な。 」

「 ええ。  ジョー ・・・ 」

「 フラン ・・・ 」

軽くキスを交わし見慣れた後ろ姿が駅舎に消えてゆくのを ジョーは車の中から見送った。 

 

    こうして  お母さんのいない週末 が始まった。

 

 

「 ・・・ やれやれ ・・・ さて食器を片付けるか・・・ 」

ジョーは玄関から戻ると う〜ん! と伸びをした。

土曜日 ・・・ フランソワーズを駅まで送り、帰ってみれば朝の早い博士は朝食を終え

洗濯機のスイッチを入れておいてくれた。

「 博士〜〜 おはようございます!  ありがとうございました。 」

「 おお お早う、 ご苦労じゃったな ジョー。  ふふふ このくらいは手伝わせtえおくれ。 」

「 いや〜 助かりましたよ。  え〜と? チビたちはまだ起こさなくていいか・・・ 」

ジョーは時計を眺めると エプロンを手にとりキッチンに入っていった。

 

  土曜日は ― 比較的 普通の土曜日 だった。

朝御飯はフランソワーズが作っていってくれたし 子供たちは<いつもの通り> の予定があった。

学校はお休みだけど、すぴかは バレエのお稽古 にゆき すばる はしんゆうのわたなべ君と

そろばん教室に出かけ帰りは多分二人して図書館に寄ってくるのだろう。

 

「 ―  は ・・・。  なんか・・・やること、ないなア ・・・

 あ 皿洗ったら洗濯もの干し だな。  うん 出だしは順調〜ってとこか。 」

ジョーは フランソワーズ愛用のエプロンをして、ハナウタ交じりに食器を洗っていた。

 

    ふふふ〜〜ん♪ こりゃ 楽勝〜〜〜ってトコかな〜〜

 

 

久々に取った休暇なので ジョー自身も少しウキウキしていたのかもしれない。

にわか主夫は張り切って家事をこなし始めた。

キッチンを整頓し、ついでに食器棚の中も整頓してみた。

「 ・・・よし オッケ〜。  うん これで大きさの順になっていて見場もいい。

 そうだ、色系等で揃えてみるか・・・ 」

5人家族、 時にはそれが一挙に倍になる時もあるので この家の食器の数は多い。

大きな食器棚の中を彼なりに整頓し ジョーはしごく満足だった。

「 さて・・・と。 おっと〜〜 洗濯モノ 洗濯もの〜〜 っと 」

ジョーは洗濯籠を担いで 裏庭の干し場に跳んでいった。

 

 

「 ・・・・ こんなに どうしよう ・・・ 」

ジョーは鍋の前で呆然としていた。

深い寸胴の鍋には 茹で上がりさっとオリーブオイルを絡めた・アルデンテ な ―

  すぱげってぃ  がてんこ盛り。

で もって食べ手といえば ―

 

「 昼ごはん?  ああ よいよ、ワシはいつもコーヒーとオレンジくらいでの。 

 自分でやるので放っておいてくれてかまわんよ。 」

博士は淡々と相変わらずのマイペース、ちょっとコズミ君の研究室へ・・・と出かけてしまった。

「 あ ・・・ はい・・・。  う〜ん ・・・  でもチビ達が帰ってくるからな!

 うんうん・・・あいつら、腹ぺこで戻ればこのくらいぺろり、だろう。

 そうだよ、すばるがいつものしんゆう君をつれてくるかもしれないしな〜 」

ジョーは子供達の食器を取り出し、 にんまりしていた。

「 ま、ミートソースじゃないけど。 ソーセージとタマネギのパスタだって美味いんだぞ〜 」

 

      お父さん〜〜 おかわりっ !!

 

      僕も 僕も〜〜〜  あ。 だいち君もだよね〜

 

      う うん。 すばる君のお父さん、お代わりください。

 

ちっちゃなお皿がどんどん空いて ジョーやはお代わりを盛ってやるのに忙しい。

「 うわ〜 皆 よく食べるな〜 シェフとしては感激だぞ〜 」

「「 だって美味しいんだもん♪ 」」

たちまち鍋は底を見せ始め ・・・ 新人シェフは 自分自身が食べるのをすっかり忘れていた。

 

   ・・・・ そんな光景を 設定していたのに。   のに ・・・

 

目の前には ・・・ そろそろ冷えて固まってきたすぱげてぃの山。

 

 

「 お昼?  ― アタシ、 土曜日はいつもお弁当だよ?

 うん、今日だってお母さん、ちゃ〜んと作ってくれたもん♪ 

 アタシ、ぜ〜んぶキレイに食べたもん。 」

お昼すぎに帰ってきた娘は カラン、と空の弁当箱をシンクに出した。

「 あ ・・・そ そうなのかい?  」

 

     ひえ・・・・フランってば。

     あの時間に出て行ったのに朝食だけじゃなくて弁当まで・・・

     う〜〜ん ・・・ さすが主婦!

 

「 だ〜から。 お腹いっぱいなの。  アタシ、 サアちゃんと遊びにいってくるね〜 」

お洗濯にだしてといて、 と娘は<おけいこバッグ>を父におしつけ 

そのまま 遊びに行ってしまった。

「 あ ・・・ 行っておいで。  夕方は ― 」

「 は〜い ちゃんと タタンタ・タン♪ が鳴るまでかえってくるよ〜〜 」

「 ― たたんた たん? 

「 5時のねえ、 <お家にかえりましょう・コール> のことだよ、お父さん。

 5時になると町中で鳴るんだ。 」

「 ? あ ・・・ すばる〜 お帰り♪  お昼ごはん、出来ているよ。 」

娘と入れ替わりにジョーの小さな息子が帰ってきた。

「 僕、お母さんのお弁当、食べたからいい。  

 僕、わたなべ君ちに遊びにいってくるね。 」

「 おい、ちゃんとお家の方に遊びに行きますって言ってあるのかい。 」

「 うん。  毎週、土曜日は遊びにゆくんだ〜 お父さんってば知らないの? 」

「 あ〜 いや ・・・ そ そうだったよな。  うん ・・・ そうか。 」

「 じゃね。 いってきマス〜〜 

「 あ うん・・・行っておいで。  あ! ちゃんとごあいさつ、するんだよ。 」

当たり前じゃん・・・って顔で 息子はちらり、と父を振り返ると、さっさと出かけていった。

 

      はあ ―  ・・・・    !

 

      ってことは。  この・・・ 冷えたすぱげてぃの山を食べるのは

 

      ―  ぼ ぼく ひとり  か・・・!

 

 

ジョーは盛大に溜息を吐くと。 深皿にすぱげてぃを山盛りにした。

どうやら完食するのは 一家の主たる自分の仕事、らしい。

 

       よ よ〜し・・・・!

       ―  あ あとは ・・・・ ゆうき だけだッ!

 

その日 ジョーはサイボーグであることを心から感謝していた。

 

 

 

   ふぁ〜〜〜・・・・・

 

   ・・・ う〜 ・・・ ん ・・・・?

 

ソファに並んで 色違いの小さな頭がゆらゆら・・・揺れっ放しだ。

 

 

土曜日の晩御飯、お父さんはほとんど食べなかったけど、 

にっこにこして二人のおしゃべりを聞いてくれた。

すぴかもすばるも 今日あったことをいっぱいおしゃべりできてご機嫌ちゃんだ。

おじいちゃまはいつものようににこにこ・・・聞いてくれた。

すばるの <どうして?> に易しく答えてくれる。

お父さんともこんなにいっぱいおしゃべりするのは本当に久し振りだったし。

「 それでね〜〜  あ〜〜 このはんばーぐ、お母さんのだあ〜  」

「 うん♪ 僕 これ だいすきい〜〜  」

「 そうか? それじゃ二人ともた〜くさん食べなさい。 」

 

       へ ・・・ へへ ・・・

       冷凍庫に保存してあったんだ〜〜 

       フラン〜〜〜 こころからサンキュ〜〜♪

 

「「 うん!! 」」

「 あれ・・・ お父さんは? 

「 え・・・ あ うん。 お父さんはちょっとお腹一杯なんだ。 後から楽しみにしておくよ。 」

「 ふうん ・・・ それじゃお父さん 一人で食べるの? 」

「 そ そうだね。  さあ 二人ともしっかり食べるんだよ。 」

「 うん ・・・ あ お父さん! 明日の晩御飯、 僕がつくる〜〜 」

「 つくる〜・・・ってすばる、あんたができるの、むく と 切る だけじゃん。 」

「 でも でも〜〜 僕 お手伝いするんだァ〜〜 」

「 わかったよ、すばる。 お願いするよ。 」

「 アタシだってお手伝い する〜〜 お父さん!  」

「 そうか〜 ありがとうな、すぴか。 それじゃ ・・・サラダを頼もうかな。 」

「 サラダ・・・う  うん ・・・ いいよ・・・ 」

「 刻むのはお父さんがやるから。 すぴかはかっこよく盛り付けてくれ。 」

「 うん!!! お父さん、 まかしてッ! 」

「 じゃ 明日の晩御飯は皆で作ろうな〜 」

「「 わい〜〜〜 」」

「 お母さんにもとっておいてあげるんだ〜 僕。  

 おうちに帰ってきたら すぐにたべれるよね〜〜 」

「 すばるってば ばっかじゃない? お母さん 帰ってくるのは あさって だよ! 」

「 ・・・ あ ・・・ 」

すばるの赤茶色の瞳が うるうるしてきた。

つっこんでおきながら すぴかもむす・・・っとして御飯をやたら口に詰め込んでいる。

 

      あ ・・・ マズいな ・・・ 泣くなよ・・・!

 

「 そうだね〜 それじゃお母さんが帰ってきたら お昼ごはんに食べてもらおう。

 お母さん、くたびれて帰ってくるから 喜ぶぞ。 」

「 そ そっかな ・・・ 」

「 そうだよ すぴか。 あとは二人がニコニコ・・・ お帰りなさい!って言うこと。  な すばる。 」

「 う うん ・・・ お父さん ・・・ 」

「 それじゃ しっかり晩御飯 たべる〜〜 いいね。 」

 う うん・・・ わかった・・・ 」

「 アタシはちゃ〜んと食べてるも〜ん 」

「 よしよし・・・  じゃあな、デザートは ミルク・ぜりー があるんだ。 」

  うわお〜〜〜〜♪♪   ― 子供たちの歓声がリビングいっぱいに響いたのは当然だろう。

 

     ふふ・・・ よかった〜〜〜

     アレだけは作れるんだ♪ ・・・フランに特訓されたからな

 

ミルク・ぜりー とはシマムラさんち の定番デザートでジョー自身も大好物だ。

牛乳と生クリームをちょっとだけいれたジェリーだから簡単に作れる。

フランソワーズも ちょくちょく作っている。

それだけに < お母さんのミルク・ゼリー > は家族団欒の象徴でもあった。

 

 

  ―  かちゃん。

 

ジョーは最後のガラス皿を食器棚にしまった。

「 ・・・ふう ・・・ やれやれ・・・。  これでなんとか。 一日目はクリア か。」

心身と夜気が冷えてきたキッチンで ジョーは大きく溜息をついた。

 

すばるが少しばかりメソメソしかけたけれど、なんとか持ちこたえた。

子供たちはおじいちゃまと機嫌よくお風呂に入り、 <オヤスミナサイ> をしていった。

「 うん、 お休み。  ちゃんと毛布をかけて寝るんだぞ。 」

「「 はあ〜い。 」」

双子はじ〜〜〜っと父を見上げている。

 

    ・・・ え?  な なんだ。 この目付きは・・・?

 

「 お父さん。  おやすみ のキス して。 」

「 え えええええ〜〜〜〜 ??? 」

娘は母親そっくりの瞳でじ〜〜〜っと父親を見つめている。

 

    き  キスぅ〜〜??  フランとはそりゃ・・・ちゅ♪ってやってるけど・・・

 

「 お父さ〜〜ん 僕にも〜〜 ほっぺにちゅ して。 」

今度は息子がつんつん・・・と父のトレーナーをひっぱった。

「 ほっぺに? ・・・あ ああ そうか、 うん、そうだね ・・・ 」

 

    あ は ・・・ なんだ〜〜 ほっぺに ちゅ・・・か。

 

ジョーは屈んで子供たちを抱き寄せると ちゅ ちゅ ・・・っとやわらかいほっぺにキスをした。

「「 おやすみなさ〜い ♪ 」」

「 ああ  ゆっくりお休み。 

やれやれ・・・ とジョーは肩の荷が降り、大きく溜息を吐いた。

「 ジョー ・・・ 何とかなったな。 」

彼の溜息に 博士は苦笑しつつもほっとした面持ちだ。

「 ・・・ はい ・・・ な んとか・・・。 博士も ありがとうございます。 」

「 いやいや ・・・ ま 今夜はお前も早寝しておけよ。 明日が勝負・・・かもなあ・・・

「 あ ・・・ は はい ・・・ 」

「 ワシも早めに休むとするよ。 」

「 はい、 お休みなさい・・・ 」

博士はちょ・・・っと手を揚げると 寝室に引き取っていった。

 

 

キッチンの片付けも終わり さて・・・風呂の入って寝るか、と思ったが。

「 あれ? なんだ〜 まだこんな時間かあ ・・・ 

お子ちゃまタイムに合わせていたので 実はまだオトナにとっては宵の口、な時間なのだ。

「 ふん ・・・ TVでも見るかなあ・・・ 」

ジョーはポチポチリモコンを操作してみたが 興味を引く番組はなかった。

  いや ・・・ 一人で見る気がしなかったのだ。

「 は ・・・  な んだか さ。  な〜んにもやる気がしないなぁ ・・・ 」

ジョーはソファの上で う〜〜ん・・・と伸びをし ぱか・・・っと天井を眺めている。

 

     昔は さ。  いっつも一人で TV見たりゲームしたり・・・

     そんな夜が 普通だったのに ・・・

 

この家で、いや フランソワーズと一緒になってからジョーの <夜の過し方> は一変した。

いつもはフランと なんとなく話をしている。 TVも黙って見てはいない。 

そんな細君との何気ない語らいが ジョーはとても楽しい。

孤独は少年期を送ってきた彼には 一人じゃない ことは最高に嬉しいのだった。

 

要するに ジョーは ―  たったひとりの手持ち無沙汰な夜を持て余していた。

そしてベッドに入ってからも ・・・

 

     ・・・・ ふは ・・・ ・・・・ ふ ん・・・・ 

     カサリ ・・・  バサ ・・・・!

 

いつものクセで ぽん・・・と伸ばした手には冷たいリネンの海が当たるだけ。

隣が ・・・ 空っぽだ。

ジョーは輾転反側 ・・・ 広いダブルベッドのリネン類はぐしゃぐしゃになってゆく。

空が白む時刻まで ジョーの溜息は夫婦の寝室に満ちていた・・・

 

 

 

 

 

 

「 あ あの・・・! フランソワーズ・アルヌールですが ・・・ 」

「 ああ ・・・ マミの代わり ね。  11時からゲネだから 準備して。」

「 は はい・・・! 

駅についてメモを頼りにやっと ・・・ 目的地に着いた。

朝一番に家を出て やっと・・・公演先に着いたのは9時を回った頃だった。

ちいさなホールが図書館に隣接していた。

 

     あ  ・・・ ここなのね ・・・

 

やれやれと、大きなバッグを引き摺って とりあえず荷物、置いて。 いわれた部屋へ向かった。

旅公演は バレエ協会が主催、オーディションを受けていないフランソワーズは<知らない顔> だ。

事情が事情だけに仕方なかった、という雰囲気がかなりあからさまなのだ。

 

    ・・・ どうも歓迎はされていないようね ・・・ 当然だけど ・・・

 

フランソワーズは心の中で溜息をついたが笑顔を見せ大急ぎで着替え始めた。

「 ・・・ 久し振りね、こんな慌しいのって。 」

ちょっと楽しい気分になってきた・・・ 

「 いっけない。 気を引き締めて・・・っと。 皆に迷惑かけないように・・・

 そうよ、指名してくれたタクヤに恥かかせないように! 」

こっちね・・・とホールのドアを開ければ。

出演者たちはゲネ開始にむけて慌しく動き回っている。

舞台の上では 数名のダンサー達が思い思いに最後の調整をしていた。

 

「 あ〜〜〜 来た!! ありがとう、 ありがとう〜〜〜 フラン!! 」

 

舞台の上から 男性ダンサーが大声で叫びぶんぶん手を振っている。

舞台美術や大道具・照明のスタッフたちも、勿論ダンサー達も 全員が彼女に注目した。

 

    「   ・・・  タクヤ ・・・! 」

 

ぱあ・・・っと広がった彼女の微笑みに なぜかその場の全員がほんわか温かい気分になった。

「 あは ・・・ フラン〜〜〜 俺の フラン・・・! 」

たたた・・・っとタクヤは舞台から駆け下りてきた。

そして 客席の中央付近で彼のパートナーを抱き上げ ― いや 高々とリフトした。

 

    「 ―  ジゼル ・・・・・ ! 」

 

 

 

 

Last updated : 10,25,2011.                 index      /      next

 

 

 

************  途中ですが

ご存知  【 島村さんち 】 シリーズです。

こちらもご存知 【 Eve Green 】 様宅の設定を拝借しております〜 <(_ _)>

えっと 作中に出てくる バレエ協会主催の旅公演 ( 移動公演 ) ですが

現在ではこのような形では行われておりませんです。

( 自分がチビの頃のハナシなのさ★ )

 

さて 後半は・・・? フランちゃん、舞台、頑張ってね〜〜

ジョー君! ・・・・ 主夫〜〜 頑張れ!