『 空 へ ・・・ ! ― (2) ― 』
トントン トン ・・・ ガガガ ・・・
ガリガリガリ〜〜〜〜〜
はっきり言って 騒音 が 家中から、いや 家の下から聞こえてくる。
「 ん〜〜〜 ・・・ 近所から苦情、こないかしら ・・・
あ そんなに家ないから大丈夫かもねえ
」
フランソワーズは 少々眉間にシワを寄せた。
「 え〜と ・・・ここね 」
彼女は騒音の元と思われる方向に声をかけた。
「 ねえ? 009、知らない? 」
「 〜〜〜〜 あ?? ナンか言ったかあ? 」
家の下から 大声が返ってきた。
「 009! 009はどこにいるの? 」
彼女も大声繰り返した。
「 009だあ? しらね〜よ〜〜〜 」
「 ここにはいないよ。 さっき出かけたみたいだけど? 」
「 おい あいつもひっぱってこいよ〜〜 」
「 家の修繕をしているんでしょ?
」
「 それもあるけど。 拡張さ。 我々10人も転がりこんじゃったからね。
家主のコズミ氏に承諾を得て 地下を広げてるんだ。
あ〜〜 アイツは多分 海岸の方だよ。 連れてきてくれないかい。 」
「 いいわ。 008達が呼んでたって 」
「 ああ 頼むね。 え〜と? 005 この土砂を捨ててきてくれ 」
「 了解。 」
巨躯の仲間は トロッコいっぱいの土砂をひょい、と担いだ。
「 チカラ仕事はわたしには無理だから ・・・
そうだわ〜 お茶タイムには美味しいパン・ケーキを焼くわね 」
「 よろしく頼むね 」
「 お〜〜〜 厚切りハムでも付け加えてくれよぉ〜〜 」
「 はいはい 」
怒鳴り合い? を終え 彼女はバッグをもって家を出た。
「 え〜と・・・? 海は ・・・ ああ こっちね 」
低い生垣と申し訳程度な木製の門をあけ 彼女は公道にでた。
くぇ 〜〜〜〜〜 ・・・ 何かの鳥が 高い空で弧を描いている。
「 ふう 〜〜 ・・・ ここはとても気持ちのいいところ ね。
ニッポン って初めて来たけど・・・ 過ごし易い気候だわ 」
003は 深呼吸をしてからゆっくり歩き始めた。
あの島を脱出し ― 決死の脱出計画は なんとか成功した。
ぼろぼろになりつつも アイツらを振り切り彼らが逃げ込んだ先は
極東の島国だった。
「 目的地はどこ? 」
「 japan 」
「 ・・・にほん? ・・・ 小さな島国でしょ 」
「 今や世界に名だたる工業立国さ。 国の大小は関係ないよ。 」
「 ― ワシの旧友がおる。 ウェルカム、と言ってくれた 」
「 へえ ・・・ 」
「 しばし身を落ち着ける必要がある。 次の行動に出る準備期間が必要だ。 」
「 え〜〜〜 ヤツら まだ追ってくるってかよ〜〜〜 」
「 当然だよ? 僕達は裏切り者なんだから。 ヤツらはメンツにかけても
追撃してくるよ。 」
「 ち。 うざって〜〜〜 」
「 完全に叩かない限り 我々の自由はないと思え。 」
「 ほっほ〜〜 とりあえず 美味しいモノ 食べまひょなあ〜 」
ざわざわざわ ― 強奪した潜水艦の中は久々に 緊張が緩んだ空気が広がった。
・・・やがて 彼らは気のいい老博士の屋敷にころがりこむこととなる。
「 あら きれい。 真っ赤な葉っぱ! なんの木かしら。
・・・ あ あれはマロニエ? ・・ じゃないわねえ・・・ 色は
似てるけど ・・・ 面白い葉っぱの形だわ 扇みたい 」
003は あちこち眺めつつ のんびりと海の方向にやってきた。
ザザザザ・・・・・ 〜〜〜〜
松林の中にはいると 波の音がはっきりと聞こえてきた。
「 ふ〜〜ん ・・・ なんか素敵な音ねえ ・・・ いい場所なんだ?
え〜と・・・ 009 は どこにいるのかな〜 」
サクサクと砂地を踏み分けてゆくと ― 目的の人物を発見した。
最強のサイボーグは 松の根方にすわって海の方を向いていた。
あ いたいた。 ・・・ふうん? 監視でもしてるのかしら。
そんなの わたしに任せてくれていいのに・・・
003は 若干足音を高くしつつ近づいた。
「 ・・・ こほん。 え〜 なにをしているの 009? 」
・・・ 009は姿勢を変えない。 そのままだ。
「 ? ( まさか 寝てる? ) えっへん
なにを みているの ? 」
声のトーンを上げてみた。
「 え? あ あの
…
」
彼は ゆっくりと顔を上げた。
「 ふ〜〜〜 ・・・ 気持ちいいわねえ ・・・ 」
「 あ う ・・・ うん ・・・ 」
「 ね 隣に座ってもいい? 」
「 ・・・ あ うん どうぞ ・・・ 」
ぱふん。 003は優雅にスカートをさばき形よく木の根っこに座った。
「 ・・・ 穏やかな海ね 空も 空気も ・・・
ああ こんな日々を過ごせるなんて
夢みたい
」
「 う? うん 」
003は 009と同じ方向、つまり大海原へと視線を飛ばす。
「 でも またいつ闘いが始まるか 油断はできないわよね 」
「 ・・・ う? 」
「 それに 過去の検証は必須よね。 009も シュミレ−ション していたのでしょ?
ここ 絶好の場処かも 」
「
あ ・・・ しゅみ ?
」
「 そうよ 今回の脱出作戦への検証よ 009はどう評価する?
」
「
え あの ぼくは
・・・ その ・・・ 」
「
新人だからって遠慮はいらないわ 忌憚のない見解を教えて 」
「 あ あの
…
ぼくは ただ その 海を眺めていただけ
で 」
「 わかっているわ。 誰が見ているかわからないものね。
でも ・・・ 009としての意見を教えてほしいの。 」
「 いけん? なんの? 」
「 ! だから〜〜〜〜 これまでの闘いについて よ。
わたし達の作戦について 最新型の009としてはどう評価するかしら。
それ 教えて。」
「 え 教えてって どうして・・・? 」
「 そりゃ これからの参考にするのよ。 まだまだ闘いは続くんだから 」
「 ・・・たたかい?? 」
「 そう。 ヤツらは まだまだ追ってくるわ。 」
「 だって ・・・・ あの時ぼくらは 」
「 あれっぽっちで BGが全滅すると思うの?
ヤツはら必ず追ってくる。 だから 今度こそわたし達は徹底的に
叩く必要があるの。 わたし達の 命 を 繋ぐためにね 」
「 ・・・・
」
「 で 009そしての意見は 」
「 ぼ ぼくは ・・・・ 」
「 なんでもいいの、教えて 」
「 ぼくは ― 一人 じゃないんだなって 思ったデス。 」
「 え? そんなの当たり前じゃないの 」
「 ・・・ ぼく。 ずっと 一人 だったから・・・
その ・・・ あの時 一緒に行こう! って言ってもらえてすごく嬉しかったんだ 」
「 ・・・ そ そうなの? 」
「 ウン。 なんか ・・・ ちょ〜〜〜うれしくて やば〜〜〜〜 って。 」
「 ちょ・・? なに? 」
「 ・・・ あ〜〜 激〜〜ってこと。 」
「 げき?? ドラマ?? < やば > って なあに。 」
「 え あ そのう ・・・ もんのすげ〜〜 うれしかった ってこと
やば って ヤバいってこと。 」
「 ああ そうなの・・・ ( やばい? 原語モジュールに入ってないわよ? )
日本語はムズカシイのね
」
「 そ そう?? でも きみ・・ えっと ・・・ 003さん
日本語 上手ですね 」
「 うふふ・・・ これはね〜〜 自動翻訳機を使っているからよ。
あなたにだってちゃんと搭載されているでしょ 」
「 え??? ほんやくき?? だってみんな 日本語でしゃべってくれて
るよね?
」
「 あら 日本語 得意なヒトは少ないわ。 ムズカシイもの 」
「 003さんは ・・・ 」
「 わたし なんとなく日本に興味があるのよね だからできるだけ使って
みようかなって思って 」
「 わあ・・・ うれしいなあ。 あの・・ 003はどこの国のヒトですか 」
「 わたし? フランスよ。 」
「 フランス! すげ〜〜な〜〜 」
「 そう? あ ねえ 名前 教えてくださる? 」
「 へ?? ぼく? あのぅ・・・ 009 デス 」
「 じゃなくて。 本当の名前。 あなたの。
あ わたしは フランソワーズ。 そう呼んで 」
「 ・・・ フラン・・・ソワーズ ・・・ ステキな名前ですね 」
「 ありがと、わたし とても好きなの。 」
「 とっても似合ってる・・・ なんてキレイなヒトなんだ・・・って
最初に会ったときから ・・・ 」
「 あら ・・・ それって日本風の口説き文句? 」
「 くど・・・? なに? 」
「 まあ・・・ ねえ あなたは? 名前 教えてよ 」
「 あ ぼく ・・・ ジョー。 しまむら じょー っていいます。
じょー って呼んでください。 ぜろぜろ〜〜 ってよくわかんなくて 」
「 ちゃんと覚えてよね。 じょー。 ね。 」
「 ふらんそわーずさん。 か ・・・ 」
「 ここ ・・・ お気に入りの場処? いいとこだけど 」
「 え ・・・ うん。 ぼく じつはこの地域で育ったんだ・・・
もうちょっと向こうだけど 」
彼は 海の方を指した。
「 あら。 出身地だったの? それはいいわね。 ・・・ 帰らないの?
家族や 友達が探しているんじゃない ? 」
「 ・・・ 帰るとこ ないんだ。 ぼく 施設育ちなんでね 」
「 ・・・ ごめんなさい 立ち入ったこと 聞いたわね 」
「 き きみ は 」
「 わたしも 帰るトコはないの 」
「 そっか ・・・ ごめん 」
「 べつに気にしてないわ 」
「 そっか・・・ 」
ふ・・っと 会話が途切れた。
ざ〜〜ん ・・・ざざざざ ・・・・
波の音が 急に近くに聞こえてきた。
003 いや フランソワーズ嬢は ちょっと口を噤んだが
すぐに 明るい顔を向けた。
「 ねえ さっき ジョーの言った意見だけど 」
「 はい? 」
「 ほら わたし達の作戦への評価。 」
「 あ・・・ ごめん、なんか勝手なこと 言って・・・ なんにもわかってない
ヤツなのに 」
「 そんなこと ないわ。 一人じゃないって
すごくいいことよね。
チーム・ワーク は わたし達 ゼロゼロナンバーサイボーグの
ウリですもの 」
「 そ そうなんだ? 」
「 そうよ。 ― 009・・・ いえ ジョー。
あなた やっぱり 009ね。 普通のオトコノコじゃないわ 」
「 ・・・ぼく ごく普通の 」
「 あ。 し・・・っ! 」
突然 彼女の顔から一切の感情が ― 消えた。
「 ???? 」
「 ・・・ もどりましょう! 」
「 な なにか? あ ヤツらがまた?? 」
「 ううん そうじゃないだけど・・・ 誰かが 屋敷に忍び込む相談をしている 」
「 !? き 聞こえるわけ?? 」
「 あら。 003の < 能力 > は 超・聴力 と 超・視力 よ?
普通の会話だったらほぼ 聞きとれるわ 」
「 すっげ〜〜〜〜〜
」
「 単純な泥棒とはちょっと違うみたい ・・・ 戻りましょう。 」
「 う うん ・・・ 皆に報告しなくちゃね。 」
「 ― 泥棒 は困るわ。 コズミ博士の研究がどうのこうの・・・
って言ってるみたい 」
「 ! とっ捕まえて警察に突き出そう! さあ ゆくよっ 」
たったいままで 茫洋とした顔つきをしていた少年は さっと立ちあがる。
「 コズミ博士に迷惑 かけちゃいけない。 お世話になってるんだもの 」
彼は早足で歩き始めた。
ふうん? なかなか
じゃない?
< 一人じゃない > って ・・・
案外 コトの本質をずばっと見抜けるのね
ふうん ・・・ 009 ねえ ・・・
彼女はチェックのシャツの背中を しげしげとながめつつ後に着いていった。
― その後 ・・・
小競り合いを何回か場所を変えたりして繰り返した。
その都度 サイボーグ達はなんとか潜り抜けてきた。
「 ・・・ ふう・・・ ヤツらもなかなかやるね 」
「 ふん わかっていたことだ。 」
「 あ〜〜〜〜 うぜ〜〜〜〜〜 いっぺんにどかん! と潰しちまえ〜〜 」
「 ふふん あちらさんとて馬鹿ではないからな。
さて 次はどんな手でくるか ― 若干楽しみでもあるな 」
「 ほっほ〜〜〜 余裕やね 大将 」
「 人生はかくのごとき波乱万丈 」
「 これだけのメンバーなんだ、綿密な作戦を立てれば勝機はあるよ。 」
「 へっ やるっきゃね〜ってことさ。 おら〜〜〜 行くぜっ 」
「「 おう ! 」」
別々に動きつつ 彼らは次第にチーム・ワークよく闘い始めてゆく。
「 ・・・ 002! 東から! 008。 北よ!
? 009? 009 どこにいるの? 」
「 き きみの後ろ 」
「 !? 」
「 索敵に集中しすぎてて 危ないよ? 」
す・・・っと後ろから茶髪の少年が現れた。
「 だ 大丈夫よっ 009、最前線に飛び込んでっ 」
「 え ・・・ ぼくは そんな 」
「 009〜〜〜 一番戦力があるのよっ 自信もってっ 」
「 う うん ・・・ それなら 加速装置 ・・・ 」
「 皆〜〜〜 009 が行くわよぉ〜〜〜 」
― そんなやりとりを繰り返していたのだが・・・
戦場は さまざまな場面に広がっていった。
BGも手かえ品替え この厄介な裏切り者たちを始末しようと焦り始めたのかも
しれない。
闘いを挑んでくるのは ロボットやサイボーグだけとは限らなくなってきた。
「 え ・・・ 町外れに? 」
009が顔を上げた。
ミーティングでの情報で 郊外にある怪しい屋敷が話題になった。
この地に やっと安住の場処を得た、と感じはじめられた頃だ。
「 どうもね 地元では オバケ屋敷 なんて言われているらしいけど 」
「 ぱっと見は なんてことない古っぽい屋敷だぜ?
暗くなったら上から偵察に行ってくら 」
「 おい! 目立つことはやめろ。 いくら郊外でも人目はある。 」
「 ちっ。 ったくよ〜〜〜 ちまちま家があっからな〜〜 せっま〜〜!
テキサスとかアリゾナとはちげ〜んだな 」
「 緻密なリサーチが必要だ。 」
「 ― あの。 ぼくが行ってくるね。 」
いつもの 一番後ろの席から 009 が 静かに立ち上がるとひょいと
パーカーをひっかけ出ていった。
「 ― あ? 」
「 ・・・ あ ああ たのむ 」
彼はあまりに静かに するり、と出ていってしまったので 誰もがしばらく
呆然と見送った。
「 ちょ ちょっと! 009を 一人で行かせる気 ?? 」
「 ・・・ あ? 」
「 ?? 」
メンバーズは 彼女の声で顔を見合わせた。
「 ・・・ って ・・・ 」
「 だめよ 頼りなくて見ていられないわ! 」
「 ・・・ 一応 009 なんだし ・・・ コドモじゃないよ 」
「 いいえ! なにが待っているかわからないのよ??
スーパーガンや 加速装置で対処できない敵かもしれない 」
「 へ ・・・ へへ・・・ むっちむちのグラマーが待ってる とかぁ? 」
「 002!! でも わからないもの。 わたし 一緒に行くわ!
後 お願いね 」
ぱたぱたぱた ・・・ 003は私服にコートをひっかけると足早に屋敷から出ていった。
「 ・・・ いっちゃったよ 〜〜 えっと ニッポンでは PTA っていうんだっけ? 」
「 あ〜 保護者同伴ってことか 」
「 なにはともあれ 吾輩は第二陣ってとこで ― 単独行動はマズイぞ。 」
「 ほっほ〜〜 ワテは留守番部隊や。 おいしい夜食 用意しておきまっさ 」
「 ん〜〜〜 坊やのお守りかよ〜〜〜 」
「 ぶつぶつ言うな。 暗くなったら別々に出発だ。 」
「 そうだね 僕ら この国では目立つからね。 009と003なら
恋人同士・・・って見られてスルーできるかもな 」
「 こいびとぉ〜〜??? おっかね〜〜〜 003に怒鳴られるぜぇ 」
かなり気楽な雰囲気で サイボーグたちは今回の作戦を展開していった。
こつ こつ こつ ・・・ カツ カツ カツ ・・
夕暮れ間近、大きな洋館を廻る塀ぞいにカップルが寄り添って歩いている。
「 ・・・ でかい邸だな 」
「 そうね。 中が 見えない の。」
「 え。 」
ワカモノは 恋人の肩から腕を外した。
「 し・・・っ! 角の向こうからヒトがくるわ。 もっとくっついて 」
「 え ・・・ でも 」
「 でも じゃないわ 」
ぴと。 彼女は彼氏にぴたり、と身体を寄せた。
・・・・ ・・・・
地元のヒトらしき老人が 眉をひそめつつ通り過ぎていった。
「 ・・・ 行ったわ。 ここから入りましょう 」
彼女は 身体を離すと 塀を見上げた。
「 中 はやはり見えない? 」
「 ん・・・ そうね、ごく普通の庭の風景が見えるけど・・・それはどうも
フェイクのようね。 003の能力を知っていて 用意しているらしいわ 」
「 ふん ・・・ やはりここはヤツらのアジトなのかな 」
「 う〜ん? どうかしら。 郊外といっても人家や人通りのある場所に
わざわざBGが基地を作るかしらね? 」
「 じゃあ ここは ― ぼく達を? 」
「 そ。 わたし達用の トラップ ってこと 」
「 ・・・ ふうん ・・・ それじゃ 」
009は003の正面に立った。
「 ? 」
「 きみはここで待っていたまえ 」
「 え?? わたしも突入するわ! ナビは必要よ 」
「 大丈夫。 この屋敷はそんなに広大じゃない。 なんとかなる。
それに ― やあ 皆も来てくれるようだよ ? 」
「 え?? ・・・ あ 通信が入ったわね 」
「 ウン。 だからきみはここで待っててくれ。 」
「 ! そんな ・・・ わたしだって 003 なのよっ 」
「 ― じゃあ 」
すとっ。 009は地面を軽く蹴ると大きくジャンプし塀の中へと消えた。
「 ・・・ あ ??? 」
― ばきばきばきばき 〜〜〜〜 !!!!!
一時間も経たないうちに 古屋敷は大きく揺れると自ら消滅していった。
「 !!? な なにが ・・・? 」
・・・ シュッ !
003の前に 赤い防護服姿が忽然と現れた。
「 ・・・ やあ 」
「 ! 009! なにがあったの? どうなったの? 」
「 きみは 知らなくていい。 大丈夫、この屋敷は ― もう役目を終えて
自らを葬ったよ。 」
「 み みんな は ??? 」
「 ああ ちゃんと脱出してる。 007や008はもうコズミ邸に戻ってるよ 」
「 ねえ なにがあったの?? ここは 誰の屋敷だったの? 」
「 ウン ・・・ きみは知らなくていい。 」
「 ! な なぜ?? 」
「 ― ん ・・・ 静かに 眠らせてやりたいから さ・・・ 0012には 」
「 0012 ですって?? 」
「 ウン。 彼女も犠牲者 だ ・・・ 」
「 ・・・・・ 」
「 さあ 行こう。 」
― ぽん。 009の大きな手が 彼女の肩にそっと置かれた。
・・・ なんか ちょっと淋しそう ・・・
でも わたし。 ・・・ ジョーのこと ・・・
003は また きゅん♪ と胸の奥が鳴るのを感じていた。
Last updated : 09,19,2017.
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******** 途中ですが
ちょっとづつ 009 になって行ったのだろうなあ・・・
って思うのですよ、 島村じょー 君は ね。