『 空 へ ! ― (1) ― 』
カツン。 その店の反対側の舗道で 彼女は足を止めた。
「 ・・ き きちゃった ・・・ 」
道を隔てて彼女の真ん前にみえる店には ―
すらっとして姿勢のよい女の子や きゅっと髪をまとめ気取った顔のチビっこが でてきたり
でっかいバッグをかかえて入っていったりしている。
ショーウィンドウには 華やかな舞台衣装が飾ってある。
「 あ ・・・ すごくキレイ・・・ デザインもいいわあ ・・・
あれは ― 『 眠り 』ね。 三幕のGP用だわ ステキ ! 」
フランソワーズはしばらくその場処で 華やかな雰囲気を楽しんでいた。
「 ん 〜〜〜 いつまでもココに立ってるわけにも ・・・ 」
きゅっと唇を引き締めると 彼女はこそ・・・っと一歩を踏み出した。
一緒に ゆこうか ?
彼の言葉が耳の奥から聞こえてきた。
「 ・・・ やっぱ 来てもらえばよかったかも ・・・・ 」
カツ。 一瞬 足が止まりかけた が。
「 だめ。 きっとね 『 ぼく ここでまってるから 』 だわね。
オンナノコほとんど みたいな店内に入れるわけないもん。 」
― よ〜〜し。 あとは 勇気だけ! よ。
コツコツコツ。 広い道を渡ると ごく自然な足取りでフランソワーズは
バレエ用品の店 に 入っていった。
「 009 ですって ? 」
003は 顔を上げた。
「 まだ ・・・ 改造を続けているというの?? じゃあ あの言葉はウソ
だったの?? 」
「 し〜〜〜〜。 声が高いって。 」
「 ごめん・・・ でも 」
「 違うって。 その 009も含めて 10人で ってこと 」
「 え。 」
「 ヤツは最終ナンバーだ、おそらく最新タイプで最強サイボーグになるはずさ。
俺たちで成功したバージョンを全部取り入れてな。 」
「 ・・・ そう ・・・ 」
「 だから。 その最強なメンバーと 」
「 わかったわ。 ・・・ 見張りが回ってくる 」
「 ん。 」
特殊な赤い服を来た兵士たちは ひっそりと膝を抱えそっぽをむくのだった。
― そして。 その日 は ついにやってきた。
「 ・・・ へ ? 」
その少年は ぽかん と 口を半開きにし、こちらを眺めている。
「 ようこそ、009。 こちらは001から008だ。
ワシは ギルモア。 君の改造には一週間かかった。 」
「 ぜ ・・・ ぜろぜろ・・・?? 」
ギルモア博士は 淡々と仲間たちを紹介した。
メンバー達は それぞれ好奇の視線をその少年に当てたが 一応・・・
好意的な様子を示した。
勿論 彼女も ― ちゃんと微笑んだ。
「 003 と このコは 001よ 」
腕の中の赤ん坊を ちょっと差し出してみせた が。
「 う? ・・・・ あ ・・・ 」
009 は 呻き声を上げただけだった。
! なんなの??? 言葉 理解できないの??
それとも 挨拶の仕方もしらないってわけ?
― 東洋人って聞いたけど ・・・ 白い肌い茶色の髪・・・
このコ アメリカ人とかじゃないの?
仲間達は 次々にごく短く自己紹介したけれど 009 はその都度短い
呻き声をあげるだけだった。
「 それじゃ ― 脱出計画開始じゃ。 こっちへ 」
博士は 周囲を伺ってからサイボーグたちを引き連れ 岩屋の中に入っていった。
が。 茶髪の少年は まだぼんやりと砂地に立っているのだ。
「 ん? あら。 ほら 行くわよ! 」
003は慌てた声をかけた。
「 ・・・ え?
」
「 え じゃないわよ! 行動開始 よ! 」
「 あ ・・・ うん ・・・ 」
彼は もぞもぞと動き始めた。
「 ぜろぜろ ・・・?
」
「 ? わたしは 003。 」
「 あ ・・・あの ぼく は ・・・ 」
「 009 でしょ! もう〜〜〜 」
たた・・・っと駆けだし009の腕をむんず! と掴み 彼女は岩屋めがけて
走った。
「 う うわ ・・・ わっ
」
「 ちょっと! しっかり走ってよ! 最新式 なんでしょ 」
「 最新 ・・・? 」
「 最新式最強サイボーグ ! 」
「 ・・・ さいぼ〜ぐ・・・ 」
「 ほら〜〜〜 走るっ ! 」
彼女に引きずられるみたいにして 009 は < 仲間たち > の元に
やってきたのだった。
「 これが君の ― あ〜 現在に身体の強化された部分だ。 」
博士は 小型のタブレット端末を差し出した。
「 ・・・ ! こ れが ・・・ ぼくの身体 ・・? 」
「 そうじゃ。 ま いずれわかってくることじゃがな。 あらかじめ認識しておけば
すぐに使い熟せるじゃろう 」
「 ・・・こ これ が ・・・・ 」
「 諸君 それではこれからの計画を 」
「「 おう 」」
「 こっちの奥が安全よ。 でもあまりのんびりはできないわ 」
「 わかってるって。 つめろ 」
「 声 おとせ。
」
「 ・・・っかったよ。」
≪ ミンナ イイカナ ? ≫
サイボーグ達は それこそ膝を突き合わせるみたいな空間に集まった。
≪ ソレジャ コレカラノ ・・・ ≫
― 命がけの 脱出計画 が始まった。
・・・ のはずなのだが。
「 わかったわ。 そこはわたしが引き受ける。 」
「 そうか。 それじゃしんがりを009に頼む。 」
「 そうね 確認しつつラストから来てね。 」
「 ・・・・・ 」
「 ? 009? 了解してもらえた? 」
「 ・・・・・ 」
あの茶髪の少年は一番後ろで じ〜〜〜っと聞いている ― と思っていたのだが。
ふとみれば 彼は じ〜〜〜〜っと己の掌を見つめている。
「 ? ・・・ 009? あの ・・・ 手を どうかしたの? 」
「 ・・・ あ ・・・ 」
「 手 ・・・ 損傷した? 」
「 ・・・ ぼくの手 ・・・ これ ぼくの手 なんだろうか 」
「 え ・・・だってあなたのでしょう? 」
「 ちがう ・・・ これ ぼくの手・・・とはちがう ・・・! 」
「 あら そう? どこか不具合があるの? 」
「 ・・・ 手相が ・・・ ぼくの運命線が 全然ちがってる・・・ 」
「 は??? て そう ? 」
「 ほっほっほ〜〜〜 どれ ワテに見せてみィ 坊。 」
赤い服の集団の中から ずい・・・っと丸まっちいオトコが出てきた。
「 え・・・ あ はい。 ほら 」
少年は素直に手の平を差し出した。
丸い男はドジョウ髭をゆらし そのふっくらした掌をじろじろ見つめた。
「 は〜〜〜ん ・・・・? ほう なかなかええ手相やないか 」
「 え で でも これ・・・ ぼくのじゃない ・・・ 」
「 はん? 坊のモンでなけりゃ 誰のやね? この手ぇは 坊の手やろ 」
「 そうだけど ・・・でもそうじゃない ・・・! 」
長い前髪の後ろで 少年の声は少し震えていた。
「 ・・・ そうね。 でも 今はこれがあなたの手なのよ。 」
003は かっきりと彼を見つめて言った。
「 ぼくの 手 ? 」
「 そうよ。 わたしも これが今のわたし。 」
「 きみ も? 」
「 そこ! なにゴソゴソやってる? 次の合流地点を通達するぞ 」
銀髪の男性が こちらをぎろり、と睨んだ。
「 ちょっと待って。 彼が 009が 少し混乱しているみたいだから 」
「 混乱? ・・・ すぐに収拾させろ 」
「 すぐには無理ね。 だって彼は < 変わった > ばかりなのよ?
わたし達とは ― ちがう
」
「 悠長なことをぐだぐだ言っている余裕はない。 命を守るのが精一杯だぞ 」
「 それは わかっているわ。 でも 」
「 あ・・・ あの。 ぼくのことなら 気にしないで・・・ 」
茶髪の少年は すみっこから消え入りそうな声を出す。
「 ! 〜〜〜〜〜 なにいじいじしてんだよっ 手なんてよ〜〜
ちゃんと使えりゃそれでいいだろっ ! 」
「 そ そうだよね ・・・ うん ・・・ そう 」
「 なら こっち見ろ。 俺たちは! 命がけなんだっ 」
のっぽの赤毛は その赤毛から湯気が立ち上らんばかりの様子だ。
「 そう なんだ? ごめん ・・・ 大変だね 」
「 ! それはっ お前もっ 」
「 ちょっと。 このコ まだなんにもわかっていないのよ・・・
があがあ言ってもダメ。 」
「 けどっ 」
「 おい。 そこ。 集中しろ 」
中央にいる銀髪のオトコが 感情のない声をあげた。
「 ! っかたよっ ・・・ ったく〜〜 」
「 ご ごめん ・・・ あの
」
「 さあ いいから。 皆のハナシを聞いていて。 いい? 」
「 う うん ・・・
」
少年は曖昧に頷くと また一番後ろの隅に縮こまった。
・・・ なんなの〜〜〜〜 ???
009 なんでしょう?? 最新型の最強の・・・
ちら・・っと見れば 彼はまたじっと自分の掌をみつめぶるぶると震えていた。
長めの前髪で隠れているので 表情はわからないが ― 察しはついた。
泣いてる? オトコのくせに! あ〜
ま < 初日 > なら 仕方ない か・・・
ショック なんてもんじゃないわよね
彼にとっては つい昨日まではただのヒトだったんだもの。
掌がどうこう ・・ 言ってたけど ・・・
彼にとって大事なものだったのかしら。
ふ ・・っと思い出したくもない光景が アタマの中をよぎった。
!!! あ 足 ・・・ ! こ これ が わたし の足 ???
うそよっ!!! こんなんじゃない〜〜〜
目覚めて衝撃の連続の一日が終わり やっと ・・・ 狭苦しい個室に
入れられた。 外から ロックされた。
あまりに疲れ切っていて そんなことどうでもよかった。
ベッドしかない空間に 身を投げ のろのろとブーツを脱いだ。
そして 目の前には ―
白くすんなり・・・幅の狭い足が そして形のそろった細い足指が現れた。
・・・ な に ・・・ これ ・・・・
こ こんなの わたし じゃない ・・・ !!!
幼いころから 磨きあげたきた ダンサーとしての足 は
消えていた・・・。
それからのことは もう思い出したくもなかった。
「 ・・・ 忘れないけど ― 封印したわ。
そうしなければ 生きていられなかったんだもの ・・・ ショックで
発狂していたかもしれない 」
きゅ・・・ 003は唇を噛んだ。
「 あ ・・・ なに か・・・? 」
隅っこで固まっていた少年が こそっと顔をあげた。
「 え? ・・・ あ ああ なんでもないわ。
ねえ そんなトコにいないで ミーティングに加わって?
今後の行動に あなたの戦力は必須なの。 」
「 ぼ ぼくの戦力? 」
「 そうよ。 テストで自分自身の能力、わかったでしょう? 」
「 能力って ・・・ アレは ・・・きっとこの服のせいじゃないかな。
なにか特別な仕掛けがあって あ それともこのマフラーのせいかも ・・・ 」
009は 赤い特殊な服やらマフラーをひっぱっている。
「 この服は確かに特別製だけど ― < 能力 > は あなた自身に
あるの。 それが ― サイボーグ よ
」
「 さ さいぼーぐ ・・・ 」
「 そう。 さっき 博士から自分の身体の機能 ― 改造され強化された
機能をみせてもらったでしょ 」
「 あ ・・・ あの ロボットの内部みたいな ・・・?
アレは ・・・ なにかの設計図だと思って 」
「 あれが あなたなのよ 009。 」
「 ― おい もういいか。 」
落ち着いた声が 飛んできた。 004の声は 怒りのトーンではなかった。
「 ・・・! ご ごめんなさい 」
「 いいさ。 誰でも < 初日 > は混乱の極みだ。 」
「 す すまん ・・・ ワシが詳しく説明しよう 」
博士がひくくつぶやき 腰をあげた。
「 博士。 結構です。 これは 自分自身 の問題なんでね。
自分で納得しない限り ― < 使いモノ > にはならんから 」
「 わ ワシは・・・ すまん・・・ 」
「 も〜 いっからよ〜〜 こっちは作戦を煮詰めてゆこうぜ 」
のっぽの赤毛が促す。
「 むう・・・ 本題に戻ろう 」
ずっと黙っていた巨躯のオトコが口を開いた。
≪ ソウダヨ。 簡潔ニ 済マソウヨ ≫
うんうん ・・・ 全員が頷きミーティングを続行した。
茶髪の少年は ぴくっと身体を動かしたが すぐにまた一番後ろに縮こまった。
! もう〜〜〜〜 なんなの???
ちゃんと聞いているの?? アタマに入っているかしら。
最新式 とか 最強 って ― ホントなの??
もう しらないっ
003は前を向くと きりっと姿勢を正した。
≪ ソレジャ シバラク休憩。 スグニヤツラ 追ッテクル ≫
「 あ〜〜〜 うざっ
さっさとやっつけちまいて〜〜〜 」
「 戦略を練ることは必要だよ それに 休憩もね。
いくら我々でも 緊張の連続はミスを誘発するからね。 僕は休むよ 」
浅黒い肌の青年は ぷい・・・と岩場の隅に寝ころんだ。
「 吾輩も ・・・ 」
「 ワテは ちょいと食糧調達しきまっさ〜〜 」
同じ赤い服の < 仲間 > 達は てんでな行動に移った。
「 ・・・ わたし も ・・・ 」
003は 姿勢を変えようとして ― またあの少年に目が行ってしまった。
「 ・・・・・ ! 」
彼は 目をきゅ・・・っと閉じたまま頭を抱えていた。
「 ? どうしたの? 」
「 ・・・ ぼ ぼくの アタマ ・・・ どうか しちゃった・・・」
「 なにか不具合があるの? 」
「 わかんない ・・・ でも 突然誰かの声がアタマの中で わんわん響いて・・・
勝手にしゃべってるんだ〜〜〜 」
「 ・・・ それはね 001のテレパシーよ 」
「 ひとりの声だけじゃないんだ〜〜〜 いろんなヒトの声が わ〜わ〜〜
ぼくのアタマの中で ・・・ 」
「 009。 脳波通信について聞いてないの? 」
「 のうは つう しん ・・・ 」
「 そう。 わたし達 00ナンバーサイボーグ間だけ通じる < 会話 > よ。
アナタも < 話す > ことできるのよ。 」
「 え ・・・ ぼ ぼくは ただの普通のニンゲンだよ ? 」
009 と呼ばれる少年はおろおろしている。
!!! なんなの〜〜〜〜 009 が!!
― ようし。
「 ちょっと一緒に来て。
」
「 へ? 」
003は さっと立ち上がると ぼ〜〜っと立っていた少年の肩口をひっつかむと
ずんずん 岩場を割れ目へと進んでいった。
「 ど どこへゆくのかい ・・・ 外はあぶないんじゃ 」
「 そうね。 いいチャンスよ ほら 登って〜〜〜 」
「 は はい ・・・ 」
003は 彼を追い出すみたいにして 岩場の隠れ場処から出ていった。
「 ・・・ こ ここは ・・・ 」
「 ヤツらの基地のある島よ。 主な施設がある場所の反対側よ。 」
「 ここ ・・・ 島 なのか
」
「 そ。 絶海の孤島。 ヤツらの恰好の隠れ場所。
― あ。 来た。 」
003は 海の方を凝視している。
「 え?? な なにが?? どこに??? 」
「 海中からロボット軍団が上陸してくる。 009? 破壊して 」
「 え??? ぼ ぼくが???
」
「 そう。 009。 最新最強のサイボーグ ! 」
「 こ この銃・・・で? 」
「 スーパーガンでしょ。 それも使って ― 009の能力を試していらっしゃい 」
「 ・・・ だ 大丈夫 か な ・・・ 」
「 自信 もって!!
」
「 う うん ・・・ 」
009 は おっかなびっくり崖っぷちから下りていった。
〜〜〜〜 あんな単純なロボット軍団 〜〜〜
本来なら 009の敵じゃないのよ??
わたしがここからスーパーガンで狙えばそれで終わるけど
ともかく 目覚めてよ〜〜〜 009 !
003は 岩陰でしっかりと 009の行動に注視した。
ガガガガガ バリバリバリ〜〜〜〜 ぐわ〜〜〜〜ん ・・・!
どっか〜〜〜ん ゴゴゴゴ ・・・
「 あら。 なかなかよくやってるじゃない? ま この程度なら
当然よね〜〜 ん? あのロボットは D13号ね
アイツの武器は マヒ光線だわ サイボーグ用のパラライザー ・・・
あ ・・ 危ないなあ ・・・ 」
003は岩場伝いに 戦闘現場に接近した。 そして
≪ 009!! 加速装置 つかって! ≫
「 わ〜〜〜〜〜〜〜〜 へ???? 003?? どこに いる?
わ〜〜〜〜
」
≪ 喚いてないで。 加速してその光線をかわすのよっ ≫
「 で でも ・・・・ わ〜〜〜〜 」
≪ 加速装置っ 奥歯の横にスイッチがあるでしょ!
いくら009でも パラライザーを浴び過ぎたら 落ちるわっ ≫
≪ え??? お 奥歯の 横 ・・・ んん うわああ〜〜〜〜〜〜 ≫
ふっ。 目の前の空間から009の姿が消えた。
「 あ〜〜 やっと加速装置を稼働できたのね。 どこに移動したのかな 」
シュ・・・ 耳慣れた音がして彼女のすぐ側に009が現れた。
「 あら ここに来たの? 大丈夫? 」
「 ・・ う う・・ あんまり大丈夫じゃない や ・・・
手足の先がまだ ・・・ なんか ヘン ・・・ 」
「 マヒ光線の直撃だったものね。 でも加速装置使えば脱出なんて
カンタンだったでしょ? 」
「 ウン ・・・ でも なんか 目が回る 〜〜〜 」
「 も〜〜。 じゃ ここで休んでて。
わたしがあのロボット軍団を始末してくるから 」
「 き きみが???
」
「 あ〜ら わたしの射撃の腕をしらないの? 」
「 ・・・ ごめん しらない ・・・ 」
「 あは そりゃそうよね、さっき出会ったばかりだもの。
じゃ ここで見てて。 いいこと? 」
「 は ハイ ・・・ 」
スタッ ! 003は身軽に岩場から駆けだしていった。
「 わ ・・・ すげ ・・・ 」
009は 遠ざかってゆく亜麻色の髪を呆然と眺めていた。
ババババ バリバリバリ〜〜〜〜 ズサ〜〜〜〜
・・・ ギ ギギギギギ ・・・・ ゴゴゴゴ ・・・・
やたらデカイだけのロボットたちは どんどん倒れていった。
003の姿はほとんど見えなかったが スーパーガンの発射される位置から
彼女が とてつもなく素早く移動しているのがわかる。
「 す げ ・・・・ あ 003にも加速装置があるのかなあ 」
009が心底感心していると ・・・・
「 009! 早くもどってっ
」
さ・・・っと 003が駆け戻ってきた。
「 やあ すごいね〜〜〜 きみも加速装置をもっているのかい 」
「 ! ちょっと! なに言ってるのよ! わたしいにはそんなもの 搭載されてません!
それよりも 001からのSOSが聞こえなかったのっ !! 」
「 え?? な なにも ・・・ 」
009はきょろきょろ辺りを見回している。
「 〜〜〜〜 まさか〜〜〜 脳波通信のスイッチをONにして ない とか?? 」
「 え すいっち? ・・・・ あ アタマの中でわんわんして ・・・
頭痛するから ・・・ その ・・・ 」
「 戦闘中になにやってるのっ ! 早く岩屋に戻ってっ 」
「 う うん ・・・ あ きみは 」
「 わたしはすぐにゆくから! 早く! 博士と001を護るのっ 」
「 う うん あ じゃ ・・・あ〜〜 お先に ・・・ 」
「 はやくっ ! 」
「 う うん ・・・・ 」
相変わらず煮え切らない返事をして ― 009の姿は消えた。
「 〜〜〜〜〜 もう〜〜〜〜〜 」
003は カリカリしつつ先ほどの岩屋へと急いだ。
ゴゴゴゴ 〜〜〜〜 ズサ 〜〜〜
「 ! 岩盤が ! 」
彼女が岩屋の奥まで戻った時 天井が崩落してきた。
「 し しまった ・・・! 」
ああ ダメだわ ・・・
003は目を閉じ覚悟を決めた ― が。 次の瞬間。
ふわり。 誰かの強い腕に抱えられていた。
「 ・・・・? 」
「 やあ ・・・ 」
目を開けると ― 茶色の瞳が覗きこんできていた。
「 ? ま あ ・・・ 009 あなたが助けてくれたの?? 」
「 う うん あ ここも危ないッ つかまって 」
「 ええ。
」
009は彼女を抱えると 大きく跳躍した。
わあ〜〜〜〜 ・・・ すごい高さねえ ・・・
ふ〜〜〜ん さすが 009 ね。
「 ごめん 大丈夫だったかい
」
「 ええ 」
「 ちょっと手間取って・・・ 当面の敵はやっつけたよ。
ああ きみが無事でよかった ! 」
「 ・・・ ありがとう 009。 」
「 あは ど〜いたしまして 」
に こ。 彼は ほんの少しだけど微笑んだ。
009の横顔は 今までとはまるで違って見えた。
・・・ あ ? このヒトって ・・・
え? こ こんなにステキだった ?
きゅん。 ずっとわすれていた甘い疼きが心の奥に感じられた。
Last updated : 09,12,2017.
index / next
************ 途中ですが
原作 でも 平ゼロ でも(^^♪
全くの 新人 なんですもの なにもできないよね
ジョー君♪ あ 冒頭のシーンとは
ちゃんと繋がる ・・・ つもり です、続きます〜〜