『 お目覚めですか ― (2) ― 』
シュッ ・・・ !
どん がたん。
キッチン・シンクの横で <燃えないゴミ>用 のゴミ箱が ― 飛んだ。
「 あっちゃ〜〜〜 ・・・ ま このタイミングだな〜〜 」
山内タクヤは ちょっとばかり満足気な顔で散乱したゴミを
集め始めた。
「 ふんふんふ〜〜〜ん♪ ま〜な〜〜〜 ヴァリエーションは
なんとか する! ・・・ アダージオもなあ 」
シュタッ ! さ ・・・
彼は 誰もいない空間に優雅に手を差し伸べた。
「 どうぞ 俺の姫君〜〜〜 ってなあ フランのタイミングは
わかってるから ここはできるだけ優雅に〜〜 サポートしたい! 」
トン。 シュ ・・
透明な? 姫君のピルエットを 余裕をもって! 支える。
「 うん ・・・ フランなら 絶対に芯をズラす心配なんか ない。
俺 信頼してるし〜 フランも俺を信頼してくれてる。
だから 心配はしてないんだ ・・・ ないんだ けど さ 」
ふう〜〜〜〜 彼は キッチンに座りこんだ。
「 な〜〜んか さあ・・・ ひっかかること、あるのかなあ ・・・ 」
タクヤは 彼の < 想い人 > の笑顔を思い浮かべる。
笑ってくれよ、フラン ・・・
いつもの 輝くあったか〜〜い笑顔 をさ。
俺 やっぱ 好きだなあ・・・
フラン〜〜〜
君がさ あいつのオクサンで チビ達のおか〜さんで
俺よか 年上で ・・・
みんな わかってる! 知ってるよ!
でも 俺。 フランが好きなんだ。
― そうだよなあ ・・・
俺ってば そんな彼女が好き なのかも。
いろいろ・・・あっても それでも 踊る!って
頑張ってる 彼女 が さあ
なんかこう〜〜〜 トウトイって!
ふ〜〜〜〜〜 ・・・・ なんとなくため息が漏れる。
( タクヤくん、 それは 尊敬、敬愛の念 ではないかな ? )
「 ふ ・・・ だから こそ。 俺たちは 最高に幸せな
王子と姫を踊るんだあ〜〜〜 」
シュッ パパパ パン 〜〜〜 !
彼は アントルシャ・シス を 正確に決めると 難なくキッチンの床に
着地した。
「 ふ ふんっ 最高の王子でオーロラをエスコートだあ〜〜 」
・・・ 彼もまた シアワセな王子サマ なのかもしれない。
ぱさり。 ごそごそ ・・・
軽い羽根布団の下で ピンクのパジャマが動いている。
「 ん ・・・・ 」
・・・ ねられない ・・・
隣では ジョーがまことに健康な寝息をたてている。
「 ・・・・ 」
彼女はいつもなら ベッドに入れば 即、寝落ち。 翌朝のアラームまで
ぐっすり・気持ちよ〜〜く眠るのだが。
( この彼女の性癖を 彼女の夫はよ〜〜くわかっているので
< 大切な二人の時間 > は その前 に執り行われることに
なっている・・・ とか )
「 ・・・ 」
かさり。 何十回目かの寝がえりをうつ。
洗いたてのひんやりしていたリネンは なんとなく温くなってきている。
シワシワの部分も増えてきた。
・・・ ねられない ・・・
「 ・・・ 」
とうとう起き出し 上半身を起こし枕を立てて寄りかかる。
「 ・・・ な〜んてよく寝てるの ・・・ 」
隣の枕に沈没してる茶髪クンの顔をつくづくと眺める。
彼は今 ― もっとも無防備に そして 無心な状態なのだろう。
少々 彼女がゴソゴソしても 微動だにしていない。
な〜〜んか シアワセそうねえ・・・
・・・ふん ・・・!
つんつん。 額に掛かる前髪をひっぱってみたが
そんなことで 目覚めるわけもなく。
「 ふ〜ん だ ・・・ ジョーなんか もう嬉々として
100年 眠っちゃうんじゃないかしら 」
100年 ・・・ かあ ・・・
また 溜息が出てしまった ― 何十回目だろう。
「 ・・・ 目覚めてみたら ― 100年も経ってて
オーロラは どう思ったのかしら ・・・ 」
40年。 眠ってたのよ わたし。
何気なく自分の手に、腕に視線が落ちる。
白くてすんなりした指 細いけど艶と張りのある腕はしなやかだ。
とても二児の母には見えないし ・・・ 勿論 実年齢とはかけ離れている。
「 こんなの ウソ。 本当は おばあさん なのに・・・
眠り続けた おばあさん なのに 」
― もしかしたら 本当のわたしは ・・・
もう生きてなんかない かもしれない のに 」
ココロの中がぱさぱさになる思いだが 今更 涙もでない。
彼らが 冷凍睡眠の状態に入る時、それなりの <説明> はあった。
勿論 彼らは BGの単なる被検体だったのだが
若き日の ギルモア博士は ちゃんと説明をした。
― 目覚めた時には ある程度の年月が経っていると思ってくれ と。
どうでもいい・・・と思っていたが 一応頭の隅に入れた。
眠りに落ちる時には ―
ああ やっと楽になれる ・・・
なにかほっとした気持ちで 目を瞑ったものだ。
目覚めた時には ― 仲間達はちゃんと隣にいて
かなり年齢を重ねたギルモア博士 が いた。
「 ・・・ もう どうでもいい ・・って気分だったから・・・
このまま死んでもいい なんて思ってたわ 」
「 でも・・・ 今 こうして 幸せ よ ・・・
わたし 生きててよかった って思うわ。 わたし は ね。
でも ― 王子サマ は? どう思ってるの?
・・・ ジョーは キモチ悪くない の?? 」
ねえ ジョー。 ホントのこと、言って!
こんな おばあちゃん と一緒になって ・・・ いいの??
彼女は 隣に眠る彼を 揺り起こしたい衝動を抑えるのに
苦労してしまった。
ふう ・・・・ ふう
眠れない お姫様は 眠れない ・・・
「 寝くちゃ。 明日もリハがあるから ・・・
タクヤに迷惑 かけちゃう ・・・ しっかり踊らないと ! 」
ぱふん。 彼女はブランケットに中に潜りこむと
ぎゅ・・っと目を閉じた。
「 どこ 見てるの フランソワーズ! 」
あ ・・・!
マダムの声が飛んできた。
レッスン中、 それもセンター・ワークでのアダージオ・・・
バランスを取りつつ 最大限に脚を上げ アームスに気をつけ
ダンサー達は皆 集中している。
ファースト・グループのベテラン達も 余裕たっぷりにみえるが
それなりに 気を張っているのだ。
セカンド・グループ 後列の一人が ― ふ・・・っと振りを間違え
反対側にステップし ・・・ 浮きまくっているのだ。
「 ちょっと。 集中して。 ・・・ 失恋したの? 」
「 ・・・ ・・・ 」
「 あ〜ら ごめん、奥様だったわね〜〜 」
「 え ・・・ あの 」
軽い笑いが広がった。
「 集中してちょうだい。 怪我するわ 」
「 ・・・ 」
黙って視線を伏せ ― なんとか最後まで踊った。
「 ・・・ どしたの? 」
後ろに戻れば 仲良しのみちよがこそ・・・っと声を掛けた。
「 う ん ・・・ 寝不足 ・・・」
「 え〜〜〜 珍しいねえ 」
「 ん ・・・ なんか ・・・ダメね 」
「 集中しよ このあとリハでしょ 」
「 ん ・・・ 」
その後 ワルツでも アレグロでも グラン・ワルツでも
彼女は ぽろぽろ取りこぼしていた。
キュ。 ポアントのリボンを結びなおした。
「 ・・・・ 」
彼女は センターにでるといきなりグラン・フェッテを始めた。
シュッ −−− トンッ!
16回まで回った時、 ぐらり、とバランスが崩れた。
「 ・・・ ! ?? 」
無理して強引に続けよう として身体が斜めになった瞬間 ―
ガタン。 どん。 大きな手に抱き留められた。
「 ! な に ?? 」
「 おい 転ぶぜ 」
いつもの笑顔ではなく 顰めっ面が 彼女を止めていた。
「 タクヤ?? 危ないわ! 」
「 危ないのはそっち。 転ぶってば 」
「 ― いいの。 転びたかったんだもの 」
「 はああ? おいおい しっかりしろよ〜〜〜
コドモじゃあるまいし・・・ 」
「 ・・・ コドモです。 100年眠ってた16歳ですから 」
「 おい なんかあったのか? 」
「 ― 別に。 あの。 離していただけます? 」
「 あ ・・・ ごめ ・・・ 」
緩めてくれた腕の中から 彼女はするり、と抜け出した。
「 なあ? 今日 やめるか? 」
「 え?? 」
「 リハ。 自主リハだし・・・ 」
「 なぜ?? 自主リハならサボってもいいの?? 」
「 おいおい・・・ どうしたんだってば。
フランらしくないぜ?
」
「 ・・・ これが いつものわたし ですけど 」
「 あの さ。 不調の時に無理しても 怪我の元だぜ? 」
「 ・・・ だ 大丈夫・・・ 」
「 そうかあ?? 朝のクラスから フランらしくなかった 」
「 ・・・ ごめんなさい ちょっとね 寝不足なの 」
「 なあんだ・・・ あ! もしかして すばる とか すぴか が
具合悪い?? 」
「 あ ウウン 大丈夫、チビ達は元気いっぱい。
あ すばるがねえ タクヤお兄さんの とぅ〜る・ざんれ〜る
見たい〜〜〜って 」
「 おうよ! 最高の高さできっちり回るぜ 俺は♪
あ〜 なら ダンナの帰りが遅い とか?? 」
「 ジョーが遅いのはもうずっとだから ・・・
あの 家族の問題じゃあないの。
あのね・・・ 聞いていい タクヤ 」
「 ?? 何? 俺で答えられるなら 」
「 ウン・・・ タクヤはさ 100歳年上の女性と
喜んで結婚 ・・・ する?? 」
「 ― はあ??? 」
「 だから その・・・ ず〜〜〜〜っと眠っていた姫君と・・・
いくら美女でも 世代が違い過ぎるじゃない?
それでも ・・・ 結婚する? 」
「 ?? ・・・ マジできいてる? 」
「 うん。 かなりマジ。 」
「 う〜〜ん ・・・ 100歳ってのはありえね〜〜けど。
俺 年上だってなんだって 好きになったヒトとなら
大喜びで結婚する! ・・・ こ 子持ちだってなんだって! 」
「 あ〜〜〜 そう ・・・ 」
「 うん!!! 」
タクヤは滅茶苦茶真剣に、そして < 子持ちだって > を
やたらと強調してみたのだが ―
「 ふ〜〜ん ・・・ 」
肝心の < その人 > には ・・・
全然インパクトを与えなかった ・・・ らしい。
「 ああ 誓う! 」
「 そっかぁ・・・ あんまり現実的ではないものねえ・・・
ごめんなさい ヘンなこと 聞いて 」
「 いいってば。 なあ それよりも今日は早く帰ってさ
ベッドに潜りこめよ。 しっかり寝て・・・ すっきりして。
明日 また 頑張ろうぜ 」
「 ・・・ そうしたほうが いい かな ・・・ 」
「 いい。 絶対。 寝不足で踊っても ― 納得できる踊りは
出来ないぜ 」
「 ・・・ タクヤ 」
「 すっきり元気で リハやろうぜ。
あ ― さっきの件だけど さ 」
「 さっきの件? ・・・ ああ 眠り姫と結婚するかってこと? 」
「 あ うん ・・・
あのぅなあ ― 好きになるって さ。
その相手のぜ〜〜〜〜んぶ ひっくるめて好き になるもんな
だから ― 王子は姫と結婚したのさ。
」
「 ・・・ 全部? 」
「 ウン。 容姿とか性格とかだけじゃなくて。 全部。
たとえば マイナスな部分も ぜ〜〜んぶ さ。
少なくとも 俺は ― そう思ってる。 」
「 そうなのね〜〜 ふうん ・・・
ふふふ タクヤの彼女さんって〜〜〜 どんな人?? 」
「 え ・・・ 」
「 ねえねえ こんど紹介して 」
「 ・・・ だ だから カノジョなんていないって 」
「 ウソウソ〜〜 ま いいわ そういうことにしておきましょ?
いろいろあるもんね〜〜 人気モノは大変ねえ 」
「 え ・・べ べつにそういうワケじゃ・・・ 」
「 でもね その時期がきたら絶対に紹介してね〜〜
きっといいお友達になれると思うの。 」
「 ・・・ そ ・・・? 」
「 その方によろしくね? いつもタクヤ君にお世話になってます〜〜って
ご挨拶 したいの 。 だってわたしの大切なパートナーなんだもの 」
「 え ・・・ 大切な・・・? 」
「 そうよぉ〜 いいセン、行ってると思わない? わたし達・・・ 」
「 !!!! 」
タクヤは ぶんぶんと首を縦に振る。
「 ふふふ はい、わたし 今日は帰って寝ます。
そして ― 明日 また頑張りマス 」
「 あ ・・・ う うん そう だよねぇ 」
「 メルシ〜〜〜 ふふふ・・・
パートナーが タクヤで本当によかったわ 」
それじゃ・・・と 白い手が彼の前に差し出された。
「 あ ・・・ うん 」
彼はおそるおそるその手を握った。
踊りでは ぴったりと密着し 身体を抱き留めたり
アタマの上まで持ち上げたり・・・ なんてことなくやっているのに・・・
ほんの一点での触れ合いに ― どきん。
な〜〜んと このかなりのモテ男は胸を高鳴らせていたのだった。
・・・・ う〜〜〜〜
俺って〜〜〜
ああ。 それでも!
俺 フランが好きだあ〜〜〜
王子はどこまでも姫君に恋をしている・・・らしい。
ピンポン ・・・ ドアチャイムが 鳴った。
「 お帰りなさい〜〜 」
玄関の飛び出し 彼女は夫を迎える。
「 ただいま フラン ・・・ 」
「 ジョー ! 」
もう夜も遅い、子供たちはとっくにベッドの中。
二人は 抱き合って熱いキスを交わす。
「 ・・・お疲れさま ジョー。 あ なにかいいこと あったの 」
「 ん? ああ きみの笑顔がいいなあ〜って思って。 」
「 え そう? 」
「 ウン。 今朝 なんか顔色冴えなかったけど・・・
元気になったね。 」
「 あら そう? ふふふ ジョーが帰ってきたからよ 」
「 おやおや ・・・ 」
二人はお互いに腕を回し合い リビングに入ってゆく。
「 あ〜〜〜 やっぱウチが最高だなあ ・・・ 」
「 ふふふ 晩ご飯が、でしょ。 手、洗ってきて?
今晩はねえ お魚料理。 ほら この前の・・・ 」
「 お♪ いいなあ〜〜 腹 ぺこぺこでさ〜 」
「 お楽しみ♪ 」
遅い晩御飯は 二人の大切で楽しいひと時・・・
ジョーは < ウチの晩御飯 > を 堪能する。
「 ・・・ あ〜〜 美味しかったあ〜〜 」
彼は満足の吐息で 箸を置いた。
「 よかったわ〜 でも これ 本当に美味しいわよねえ 」
「 うん! ネギと魚が いい感じだよねえ
あ チビ達もこれ、食べられたんだ? 」
「 コドモ達ははね お魚の代わりにチキンなの。
でも 二人とも大好きよ 」
「 あ〜〜 チキンでもいいよなあ ・・・
ふ〜〜〜 あ ありがと 」
彼は 目の前の置かれた熱いお茶を啜る。
「 あ そうだわ。 ビワをね、コズミ先生から頂いたの。
御宅のお庭に生ったのですって どうぞ ? 」
「 へえ〜〜〜 わあ 立派なのだねえ 」
「 ね? お店で 売ってるのみたいでしょ。 甘いですよって 」
「 ふうん? あ きみもたべろよ 」
「 ええ ・・・ ふふふ チビ達にはナイショなの〜 」
「 当然です、これはオトナの楽しみ・・・
ん〜〜〜 お うま〜〜〜 甘いなあ 」
「 ・・・ 本当〜〜 なんか 不思議な味だわ 」
「 初夏の味ってとこかなあ 」
ほっこりした時間がながれ ジョーは本当にのんびりした顔になり
愛妻の笑顔を 眺め楽しむ。
フランソワーズも 屈託のない笑顔で彼に寄りそう・・・
・・・ 二人の大切な時間 なのだ。
「 あ〜〜 ・・・ 疲れが消えてくよ〜 」
「 よかった ・・・ 」
「 ウン ・・・ ウチが最高だな 」
「 ふふふ あ。 そうだわ 」
「 ? 」
彼女は ふ・・・っと思いついた顔で 彼に向き合った。
「 ねえ ジョー。 あなた どうしてわたしと結婚したの? 」
彼の愛妻からのこの実に率直な質問に ジョーは目を白黒させ
・・・ 絶句してしまった。
「 ??? はあ??? 」
「 だから ― その理由を教えて欲しいの。 」
「 ・・・ あ〜 き きみと けっこんした りゆう? 」
「 そうです。 どうして? 」
「 ・・・ どうして って・・・ 」
「 つらつら思い返してみたけど 理由、聞いてなかったかなあ〜
って 」
「 あ〜 それ ・・・ 今 言う? ぼくが 」
「 そうです。 ムッシュウ・ジョー・シマムラ は
あの時 どうしてわたしと結婚したのですか? 」
「 ・・・ そ りゃ ・・・ そのう〜〜〜 」
「 え? 聞こえなかったわ? 」
「 ・・・ まだ 言ってないよ 」
「 あら そう。 さあ 教えて。 」
「 ・・・ あ〜〜〜 それはぁ ・・・ すきだったから ・・・ 」
蚊の鳴くよ〜な声が ぼそぼそと彼の口からこぼれた。
「 まあ そうなの?? 」
「 そうです。 ああ もういいだろ?
もう何年も前のことじゃないかあ〜〜
こうやってさ 仲良く チビ達も生まれて楽しく暮らしてるんだから 」
「 あの ですね。 ソレとコレは別問題です。 」
「 ・・・ 同じだと思うけどぉ〜〜 」
「 あら うふふ・・・今の言い方、すばるそっくり〜〜 」
「 ・・・ ムスコですから 」
「 ふふふ ふふふ〜〜〜 ねえ すばるってば もうねえ・・・
食べちゃいたいくらい 可愛いのよぉ〜〜〜 」
「 おいおい おか〜さん それはモンダイだよ? 」
「 だあってね〜〜 あの 笑顔♪ 蕩けちゃいそうよぉ 」
「 ふん・・・ ヤツはもうすでに立派な タラシ か! 」
「 さあすがあ〜 ジョーのムスコよね〜〜 」
「 ( ぎく★ ) あ ま まあ そうだねえ
ああ さあもう 休もうよ ね ね? 」
「 ふぁ〜〜〜〜 そう ねえ・・・ 」
「 うん うん♪ ふふふ〜〜 あ い し て る♪ 」
このオトコは こっそり耳元であれば! 甘っちょろいセリフも
吐けるのである。
・・・・ くか 〜〜〜〜
甘い時間を過ごした後、ジョーは気持ちよさそうに寝入ってしまった。
「 ・・・ ふうん ? ・・・ このヒトってば。
なんだって好き好んで 何十年も眠っていた年上の女を 選んだのかしら 」
ふ・・・ 茶色の前髪を 息で吹き上げる
「 あの王子サマも こんな感じに平和〜〜に 100歳年上に
プロポーズしたのかしら・・・ 」
彼の誠実さ そして 彼の真摯で温かい愛情については しっかりと
わかっている ・・・ つもりだ。
だから なおさら ― 今更だけど 聞きたくなる。
どうして 結婚したの わたし と。
「 そりゃ・・・ 御伽話 だけど・・・
わたし達は その主人公を < 踊る > だけよ
楽しく優雅に踊れば それでいいっては 思うけど でも。 」
じゃあ アナタは どうして??
不意に ある声が聞こえた。
アナタはどうして う〜〜〜んと年下の彼と
結婚したのかね?
世代のギャップ なんて差じゃないよね?
わかっていた はず だよね?
とんだおばあちゃん って自分で言ってたもの。
そのおばあちゃんが どうして
あの異国の年下の青年と 結婚したのかな
「 ・・ わ わたし は ・・・・
そ そりゃ ・・・ あいしてる ・・・ から 」
― 愛 ? 愛 って ・・・ なに?
どんなもの? どこにある?
「 ・・・ 愛は 愛は 見えない わ 」
へえ〜〜 見えないものを信じてるの?
ふうん・・・
それで う〜〜んと年代も違う彼と
家庭を持ったわけ ??
ふうん〜〜 勇気あるね〜〜
「 ・・・ ゆうき?? 」
そうさ。
彼が 同じ世代のわか〜〜いコに
目がゆく時がくる・・って 思わない?
「 そ それは ・・・ ううん!
ジョーはそんな人じゃないわ! 」
へえ〜〜 自信 あるんだ?
「 あるわっ! ・・・ あ 」
「 ・・・う ・・・ん ・・・? 」
隣で ジョーがむにゃむにゃ言って寝がえりを打った。
「 ・・・ ごめ・・・ 起きないでね〜〜〜
ああ わたしもはやく眠らなくちゃ!
また寝不足で ぼ〜〜〜っとしてたら ― 」
『 眠り〜 』 のGPを ちゃんとした舞台で踊る なんて
そうそう巡ってくるチャンスではないのだ。
「 にっこり笑って。 シアワセなお姫様 踊るのよっ 」
バサ。 もぞもぞもぞ・・・・
フランソワーズはブランケットの中に潜り ジョーの側で
にゃんこみたいに身体を寄せた。
「 お や す み♪ ふぁ〜〜〜〜 」
眠りの精 は すぐにやってきてくれた。
わたし オーロラ姫 ♪
イケメン王子サマと 結婚式なの
シアワセいっぱいの結婚式 を
・・・ 見ててねっ !
Last updted :
06.15.2021.
back / index / next
******** 途中ですが
悩みは尽きません・・・・
今 シアワセであればあるほど
気になってしまう・・・ のかなあ フランちゃん☆
ジョーくん・・・ なんか おっさん だねえ★
それにしても オーロラ姫って シアワセだったのかなあ・・・