『 ぼうけん ! ― (5) ― 』
― パッション & ディザイア ―
ヒョゥ 〜〜〜〜〜〜 ・・・・・
洞窟の中からは 凍てつく風が吹きでてきている。
外気が入る場所にいてさえ 手が悴む冷たさなのだ、中の寒さは想像を絶する。
「 姫様。 どうかここでご待機ください。 」
白銀の騎士は姫君の前で アタマを下げた。
「 この寒さは ― 危険です。 」
「 ! わたしは ― 騎士の一人、と認められていると信じているが 」
「 御意。 フランソワーズ姫 は 立派な騎士です。 」
「 ならば 戦力の一人としてわたしはこの洞窟に入る。
なによりも 挑戦状の宛先はこのわたしなのだから。 」
「 姫・・・ 」
「 姫様 」
今度は スキン・ヘッドの騎士が進みでてきた。
「 これは 年長者の言葉としてお聞きください。
この寒さは レディ には危険です。 ことに姫様は我らがパッション王国の
大切な御方です。 どうぞこの場に留まりください。 」
「 ― ありがとう。 皆が気遣ってくれて 本当に嬉しい。 」
しかし。 と 姫君は言葉を切って全員を見回した。
「 わたしは このパッション王国の姫であるが故に 黒い幽霊を討伐する。
それは 兄君に重症を負わせ申し上げてしまったわたしの責任でもあるのだ。
わたしは ― 皆の足手纏いにはならないつもりだ。 」
「 ! あ 足手纏い だなんて! そんなこと ないですっ
ぼ ぼくが。 姫様の盾になり あ〜〜 毛布になってお護りしますっ 」
ジョーは我しらず 声をあげていた。
「 お〜〜〜 しまむら・じょ〜 よく言った! 」
「 頼むぞ 伝説の少年 」
仲間たちからは やんやの喝采が起こった。
「 え えへへへ〜〜〜 あは やっぱ世界は変わっても仲間なんだなあ♪ 」
「 アタシ達も お護りします 」
五人姉妹は 四人がフラン姫の馬の前後を固め 長姉と思われる一人が
一行の先頭にたった。
さあ 皆さま。 参りましょう !
カメリア姉妹は白いドレスを翻し 黒い幽霊の洞窟に入っていった。
ぎゃ〜 ぎゃ〜〜〜
黒い小さなケモノのようなものが沢山飛んできた。
「 ! なんだ ? 蝙蝠か? 」
「 ・・・ いや 鳥・・・? 」
「 洞窟の中に鳥 ・・? 」
騎士たちは さっとボウガンを構えた。
「 お待ちください。 ここはアタシ達が 」
カメリア姉妹は さっと彼女らのドレスの裾を振った。
ほの暗い空間に きよい白い光が満ちる。
ぎぎ ぎ ・・・? ぎ〜〜〜〜
飛んできた黒いケモノらは動揺し右往左往し始めた。
「 お 見ろ? あるべると。 」
「 うむ ・・・ どうやら光には弱いとみえる 」
「 そうだね〜 ずっとこの中で生きているから 光は苦手なんだろうね。
しかし すごいドレスだねえ 」
褐色の騎士は 生き物に詳しい。
「 すごいな〜〜〜 そのドレス、光っているのかい 」
「 この白は ― 穢れていない白だ。
だから 邪悪なモノには耐えられないのだろう 」
姫君が静かに言った。
「 あ な〜る ・・・ へえ〜〜 キレイだよなあ 〜〜 」
赤毛の騎士がちょっと眩しそうに目を細める。
「 清いものは 美しいな 」
おそれいります ― カメリア姉妹は黙って微笑んでいる。
「 ― さあ 行こう 」
一行は さらに奥へと進む。
洞窟なのだが なぜか完全な闇ではない。 どこかに明り取りがあるのか
もしくは なにかの発光源があるのかもしれない。
「 ふうん ・・・ 不思議な洞窟ですね〜〜
ああ ペンライトでも持ってくればよかったなあ 」
「 ぺ・・・? じょ〜? 」
「 あ なんでもないです〜 暗いしなんか嫌な湿気があるなあ 」
「 ほっほ〜〜 そげなもん、このワテが追い出しまっせ〜〜 」
カチ カチッ ― ボッ 〜〜〜〜
丸まっちい騎士は 火打石を取りだすと手早く松明を作った。
明るい炎が揺れ 禍々しい湿気を乾し上げた。
「 ― おお 温かいな 」
「 すっげ〜〜〜 さ〜すが張大人〜〜〜 」
「 ・・ じょ〜 そなたは独り言が性癖なのか 」
「 え あ 失礼しました〜〜〜 スゴイなあ〜〜って思いまして
姫君の騎士さん達は 素晴らしいですね 」
「 しまむら・じょ〜 彼らはわたしのよき先輩であり
頼もしい友人なのだよ 」
「 あ そうですね。 ・・・ えへ ぼくもその一人に・・・
なりたいです 」
「 そなたはとっくに友人ではないか?
大地の色の瞳を持った伝説の少年 ・・・ 」
「 ・・・ ぼくは ・・・ 」
「 さあ 行こう ! 」
「 ふむ ・・・ この辺りで馬諸君には待機してもらうほうが
よいかもしれないな 」
「 あるべると? 」
「 足元を見ろ。 彼らの足には 酷だ 」
「 ああ ホントだ! ごめん、クビクロ〜〜 」
ジョーが真っ先に鞍からおりた。
洞窟の床は最初は砂地だったが 気がつけば固い尖った岩場になっている。
「 これは ・・・! 天然の侵入者除け というわけか 」
「 降りよう 」
騎士たちは次々と馬から離れた。
「 ここに置いておくのは危険だぜ。
ウン ちょっくら全員外で待っててもらうぜ 」
気の早い赤毛が提案する。
「 そうするか ― ぴゅんま はどう思う 」
「 そうだね、馬君たちの安全も保たないとね
じぇっと、脚の速い君なら 安心だよ 」
「 ・・・ お願いします。 クビクロ ・・・ 待っててくれるかい 」
ジョーは 愛おしそうに愛馬の首を撫でた。
ひ ひ〜ん ・・・ スリスリ〜〜〜 栗毛君もジョーにすり寄る。
「 おし。 それじゃすぐに追いかけるから。 」
それじゃ・・・とちょいと手をあげ 赤毛の騎士は
皆の馬を連れて 道を戻っていった。
「 姫君。 ここからは徒歩になりますが ― おみ足は 」
「 ふふん。 わたしの健脚を知らぬのか? 」
「 ・・・ え。 足、 つよいんですか 」
「 じょ〜 言葉を控えよ 無礼だぞ 」
「 あ すいません 」
「 構わぬ。 じょ〜 は なにも知らないのだから・・・ 」
姫君自身が 明るい声でとりなしてくれた。
「 姫君はなあ じぇっとに継ぐ 速い足の持ち主なのさ 」
「 へええ〜〜〜 すっげ〜〜〜 」
「 平地で競ったら 姫君に勝つのは難しいのさ 」
「 へ ・・・え〜〜 」
「 ふふ ・・・ わたしが先輩方に勝てるのは そのくらいのものだから 」
「 うっわ〜〜 奥が深い方ですねえ 」
「 しまむら・じょ〜 姫君の俊足はパッション王国では有名なのさ 」
なあ? と 褐色の騎士は仲間たちを振り返る。
うんうん・・・ と 皆が笑顔で頷く。
当の姫君は すこし頬を染めて微笑んでいる。
うっぴゃ〜〜〜〜 かっわいい〜〜〜〜♪
うふふふ〜〜 フランはどこでだって
ぼくの可愛いフランソワーズ だよん♪
ジョーは一人で鼻の下をびろ〜〜ん・・とさせる。
「 アタシ達もよく存じております・・・ 姫様は緑の風・・・
翡翠の森の中を 駆け抜けられる御方です 」
五人姉妹も 声を合わせる。
緑の風 かあ〜〜 いいなあ〜〜〜
「 では出発しよう 」
白銀の騎士の一声で 一同は改めて身じまいをした。
「 アタシ達が先にたちます 」
カメリア姉妹が先頭にでた。
おう・・・! 騎士たちは姫君を真ん中に隊列を組む。
「 ぼくがラストを護ります〜 」
「 アタシがご一緒しますわ 」
カメリア姉妹の一人が ジョーの側に立った。
「 あ あ〜〜 ども 」
「 アタシ へれん といいます。 姉妹の一番上です 」
「 へれん さん? あ ぼく ジョー です〜 」
「 大地の色の瞳をした方・・・ 」
「 あ? そうですねえ 〜 こちらにもこんな目の色のヒト いるでしょ? 」
「 まあ いいえ。 王国にセピアの瞳の方はいらっしゃいませんの。 」
「 へ え ・・・ あ ぼくはあ 伝説の少年 なんかじゃなです〜 」
「 それは ― 天が決めることですわ。
さあ 参りましょう ・・・ 油断なさいませんように 」
「 あ そうですよね ここは敵地なんだっけ 」
「 はい。 まだこの辺りは比較的安全ですけど 」
「 ふうん ・・・ 」
洞窟の中は だんだと暗くなってきたが 五人姉妹の白いドレスと
彼女たちの輝く髪が 辺りを照らしだす。
キ キキキキ ・・・ ! ギィ ィ ィィ 〜〜〜〜〜〜
その光の下、 なにか小さなモノたちが慌てて逃げだしてゆくのがみえる。
「 へえ すごいなあ 」
「 小物たちは 光が苦手ですから。 本当の邪悪はモノは
太陽の光をも恐れません 」
「 ふうん ・・・ あ そうだ、あの黒いヤツも
真昼間に姫君を襲ってたもんなあ 」
「 そうです。 手下たちを集めるためにこの洞窟に棲んでいるのです。
ここにはもともと 緑の龍 が棲んでいました。 」
「 りゅ 龍??? へえ〜〜〜〜 」
「 彼女は 金ピカモノが好きなだけの大人しい龍だったのですが ・・・
一生をかけて いろいろな光る宝モノを集めていました。
大半は 持ち主の不注意で落としたもの とか 窓辺に放置したものを
集めたものです。 」
「 へえ ・・・ で その 緑の龍 さんは? 」
「 ・・・ 黒い幽霊 に殺されました。 老いた龍はこの洞窟を
守ることができなかったのです。
彼女の集めたモノは 全て ― ヤツらが強奪してしまいました。 」
「 ! わっるいヤツだなあ〜〜〜 許せん! 」
ジョーは憤慨した。
「 そして ― ヤツらは この輝けるパッション王国を侵略しようと
狙っているのです。 」
「 それで 昔、姫君を浚おうと?? 」
「 そうです。 フランソワーズ姫様は 王国の輝ける御方ですし 」
「 だよね〜〜〜 ふんっ! そんなこと、させてたまるか〜〜 」
「 アタシ達も あんな奴らに侵略されたくありません。
ヤツらが去れば あの禍々しい北風も収まり ・・・・
ゴブリンの森 も明るく 温かい地になります。 」
「 そっか〜〜 」
「 春は ― どこの地にも訪れなければならない。 」
「 姫様 ・・・ ほんとうに・・・ 」
「 それゆえ 我々は黒い幽霊を討伐する。
わがパッション王国の生きとし生きる全てのものたちの幸せのために 」
「 わ〜〜〜 わ〜〜〜〜 カッコい〜〜〜〜 」
ジョーは思わず拍手をしてしまい ― 周囲からの視線を浴びた。
「 あ ・・・ す すいません ・・・つい ・・・ 」
「 ふ ふふふ 楽しい御方ですのね、大地の色の瞳の じょ〜 さん 」
「 え あは ・・ えへへ ・・・ 」
「 おい 気を引き締めろ。 ここはヤツらの洞窟なんだぞ 」
「 あ すいません〜〜 」
ザ ザザ ザ −−−−−
騎士たちは周囲に気を配りつつ 進みはじめた。
ビュウ −−−−− ・・・・
彼らの侵入を既に感知しているのだろう、底冷えのする風が洞窟の奥 ―
地の底から吹き上げてきていた。
― その後の闘いは 文字通り死闘だった。
黒い幽霊はつぎつぎに刺客を放ち 騎士たちを襲わせた。
ビュ ビュ ビュ −−− !
「 ― ち。 こう次々飛んでくると いくらあっても足りね〜ぜ
」
赤毛の騎士は 苛立たし気にボウガンを投げ捨てた。
「 じぇっと ! 」
「 ふん とっくに矢が尽きちまったのさ
あとは ― この剣で 」
赤毛はすらり、と長剣を抜いた。
「 逸るな。 接近戦は最後の手段だ 」
「 ほら 僕の矢を使えたよ 」
「 すまね〜な ぴゅんま 」
共に厳しく鍛えてきた騎士たちのチーム・ワークは流石だ。
「 皆 怪我はないか 」
ビュ −−−− ぐわあ〜〜〜〜
姫君は 何気なく放つ矢で的確に敵の小物たちを倒してゆく。
「 お〜〜 相変わらずですな 姫様。 」
「 まさに。 百発百中、お見事〜〜 」
「 ! 油断するな 」
振り向きざまにも 姫君の矢は敵を倒す。
うっぴゃ ・・・・
やっぱ フランだなあ〜〜〜
この世界でも 射的の腕はピカ一かあ
ジョーは感心しつつも 慣れないボウガンで必死に姫君の
援護射撃をしていた。
ぴゅ ・・・ なにか尖ったモノがスレスレに飛んできた。
「 ・・・ うっ〜〜 掠ったぁ〜〜 」
彼の袖が破れている。
「 怪我は? 」
「 う ん ちょっとかすっただけ ・・・ 舐めとけば大丈夫です〜 」
「 甘くみるな。 毒矢だったらどうする!? これを! 」
スキン・ヘッド氏が 薬箱を投げてくれた。
「 あ ありがとう〜〜 ・・ 怪我かあ なんか久しぶり・・・ 」
ジョーは かすり傷に沁みる軽い痛みがちょっぴり懐かしかった。
ー とはいえ 騎士たちはだんだんと押され始めている。
「 どうぞ アタシたちにお任せください っ 」
五人姉妹が白いドレスを翻し 前線に出た。
「 アタシ達が ― 」
ふわあ 〜〜〜〜 五人のドレスが辺りを明るく照らしだす。
その光の中に フランソワーズ姫が立つ。
「 邪悪なモノたち 消えよっ 」
彼女は すらり、と剣を抜き ― 白い光の中に翳した。
ぎゃわ〜〜〜〜〜 ぎゃ ぎゃ ぎゃ ぎゃ −−−−
剣の鋭い光を浴びて 邪悪な黒い存在らが叫び声をあげ消えてゆく。
「 すっげ〜〜〜 」
「 しまむら・じょ〜 姫君は我ら全ての光なのだ。 」
スキン・ヘッドの騎士は 心底感銘をうけている模様だ。
「 そうっすねえ〜〜 」
わぁ・・・・・ さすがぼくのフラン〜〜〜
けど 皆 大丈夫なのかな
ぼくも あちこちやられちゃってるけど
不思議に痛みとかあまり感じない・・・
ふふん 009 は この程度じゃなんともないっ
ジョーは まだまだ状況を甘くみていたのかもしれない。
「 皆 大丈夫か? 黒い幽霊に止めを刺し隣国の王子を救おう 」
姫君は 最前線に立っていた。
「 ― やっと出てきたか 」
地の底を這いずるがごとく暗い声が聞こえた。
「 だれだ?! 」
「 ふん 雑魚どもに用はない。 フランソワーズ姫と闘うために
あの挑戦状を送ったのだあ〜〜 」
しゅう〜〜〜 灰色の煙の中に 黒づくめの輩が立っていた。
「 ! 黒い幽霊 だなっ ! 喰らえ〜〜 」
「 おう ! この時を待っていたぞ! 」
騎士たちは 残り少ない矢を放つ。
ぴゅ ぴゅ ぴゅ 〜〜〜
「 ああ? 」
「 な なんだ? 」
百戦錬磨の騎士たちの射た矢は ことごとく逸れてしまった。
「 ふっふっふ そんなモノで我を倒すことはできん 」
ぞわ ぞわ ぞわあ〜〜〜
地の底から湧いてきた禍々しいものたちが 黒づくめのオトコの側に寄ってゆく。
もわあ 〜〜〜 ん 禍々しい空気が立ち籠めてきた。
「 王子を捕えているから ディザイア王国はすでに我のいいなりだ。
次は パッション王国 ― この二つを手にする日は近いぞ
あっはっはっは〜〜〜 」
オトコは呵々と哄笑している。
「 ― 勝手なことをほざくな。 わたしがその望みとやらを
打ち取ってやる 」
ス 。 姫君が 前に出た。
「 ふっふっふ 最後はそなたか フランソワーズ姫 」
「 そうだ。 わがパッション王国の名にかけて お前を討伐する 」
「 できるのか? この我を討つことが 」
ふぁさ。 オトコは黒い仮面を投げ捨てた。
黒髪の冷ややかな目をした素顔が 現れた。
わ ・・・・!
な なんか アイツってば
ふ〜〜〜ん ・・・
結構 いいオトコ じゃん〜〜〜〜
ジョーは思わず ヤツの顔を凝視していた。
「 ふん ― かかってこいっ 黒い幽霊めっ 」
「 あっはっは〜〜 姫サマ? そなたと共に 王国をこの手にするのだあ〜
碧の宝石は わがものだ 我の腕の中に来いっ 」
黒い幽霊は 無遠慮にも姫君に投げキスをした。
!!! ってめ〜〜〜〜〜 !!!
こ〜れが ジョーに 火を点けた!
今まで ミソっかすの騎士 だった しまむら・じょ〜 は
完全に 009モード にチェンジしていたのだ。
まて。 ぼくが 相手だ っ !
スタ ― ッ セピアの髪の騎士が 二人の間に飛び込んだ。
「 ・・・ お前は ― 」
「 ぼくが相手だっ ぼくには目くらましは効かないぞっ 」
「 しまむら ・ じょ〜 」
「 姫君。 ぼくに任せてくださいっ 」
「 ありがとう。 しかし これはわたしに届いた挑戦状による勝負なのだ。
わたしが勝負をする。 」
「 フラン ・・・ いえ フランソワーズ姫様 ・・・ 」
「 ふふん そう簡単には屈しないぞ。 黒い幽霊めっ 」
姫君は 剣を構えつつ前に出た。
「 姫さま 〜〜〜 」
五人姉妹は ぴたり、と姫の側に付き従っている。
「 アタシ達の輝きを ― どうぞ使ってください 」
ふぁさ 〜〜〜〜〜 白い光が辺りいっぱいに広がった。
「 む ・・・援護するぞ ! 」
傷ついた騎士たちも 残り少ない矢で狙いを定めている。
「 う〜〜〜〜む〜〜〜〜 ちょこざいな っ !
しかし そんな小細工でこの黒い幽霊様を倒せると思っているかっ 」
ぐわあ〜〜〜〜 −−− 禍々しい妖気が辺りに充満した。
黒い幽霊自身の身体全体から 吹き出てきているのかもしれない。
「 う ・・・・ 」
「 く 苦しい ・・・ 息が できん 」
「 ぐわ ・・・ 」
「 はっはっは〜〜〜 ここは我が領土 〜〜〜
暗き禍々しい地なのだあ〜〜〜 ははは 引きずり込んでやる 」
「 姫。 我はそなたをずっと所望してきた。
我が支配する世界には 碧の瞳が必要なのだあ 我の花嫁としてだ!
ふっふっふ〜〜〜 もらってゆくぞ 」
高笑いをしつつ 黒い幽霊は姫君に襲いかかろうとした。
「 ! 危ないっ 」
ジョーは ヤツに突進しようと剣を構え ―
― その時 ・・・
茶色の大地は 緑が活き活きと育つためにいきている
セピアの瞳の少年は 碧い瞳の姫の護り神となるだろう
ほの白い光の中から 一筋の声が聞こえてきた。
それはまだ幼いが 凛とした張りのある声だった。
「 ?? な なんの声 ?? 」
「 ・・・ 光の神の声 だ ・・・ 」
スキン・ヘッドの騎士が 呆然と中空を見つめている。
「 なんの神だって? 」
「 光の神。 われらがすべての地上の王国の護り神だ・・・・
ああ 伝説は本当だったんだ 」
「 伝説? 」
「 ほら あの ・・・ 大地の瞳の少年が王国を救うという伝説さ 」
「 あ〜〜〜 」
騎士たちも深く頷きあっている。
「 ああ あの予言は真実だったのですね 」
「 じょー様 ・・・ アタシもお手伝いを ! 」
カメリア姉妹の白いドレスは もう大分汚れてきてしまっている。
「 大丈夫かい お嬢さんたち 」
セピアの騎士は眉を顰めた。
「 大丈夫ですわ。 アタシ達はこの時のために生きてきたのですから。 」
「 さあ ヘレン姉さま。 皆さまの援護を ! 」
「 ええ ! 」
姉妹のドレスはまだまだ輝きを失わず、邪悪なるものを弱らせる。
「 くっそ〜〜〜 ・・・ 雑魚に用はないっ
お前が必要なだけだあ〜〜 」
光に慄きつつ 黒い幽霊は姫君に襲いかかった。
キン ッ ! 姫の剣が迎え撃つ。
「 ! くらえっ 」
「 〜〜〜〜〜 うお〜〜〜 」
姫君の剣で身を貫かれつつ ヤツは飛び上がった。
バサ 〜〜〜〜〜〜 ・・・・ !
「 うぬ ・・・ ヤツは翼を持っていたのだったな 」
「 あの翼 撃ち抜いてやる〜〜〜
」
ジョーは 必死にボウガンを放つが ―
きん キン キン ・・ 矢はことごとく跳ね返されてしまうのだ。
「 くっそ〜〜〜 剣の一撃をうけているのに なんてヤツだ〜 」
「 しまむら・じょ〜 気をつけよっ 」
「 あ はい うわ〜〜?? 」
ど −−−−− ん 突然 天井の一部がぽっかりと口を開けた。
「 ! み 見ろ〜〜 空が? 」
「 空が みえる?? 」
「 地上まで貫いた ということか?? 」
ざ 〜〜〜〜〜〜 ・・・・ !
黒い幽霊は 翼を使い一旦高くとびあがると ― 急降下してきた。
「 むっ! 撃ち落としてやる〜〜〜 」
ジョーは しっかりと狙いを定めた。
はっはっは そんなモノでは 我は斃せん 〜〜〜
ざざざ 〜〜〜〜 びゅんっ!
「 !? 」
「 な なにをする〜〜〜 」
なんと黒い幽霊は 姫君に襲いかかりがしっと抱きそのまま
― 飛び上がったのだ ・・・!
「 ! フランを返せ〜〜〜〜〜っ 」
ジョーは絶叫した。
「 じょ〜さま どうぞアタシ達を使って ! 」
カメリア姉妹が 五人集まった。
「 ! あ ありがとう〜〜〜〜 ようし っ 」
ジャンプっ ! ジョーは姉妹を踏み台にヤツに飛び着いた。
ぼろ―っ 五人は倒れ ― 次の瞬間 彼女たちの姿が消えた。
「 ?? どうしたんだ??
」
「 彼女たちは ・・? あっ 」
「 うん? ああ 花 椿の花が ・・・ 」
ジョーがもってきていた白い椿の花は ぼろり、と枝から落ちていた。
「 ・・・ 花の精 だったのか ・・・ 」
「 身をもって護ってくれたんだな 」
白銀の騎士は そっと ・・・ ぼろぼろになって落ちた花を拾いあげた。
さて 空中では ―
「 !? こ このぉ〜〜 離せ〜〜 」
「 離すもんか! フランを取り戻すんだ〜〜
お前を先に 落としてやるっ 」
ばさばさ ばさ〜〜〜〜
黒い幽霊は 足掻きつつも上昇してゆく。
「 く ・・・ 落とされてたまるかあ〜〜〜 」
ジョーは必死にしがみつき ― ふと 片手が薬入れに当たった。
! そうだ アレを ・・!
彼は大切に仕舞ってきたモノを 引き出した。
フランを助けてください ・・・ !
― えいッ !!!
シュ っ
ジョーは 大切に持っていた緑の石を投げつけた。
それは ヤツの眉間にあたり ・・・
ぐ? ぐわあ〜〜〜〜 〜〜〜〜
黒い幽霊は俄に苦しみ出し ― 大気の中に 消滅していった ・・・
「 う わ ・・・? 」
「 じょ〜 ・・・ 」
「 フラン いえ 姫君! さあ ぼくにつかまって! 」
「 じょ〜〜 」
二人は 中空でしっかりと抱き合った。
ごう 〜〜〜〜〜〜 ・・・
そのまま ― ジョーとフランソワーズは 落下してゆく。
フラン きみはどこに落ちたい
… ?
ジョー
あなたのなか に … !
Last updated : 06,04,2019.
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********** 途中ですが
すみません〜〜〜 終わりませんでした <m(__)m>
その上 短くて ・・・ すみません すみません★
元ネタの 基礎英語2 は まだまだ冒険の真っ最中〜