『 奇々怪々  ― (2) ― 1  』

 

 

 

 

 

********  お詫び  ********

今回 短いです〜〜 PCやらソフトの

移行作業に時間を取られて

書き上げる余裕がありませんでした <m(__)m>

 

 

 

  カツ −−−−ン ・・・ カツ −−− ン  ・・・

 

ひんやりとした石造りの壁に ブーツの音が固くこだまする。

ここで足音をしのばせるのは不可能、と腹を括り、 アルベルトは悠然と歩いてゆく。

足下は ガタガタの敷石が続く回廊だ。

ところどころに土が顔を出し、ぼそぼそと雑草まで生えていたりする。

問題の場所は 窓が少ない上にどれもこれもおそろしく小さい。 

照明施設などないからひんやりと薄暗くおまけにカビ臭い。

 

                                                                                    ま   当然 だな ・・・

 

アルベルトは何気ない風に進んでいるが 勿論周囲への警戒は微塵も怠ってはいない。

「 ・・・ いやね ・・・ 陰気な場所 ・・・ 」

半歩後ろをあるく003が 低く話しかける。

「 ま 仕方ないだろう?  俺たちは物見遊山に来たんじゃないんだ。

 名所旧跡巡り  とはちょいと違う 旅 だかなら。 」

「 それは  そうだけど ・・・  きゃ?! 」

 

   ガラガラガラ ・・・ カーーーン ・・・!

 

回廊の一部の石畳が崩れ はるか地下の奈落へと落下してゆく。

「 ・・・ うわあぁ・・・ こんなに高かったのかしら。 」

「 ―  おい! しっかり索敵を頼む。 」

「 はいはい すみませんでした。   え〜〜 ・・・ この階層には誰もいません。 」

「 ダンケ。 ふむ ・・・ そう簡単には姿はみせないって、ことだな。 」

「 ふう ・・・  ねえ 天辺まで上がるの。 」

「 ああ。 警戒の必要もあるからな。   なんだ疲れたのか?

 先に帰って休んでろよ。  ( この城の情報をできるだけ詳しく検索してくれ。

 見取り図もだ、頼む ) 」

「 そういうわけにはゆかないわ!  わたしだってサイボーグ  う? 」

大きな手、皮手袋をが す・・・っと 003の口を塞いだ。

「 ?!  もごもごもご〜〜〜〜〜!!!  」

「 静かに。  下の部屋の様子が気になるから ・・・ ちょこっとだけ 頼む! 」 

「 頼むってなにを?! 」

「 ?  おい!  ・・・ 個別回線、オープンにしていないのか ? 」

アルベルトは つんつん・・・と自身のアタマを突いた。

「 ・・・ あ。 ごめんなさい ・・・ はい オッケ〜 再送して? 」

「 ったく〜〜  だから  ( この城の情報を詳しく検索してくれ 見取り図付 ) 」

「 はい 了解。   じゃ ちょっと・・・広間まで戻ってもいいかしら?

 検索結果は 直接送るわ。 」

今度は003が アタマを突いて笑っている。

「 ああ それでいい。  おい? 気をつけてもどれよ? 待ち伏せ 」

「 誰もいない、って言いましたよ? 003の < 目と耳 > を信用して。 」

「 へいへい  畏まりました 姫君 」

「 うふふ♪  こんなロマンチックなお城にいるのですものね〜〜 オヒメサマになった気分 」

つん・・・と気取ってみせてから 003は石造りの階段を駆け下りていった。

「 ふふん ・・・ まだまだコドモだぜ。  ・・・ これがロマンチック かねえ・・・ 」

彼は改めて黴臭い塔の内部を見渡した。

 

< 古城のロマンを求めて > と観光ホテルに改築された本館とは打って変わって

城の奥に聳える塔は 本来の姿をまだとどめていた。

暗くてしめっぽく、おどろおどろしい雰囲気が濃厚な上に 電気もなくガラン・・・としていて

< 中世の空気 > が物陰にひっそり澱んでいる・・ のかもしれない。

「 ・・・・・・・ 」

 カツン カツン カツ ----ン ・・・ 足音を響かせつつ アルベルトは慎重に石段の

回廊を登っていった。

 

 

 

 

「 ホイホイホイ〜〜 さあ〜〜〜 皆はん、ぎょ〜さん頂きまひょなあ〜〜 」

サイボーグ仲間の料理人は 満面の笑みで林立する酒瓶とグラスのワゴンを押してきた。

「 へえ ・・・ すごいね、006! 」

「 うひょ 〜〜〜 これはこれは。  

それでは諸君 まずは再会と そして このミッションの成功を祝って杯を干そうではないか〜〜 」

艶やかなスキン ・ ヘッドをふりたてて007が立ち上がった。

「 あ いいね〜〜  ここには随分と多種多様な銘酒があるんだねえ・・・ 」

008は林立する酒瓶のラベルを熱心に調べている。

「 アルコール類のことはよくわからないけど ・・・ ともかくここは有名なリゾート・ホテル

 なんだそうだよ。 だから いろいろ一流のものを揃えているらしい。 」

大広間を改めて見回し 009が説明してくれた。

「 へっ !  オレ様はともかくバーボンとタバコがありゃ いいぜ。 」

「 ふ ・・・ 相変わらずだな お前。 」

「 っだよ〜〜 オレはいつだって オレ さ! 」

002はぷい、と横を向くとグラスにどぼどぼお気に入りの酒を注いでいる。

「 ったくなあ〜〜   ・・・ おい ジョー? 」

「 なに。 」

「 今回の < ミッション > だが。  単に ロボット・004 を斃す だけか。 」

「 え。 それ以外になにがあるのかい? 」

009は心底怪訝な顔で聞き返してきた。

「 いや ・・・ しかし 俺は博士に 古城に逃げ込んだロボットを始末して欲しい とだけ

 言われたのだが  ・・・ 」

「 その通りだよ、 なにが疑問なのかい。 」

「 そうだよねえ ・・・ いつもの004らしくないよ。 」

ずっと側で聞いていた008が口を挟んだ。

「 いや ・・・ ただ これは俺一人の仕事 と言われたんだ。 みっともなくて他のものには

 頼めないから・・・とな。 」

「 ふふ  それならやっぱり、 君は本当のホンモノの 004だね。 」

「 ・・・ は ??? 」

「 このミッションはね、 もともと全員で取り掛かれ、と博士の司令なのさ。

 そうでなければ・・・とてもニセモノとはいえ 004 に勝つのは並大抵のことじゃない。 」

「 そうなんだよ。 で もって さ。 博士の懸念はね、 ロボット004を悪用されこと なんだ。」

「 悪用? 」

「 ウン。  博士は僕たちに説明してくれたけど ・・・ たかだか落雷くらいで 制御不能になるって解せない・・って

さかんに首をひねっているんだ。 」

「 ・・・ ほう ・・・ それで ・・・ 」

「 そ。 ご明察〜〜 誰かの手が入って ロボット004 を操作しているのではないかってこと。 」

「 ふ〜〜む ・・・ そんなことが出来るのかね。 」

「 さあ ・・・ それはぼくらにはわからない。  

ただ ・・・ ここにいる 004 は。 紛れもなく ホンモノの俺たちの仲間ってことさ。 」

「 ・・・そりゃ ・・・ ありがたいが ・・・ 」

「 なんだよ〜〜  これ以上 なにがひっかかっているのさ? 」

「 ぁ・・・いや なんでもない。  ふう〜〜〜 ・・・ ここの陽射しは最高だな・・・

 あとでちょっと散歩してくる。 」

「 ああ 腹ごなしには最高だしょ。   お〜っと きたきた〜〜〜 」

 

  バン !  ドアが勢いよく開き、 丸まっちい料理人が意気揚々とはいってきた。

 

「 ほっほ〜〜〜 お次は点心 やでェ〜〜 勿論、お腹に溜まるもんもあるさかい 安心してや〜

さあさあ ぎょ〜〜さんあがってやあ〜 」

「 うわ〜〜〜 いい匂い〜〜〜 」

ワゴンの上には 湯気を上げる皿がいくつも並んでぃう。

「 うわ〜〜〜 すごい〜〜〜  ねえねえ ピュンマ〜〜 どれが好き 」

「 え あ〜〜 僕はねえ やっぱり北京ダック か フカヒレだなあ〜〜 」

「 あ  わたしもよ♪  一緒に取るわねえ〜〜 」

「 ああ 頼むね・・・ 」

「 いいなあ〜〜 僕たちの集合には やっぱりコレがなくっちゃなあ〜

 あ 大人 〜〜 これは老酒かい? 」

「 ほっほ。  ジョーはんの好きなヤツでっせ〜〜  お茶タイムやけど、皆はん! 

 腹が減ってはイクサどこやない、な〜んもでけへんよって ぎょ〜さんあがってやあ〜〜 」

「 ありがとう〜  グレート〜〜 ま まずは一杯〜〜 」

「 忝い。  ・・・ ではご返杯とゆこうか。  う〜〜む ・・・ ウマイ! 」

「 ・・・ だ ね〜〜 うう〜〜〜 ん ・・・  あ ウィスキーもあるんだ? 」

「 我輩のリクエストでな。  ほい、そこな空飛ぶ赤毛? たまには我輩の国の酒はどうかね? 」

「 へっ!  オレはバーボンでなけりゃ 酔えねえんでな〜〜  な〜〜 ジェロニモ? 」

「 ・・・ 俺。 水でよい。  これ ・・・ 故郷の水 だ。 」

「 へ〜〜ん?  水に味の違いがあるってか?  お〜〜い フラン、こっちこいよ〜 」

「 なあに、酔っぱらいさん。  ご遠慮いたしますわ。  ピュンマ〜〜 このスウィーツ 美味しいわよ〜〜 」

「 え どれどれ ・・・ うん 本当だ♪  あれ? アルベルトも食べなよ〜〜 」

「 あ ・・・ ああ 」

仲間たちの盛り上がりを眺めつつ アルベルトはぼんやりしている自分に気がついた。

 

     ふん ・・・ 毒気を抜かれたってか・・・?

     まあ いいか。  これが 俺たち だからな・・・

 

「 おう。  ドイツ・ビールはあるかね? 」

彼はいつもの彼 ― 唇の端をひねりあげると仲間の輪に入っていった。

「 え〜〜〜と ?  もってきてないみたいだねえ 」

「 ふん。 ここは地元だぞ? どこのキッチンにだって常備してあるはずさ。 」

「 ははは ・・・・ ビールとソーセージのない食事なんて食事じゃないってことかね? 」

「 わかっているじゃねぇか〜  」

「 ねえねえ そんなことよりも〜〜 この春巻き〜〜 美味しいわぁ〜〜〜  」

「 え どれ?   ああ ぼくにもとってくれるかい 003? 」

ジョーが のんびりと言う。

「 あらあ〜〜  とって欲しいヒトが違うんじゃあないのぉ〜〜  」

「 ・・・ え 」

「 ほらほら 意地悪言わないで ・・・ 取ってあげなよ、003。 」

「 うふん ・・・ 意地悪 なんて言わないでよ〜〜 008〜〜 」

「 はいはいはい  もうそれくらいにしてくれ ・・・   

さあ 皆。 飲みすぎるなよ!  食事の後で作戦会議と行こう。 」

「 了解〜〜〜 」

アルベルトの発言に 宴会一色だった雰囲気が少しだけ引き締まった ・・・ のかもしれない。

 

 

 

 全員が防護服を着る、ということはかなり大きな ― それも深刻なミッションの場合に

限られるから 本来なら忸怩たる想いが纏わりつくはずだ。

しかし 率直に言えば一抹の わくわく感 を否定することができないも現実だ。

アルベルトも少々気分高揚している自分を持て余し気味だ。

 

     ふん ・・・ 俺もそろそろ根っからのサイボーグ か。

 

長いマフラーを揺らす仲間たちを眺めつつ アルベルトは自嘲する。

「 おお〜〜 われらが纏う この呪われし赤よ・・・

 そはなにを思うか。  ここに一欠けの嘉悦を感じるは 戦士の哀しい性ゆえか 」

窓辺に立っていた彼に向って グレートが滔々と吟じはじめた。

「 おいおい ・・・ おふざけはもう終わりだぜ? 」

「 悪戯とは殺生 ・・・吾輩は人間 ( ひと ) の性について述べているのであって 」

「 ― そうだ。 何かを狩りたいのも人間の性。 狩られないために 狩る。 」

 ばき。 005は手遊びに持っていた木切れを押しつぶし暖炉に放り込んだ。

「 あいや〜〜 もったいないアルよ〜〜 005〜〜 」

料理人も今回は戦士として参加なのだ。

「 これ 失敗作。 出来損ない、存在することできない。 」

ぷい、と005は暖炉の前から去って行った。

 

    ふん ・・・ 相変わらず ・・・ か 

 

「 皆〜〜 準備はいいかい? 」

ジョーが広間を見回して声をかけた。

「 おう! 」

それぞれが威勢のよい声を返したのは やはり誰もが少なからず期待しているからだろう。

「 それでは。 まずは現状の把握ってことで。 手分けして索敵だ。

 ヤツが潜んでいるいう塔の調査にでかけよう。 」

索敵 という言葉で全員が思わず003に視線をむけた。

「 どうもね・・・? 」

注目のマトは ひょいと肩を竦め苦笑いだ。

「 あの塔には < 見えない > 部分が多すぎるのよ。 もともとなのかそれとも

 作為的なのかはわからないけれど。 」

「 もともと ってなんだよ? 」

「 だから元々、よ。 この塔が造られたときにわたしの < 目 > をシャット アウト

 する資材をつかっていた ということ。 」

「 へ!? んなこと ありえるかあ?? この城ができたのは何百年も前って聞いたぜ。 」

「 大いにあり得るわね。 もちろん意図的のそうしたのではなく、偶然その種の資材を

 使った可能性はあるわ。 その証拠に塔全体がシールドされているわけじゃないもの。 」

「 へ〜〜〜〜 」

「 ! なによ その言い方〜〜 」

「 コレがオレのしゃべり方なんでよ〜 へへへ おフランス流上品でなくて シツレイ〜 」

002は わざわざバカ丁寧にお辞儀をしている。

「 まあ〜〜〜 バカにして〜〜 」

003の柳眉がきりきりと上がった。

「 ちょっと! お遊びタイムは終了って言っただろ。 002、それに 003も。 」

「 だって! 」

「 いいから。 痴話げんかは後だ。 これから散開して塔の調査に出発する。

 念のため全チャンネル解放での脳波通信使用は 時間を決めて行う。

 初回の使用時間は ・・・・ 」

「 了解 」

全員がうなずき やっとどうにかミッションらしき雰囲気が濃厚になってきた。

 

 

 

Last updated : 11,02,2014.                back    /    index    /    next

 

 

*********   途中ですが

すみません すみません  ・・・ 冒頭に書きました通りであります

体調もナナメで苦戦気味ですので 平にご容赦を <m(__)m>