ナイトメア・・・悪夢








神の都


















村人が村の出入り口から心配そうに岩山の方を眺めていた。弓を持った連中は双子を見捨てて夜が明ける前に帰ってきていた。

支配されることに慣れた人間は自分らでは何もせず、ただ支配する側がしてくれるのを安全なところから待つ。

長老はオズマたちの言うことを聞かなかった男たちを罵りながら、心密かにあのオズマたちとグリフォンが共倒れになることを願っていた。

それが一番面倒はなかった。

だが、傷だらけの女騎士を抱え、怒りに燃えた騎士が村に帰ってきた時、長老は老い先短い命がここで終わると思った。





恐ろしい形相で長老を睨んだオズは彼に近づき姉をを肩に抱いたまま、片手で老人の首を締め上げた。村人たちはただ震えてその光景を見ていた。

老人が事切れる前にオズは放り投げる。げほげほと首を押えながら彼は空気を肺に入れた。

「おまえら、覚悟しておけ。姉さんが死んだら皆殺しにしてやる・・・!」
地の底から聞こえてくるような低い声でオズは唸った。

中年の女たちがオズに駆け寄りオズマを教会の中へと運んでいく。オズは女たちの後に続いた。

長老の息子が村の男たちに指示を出し、各家庭にある薬草を集めさせた。昔少しだけクレリックの修行をした30過ぎの女が走ってきてオズマが運ばれた家に入って行った。





村人が2人、馬を走らせてグリフォンとの戦いの場所へ行く。

無残な死体が3つ転がっていた・・・・・・。





村人たちは己の保身を考え、ガリウスに使者を出した。グラシャス家の双子の騎士の命を賭けた働きで村は救われた。ローディスの騎士に栄光あれと。

オズが知ったら、きっと追いかけてでも使者を屠り殺しただろう。





治療というにはあまりに簡単なものだったが、姉はとりあえず落ち着いて眠っていた。鎧のおかげで傷は見た目ほど深くはない。2,3日の内には起きられるだろう。ひとまず安堵する。だが、オズは怒りが炎の魔力に変換され、身体から漏れるのを止めることが出来なかった。

あの時、グリフォンを倒したのも、岩陰にいるべき者がいないと判った時の怒りからだった。

瞬時に身体から発せられた魔法の炎がグリフォンを包んだ。ブラックプリズンが魔獣を捕らえ、地面に叩き付ける。

グラムロックを振り上げた・・・・・・。





グラシャスの血が眠れる力を呼び起こしたのだ。
ローディスで最も魔力に優れた一族の血が・・・・・・。














 

戻る