草原の小さな村を通過した時、村人たちに懇願された。
野生のグリフォンに村を襲われて困っている。退治して欲しいと。
今、あなた方がこの村に現われたのも、フィラーハの思し召しだろうから。
姉と弟は顔を見合わせて肯いた。
神の名を出されたら手を貸さねばならない。それが神の名の元に騎士である彼らの務めだった。
グリフォン。
ライオンの胴体と鷲の頭と羽を持つ魔獣。
上空から素早い速さで獲物めがけ襲ってくる。鋭い爪とくちばしと何よりも翼から発する衝撃波は脅威だった。
数は複数だと言う。一応村の男たちに弓を持たせ岩陰に待機させる。グリフォンが岩陰の方に飛んできたら弓で射掛けろと言い残した。
オズマとオズは家畜を餌にグリフォンがおびき出されるのを一晩中待った。
夜明け、太陽の光が闇を消す。東の空からオレンジを薄く溶かした白い色が広がっていく。
その時、
グリフォンの黒い影が薄明かりの空を過ぎった。
「行くわよ、オズ。手はずどおりに。」
「ああ、姉さん。」
「フィラーハの加護をおまえに。」
「姉さんにも・・・。」
にっと笑った。不敵さを浮かべたお互い同じ顔で。
いっきに片付けるつもりだったのに・・・・・・。
オズのブラックプリズンがことごとく外れた。
くそったれと叫ぶ。
3匹の魔獣たちはウィングショットを波状攻撃のように上空から仕掛けてきた。オズマたちはそれを盾で防ぐのがやっとだった。飛び道具を持っていない双子は岩陰の方に走りながら魔法を使う。オズは炎で、オズマは大地のそれでわずかなダメージを与えつつ。
一匹のグリフォンがオズマのデーモンローズでチャーム状態に陥り同士討ちを始めてくれたおかげで残りの一匹に集中出来た。
オズマが二人めがけて急降下してくるグリフォンにイバラの鞭を投げた。鞭がしなりながらグリフォンの首に巻きついて絞める。バランスを崩して落下したところをグラムロックで頭を斬りつけた。
致命的な傷を負ったのか、グリフォンは地面から再び空に飛び立とうとはしなくなった。オズが止めを刺し姉の武器を首から外そうとした。
その時、
油断したのだ。オズもオズマも・・・・・・。
上空で激しく同士討ちをしていたはずのグリフォンが正気に戻った。同時にオズに直接攻撃をしかけようと彼めがけて2匹が降りてきた。グラムロックでかろうじて防いだが、攻撃の衝撃で後ろに飛ばされ、尻餅をついた。
背後に飛んだグリフォンがオズに衝撃波を放った。
空気が無数の刃となって直線的にオズに襲い掛かった。
「オズ!」
姉が弟と魔獣の間に割って入り、
オズの目の前で衝撃波にずたずたにされた・・・。
血がオズのところまで飛び散る。
オズマはスローモーションのようにゆっくりと崩れ落ちた。
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