ナイトメア・・・悪夢








神の都





















オズの苛立ちは頂点に達しようとしていた。

村人たちを集めて弓や剣の扱い方を教えるのはいい。
姉がそうすると言ったからだ。だが、村人たちの態度が気に食わなかった。
教皇直属の最強騎士団の美貌の女騎士は辺境では絶対目にすることのない上玉だった。
グリフォンの衝撃波で姉の鎧や服はずたずたにされた。
彼女は村の女から服を借りてそれを身につけていた。胸を大きくあけた厚手の生地のワンピースに丈の短い上着。
男たちは胸元から覗く谷間に好色な視線を送る。そんな男たちをオズが恐ろしい目で睨みつけるが、男たちはその時だけ目を逸らし、すぐまたオズマを舐めるように見た。
オズマはそんな男たちの視線を気にもとめず、オズからすればわざと彼の目の前で男たちに身体を寄せて教えているのかと疑いたくなるような態度だった。

姉にも苛立ちを覚える。

だが、それ以上に村人たちに。
自分たちを見捨てて逃げ出したくせに、何も努力せずに強い者からしてもらうのが当然だと思う支配される者。そのくせぎらついた欲望は持つ。

姉をそんな目で見る者全てを今すぐにでも叩きのめしたい衝動に駆られていた。



夜、村人たちがささやかな礼をしたいと申し出て、姉はそれをあっさりと受けた。
となりでオズが嫌だと目で訴えたが軽く流された。

グリフォンを退治してくれたグラシャス家の双子の騎士を囲んで貧乏村なりの精一杯のもてなしだった。逃げ出した罪滅ぼしのつもりかもしれなかった。貴重な家畜を殺し、ご馳走を作る。香辛料をふんだんに使い、あたりにいい匂いがたちこめた。

長老がオズに殺されかけたことも忘れ、二人に酒を注いだ。
オズマはにこやかに杯を重ね、オズは仏頂面だった。
オズマが弟にもう少し愛想良くしろと窘めた。

姉に怒られたオズは席を立った。
追いかけなくていいので?と聞く長老に姉はほっとくと言った。

「いつものことだ。あいつは昔からわたしが他の者と親しくするとやきもちを焼く。幾つになっても姉離れが出来ぬ弟だわ。」

どっと座が沸いた。あんなに怖そうな外見なのにかわいいですなと他の男が相槌をうった。

姉が追いかけてきてくれるのを内心期待してゆっくり向こうに歩いていたオズはしっかりとその会話を聞いてしまった。

「・・・畜生・・・・・・・・・。」

何か惨めな気分だった。

空を見上げる。
月が半分弧を描いて中天にあった。

一人先に村を出たら、姉は慌てて追いかけてくれるかもと思い、馬屋に向かった。
ささやかな嫌がらせで荷物は置いて行こう。

オズが不毛なことを考えながら歩いていると木立の陰から微かな喘ぎ声が聞こえてきた。
足が止まり神経を集中する。
やがて女の喘ぎ声は激しくなり、男の短い声が聞こえ静かになった。

女がうつ伏せになり男が後ろから覆い被さっていた。まだ繋がったままだ。そのまま服からはみ出た乳房を男が揉む。女が甘い声をあげながら男に言った。

「あんた・・・、どう・・・したの・・・さ?いつもより・・・、あっ・・・ン」
「激しいだろう? へへへ・・・」
「・・・ん、いい・・・・・・」
「あの女騎士を抱いてるつもりで腰を使っているのさ。」
「・・・あんたなんか・・・・・・、相手にな・・・・・・ら・・・」
男に激しく責められて女は言葉が続けられない。
「まったくいい女だ・・・ぜ。・・・おまえ以上かも・・・な。一度」

その先を男が言うことはなかった。

どっと男の重みを背中に感じて女が振り向いた。
「あんた・・・・・・?」

女の視界に冷たく光る刃が見えた。
「ひいっ・・・!?」

女の背から意識を失った男を放り投げたオズは女を見下ろした。
女は後ずさりをしながらスカートを下ろし、服からはみ出た乳房を両手で隠す。
月明かりに浮かぶ女の顔は恐怖に慄いていた。

精神が昂ぶるのをオズは自覚した。








・・・わたし何書いているんだろうという自覚はあります。
喘ぎ声とかホント・・・





 

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