妊産婦検診
名古屋市では、歯科診査を公費で実施しています。
- 対象妊娠中から出産後1年以内の方
- 内容歯科医師が歯科診査、保健指導を行い診査結果を母子健康手帳に記載
- 費用診査については無料(歯石除去などをする場合は保険診療となります)
なお、診査以外の治療等を受けた場合は保険料自己負担金が必要。
手続き 受診票(ピンク色)は、母子健康手帳と共にお渡しした『母と子の健康のために』に綴り込んであります。
この受診票と母子健康手帳を受付へ出してください。
- 妊娠中の診療
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妊娠中は、ホルモンバランスの崩れや日常の口腔清掃がおろそかになり,歯垢,歯石,舌苔などが増加します。
また口の中が酸性になり,妊娠性歯肉炎,妊娠性エプーリス,むし歯や歯槽膿漏など の歯の病気になりやすいのです。
また、正しい知識にもとづいて、むし歯などの疾患から歯を守ることは,発育しつつ あるおなかの赤ちゃんや子供さんの歯のためにも重要なことです。
最近では妊娠している女性が歯周病にかかっている場合、早産になったり、低体重児 を出産する可能性が高まるという研究もあります。
治療に関しても薬剤の使用や放射線の照射は少なからず影響を与えます。
歯は胎生35日~40日頃よりでき始めます。母親の健康状態は胎児にも大きな影響を与 えます。
- 妊娠性歯肉炎
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妊娠2-3ヶ月頃よりあらわれ、中期以降に悪化します。
黄体ホルモンの作用により歯肉のうっ血や充血をきたすことにより発症し。
歯垢や歯石の刺激によって悪化します。
分娩で消失に向かいますが、授乳期まで続くこともあります。
- 妊娠性エプーリス
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歯肉が部分的に増大するもので、エストロゲンや歯垢、歯石の刺激が関与する。
分娩で停止、縮小する。出産後摘出します。
- 妊婦さん、授乳中の方の診療
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どうしても歯科治療が必要になった場合は妊娠4-7ヶ月に行います。
また、産後1ヶ月は避けた方が無難です。
妊娠中、授乳中は極力治療を避けますが、口腔内トラブルによる精神的ストレスがお母さんの体や胎児、乳幼児に悪影響を及ぼ すようならば治療を行います。
- レントゲン撮影
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基本的には歯医者さんで撮るレントゲンは胎児に影響は及ぼさないと言われています。
しかし、できるだけ撮影は避け、特に妊娠初期、胎生2-6週は催奇形性の問題があるため避けます。
- 薬剤の使用
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妊娠中は出来るだけ投薬が避けたいものですが、治療上の有益性が危険性を上回る場合に投薬します。
例えば痛みによるストレスが強かったり、膿がたまって全身に回る危険性がある場合は投薬します。
投薬の際は安全性の高い薬剤を使用します。
授乳中は抗菌力が強く、乳汁移行性の低いペニシリン系かセフェム系、アレルギーが ある場合はマクロライド系を投与します。
妊婦さんにはセフェム系の中で安全性の高いエステル化剤を使用。
消炎鎮痛剤はアセトアミノフェン系の薬剤を使用しています。
- 局所麻酔薬の使用
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出来るだけ使用しないようにしますが、疼痛をかかえたまま治療するよりも、無痛で治療した方がストレスもないです。
そのため、治療をすると決まれば安全性の高い麻酔薬を使用します。
リドカイン系麻酔薬を使用。フェリプレッシン系は子宮収縮作用と分娩促進作用があるので使用を避けています。
- 妊婦さんの診療体位
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おなかが大きくなってきた妊婦さんの場合、仰向けで寝て診療するのは大変です。
そのため少し起こした状態で診療することもあります。