其の六 【ノモンハン日本軍の新兵器】 |
下給品のサイダー壜を残しておいて、これにガソリンを詰め布切れで栓をして一人で2、3本、腰にぶら下げて持っている。戦車の機関部は物凄く熱く、これにガソリンを掛けると一発で燃え出す。いわゆる火炎瓶である。これを戦車めがけて投げつける。ボーンという音がして戦車が燃え出し百発百中。来る戦車来る戦車めがけて火炎瓶を投げつける。この作戦は効を奏し、ロシヤ軍は日本の○○新兵器と恐れた。この作戦で戦車を一人で2台、3台とやっつけた。しばらくすると戦車は全部金網が貼りつけてある。火炎瓶を投げても跳ね返って目的が達成できない。ノモンハン事件の一コマである。 |
其の七【人間電線】 |
関東軍司令部と歩兵司団司令部との間に被覆線一条の架設を命ぜられる。この時電線が30米足りなかった。足りない部分は人間で補うしかない。いわゆる人間電線である。4、5メガの電流が身体に流れるとき、キリキリと錐で揉まれるように痛む。九五式電話機をまわすと発電機の電流でキリキリ痛む。止むを得ない。電信隊は命令されたら其の日時迄に完成しなければならない至上命令である。人間電線も間に合えばこそ。 14年8月26日、満州国国境紛争は終結し、日本軍とロシヤ軍双方立会いの上、国境を定めて調印し、此処に第二次ノモンハン事変は終わりを告げた。関東軍通信隊は新京電信第三聯隊に帰還することとなった。 |
其の八【関東軍特別大演習】 |
関東軍は80万人の兵力を満州国に集めた。動員下令、満州国境紛争のロシヤ軍の機甲部隊を模して、日本軍の機械化が促進された。電信隊も東京電一、広島電二、新京電三の3箇聯隊が29箇聯隊と新創設された。 |
其の九【電信第十六聯隊編成下令】 |
吉林省九站半洞堀式仮兵舎に電信第十六聯隊がうぶ声をあげた。 昭和16年2月28日、電信第十六聯隊本部付発令、丙書記発令。 丙書記の任務。 一、 野戦郵便所との連絡 二、 慰霊祭の実施 三、 慰問に関する事項。 四、 初年兵の受領 五、 遺骨の送還 電信第十六聯隊長 田中大佐 同 副官 山田中尉 同 甲書記 金野曹長 人事係 同 乙書記 宇野軍曹 命令会報 同 乙書記 金高軍曹 命令会報 同 丙書記 角田伍長 庶務係 |