秋風が身に沁みるとき

このところ落ち込む日が続きました。高い椅子から転げ落ちた筋肉痛や擦り傷が治ったと思った頃、自宅の廊下で滑って顎に強烈なアッパーカットを食らった格好になってしまいました。これは物凄いショックでした。ちょっと冷える日は左の奥歯が微かに傷みます。続けてこんな転び方をするようになったのがいやでもトシを実感させられます。
友人に、「靴下を履いてもスリッパを履いても足の裏が着地している実感が無い。まるで力の無い乾いた素足でふわふわと歩いているような感じで怖い」といったら、
ちらほらと狂い咲く雪柳の花
100歳の母親がいる彼女が滑り止めのついた新しいソックスを2足くれました。歩き始めた孫が履いていたあの可愛いソックスを思い出しました。「ええっ!大人用もあったの?」 介護用品のお店のみならず、どこでも気をつけて探すと売っているとの事。知らなかったのは私だけかも。家に帰って早速履いてみました。ピチピチピチッと微かな音がして床に吸い付く感じが安心感を与えてくれます。可愛い赤ちゃんの靴下の滑り止めはデザインの一部のようですが、これは土踏まずを除いた部分に目立たないように、きめ細かにぴっちりとついています。ちょっとしたアイデアが絶大な効果を発揮するのに感心しました。チャンポンを食べていた人がイカやタコの足の吸盤を見て思いついたのかしら(^_^;)

昨日、自分の部屋のテレビを付けようとしたらリモコンがありません。探し回ったら机の上の紙類に隠れていました。探し出すと同時に昨晩電池が切れて使えなかったので今日買うつもりだったのを思い出しました。付けてみると おや?テレビがつきます。裏返して電池の蓋を開けようとしてなんとなくヘンだと思いました。昨日のと違う!それでは昨日のは? ない!! 「リビングのテレビのリモコンがないので随分探したらアンタの部屋にあった」と夫が言いました。自分がコワイ!

04 .11. 29


猪の永明寺(津和野)

乙女峠のマリア聖堂から永明寺(ようめいじ)に抜ける道は真っ暗な山道で
額縁のように開かれた山門
、独りではちょっと怖くてやっぱり人家のある歩道まで降りて鉄道に沿って歩き山門から入り直しました。坂の途中から境内の紅葉が目に飛び込んできました。

薄雲を透して照らすやわらかい夕日を受けて大きく枝を広げた楓が辺りを紅く染めています。
散りばめられた落ち葉の
山門を潜ると紅葉が目に染む
中に暫し佇んで、茅葺の本堂の屋根や白壁を彩る樹々に見とれました。山門を入ってすぐの墓地には「森林太郎」(鴎外)の墓石が他のお墓より目立つように建っています。
落ち葉の中の鴎外の墓
本堂の裏山には世に知られる千姫事件の坂崎出羽守のお墓もあり、津和野城主の菩提寺です。「昔は100人もの修行僧がいたんですよ」と、いつ頃の昔か、宿屋の主人の話でした。

本堂の前庭の苔が満遍なく掘り返されて、住職と2人のおばさんが一心不乱に作業をしているのが、何をしているのか理解できなくて聞いてみました。すると裏山か
ホームに滑り込んできた S L
ら猪が出て一晩でこんなに荒らしてしまったので目下修復中ということでした。ミミズを食べるためだそうで、植え直した菖蒲もぐじゃぐじゃにひっくり返されていました。今度が初めてではなさそうで、その都度、元に戻す作業をするのでしょう、おばさんは手のつけられない暴れん坊にお手上げといった口振りでした。マリア聖堂から山道を通って来なくて良かった!(^_^;


04. 11. 18


乙女峠マリア聖堂(津和野)

新山口から津和野に行くJR山口線の沿線には、まだブルーシートで覆った民家の屋根など、今年の超大型台風の名残がそこ此処に見受けられました。
友人が着くまで時間があったので、乙女峠のマリア聖堂に独りで登ってみました。町なかの一般歩道から横道に逸れると4時頃といっても人っ子一人見かけない静まり返った山道です。山道や林の中を歩くのが好きなので、十数年前来たことがあるのを思い出したからです。坂道を登るとマリア聖堂の先端の十字架が見えます。人の声も鳥の声も鐘の音もなく、紅葉の中にひっそりと立っていました。

中に入って様子が一変しているのにビックリしました。狭い畳敷きで何も無かった床は土足のまま入れるようになり、礼拝する人のため教会用の机と椅子が4組並んでいました。壁にはステンドグラスが嵌められ、長崎浦上キリシタンの流刑者殉教エピソードが刻まれています。この中に 『5才のもりちゃん、お菓子の誘惑に天国の味はもっとおいしいと答える』という説明がありました(右の絵)。信仰心を持たない者から見ると、5歳の幼女に改宗を強要する大人も神や天国の存在を信じ込ませる大人も、同罪に見える痛ましいお話です。きらびやかに飾り立てた聖堂が多い中、畳敷きの質素なマリア聖堂は此処だけではないかと思ったのですが無くなっていました。

04 .11. 17


避けられる悲劇は

今月に入ってからも毎日大きなニュースが次々と入ってきました。

●旅行をしていた日本青年がイラクに入り、テロリストグループに惨殺されました。この悲劇は充分避けられた事だと誰もが思っただけに諦められない結果です。
●イラクのサマワ自衛隊宿営地にロケット弾が打ち込まれ、『人道支援』というキレイゴトが通用する状況ではないことは明らかです。NGO 国境なき医師団もイラクでの活動停止を決めました。やっぱりあの時ああしておけばよかった・・・と後悔する日がこなければいいのですが。
●アメリカのブッシュ大統領が次期大統領に再選されました。
●パレスチナのアラファト議長が危篤状態に陥りました。
1本の楓だけが紅葉し他は青若葉

昨日、前衆院議員鈴木宗男被告への東京地裁の判決が出ました。偶然 『裁判官が日本を滅ぼす』(門田隆将著 新潮社) を読んだ後でした。

裁判なんてプロに任せておけば正しい判断をしてくれる、素人が他人を裁くなんて空恐ろしい事と、陪審員制度の導入を煩わしく思っていたのがこの本を読んで少し考えが変わり、八木裁判長と判決に注目しました。東京地裁は鈴木被告による政治の私物化の事実や偽証、虚偽陳述を繰り返し反省もないと厳しく批判、懲役2年、追徴金1100万円(求刑懲役4年、追徴金1100万円)の実刑判決を言い渡しました。予想通り鈴木被告側は無罪を主張し即日控訴しました。この判決が高裁、最高裁と渡り、長い月日にどのように変化していくのか、関心を持って見守りたいと思います。

04. 11. 6

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