絹糸の草履 2 
縦にきちんと揃って並んでいた草履はやや右に傾いできたのも不思議であった。誰が作ったのだろう。どんな罪を犯したのであろう。北川千代の少女小説「絹糸の草履」と共にいつも同じ思いを馳せるのである。



印籠の形をした中の丸い窓の中に見えるのが一足の藁草履である。子供の頃ひと目で判った鼻緒も、今は同じ色に褪せてしまって判別が難しい。 (この種の草履について詳しく知りたい方は「実録・ 網走刑務所」山谷一郎著・廣済堂文庫をご覧下さい)
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