第三章




ある夜、こんな夢を見た。

大好きなあの人ととても楽しく会話をしてる。
しかし、何かの拍子に色はモノクロ、消音。
とてつもなく大きな不安に襲われて、その場にいることが出来なくなった僕。
思わず駆け出した。
どこへ向かうこともなく、逃亡を続ける。止まることが出来ない。
不安や悲しみから逃げ、走り続ける。
どこまで走っても、いつまで経っても、追い払うことが出来ない。
気が付けば、そこは、学校の中で一番高いところ。
屋上ではないけど、一番高いところ、教室。

僕は震えてる。
僕は泣いてる。
僕は孤独。

必死で窓を開け、足をかける。
大好きなあの人が何かを叫んでいるけど、何を言っているかわからない。
誰にもとめることは出来なかった。

僕は、足に、力を込めた。



そんな夢を見た朝は、無になる。




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《つづく》