3.チャンギ国際空港

ドイツ編トップページへコーナーのトップページへ戻るHOMEへ戻る

←前へ戻る 次へ進む→


シンガポールの国際空港、チャンギ国際空港は、国際的なハブ空港となっているだけあって、とんでもなく広いところである。入国審査の内側だけでも大変な広さで、日本語版空港案内(あちこちの棚に置いてある)を見ながらうろつくのだが、それでもよくわからないほど広い。
 しかしここも日本に毒されていて、トイレに行ったら便器には見慣れたTOTOの文字と、自動で水を流すためのセンサーが……。外国に来た気がしない。

 まずは最初の1時間ちょっとを探検に費やす。第2ターミナルは2階建てで、1階に免税店と両替所、2階にはラウンジやスーパー、カフェテリア、さらにゲームセンターまであった。
 両替所では、2000円をシンガポール・ドルに替える。31.9シンガポールドルになった、ということは1シンガポールドルが67.5円。2シンガポールドル=125円という概算ができる。もっとも空港内の両替所、レートが悪いのは言うまでもない。
 外国の紙幣は日本と比べてレベルが低いと言うが、よくわからない。肌触りは明らかに違って、普通の紙っぽいものがある。酷使された状態でどうなるか、というところなんだろう。

 2階のカフェでは、激辛のエビスープ麺を食べる。とにかく辛いが、おいしい。問題は汗がふきでることで、これから12時間も飛行機に乗るのに、こんな状態でいいんだろうか?ちなみにこのエビスープ、6.8ドル(約430円)だった。それに対して一緒に買ったミネラルウォーターが1.8ドル(約110円)というのが解せない。
 チャンギ空港は2つのターミナルを持っていて、成田からの航空機、そしてウィーンへ行く航空機が来るのは第2ターミナル。ここだけでもかなりの広さがあるのだが、これの3分の2ぐらいの大きさの、第1ターミナルというのがある。このターミナル間を渡しているモノレール様の乗り物があって、もちろんこれにも乗ってきた。乗り込むとき、一瞬外の空気に触れたのだが、いかにこの空港が冷房をがんがんにきかせているかがわかった。蒸し暑い空気が一瞬、体を取り巻いたのだった。
 第1ターミナル側にも、第2と同じような施設がある。こちらは少し小さいが、2階がカフェとラウンジ、という分け方は同じ。下り階段があったのでそちらに言ってみると、出国のカウンターがあった。
 インターネットカフェがあったのはこちら側。30分だけ借りて、学会のページと自分のページに書き込みをしておく。学会ページはローマ字で打て、と言われていたので、ローマ字でちまちまと打ち込む。かなり見にくいが、まぁしかたない。
 その後シャワールームを使おうかとも思ったのだが、トランジット・ホテルのを使わなければいけないらしく、敷居が高そうだった。実際受付の人に聞いてみても、胡散臭そうな目で「シャワールームではなくフィットネスセンターを使え」とよくわからないことを言われたので、"I see. Thank you."と投げやりに言ってその場を後にした。どうせ着替えもないのだから、シャワールームを使ったところで大した違いはないだろう。

 せっかくここまできて、外の空気を吸わないと言うのはもったいない。そこでオープンスペースに行ってみようと思ったのだが、これがまたよくわからない。地図通りに行ってみるとそこはファーストクラスのラウンジだったりして、さんざん迷った。
 ようやくたどり着いたところは、ヤシ園併設のカフェ、ということだった。確かに箱庭のようなものがあり、その横では酒をたしなんでいる人たちがいる。
 そして空気は……暑い、というか、湿度が異様に高い。気温は25度でそれほどのものではなかったはずだが、熱を持った霧に取り囲まれているような、そんな気分がする。よりによって雨上がりの夜だったことで、余計に湿度が高かったのかもしれない。
 そんなところに、日本の秋にちょうどいい長袖の分厚いシャツなんかを着込んで出ていったもんだから……たまらないものがあった。とにかく全部服を脱いで、シャツ一枚になって腰に巻き付けて、それでも暑い。結局すぐに建物の中に舞い戻ることとなったのである。

 かなり長いと思っていた6時間のトランジットだが、あっという間に過ぎてしまった。6時間と言っても、出発の1時間半前には乗り継ぎゲートの所で待つことになるから、実際は3時間半というところ。旅慣れた人ならともかく、初めての人にとっては、国際空港自体が面白い。
 ウィーン行きのSQ346便は、オーストラリアの航空会社との提携便で、スイスのチューリヒを経由してからウィーンに向かう。出発は23:45。スキーの夜行バスを思い出す。
 シンガポールからのヨーロッパ便ともなれば、日本人の姿はほとんどなくなり、彫りの深い顔立ちの人たちばかりである。アジア系の顔を見たと思うと中国人だったり韓国人だったり、あるいはシンガポールの人だったりする。待合室のテレビからもドイツ語、英語、中国語が流れ、そして搭乗案内も英語とドイツ語。いよいよ自らの心許ない英語力にすがって、がんばって行くしかない場所に向かうのだ、という思いが強くなる。
 よりによって、今度の席の番号は40番台で、これは若い方になる。つまり放送をしっかり聞いていないと搭乗のタイミングを間違えるわけで、TOEICのリスニングの試験でも受けるみたいにしてじっくりと聞いた。しかし結局順番は最後、つまり"All passenger"という分類に含まれることになった。疲れた割に結果が伴っていなかった……。
 提携便と言うことで心配していたが、機体はシンガポール航空ご自慢の新鋭機。モニターもちゃんと機能する。だが――言語が全て英語かドイツ語。さらにお隣の日本人な顔した初老の夫婦、話しているのをよーく聞いてみたら、中国語でも韓国語でもないではないか!!インドネシアの人なのか、それとも他の地域……??正直どうしよう、と思った。

 よくわからない機内放送に不安一杯になりながら、私はチャンギ空港を飛び立った。

(00/11/22)
このページの先頭へ戻る


←前へ戻る 次へ進む→

ドイツ編トップページへコーナーのトップページへ戻るHOMEへ戻る