あうちすむ - 三つ組の障害

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三つ組の障害

2007-04-27 17:14

自閉症の基本症状には、

  1. 社会性の障害
  2. コミュニケーションの障害
  3. 想像力(こだわり)の障害

という「三つ組」の障害があります。重度だろうが高機能だろうが、この三つ組の障害が必ずあります。 高機能であればあるほど三つ組の障害は早期発見が難しく、学童期を過ぎて成人になっても放置されたままということが 少なくありません。明らかになるのは3歳以降と遅れることが多く、一般的な検診では見過ごされやすいようです。

【1. 社会性の障害】
■ありとあらゆる立場の「人間」(同級生、年下、年上、親族、教師、政治家、暴力団など)を相手に、交流が スムーズにいかない状態です。社会性というのは、ほとんどの人にとって「あまりにも当たり前のこと」のため、 それに障害があるといっても通用しない場合が多く、理解を求めるのは非常に難航しています。
■重度の自閉症であればともかく、知的能力に問題のないアスペルガー症候群の場合は それなりに会話ができるため、「ふざけている」のだとか「ばかにしている」ように誤解されがちです。 また、小学校の中学年くらいまでは、社会性の障害がかえって「長所」であるかのように受け取られ、 教師や保護者からまったく気づかれないことも少なくありません。
■中学校、高校、大学と進んでいくうちに社会性の障害が表面化するようになり、 ようやく「何かおかしい」ことに気づいた本人が精神科を受診し、障害が判明することもあります。
◆アスペルガー症候群の場合は、社会性の障害そのものよりも、それによって多くの失敗や挫折を経験することで 意気阻喪していることが少なくなく、二次的な精神障害を抱えている場合が非常に多いようです。 障害とわかってからでも対応するのは難しく、また真の社会性を獲得することは生涯を通じて困難です。
【2. コミュニケーションの障害】
■言葉の「量」よりも「質」の問題として現れる障害です。 重度の自閉症の場合は、言葉の発声が「オウム返し」や「独り言」などと顕著に障害とわかる形で現れますが、 アスペルガー症候群の場合は非常に微妙な問題、言葉の使い方や理解の仕方の障害として現れます。
■会話のやり取りが画一的で「コピー的」なものになることが多いです。 たとえばアナウンサーの朗読のように話したり、アニメのキャラクターになりきった声を出したり、 相手かまわず「敬語」で話しかけたりし、話し方について注意をされると、今度はくだけた口調でしか 話さなくなったりします。コピー的で、会話としては「不自然」な印象を与えるのが特徴です。
■文法的に正確すぎる話し方をする一方で、助詞や接続詞が抜けたり、「いく」「くる」、「そこ」「ここ」、 「やる」「もらう」などの、視点によって意味の異なる語句を誤って解釈することがあります。 「むち打ち症」を「SM」のようなものだと勘違いしたり、「仕事を増やしてくれたね。ありがとう」と言われたのを 褒められたと思い込んだりするなど、言葉を字義通りに解釈する傾向があり、トラブルを起こしやすいです。
■言葉によらないコミュニケーションはほとんど通用しません。たとえば「目で合図する」「顔色をうかがう」など。 身振り手振りを用いたジェスチャーを理解することも難しく、体の動きで感情や心境を表現することはできません。 できたとしてもパントマイムのような精巧な動作などで、心の状態を表現することはできないのです。 また、しぐさから相手の様子を知ることも大変難しいです。
【3. 想像力の障害】
■絵を描いたり夢見がちだったり、音楽や言語などに精通していたりするアスペルガー症候群の人もいるので、 一見すると「想像力豊か」であると思われることがあります。しかし本来「想像力」というのは、 五感では感じることのできない「もの」を思い浮かべる能力のことを指しています。 ただ自分が体験したことだけではなく、想像力によって作り出した世界を自分の現実にすることができるのが 通常の人だそうです。……が、僕には何のことだかサッパリわかりません。
■想像力に障害があると、「こだわり」が強まってしまいます。これは、ある一定の動作を繰り返したり、 あるものを常に同じ状態にしておこうとしたりする傾向です。本来ならば「想像力」を駆使して柔軟に変化できるものが、 障害があるために固定され、単調な内容になってしまうことが非常に多いのです。そのため「想像力」が求められる グループ演技、ゲーム、創作活動などにはほとんど加わることができません。
■固定された習慣である「ルーチン」が狂わされたときに混乱することがあります。 いつも黒い服を着ているのに、急に違う色の服を着せられるなどすると怒ることがあります。 毎日同じ道を歩いていると、工事のとき、迂回するだけで迷子になることもあるかもしれません。 「いつもと違う」状況が思わぬ問題を起こすのです。

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