『シルトの火薬庫』ツァラ

ツァラの概要

 シルト王国東部の都市、ツァラは北方のグスタ王国に対する前線基地であり、また正教会がジャナディール教に対して攻勢を掛ける最前線でもあります。国家、そして宗教の二つの側面で火種を抱えるこの都市はしばしば『シルトの火薬庫』と呼ばれ、実際に過去において幾度となく戦場となってきました。
 交通の要衝でもあるツァラの人口は教会暦300年現在において4万2000人を数え、TL3の世界においては(魔法があるとは言えども)かなり大きな都市であると言えます。こうした大都市に集積する物と情報を求めて、様々な商人や裏社会の住人がツァラを訪れ、時に住み着いてきました。
 不安定な情勢を反映し、この都市では様々な犯罪が増え続けています。これを受け、299年にシルト王国は兵士の増員を、また正教会は騎士の増員を決定しました。

レギュレーションA

PC作成要項

使用するサプリメント

 GURPS Basic、GURPS Magicの二つを想定しています。特徴や技能については、GMが許可する限りで他のサプリメントに記載されているものを用いても構いません。

セッションの方向性

 セッションは、基本的に「正教会の人間+正教会の協力者」というパーティが、ツァラで起こる事件を解決に導くという形で行われます。
 事件の内容は多岐に渡ります。殺人、窃盗、麻薬など違法な物品の密売、商人の不正行為と言った純然たる「犯罪」を暴きだし裁きに掛けることは勿論、失踪者の捜索や森林を徘徊する危険な怪物の退治、未踏査地域を探索する際の護衛まで幅広い事態を想定することができます。

CP総計

 基本的にCP総計は120CP、不利な特徴の取得限界は-60CPとします。
 GMは50CP〜150CPの範囲でこの値を変更して構いませんが、その場合はPCの社会的な立場を考慮することを忘れないでください。例えば50CPなら一般人や新入りの教会騎士と言った立場が相応しいでしょうし、150CPでは所属する組織の中で昇進していると考えるのが自然です。この基準から外れる場合、GMはPLにその理由付けを促すべきです。

装備と所持金

 装備は、文明レベルを3としてGURPS Basicに記載されているものをそのまま使用します。価格は1$=1R(ルート、最も広く使われている通貨です)と換算して計算します。
 標準的な財産を持つキャラクターの初期所持金は1000Rです。正教会の教会騎士は、装備の支給があることを忘れないようにしてください。

装備の携帯について

 Basicの装備表にある品物は、表に書かれている価格で全て自由に売買することができます。然し、そうして手に入れた物品を持って街の中を歩いて良いかどうかは別の問題です。
 道具類や防具類に関しては特に制限がありません。然し金属製の鎧を剥き出しにして街路を歩いていれば、正教会の騎士や駐在している兵士に何事かと詰め寄られるかもしれません。
 武器に関してはより大きな制限が存在します。公的には、金属製の武器を持ち歩いてよいのは正教会の人間と、国に仕える兵士、それに正教会や市長の許可を取った人間だけです。非金属製の武器でも、棍棒類を表通りでおおっぴらに持ち歩いていれば取り調べを受けることになるでしょう。
 もしも許可なしに武器を持ち歩くとすれば、服の下に〈隠匿〉するか、裏通りを抜けるしかありません。〈隠匿〉で隠しとおせる武器となれば、ナイフや短剣の類、精々が剣類や棍棒類でしょう。また、裏通りを抜けるにしても、裏社会の人間に快く思われるか否かは別です。

 以上は指針であり、GMは臨機応変に制限を強めたり緩めたりして構いません。ですが、完全に持ち歩き自由という状況は避けてください――ツァラが戦場になれば話は別ですが。

取得できない特徴

 以下の特徴の取得を禁止します。

有利な特徴

 「全周視覚」、「アクセサリー」、「特殊効果」、「加速」、「水中適応」、「腕の敏捷力」、「腕の体力」、「拘束」、「祝福」、「スイング移動」、「呼吸中断」、「空中バランス」、「能動迷彩」、「チャネリング」、「超感覚」、「爪」、「張り付ける」、「並列思考」、「締め付け」、「防護点」、「闇視」、「運命」、「デジタル思考」、「超聴覚」、「超嗅覚」、「超味覚」、「呼吸不要」、「飲食不要」、「睡眠不要」、「支配」、「複製」、「伸縮自在」、「高速移動」、「超時間感覚」、「多目標追尾」、「寿命が長い」、「追加の腕」、「追加の頭」、「追加の脚」、「追加の命」、「追加の口」、「濾過装置」、「飛行」、「毛皮」、「巨大化」、「治療できる」、「性別変更可能」、「至高の目的」、「域外視覚」、「選ばれし者」、「赤外線視力」、「ダメージの影響を受けにくい」、「生得の攻撃手段」、「非実体化」、「透明」、「次元跳躍者」、「追加荷重体力」、「霊媒」、「代謝制御」、「拡大視覚」、「音声再現」、「精神支配」、「精神探知」、「読心」、「精神防壁」、「精神の絆」、「モジュール式能力」、「超能力中和」、「眼球防護幕」、「知覚されにくい」、「託宣」、「指向性聴覚」、「ペイロード」、「透視」、「物質透過」、「憑依」、「神の代行者」、「未来予知」、「耐圧」、「感覚保護」、「超能力阻止」、「サイコメトリー」、「操り人形」、「種族の記憶」、「放射線耐性」、「前世の記憶」、「意識の回復が速い」、「HP再生」、「部位再生」、「完全浄化」、「走査感覚」、「気密」、「透明が見える」、「触覚が繊細」、「影の体」、「形態変更」、「縮小」、「音を立てない」、「すべりやすい」、「アイテム借用」、「水中会話」、「動物会話」、「植物会話」、「特別な心の絆」、「とげ」、「霊魂共感」、「伸張」、「攻撃部位」、「追加攻撃体力」、「低周波聴覚」、「低周波会話」、「超登攀」、「超幸運」、「超跳躍」、「超常的継戦能力」、「歯」、「遠隔通信」、「テレキネシス」、「望遠視覚」、「気温制御」、「存在し続ける」、「地形適応」、「恐怖」、「真の信仰」、「トンネル移動」、「超音波聴覚」、「超音波会話」、「紫外線視覚」、「歳を取らない」、「何でも消化できる」、「殺されない」、「真空耐性」、「ヴァンパイアの噛み付き」、「震動感覚」、「作業の視覚化」、「空中歩行」、「水上歩行」、「ワープ移動」、「万能の天才」
 (以上、原書でExoticないしSupernaturalの指定を受けている有利な特徴)

 「TLが高い」、「身元」、「銃の達人」、「達人の指導」、「無登録」
 (この世界では存在しない、ないし意味の無い特徴)

 その他、GMが認めないとした特徴全て

不利な特徴

 Exotic、ないしSupernaturalの指定を受けている特徴全て
 GMが認めないとした特徴全て

後天的に取得することのできる有利な特徴

 「意志の強さ」、「貸し」、「コネクション」、「〜〜階級」、「後援者」、「怖いものなし」、「財産」、「情報屋」、「戦闘即応」、「地位」、「特権階級」、「仲間」、各種言語

 その他、GMが取得可能であるとした特徴全て
 いずれの特徴も、取得するに相応しい理由付けとGMの許可が必要である

魔法について

マナ

 ツァラ周辺のマナ密度は密(+0)です。オフィシャルルールでの「密」に相当します。

魔法の学習について

 ツァラでは、正教会、イフェリア教団の二つの組織の下で呪文と魔法学を学ぶ事ができます。
 どちらの組織も、その組織に所属している人間以外にはごくごく初歩的な呪文しか教えようとしません。もしもより高度な呪文を行使したいのであれば、いずれかの組織に所属している必要があります。

魔法の品物の売買について

 ツァラでも魔法の品物は正教会が専売制を敷いています。各々の魔法の品物の価格は厳密に定まっている訳ではなく、幾つかの例外を除いてGMの判断に委ねられますが、然し魔化に必要なエネルギーが増えるに従って品物の価格も急増することは確かです。GURPS Magicを参考にしてください。
 パワーストーンの価格は、その疲労点の二乗×50Rです。5点までのパワーストーンならば、ツァラであれば正教会の購買施設に行けば何時でも見つけられます。

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