宗教組織(4th対応)

目次

シェール=フェルム正教会(正教会)

教義と歴史

 シェール=フェルム正教会は、300年前にフィロ諸島において初代大教会長シェール=フェルムが母リフィリア=フェルムの教えを独自に再解釈し、それを広めた所に起源を持ちます。この際、シェール=フェルムの双子の姉であるシェリル=フェルムとは教えの再解釈について激しい論戦があり、結果として離れ離れになってしまったという記録があります。
 その後、正教会は魔化という技術と一般性のある教義、それに教会騎士団の優れた兵力を武器に他の土着信仰の影響を退け、300年の間に「五大国」と呼ばれる五大国家全ての国教として認められる一大世界宗教となりました。現在もその勢力範囲は拡大し続けています。
 シェール=フェルム正教会(以下、正教会と略記)の教義は、根源的にはリフィリア=フェルムの著した聖典『リフィリアの声』に基づきます。然しその内容は余りにも抽象的であったため、シェール=フェルムがより具体的な形式に書き下したメモを後に編纂して作られた『大聖典』が現場で用いられています。
 正教会の教義は、世界に二つの世界と、そこに住まう神が存在する所から始まります。上に立つ『リーヴァ』(Lieva)は生命の輝きを象徴し、創生と秩序を司ります。一方で、下に立つ『ディーダ』(Deda)は虚無の暗黒を象徴し、破壊と混沌を司ります。そしてこの世界は二つの神の世界の境界であり、リーヴァとディーダのせめぎ合いの中で生成流転する存在であるとされます。
 我々は境界の世界に生きる者として、絶えず二つの神からの影響を受けて存在しています。その中において、生産的で秩序ある生を送ったものはその存在がリーヴァの側に傾き、死した後に魂となって安らぎと希望に満ちたリーヴァの世界へと辿り付く事ができます。一方で堕落的で無秩序な生を送った者は存在がディーダの側へと傾き、苦痛と絶望に支配されたディーダの世界へと引きずり込まれてしまいます。
 また、死後我々の魂は単に神の世界へと移動するだけではありません。内部に存在する魂の量のバランスにより、どちらの神の力が我々の世界へより強く作用するかが決まるのです。リーヴァの側へ傾けば世界は幸福に包まれ、ディーダの側へ傾けば一切の幸福が奪い去られます。死後の我々の存在は、生前の世界から完全に切り離されている訳では無いのです。

倫理観

 あらゆる「犯罪」行為――殺人、姦淫、詐欺、窃盗などは全て秩序を著しく乱す行為であるとして、正教会に忌み嫌われます。麻薬もまた、社会の規律を危うくするものであるとして嫌われます。更に、広教会(死者の足音)が行う死者の使役は、死によりもたらされる秩序を破壊するとして、最大の嫌悪をもって扱われています。
 逆に、何かを作り出す行為や無償の援助、様々な形での知識の探求などは秩序を作り出すものとして歓迎されます。農家や学者、芸術家は特に正教会に歓迎される対象です。
 では、人助けの為に罪を犯した者は一体どのように扱われるのでしょうか?基本的には罪が軽くなり、社会復帰に対して正教会が後押しすることになっています。時には全く罪に問われないこともあるでしょう。

組織としての構造

 正教会は大教会長を頂点とし、その下に各種の下部組織が配属される形で形成されています。宗教組織としての正教会本体のほかに、教会騎士団・教会術師団・教会諜報部・教会医師団といった組織が名を連ねています。

正教会本体

 正教会の神官達が所属している、正教会の宗教組織としての側面を担当する部門です。布教や祭事、儀式を執り行う他、各地の教会を実質的に運営する立場にもあります。また、教会が学校代わりになっている場合には子供たちへの教育も担当します。

教会騎士団(レディウス)

 街の治安を守り、敵対的な組織から教会の施設を防衛する役目を帯びる正教会の軍事部門です。剣と鎧で武装し、その上に純白の法衣を纏ってファマザ(馬に似た騎乗用の動物です)に跨る姿は正教会のシンボルでもあります。
 実際に治安維持活動や防衛活動に携わるのは階級の低い騎士達で、高い地位にある騎士団の人間は組織運営や行動作戦の立案、重大事件解決への方針立てなどが主な仕事になります。

教会術師団

 魔法の探求、魔化による実益確保、魔法に携わる人材の確保を使命とする正教会の魔法部門です。この世界で最高水準の魔法理論を体得し、数多くの呪文を身につけた魔法のエリートに憧れる人間は少なくありません。
 本来の三大使命のみならず、騎士の活動を補佐することも彼らの重要な仕事の一つです。

教会諜報部

 各地にある犯罪組織との折衝や、他の組織内部の情報収集を受け持つ正教会の諜報部門です。小さな村落に居ることは稀ですが、大都市では常時かなりの数の密偵が活動しています。
 組織への潜入、組織との交渉、騎士や術師の手引きと補佐など、受け持つ役割が定められており、その枠の中で最大限の功績を上げることが求められます。

教会医師団

 伝統的な治療法に代わって、魔法の応用を軸とした医療を展開する正教会の医療部門です。白衣に身を包んだ医師の姿は、騎士や神官と並んで正教会のシンボルとなっています。
 治癒系の呪文による治療のほか、外科的な手術による治療や薬剤の調合を行っています。入院している患者の世話は、医師と神官達が分担して行うことになっています。

階級名表

宗教階級地位(神官)(騎士)(術師)(医師)
87大教会長――――――
76聖司祭長五大騎士長五大教示長五大教授
66聖司祭――――――
55高司祭長聖騎士長教示長教授
44高司祭聖騎士教示者助教授
33司祭長大騎士長聖霊術師助手
22司祭大騎士神聖術師――
11教父騎士長術師長医師長
00――騎士術師医師

ゲームデータ

教会神官

基本セット  10CP

言語取得と技能修得

 次の言語について、読み書きと会話にそれぞれ2CP以上を支払うこと。
 次の技能について、それぞれ2CP以上を支払い修得すること。
 宗教階級が2L以上の高級神官の場合、次の技能を修得していることが望ましい。

教会騎士

基本セット  5CP

言語取得と技能修得

 次の言語について、読み書きと会話に最低1CPずつ支払うこと。
 次の技能に最低1CPを支払い修得すること。
 〈白兵戦武器〉としては〈長剣〉を推奨するが、他の武器でも構わない
 その他、次の技能を修得しておくことが望ましい。

教会術師

基本セット  25CP

言語取得と技能修得

 次の言語の読み書きと会話に最低2CPを支払うこと。
 次の技能に最低1CPを支払い、修得すること。
 次の技能を修得している事が望ましい。

教会密偵

基本セット  20CP

言語取得と技能修得

 次の言語について、読み書きと会話に1CP以上支払って取得すること。
 これ以外にも、適宜言語を取得していると望ましい。
 次の技能に最低1CPを支払って修得すること。
 次の技能を修得している状態が望ましい。

教会医師

基本セット 10CP

言語取得と技能修得

 次の言語を読み書き、会話それぞれに最低1CP支払って取得すること。
 次の技能に最低2CPを支払い修得すること。
 次の技能を修得していることが望ましい。
 次の呪文を修得していることが望ましい。

呪文修得機会の内訳

正教会一般  10CP

正教会術師 15CP

シェリル=フェルム広教会(広教会、死者の足音)

教義と歴史

 シェリル=フェルム広教会は、300年前に双子の妹であるシェール=フェルムと別れたシェリル=フェルムが、自らの『リフィリアの声』の解釈を元に奥レオフィにおいて教えを開いた事に起源を持ちます。やはり、抽象的な内容をシェリルが解釈した過程で遺された無数の遺稿を、後に人々が編纂した『流転の書』が実際的な聖典として用いられています。
 正教会と同様の技術と組織力を持ちながら、広教会は奥レオフィに留まりひっそりと活動を続ける事を選びました。正教会が着々と勢力を伸ばしていく外で、広教会は奥レオフィに強固に根付き、国家という概念無しに人々の心を統一するに至りました。300年経った現在でも、広教会に対して敵愾心を抱く者は奥レオフィに存在しません。
 広教会は正教会と同じ起源を持ついわば「双子」のような存在でありながら、その関係は劣悪極まります。正教会は広教会に対して、堕落した召喚師が正教会の勢力内部でしばしば見かけられること、また死者をこの世に呼び戻す呪文は世界のバランスを崩壊させかねないを理由に厳しく非難し、攻撃しています。一方、広教会は正教会に対してそのような感情は持ち合わせていません――そうできるだけの基盤が広教会には無いのです。
 広教会の教義もまた、正教会の教義と同様に二柱の神『リーヴァ』と『ディーダ』を設定する所から始まりますが、その内容は大きく異なります。神は我々の世界の左右に対置されており、互いに平等の立場にあることが強調されます。右に立つ『リーヴァ』は誕生の象徴であり、生と秩序を司ります。一方で、左に立つ『ディーダ』は循環の象徴であり、死と混沌を司ります。そしてこの世界は二柱の神が回し続ける円環であり、我々の世界が即ち神の世界であるとされます。
 あらゆる存在は何れ滅び行く運命にあり、永遠の存在は幾ら望んでも手の届かない幻でしかありません。然し滅びは単なる消滅では決してなく、次の誕生のための糧を生み出す極めて重要な意味を持った過程です。万物は循環し円環を描くのであって、何処かから生まれ彼方へと消え去る存在ではありません。どのような存在にも自ずから意味が与えられているのであり、無意味で無価値なものは世界に存在しません。

倫理観

 欲望に突き動かされ、あさましく生きる事は極めて空しい生き方であると広教会は説きます。永遠に巡り続ける世界のほんの一瞬の輝きでしか無い生を己の為だけに生きると言う事が、如何に苦痛に満ちて空虚なものであるかは考えるまでも無いでしょう。それならば周囲と調和の取れた生活を送り、世界の中で己に与えられた意味を探し出してそれを全うするべきです。
 また、自分は何時か死に行く存在であることを受け入れ、安らかな死を迎えられるような準備をしておくことも勧められます。生への執着を残したままに死を迎えれば、その思いが循環する円環の流れを滞らせてしまい、世界の調和が乱されてしまいます。そうした人間は時に召喚師によって、死を受け入れ安らかな最期を迎えるべくこの世界に呼び戻されることがあります。

勢力範囲のフェレニア地方について

 広教会の勢力範囲は正教会のそれと比べると遥かに狭く、ルーフィス大陸の南西部にあるフェレニア(奥レオフィ)と呼ばれる地域に限定されています。此処には国家組織が存在せず、広教会がその代わりを務めています。
 フェレニアは東を高く険しい山脈に区切られ、残り三方を海に囲まれた陸の孤島とも言うべき地域です。山を越えれば緑豊かな平原が広がっていますが、此処に辿り着くまでにはとても骨の折れる思いをする必要があります。また、外部から正教会の勢力が押し掛けることを恐れた広教会の術師団が全て破壊してしまったため、フェレニア地方には他の地方に繋がる「門」が一切存在しません。
 狭いながらもフェレニアの土地は極めて肥沃であり、また様々な鉱物資源も豊富に産出するため、フェレニア地方の人間は外部の勢力に頼る必要が一切ありません。このことは、広教会がフェレニアに生き残り続けている大きな要因の一つになっています。

「死者の足音」という俗称について

 広教会に付けられた「死者の足音」という俗称は、正教会が死者を使役する広教会の人間の姿を見て付けた蔑称です。正教会の人間はこの呼び方をしばしば用いるため、一般人にとっても馴染みのある表現になっています。勿論広教会の人間はこの呼称を嫌いますが、現状を覆せるだけの力は彼らにありません。

組織の構造

 同じ起源を持つことから、広教会の組織構造は正教会のものと極めて良く似ています。ただ一つ異なるのは、報われぬ死を遂げた魂を慰めるための「召喚師」と呼ばれる立場の人間が存在することです。

広教会本体

 広教会という組織全体の維持運営と、フェレニア地方の統治を受け持つ部門です。布教、儀式などの様々な宗教的活動のほか、財政面のやりくりや行政面での運営を行っています。

広教会騎士団

 フェレニア地方の治安維持と防衛を担当する部門です。街での治安維持活動の他、六方(東西南北、それに空と「門」です)からの攻撃に対する防衛、外部に旅立つ召喚師の護衛などの任務を行います。警察と軍事組織の機能を兼ね備えた団体です。

広教会術師団

 魔法の探求、魔化の実施、術師となるべき人材の発掘を使命とする広教会の魔法部門です。総合的な魔化の技術では正教会に劣りますが、死霊系呪文の豊富な知識を持っています。

広教会諜報部

 正教会の諜報部に対抗する目的で作られた、広教会の諜報部門です。全体の数では劣りますが、個人個人の能力は正教会の上を行きます。主な任務は、周辺地域における正教会の動向と機密情報の奪取、全世界に分散した召喚師との情報のやり取りなどです。

広教会医師団

 伝統医療と共に、近代的な方法論と魔法による医療を行う広教会の医療部門です。

召喚師団

 強い未練を残して死んで行った者の魂を慰めることを己の責務とする、広教会独自の部門です。術師と同様の訓練に加えて、死霊系呪文の高度な訓練を受ける広教会の精鋭とも言える存在です。主にフェレニア各地で活動するほか、一部は世界各地に旅立って活動を行います。

ゲームデータ

召喚師

基本セット  35CP

 フェレニア地方の内部で活動する場合、上記の特徴に以下の特徴を加えて基本セットとします。
 フェレニア地方の外部で活動する場合には、次の特徴を加えて下さい。

言語取得と技能修得

 次の言語について、読み書きと会話に2CP以上を支払い取得すること。
 次の技能について、1CP以上を支払い修得すること。

呪文修得機会の内訳

広教会召喚師  20CP

イフェリア教団(精霊教団)

教義と歴史

 イフェリア教は、およそ600年前にルカリエス大陸の都市フェルナにおいて、エスト・アーラムがそれまでに見聞きした様々な自然信仰の知識を総合し一つの体系を作り上げた所に発します。その知識はエストが著した『精霊と世界』の中に極めて丁寧に書き綴られています。
 農業や漁業に携わる人間を中心に信仰を広めていったイフェリア教は、やがて世界各地に信徒を抱えるまでになります。然し後に発した正教会に追われ、各地でその基盤を徐々に失いつつあります。最盛期にはイフェリア教と定めていた国家が幾つも見掛けられましたが、現在ではその全てが正教会に取って代わられています。それでもイフェリア教への信頼は各地で根強く、世界規模で見て無視できない勢力であることに変わりはありません。
 イフェリア教の教義によれば、全ての存在物は八大精霊の力がこの世に現れて生み出された仮の構造物に他なりません。存在物の持つ性質は「存在」と「属性」に分割され、前者を三大上位精霊が、後者を五大中位精霊が司ります。そして実際に生起する諸々の現象は、八大精霊の末端に当たる無数の下位精霊が引き起こしたものであるとして説明されます。
 三大上位精霊には水の『イフェリア』、大地の『ゼルベス』、大気の『ルマ』が属し、それぞれが「液体」「固体」「気体」の状態を司ります。液体の物質は気体にも固体にもその姿を変えることから最も基本的な存在の形式であるとされ、それを代表する『イフェリア』が最高位の精霊であるとされます。
 五大中位精霊には炎と熱の『アゼル』、灰と冷気の『カリス』、光と闇の『フィルマータ』、生命と精神の『トリザ』、音と言葉の『エグジール』が属します。これらは三大上位精霊が成す存在に付加される要素であり、各々が対等の位置にあるとされます。

倫理観

 人間である我々は自然の一部であり、自然は精霊の一部であって、全ては精霊を介して繋がりあっています。人間が人間を、また自然を傷つけるということは自分自身の一部を傷つけるということです。我々が何かを傷つけてしまったり、何か大切なものを失ってしまったときに心に感じる痛みは此処から生じます。そして、自らを苦しめるそのような行いはすべきでは無いのです。
 逆に、何かを自分の力で作り上げた時の喜びや、誰かに感謝された時の温かさを感じることもあります。これもまた、自分と相手に繋がりがあるからこそ感じ取れるものです。これはその行為が自然にとって、また精霊にとって歓迎されているという事であり、我々は可能な限りでその期待に応じなければなりません。

ジャナディール教団

情勢と教義

 シルト王国北東部に存在するザハト王国の国教ともなっている、アーガイト大陸北東部で古来より信仰されてきた宗教です。正教会の躍進と精霊教団の進出、それにシルト王国の台頭でザハト王国と共に勢力は著しく衰えましたが、現在でも組織としての姿は強固に保たれています。
 ジャナディール教では、始祖であるジャナディールとその従者が信仰の対象となります。かれらは偶像を作り、それを毎日日の出と日の入りの時に二度拝礼することを欠かしません。また、宗教儀式の一環として生贄を捧げる規則があり、その供物には家畜のみならず健康な人間もしばしば含まれます。
 正教会は偶像を崇拝すること、生贄を捧げることの二点においてジャナディール教を強く嫌い、シルト王国と共同でジャナディール教の締め出しに力を注いでいます。またイフェリア教団からも嫌われており、表立っての積極的な攻撃を受けることは無いものの、信徒引き抜きや正教会への支援などにより間接的な攻撃を行っています。また、ジャナディール教の魔術師が行う死者の使役は広教会の召喚師にとって冒涜的行為以外の何物でもなく、極めて敵対的な感情を向けられています。

実態

 ジャナディール教はザハト王国の上層部と強固に癒着しており、事実上一体の組織となって動いています。王や議会は司祭達の意見を代弁しているに過ぎず、政治の実権はジャナディール教が握っています。
 また、ジャナディール教の高級司祭達は例外なくアンデッドとなっています。これは不老不死を得る為に行われる処置で、生前の知性を保ったままに人の精気を吸って生きる怪物と成り果てることで、かれらは老いを免れるのです。
 元来ジャナディール教には生贄という風習はありませんでした。それが現在活発に行われているのは、アンデッドとなった高級司祭が合法的に精気を手に入れる為に教義の中へ組み込んだためです。

動向

 仇敵である正教会に対しては、過激派が散発的に攻撃を仕掛けている他、高級司祭自らが動いて計画的な攻撃を行うなどして、かつての自らの領地から立ち退かせようとしています。今の所その試みが成功した試しはありませんが、然し正教会の歩みを遅らせるには十分な効果を上げているようです。
 権益を脅かしうる存在であるイフェリア教団に対してもまた、明確な敵意を持って攻撃を仕掛けています。正教会に対する攻撃と比べれば規模が小さく、頻度も少ないのですが、それでも明らかな害意を向けられていることは確かです。

魔法体系

 彼らは、魔法を神となったジャナディールのもたらす奇跡として捉えます。体系としては然程洗練されておらず、呪文の数は土着宗教としては例外的に豊富ですが、それでも三大宗教に比べれば見劣りします。
 ジャナディールの魔術師はアンデッドを使役することを好みます。然しこれは広教会の召喚師が行うような死者救済のための使役ではなく、単なる労働力や兵力としての使役です。彼らにとって、死者は役に立つ道具以外の何物でもありません。

雑記

宗教組織の魔法体系の特色について

正教会

 あらゆる知識を取り込み続けた結果、ありとあらゆる呪文を網羅するに至っています。
 特に、正教会は広教会と共に、魔化の技術を有する数少ない組織です。この魔化という技術による利潤が、全世界的な正教会躍進の原動力となっています。
 また、呪文操作系の呪文が高度に発達しているということも特徴です。魔法そのものについての研究が学術的にしっかりを行われているのは、リフィリアの流れを汲む正教会と広教会だけです。

広教会

 幅広い呪文体系と、魔化と呪文操作系に秀でているという特徴は正教会のそれに準じます。然し広教会最大の特徴はその洗練されたアンデッドに関する呪文体系にあり、特に知的で高級なアンデッドの扱いに優れます。
 アンデッドの扱いには長けているものの、正教会に比べると人材や施設の絶対的な規模が劣るため、全体としては幾つかの点で劣っています。魔化では《高速魔化》や《魔化安定》が開発されていなかったり、世界中に広がる「門」は事実上正教会が管理していたりと、魔法技術の最先端においては広教会が追い抜かれています。

イフェリア教団

 精霊を召喚し、意のままにする術はイフェリア教団の秘儀であり、門外不出の知識です。精霊を直接対象とする全ての呪文は、イフェリア教団の者でなければ扱うことができません。
 呪文の幅では正教会や広教会に匹敵しますが、体系としての洗練の度合いで若干劣ります。

ジャナディール教団

 それなりの幅を持ちますが、いずれも上記三つの組織と比べると明らかに見劣りします。唯一の優れた点として、精気を吸い永遠の命を生きるヴァンパイア(吸精鬼)となる呪文が存在することがあります。

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