2010/11/20 追加
erudition-0073
ひきこもりのおうじさま(2) ……その(連作)世界における神話
拙著「ひきこもりのおうじさま」の中の世界における(非公開?)神話です。↓(内容的に21禁ぐらいかも……)

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以下は、人界(メゾバル)には基本的に非公開とされる(機密性の高い)神話である。

原初・時間を見ることができなくなった時

まだ時間も空間もなかったころ、ただウニベルソ(一つの世界)に、 原初の女神、「始めも終わりもなき女」「知られざる母」タラシアがいた。
タラシア(崩壊と死とエントロピーの神)は、常に眠っていたのであるが、眠っている間に一つの卵を産み落とした。
「見えざる父」「走り続ける者」「すべての場所に居り如何なる場所にも居らぬ神」(変化の神)時間の神・ゼネクスである。
ゼネクスには三つの頭と三つの男根を持つという。ゼネクスは三つの男根を同時に、まどろみの中のタラシアの、膣に挿して犯した。
受胎したタラシアが産み落としたのが、「未だ生まれざる者」「すべてを食らう者」・空間の神レーロンである。
レーロンは、ただ大きくなるだけ大きくなったが、ほとんど何もしない。 しかも、一度ならずゼネクスもタラシアも食らっているが、消化せず取り込んだだけである。 しかも、人とは異なり神にとって、レーロンの殻は、いかようにも超えることのできるもの。
失敗作と感じたゼネクスは、今一度タラシアを犯すことに決めた。
位階の高くマナの強い神は、複数の時と複数の場所に、自らを同時に顕現することができる。
よりいっそう強い神にいたっては、他者を、複数の時と複数の場所に同時に顕現させることができる。
ほとんどすべての力を兼ね備えていたゼネクスは、自らと、タラシアとを複数の時間・位置に顕現させ、 三つの男根をタラシアの二つの膣に、同時に、かつ交互に、犯した。
こうして生まれたのが、「帰らざる女神」、過去を支配する女神アルカイアである。
自らに何をされたか、さすがに気づいたタラシアは、もがこうとする。
しかし、時を支配していたゼネクスは、「つねに」タラシアを強姦し「つねに」タラシアに出産させ、 かつ「つねに」首を絞めて殺し「つねに」死姦し、かつ「つねに」蘇生させていた。
この「つね」なる究極の強姦の間に「生まれ続け」かつ「死に続ける」のが 「生まれ続けかつ死に続ける女神」・「現在」である。
タラシアの発音してくれた音を真似ると、「ミレーア」に近いものとなった。 われわれは、タラシアとの約束により、彼女の名を「ミレーア(仮)」もしくは概念として「現在」と呼ぶことにする。
なお、このとき、ゼネクスの「つね」なる呪いから抜けて生まれ落ちたもの、流れ出たタラシアの乳、 タラシアの愛液、涙、涎、糞尿(ゼネクスの手によりタラシアの口に押し込まれているが、そこからさらにこぼれたもの)は、 レーロンの中に落ちていき、星々(恒星)や星々の神となった。

タラシアは、ゼネクスに復讐を考えた。
気取られぬよう、徐々に徐々に、ゼネクスの触れえぬ界を広げる。
復讐と脱出を思ったとき、はじめて、究極強姦をタラシア自身は楽しんだ、という。
はじめて得たタラシアのエクスタシーとともに生まれたのが、「未だ来ぬもの」未来の女神ノーワである。
そして、アルカイアによれば、今から約150億年前、タラシアはレーロンの中に逃げ込んだ。
ゼネクスの大部分を、レーロンの外に追い出した。
そして、タラシアは、自らの身代わりに、「現在」を、ゼネクスによる「究極強姦」の相手にあてがったのである。
かくして、レーロンの中の下々にとって、時間は感じることはできても、見ることのかなわぬものとなったのである。
また、「時間」を感じるためには「過去」「現在」「未来」の手助けがなくてはかなわぬものとなったのである。
かように、時間は、神としての座を無効にされ、かわりに現在・過去・未来の三人娘が時間神を代行しているのである。
なお余談であるが、このとき、自らの姿と引き換えにレーロンをレイプしたアルカイアが生んだのが、
グーツィ(空気・大気・星間物質、最初は妖精、後に神々の首座にして「永遠」の女神エテルナ)である。

太陽と子供たちの誕生
俗に「太陽と子供たち」は、ゼネクス同様、タラシアが一人で産み出したという。
これは、原初の神々による隠蔽である。
正しくは、グーツィと星々の子供たちになる。
グーツィの神性は、あまりにもゼネクスに近かったため、タラシアによって存在を薄くされた。
しばらくは、グーツィの神性への応召は、時間3神が行っていた。
すなわち、時間神と崩壊神により、空気は「妖精」の座に甘んじていたのである(本人は、もちろん気にも留めていない)。
太陽神はヤアギロップであった。通称、「引退兵士」。 太って馬に乗れなくなり、さらに太って馬車にも乗れなくなり、今では杖をついて歩いている。
もちろん、「太陽の馬車」に乗る若者は、ヤアギロップではない。彼の息子であるが、息子の「馬車に乗る」アイデアを、今のところ却下している。
ヤアギロプには女神リディアという妻がいるが、長年離れている。リディアは、白鳥座デネブの神である。
しかし、東方の民、ヤアギロプ親子の要請により、太陽神を代行することがある。
ヤアギロプ一家のほかに、リディアの顔を見たものは、あまりいない。が、たいそう美人で誇り高く、嫉妬深いらしい。
以下、太陽の家族を便宜的に、太陽家と呼ぶことにする。なお、太陽家の子供たちは、便宜的に、太陽から近い順番に、
長男長女・次男次女と、上から下に呼んでいくものとする。なお、星ぼしの年齢は、神の秘密である。
  • 太陽家の子供・水星
    長男はイルミクス(水星)であるが、体は小さい。いくつになっても赤ん坊の姿である。
    イルミクスは翼を背中に持ち、きまぐれに弓矢を放つ。
    ときには、メッセージを載せるが、あるときには疫病をのせて放つ。
    実はアルカイアの子であるが、ヤアギロップは自分の子と思い込んでいる。 あまり近くをうろつくので、巨体で踏み潰すのではないかと、心配している。
  • 太陽家の子供・金星
    長女はピウラ(金星)である。外観はまことに結構で「男心をそそる」という。
    ところが、性格は、相当悪い。放つ言葉には、毒がある。 これで「愛の女神」とはかたはらいたいが、誰も文句を言わないため、 その座にいる。
    なお、イルミクスをピウラの子と勘違いする向きもあり、 耳年増なため、百戦錬磨のつわものと思われがちである。
    が、彼女は未婚で、なおかつ処女であった。
  • 太陽家の子供・地球
    次男および次女はグーン(大地)である。かつて、グーンは男性であった。
    ところが、星々から、ナミ(潮汐)が押しかけ、グーンの貞操と、 陰茎と、左腕と、左目を奪った。
    ナミが男児メシャツ(月)を産み落としたところを、 怒ったヤアギロップは、ナミを焼いて、食べてしまったという。
    誰の呪いかは知らないが、メシャツの右腕と右目と言葉と陰嚢は、生まれつきなかった。
    以来、グーンは女装して、メシャツの妻・母の真似をしている。
    それゆえ、大地は、女性で呼ばれたり、中性で呼ばれたり、男性で呼ばれたりしている。
    グーンの喪失を一番悲しんだのは、実は、タラシアである。
  • 太陽家の子供・火星
    次女にメシャツ(ルナ)を加えるむきもあるが、以上の理由で、メシャツはグーンの子とする。
    したがって、軍神デルベア(火星)は三女(正しくは次女)となる。
    人間はデルベアを甲冑で覆ったり、裸に刀と盾を帯びさせた形でシンボル化している。
    しかしデルベアは、飾り気のない女で、甲冑もまとわず、実は刀も盾も帯びていない。
    徒手空拳で敵を討つ。相当、強い。もちろん、得物を手にしても、強い (得物は、相手へのハンデ、という)。
    はなはだ品位は低く、ただし神位はそれほど低くない。 不義密通でできた子供(男子)が二人いる。
  • 太陽家の子供・木星
    南方の民は、三男ヅデプテル(木星)を神の首座にと考える(いな、希望的観測である)。
    雷の神様でもあるのだが、実は、この神は両性具有である。 ヤアギロップに似て太っているため、胸は目立たない。
    一時期、ヤアギロップは、若いヅデプテルを強姦した挙句、拷問にかけたことがある。
    今も、ヤアギロップは、二人にしか見えない鎖で、ヅデプテルの首輪をつないでいる。
    その鎖は、ヤアギロップの杖に、今もつながれている。
    屈折したヅデプテルは、ことさら髪の毛とあごひげを白く伸ばし、 男性らしい行動をとっている。
    それゆえ、若い神々や物知らぬ人々は、ヅデプテルを「神々の父」「神々の将軍」と呼ぶ。
    もちろん、ヤアギロプは彼女が首座に就くのは猛反対である。
    シンボルは稲妻。
  • 太陽家の子供・土星
    四男タウロン(土星)もまた、雷神格を持つ。ただし、彼は、 農耕・戦争もまたつかさどる。というのも、ヤアギロップ家の複雑な家庭事情にも 起因する。
    やけに明るくかつ無分別に振舞うので、ヤアギロップやウォントレクスの顰蹙をかう。
    シンボルは大きな大きなハンマー(雷を起こす)。 地上に顕現するときは、ハンマーをマサカリの姿に変えることがある。
  • 太陽家の子供・天王星
    五男ウォントレクスは、天王星の神である。
    地上では、「黄泉路」と「雷」をつかさどるとみなしている。神々の首座。
    ヤアギロップも、消去法で、彼が首座に就くことを認めた。
    天空の城(神閣と大会堂を備える)に、死者の魂のコレクションがある (娘たちに集めさせている)。
    六本足の馬に乗る。
    カラスを従える。
    世界を知る知恵を、片目で購った。ゆえに、通称、「片目の老人」
ヤアギロップの子は以上である。 その他の子供は、みな養子である。



以上。

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