むかしむかし。
あるところ(といったほうがよさそうなところ)に、
「ヤハウェはわが神」という意味の男の人・預言者(エリヤ、英名イライジャ)が
おりました。
さらに時代は下って、イェシュア(ラテン名イェスス、英名ジーザス)という人は、お付きの人の一人に「ケパ」というあだ名をつけました。
日本語では「岩」、ラテン語・ギリシャ語では「ペトルス/ペトロス」という意味です。
少し時代が下って、チャイコフスキー家に、預言者エリヤにあやかったロシア名がイリヤ という男の人が結婚しました。
男の子が生まれました。
お父さんのイリヤは、子供に「天国の鍵の番人」ケパすなわちペトルスにあやかって、英語でいえば「ピーター」にあたる名をつけました。
ロシア語では Петр とも書きます。アクセントは…… е だけ。
 е(イェ) と怒鳴るのも「しんどい」のか、 ё(ヨ) と発音します。
つまりロシア語では、「一目瞭然な ё は、 е と書くことがある」
ということです。
発音は
 ヨ 、なんだよなぁ……。
ということで、ロシア・キリル文字からラテンなABCに変換するとき、
 Pyotr などと、よく書きます。
 Pyotr ? ピュオトル? それがPeterと同一人物とは、どうしても思えない。
でもでも。
 Петр と書くこともありうる、ということから
Pietr
と書いてあげれば? おお、なんとなく、「
 ペーター 」と読めそうですね?
ということで、当サイトでは、彼のファーストネームを「
 Pietr 」と書いてあげています(でもでも「
 ピョートル 」と読んであげてください)。
#今も生きていれば「ワタクシのことなんかほっといてくれ!」とか
#ピョートル・イリイチに怒られそうですがw。
さて……と。
彼のミドルネーム、ですが。
ほかのロシア人と同じく
отчество(オーチェストヴォ、父親から受け継がれるもの、「父称」)になっています。
「父称」とは何かというと、
「お父さんだれ?」という情報です。ここでいうと、「
イリイチ」すなわち「
父イリヤの息子」という意味のものです。
もしも「イリヤの子供」、「ピョートル・イリイチ」が結婚して(離婚しましたが)
男の子イワンと女の子ソフィヤが生まれたならば?
架空の息子イワンのフルネームは
「イワン・ペトロヴィチ・チャイコフスキー(男性形)」
架空の娘ソフィヤのフルネームは
「ソフィヤ・ペトロヴナ・チャイコフスカヤ(女性形)」
となるでしょう。
さて。さらに時代がくだって、
ソフィヤが
セルゲイと結婚、
ミハイルが生まれたら?
父親セルゲイの息子ミハイルの名は、「
ミハイル・セルゲイヴィチ」となります。つまり、
「ミハイル・セルゲイヴィチ・ゴルバチョフのお父さんの名は、『セルゲイ』だ」
ということになります。
さて……。われらが
ピョートル・イリイチには、
ヴラジミールという甥がいました
ホント。
もしも
ヴラジミールの息子の名前も
ヴラジミールだったならば?
その子の名前は、「
ヴラジミール・ヴラジミーロヴィチ」となります。つまり、
「ヴラジミール・ヴラジミーロヴィチ・プーチンのお父さんの名も、『ヴラジミール』だ」
ということになります。