人類が普通に話す言語、すなわち自然言語は、四つに分類される。すなわち、
- 膠着語:
このページは膠着語で記述されている。すなわち、日本語は膠着語に分類される。
膠着語とは、単語と単語を小辞(パーティクル・助詞)で「にかわ(膠)」のようにペタペタ「着」けていく形態の言語である。
例文:彼は彼女を愛する。上述の例文1において、「彼」の直後に主格助詞「は」が、「彼女」の直後に対格助詞「を」がある。すなわち、文章を作成するにおいて、助詞「てにをは」を不可欠とする言語が、膠着語の最たる特徴である。
彼女は彼を愛した。
上述の例文2を下記のように変更すると、悲劇の度合が強まるが、より膠着語らしい性格も強まる。例文’:「私の彼女は彼を愛した」膠着語には日本語のほか韓国語なども含まれる。- 孤立語:
別に国際社会から孤立している、という意味ではない。単語と単語が孤立しているので「孤立語」という。最たる例は中国語である。
言語設定しなければ書けないため、カナ書きするが、「膠着語」の例文をそのまま中国語にしてみる。
例文:ター・アイ・ター。膠着語に顕著な「助詞」がない。後述の言語のような性格も、ない。単語がポンポン並んでいるだけである(口喧嘩しやすそうであるw)。
ター・アイ・ター・ラ。
なお、例文2の「ラ」は完了の助動詞である。……というか、そのまま「了」という字である。- 屈折語:
別にイジけている、という意味ではない。文章を作成するにあたって、動詞を語尾変化(屈折)させる必要がある、という意味である。日本語も「愛する→愛した」と語尾変化しているではないかそれを「重箱の隅をつつく」あるいは「木を見て森を見ぬ」と言う。
現在形だろうと何だろうと動詞変化がなければどうしようもないのが、屈折語である。ここで、例文をロシヤ語に変換してみよう。
難しくしないため、あえてロシヤ語もカナ書きする。
例文:オン・リュビット・エヨー。例文1の先頭は代名詞「彼は」である。末尾は代名詞「彼女を」であり、例文2の先頭が「彼女は」で末尾が「彼を」である。
アナー・リュビラ・エヴォー。
さらに、悲劇的な例文3・「私は彼女を愛する」も付加して比較してみよう。
例文3:ヤ・リュブリュ・エヨー。さらにストーカーまがいの私が彼女にお願いする文章・例文4「私を愛してください」さらに、
業を煮やして突きつける脅迫まがいの例文5「きさまはオレを愛する(のだよ)」も付加してみよう。
例文4:リュビチェ・メニャー。例文5:トゥイ・リュビーシ・メニャー。動詞「愛する」の原型「リュビッチ」が一人称単数で「リュブリュ」と末尾が屈折し、(失礼あるいはなれなれしい用法)二人称単数で「リュビーシ」と屈折し、さらには三人称「リュビット」に、さらには単数過去女性形で「リュビラ」と変化したことが、解るであろう。 この動詞変化は屈折語の特徴である。
屈折語には、いわゆる「印欧語族(東はヒンズー・サンスクリット・ペルシャから西はスラヴ・ゲルマン・ラテン全域)」が含まれる。- 抱合語:
「ほうごうご」……何を抱えるかというと、動詞が主語と述語の関係をコントロールする小辞を含んでいるということである。
「愛する→愛した」の変化には「た」という過去時制の小辞が含まれている。それどころでは済まない情報を動詞に含めるということである。
解りにくいので、とりあえず抱合語の代表選手スワヒリ語で例文1と2をカナ書きしてみる。
例文:イェイェ・アナムペンダ・イェイェ。他の言語と比較して何が違うのか、例文のみではわかりにくい。ちなみに、スワヒリ語では「彼」も「彼女」も同じ代名詞である。
イェイェ・アリムペンダ・イェイェ。
そして……「愛する」という動詞語幹は「ペンダ」に相当する。「アナムペンダ」の「ア」は主辞。動詞と主語との関係を示す。
「アナムペンダ」の「ナ」は時制で現在。ということは、「アリムペンダ」の「リ」も時制で、過去ということである。
「アナムペンダ」の「ム」は客辞すなわち、動詞と述語との関係を示す。
……やはり、いまひとつ解りにくいので、日本語例文2をスワヒリ語風に書いてみる。
例文2’’カノジョ ワタヲアイス カレ。すなわち、「愛す」という言葉に各語との関係を抱合して「ワタヲアイス」などと一語で表現するのが、抱合語の特徴である。