2006/04/03 追加, 2007/12/24 更新
erudition-0028
ラレーション……その語が英単語に存在する意味
lallation(ラレーション)という語が存在する理由を考察してみました↓。

英単語には(少々マイナーではあるが)lallation(ま、カタカナで考えるならラレーションか)という語がある。

  1. Rの子音をLと混同して発音すること。
  2. RあるいはLを不明瞭に発音すること
……の意である。わざわざ日本人をバカにするためにアメ公どもがそんな語を作った、とでもいうのだろうか。否。

Leninという筆名の人物がいる。そう、あのレーニン。ソビエト国歌で「偉大なレーニンは我らに道を示した」「レーニンの党、人民の力」と歌われる、あのレーニン、である。
彼のトラウマになりそうなりそうな単語……それは「グラスノスチ (情報公開、原意は「おおっぴらに述べる」)」である。

ГЛАСНОСТЬ(GLASNOST')
……と書く。ラテンアルファベットで「I」「J」を書かなかったことにお気づきだろうか?
アメ公どもが「イェリツィン」氏を「イェルツィン」「イェルツィン」と「リ」の発音してこなかったのは、そこに「I」「J」ではなく「’(アポストロフィ)」が書かれていたり、ひどい場合には何も書かれていなかったりするからである。
(2006/07 注)「論文作法」のウンベルト・エコ大先生によれば、「書かなくてよい」「ロシヤ語は、一般に『解りにくい』とみなされている」……らしい(このヒトはポルトガル人)。

アポストロフィで表現される記号「Ь」は、省略ではなく、「軟子音記号」という。
詳しい話は(このあたりは)枝葉末節なので割愛するが、発音するのはカンタンなはずである。
ТЬを発音するには……

  1. イの形に口を横に広げよ
  2. 声は出すな
  3. そのままTの子音だけ発音せよ
……すると、「ティ」に近い「トゥ(子音だけ)」という幽玄な音になったはずである。……なったであろうか? 発音ができれば、ヒトナミなロシヤ語教室の生徒になれる、ということである。発音ができなければ、アメ公と同レベル。……そして。ニガテだぁ(;_;)という人は、実はレーニンと同じである。

レーニンは、軟子音の発音がニガテで、おまけに、RとL(キリル文字のРとЛ)の発音を、よく混同したという。……少しは気が晴れたであろうか? まだ? レーニン本名ニコライ・ウリヤノフはカルムイク出身、だからアジア系だから、できなくても当然?

では、20世紀初頭からさらに古代ローマにさかのぼる。とある文献によれば、

「あの者(ライバル)は、まるで犬が唸るように、上手にRの発音をする」
などと褒めているのか貶しているのか解らない文章が残っている、という。
つまり、書き手のローマ人すら、(巻き舌)Rの発音がニガテだ、と白状しているのである。
つまり、もともと、アイツら(欧米人)もRとLを混同することはある、からlallationなる語が英単語にあるに相違ないのである。
だから、↓致命的なことでなければ、目くじら立てなくてもよいのではないか、とは思うのであるが。
  • むかしむかしMS−DOS用画面作成ソフト(アプリ部分はC言語などで作って、インターフェース用の画面として使う)にトリプル・アイなるツールがあった。
    トリプル・アイは、ブリンク(項目を点滅させる)機能があった。
    私が使ったところ、コンパイルエラーで動かない。
    英和辞典には「blink」とあるが、その語を使ってもエラーとなる。……マニュアルには「BRINK」と記述してある(!)。そして、「BRINK」とコーディングしたら項目がBLINKしたのである!!
    抗議したが受け付けてもらえなかった(--)
  • よくあるジョーク:
    70歳の日本の老人男性に、アメリカ人(英語で)、
    「総選挙(election)には行っておられないのですか?」
    日本の老人男性、悲しそうに首を横にふる、
    この20年来erectionは、訪れていない

……そうなると、一国で世界的な多民族・多宗教を誇るインド古語サンスクリットは(ヒンドゥー語も)品が良いといえようか。サンスクリットの文字デーヴァナーガリでは流音(R・L・N)の文字が似ていて、微妙に違う……つまり、もし間違えて書いたり言ったりしたら「RではなくL、Nだよ」と教えてくれるに相違ない
実際、KとHを間違えて書いた(←これもデーヴァナーガリでは似ている)ら、「違うよ」と教えてくれた

これで気が晴れたであろうか? まだ? 
では英語・ロシヤ語・フランス語のRLの相違の覚え方、および(日本語のわかる)ドイツ人にラレーションで「からかわれた」時に復讐する方法を述べて、しめくくるとしよう。

発音を覚えろ。……それは正論ではある。しかし、欧米人ですら間違うものを正確に、とは成しがたい。そこで、英語教師直伝の覚え方。

幸い、ロシヤ語・英語(他)も、RとLの文字の形が異なる。
そこで、単語のシルエットを、映像として頭に焼き付けておくのである。
上のジョークの例でRの言葉とLの言葉の違いをよーーーく見てみよう。
すると、「選挙」の語は「いきなり勃起している」が、「勃起」の語は勃起していないことに気づくであろう。そのシルエットを瞬時に読み取って、発音する、というのである。「爪にツメなし、瓜にツメあり」ならぬ「勃起に勃起なし」である。
ちなみに、ロシヤ語の場合はRがラテンのPの形をしており、Lのほうは上に出てこない。
カタカナは厳禁である。日本語にRの子音もLの子音もなく、RとLの混じった子音が「ら行」だからである。蛇足を追加すれば、日本語本来の単語に「ら行」で始まるものはない

ちなみにフランス語では、上記のほかに、禁じ手の覚え方がある。フランス語のRはガーグル音といって、「ごろごろ喉を鳴らす」Rとなる(ことが多い)。

chambre(正しい?カナ書きならば「シャンブル」)……部屋
という語をフランス語の知らない者が聞けば「シャンボグァ」に聞こえる(仲*かすみ相手に小学館が「フランス語講座」についてインタビューしたとき、そのようにカナ書きしていた)。
つまり、いっそ全部Rをガ行で発音しちまえば、意外とフランス人に通じてしまう(旅行者の談)、ということである。

最後に、ラレーションをドイツ人(日本語教室の生徒)に「からかわれた」場合の復讐wの仕方である。下記の文章を発音させ、「ひらかな」で書かせるのである:

「私は、暑中に、しょっちゅう、焼酎を飲みます」
ドイツ人が何をニガテとしているか、ピンと来たであろうか?
「シャ行」と「チャ」行の相違もさることながら、音節の長短「小さいツ」「小さいユ」そして長い音であるにもかかわらず付記される語尾の「う」……。これらは、ドイツ人にとって(いな、非日本人にとって)悪夢以外の何モノでもないのであるw

ヨカッタね、一矢ムクイルことが出来て……

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