蔵書「空想科学読本」シリーズの著者・柳田理科雄氏は、名を体で表す、理系の人である。
すなわち、いわゆる文系な知識は乏しいとみた。
「仮面ライダー」シリーズの敵役「怪人」の組織には「ブラック将軍」なる中間管理職がいる。
この人、「元ロシヤ帝国(!)の将軍」という設定らしい。で、柳田氏いわく。
「ロシヤ? なぜそれで『ブラック』という英語なんだ?」……それがロシヤ語かもしれんとは思わなかったのか、おのれは?
まず一千歩ほど譲って、それが英語、だとしよう。ロシヤ人が英語で名乗ることがありうるか? ありえる。
私がよく、「ゴルバチョフ」のフルネームを各システムのテストデータに使うのは、カナ文字がすげー長くなるからである。
日本語で「不滅」と二文字・三音節で済んでしまう言葉がロシヤ人の姓として用いられることがある。
ベススメルトヌイフ……氏である。なぜ「ベススメルトヌイフ」氏(ちなみに「ベス〜」で「〜なし」「スメルチ〜」で「滅亡」、あとは格変化)の例を用いたか、というと、氏の名前が某国営放送のアナウンサー・ニュース原稿読みの訓練のために使われていたからである……。確かに「カタカナ」で考えると、発音しづらいかもしれんわな。
さて。本題である(結論を先に書かないと怒る短慮な者も世間にはいるが、このページは独り言だから仕方ないw)。
ロシヤ人は「ブラック」と言わないか?結論。「言う(カタカナで考えれば)」……以下に説明しよう。
そもそも、あいつら、本名を名乗っているのだろうか? 将軍の前任の「死神博士」というのは、どうにもコードネームっぽい。
もっともイスラエルのモサドには本名で(!)スパイ活動した挙句にヨソサマの国でターゲットと異なる別人を間違えて暗殺して逮捕される、などという大バカ愚か者・救いようのないマヌケ女もいたらしいが(爆)。
コードネームとして英語のブラックを使った、とも考えられるが、そこはロシヤ人。バカな日本人にはRとLの区別もつかない(*cf. 0028)から、英語に聞こえる、あのロシヤ語単語をコードネームとして使ったのではないかとも考えられるのである。その語は……
ВРАГ 敵(VRAGではあるが耳には「ブラック」と聞き取れる可能性がある)……だとすると、その「ロシヤ将軍(貴族?)」の自虐と劣等感と優越感の混じった心の叫びが聞き取れるのではなかろうか。「こんな極東でショボくれた組織の中間管理職などしているが、今に見ておれ、こんな世界も、否、ショッカーすらも、お前らみんな、オレの敵。いつか見返してやるぞ」……というような感じの……。
最後に、柳田氏のフォローっぽいことを書いて締めくくろう。
ファンタジーは、書き手の想像力に制限される。書き手の想像力を超えたことは、書きようがない。とあるゲームのフランス人が「デューク」だったり、そのゲームのロシヤ人の使う武器が「クラスヌイ」「ブーリヤ」だったりするのは、やむをえない。
ロシヤ人の名が「ブラック」となっているのも、いたしかたないことではある。
そういったものは、「枝葉」に過ぎない。
しかし、「枝葉」の枯れている木の根幹が腐り果てていることも、往々にしてあるのである。