2006/03/21 追加, 2011/02/05 更新
erudition-0026
誤記論……その楽しみかた(1)
「誤るは人の常」ぢつは「赦すは神の(御業)」と続く↓。

星野仙一氏(野球監督)の口癖にかようなものがある。

「ミスをするな。いっしょうけんめいやってしでかしたミスは仕方ないとしても、不注意なミスはするな」
これだけ蔵書を蓄えると、人のミスも、まずまず解ろうというもの↓。

まずは、著者自身が第一版の出版後大チョンボ(写植家の誤植)に気づき、第二版から修正した例である:

葉月しのぶ著「妖魔の封印」
(妖魔の王たちが集まっている場面)
長老格の王いわく、「(一人の妖魔の王と人間の魔術師の男色に)手出しはすまい、奴らに敵意を表して」
日本語としてはおかしいが、全体のストーリーからしても「敵意」でも通じそうである。が、即座に「敬意」に修正したそうである(蔵書は第一版^^)。
「敬意」だと「最終回ですか??」と誤解しかねない。だが、「敵意」とすると……おお、何となく、もう一波乱ありそうですねぇ(あったw)。
ということで、これは、誤字・誤変換の類と同じで、タアイのないものである。
よく私がシミュレーション作家を降格しているのは、「カギカッコの閉じわすれ」があったり、 妙な記号に誤変換するという基礎的な校正すらできていないからである。

次は、著者自身が雰囲気に流され(読者も校正も)、気づかずにリリースした、大チョンボの例である:

田中芳樹「銀河英雄伝説」第10巻
皇帝となった主人公ラインハルトの姉アンネロゼが、病気の弟を見舞うべく、惑星フェザーンに行こうとする場面。
「宇宙旅行はなぜか女体に良くないと聞いてはいるが、旅行を決意する」という説明文に曰く:
アンネロゼはハイネセンの地を離れたことがなかったが
……ここが「オカシイ」と気づいた者は何人いたのであろうか? 山ほど?
そのお話では、帝国(首都の惑星オーディン)と、帝国からの分離独立を図る共和国(首都の惑星ハイネセン)とが戦争をしている。
で間に立つのが中立のフェザーンという形になるのであるが。
「なぜラインハルトがフェザーンにいるか」はネタバレなので書かない。注目すべきは、アンネロゼ、帝国、ハイネセンである。
アンネロゼが住んでいるのは、帝国の中のはずである
なぜ、「帝国の人間」が「敵側の共和国の惑星を離れることがなかったが」などと書く必要がある??
いつの間に、帝国の先の皇帝の寵妃、侯爵夫人だか何だかが
ハイネセンすなわち共和国に亡命した?

百歩いや一万光年譲って、アンネロゼがハイネセンに亡命していた、としよう。状況文を再読していただきたい。
宇宙旅行は女体によくない(すなわち、今までしていなかったのに)、今回、はじめてフェザーンに渡航する……。

一刀「バカ日本地図」という著述は、WEB上で「バカ」が日本をどのように把握しているか、その「バカが思い描くとおりに日本地図を描くとどうなるか」を取材し、取りまとめた書である。その(シリーズ)には、魔術における「類似の法則」を平易に言い直した言葉が頻出している:
バカは似たものは同じ・近いと考える
最後の最後になって取り乱した田中氏は、そのときだけバカになったのであろう。
スコット・アダムス『ディルバートの法則』は「すべての人はバカである」と解く。その「すべて」には著者スコット・アダムスも(該当書籍で言及)、私も免れない(*cf.0087)