誰が近くにいても気にせずにオカリナを吹くから悪いのかもしれないが、
よく聞かれることがある。
「オカリナって半音出るの?」
なんでみんな同じことを聞くんだ?
こんな質問をするのは西洋の木管楽器吹き(ようするにオケの木管の人)に多い。
そもそも「半音」とは音と音の幅のことで、 ミとファ、シとドの幅は半音なわけだから、 「ドレミファソラシド」と吹ければ半音は出てるのだ。 まあ、質問する人はそのようなことを聞いてるのではないだろうから、 変なつっこみはこのくらいにしておこう…。
っていうか、自分自身が楽器やってるんなら、 今吹いてた曲に半音が入ってたかどうかくらい聞いとけよな。 臨時記号がじゃかすか入った曲を吹いた直後でも聞かれるんだわ…。
結論からいうとオカリナで半音階は吹けます。 もちろん、オカリナを吹いたことがある人なら言うまでもないっすね。 吹いたことのない人は 運指表を見て下さい。
さて、では、なんでこんな馬鹿げた質問が生まれるのか考えてみよう。 私はオケで使われる木管楽器に問題があると思う。
オケで使われる木管楽器は便利さを追求して指で押える音孔を捨てた。 そして、キーを手にいれた(一部例外あり)。 このことは決して悪いことじゃない。 ただ、 演奏者の思考の中で管と音とのつながりを希薄にさせたと思う。 キーをつけてしまうことによって、 その音孔は開/閉の二者択一となってしまう。 また、キーの位置はわかっても、 実際の音孔の位置はわからないということはないだろうか? (ファゴットの音孔全部なんて覚えてられるか!) つまり、木管楽器は音孔の開閉によって音程を決定するはずなのに (セルパンなどの一部金管もこの部類だが)、 キーを採用することによって、 奏者と音孔が最大限引き離されてしまう (オーボエなどはハーフホールすらキーで行なってしまう…)。
そんなキーがゴテゴテついた木管楽器しか吹いたことがなければ、 音孔の意味を忘れてしまうのも無理はないかもしれない。 キーで音孔をON/OFFのみのスイッチにしてしまった以上、 キーを作った人が考えられない運指は存在しない(←うそ)。 そんな「キー付き木管楽器」奏者が、
「オカリナって半音階出せるのかなぁ?」
「オカリナ作った人ってそんなことまで考えなかったんじゃない?」
「そうだよね、出ないよね」
と思ってもしかたがないだろう。
さて、 オカリナ吹きはもちろん、尺八やケーナ、 その他、キーのついていない木管楽器を吹いている人は 音孔と音をもっと密接に結びつけて考えるだろう。 なんのことはない、 今吹いている音の半音上が欲しければ「音孔を半分開け」ればいいし、 半音下が欲しければ「音孔を半分閉め」ればいい。 すごく単純なことだ (もちろん色々な運指があるぞ。 メリとかカリとかでも音程変わるし)。 1/4音でも、1/100音でも (耳がたしかで、指先が器用なら)出る。 1音を無限に分けることが可能だ。 その単純なことが 「ON/OFFスイッチ付き管楽器」奏者にはわからない。 まあ、それはしかたがないことなのだ。 だから、 たとえ同じことを聞かれた方がいたとしても許してやってもらいたい。
ただ、機械で音楽をやってるんじゃないんだから、 あまりデジタルな思考はどうかと思う。 ドとレの間はド♯(レ♭)しかないという考えは危険っぽい (純声律と平均律の違いは敢えて無視します)。 でも、そう考えておかないと、和音が合わない…。 色々な考えを時と場合によって使い分けましょう。
ガーシュウィン/ラプソディーインブルーの冒頭のクラリネットのグリッサンド。
オカリナでなら楽だろうなぁ。
ソロ部全体だと音域が間に合わないか?
楽譜がなくて確認できない…。