BLACK and WHITE

〜 第11話 〜







僕は間違っていたの?

自分がこの世界に生きる為に、するべき事はしてきた。

誰もが認める『優等生』になる。

誰もが羨む『天才的なテニスプレイヤー』になる。

誰もが感心する『家族思い』でいる。

何もかもは自分の為。

自分がこの世に存在している証をこの手で作り出していたのに。

『努力の積み重ね』と言う手塚の言葉は僕の胸に突き刺さった。

わかっていた。

わかっていたよ、そんな事は。

自分のしている事が間違っているなんて…。

それでも僕にはこれしか方法が見つけられなかったんだ。

自分よりも優れている手塚をどうにかして陥れて、僕の方が優秀だと周囲に印象付ける。

小さな子供のする事だってわかっているけど、一度思いついたら消せなくなってしまった。

手塚への妬みや憎しみの果てに、僕に残ったのは『復讐心』だけだったのだから。

その強い思いを胸に今まで生きてきた。

それなのに、いざ計画を実行してみれば、シナリオは見るも無残な結果に終わった。

僕は負けた。

彼等に負けてしまった…。

もうあの子には手は出さない。

今度出せば、手塚はどんな行動にでるのだろうか?

知りたいけど、それはもう出来ない…二度と手を出さないと約束したのだから。

僕は浅はかだったんだ。

『復讐』なんて。

馬鹿げた行為に、傷付いたのはあの子だけだった。

冷静になって改めて自分の行動が、いささか感情的だったと反省する。


そう、今頃になって僕は『反省』という言葉で胸が痛んだ。




またしても不二の独り言
しかも短い